こなた×かがみSS保管庫
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こなた×かがみSS保管庫
ja
2023-12-01T20:27:39+09:00
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木枯らしに吹かれて
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/1331.html
「お待たせー、みんな帰ろう」
「あ、お姉ちゃん」
つかさがなぜか申し訳なさそうな顔をして迎えてくれる。帰り支度を済ませたつかさとみゆきの二人に近づくとその理由が分かった。
冬本番が近づいているというのに制服姿のまま薄暗がりの教室で、なんだか幸せそうに寝入っているやつ。
「ちょっと起こすのがかわいそうだったからちょうどよかった。お姉ちゃんあとはよろしくね」
「は?」
「すみません、今日は家の事情で早く帰らないといけなくて。失礼します」
「え、ちょっとみゆき、つかさっ」
ガラガラピシャッ。笑顔を残してあっさりと出ていってしまった。
つかさに何か用事なんてあったかしら。別に私だってたまに日下部たちと帰ったりするけどさ。
教室に取り残された私と絶賛爆睡中のこなた。受験生ということもあり放課後はすっかり静かだ。
「何の悩みもなさそうな寝顔よね」
受験が迫ってピリピリしだした周囲も気にせず相変わらずのマイペース。のほほんとした笑顔で高校最後の年を過ごしてる。
人のことを心配する余裕なんかなくて、でもほっとけなくて、そのくせ当の本人には肩の力抜こうよってほだされる。
なんでかな。全然説得力ないけどその笑顔に心が安らいでしまうのは。
こなた、と小声で呼んでみる。つかさも言ったように起こすのがかわいそうな気がしないでもない。と言うかこうしてじっくり寝顔を観察する機会もそうそうないし。
あどけないって言うか本当に幼いな。こなたには悪いけど子どもみたいで可愛い。
睫毛が長くて羨ましい。基本半開きがデフォルトだけど、くりくりとした大きな瞳と言い素材は良いのよね。
柔らかそうなほっぺた。触っても大丈夫かな、ぐっすり寝てるよね?
そっと起こさないように。もちもちしたほっぺたが私の指を捕らえて弾き返す。
ぷにっと弾力があって何度もつついてみた。ちょっとクセになりそうだ。
ついでに頬を撫でてみた。目元、鼻先にちょんと触れてみて、顎のライン、すべすべした肌。
そこを避けながらそっと口元に指を滑らせる。
にまにまと小憎らしい笑みを浮かべながら。宿題をやってなくて泣きついてきた時。楽しそうに理解し難いオタクトークを広げて。
私の名前を呼ぶ。この口が「かがみ」と紡ぐ。たったそれだけのことで私の心はどうしようもな
2023-12-01T20:27:39+09:00
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好きの証明
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朝、いつもの場所に待ち合わせ。到着するのは大体私が後だった。
今日もやっぱり仲良し姉妹が先にいて待っている。まだかまだかという様子は見なきゃよかった。
苛立ち、心配はたぶんありえない、そんな顔をさせていることにちくりと胸が痛む。
それでも何食わぬ顔で行くのが私だけどね。
「おはよー、かがみ、つかさ」
「おはよう、こなちゃん」
「おはよ」
にこっと微笑んでくれるつかさに癒され、ちょっと無愛想なかがみに頬が緩む。
いやマゾとかじゃなくて、こういうキツいとこがかがみらしくて可愛いんだよ。
「あんた時間通りに来るってできないのか。前に時間遅らせたらその分さらに遅れてくるし」
「いやまあ、それが私らしさってことで一つ」
「時間守れないなんて絶対将来苦労するわよ」
「その点は大丈夫。バイトはまだ無遅刻無欠勤だし」
「その精神を私らにも回してくれ」
呆れるかがみ。罪悪感がないこともない。
でもかがみは待ってくれるんだよね?文句を言いながらも待ってくれていると信じてるよ。
「お姉ちゃんこなちゃん、バス来たよ」
「ほらかがみ、行こう。乗り遅れるよ」
何か言いたげだったかがみの手をとる。柔らかくて温かくて、私のより一回り大きい。
「全くあんたは」なんてこぼしながら優しく笑って、ぎゅっと握り返してくれた。
バス停から教室までのちょっとある距離。私はかがみと手を繋いだまま歩く。
ちょっと恥ずかしいけど、こうして一緒に登校することも少し前はもうできないって思ってたんだよね。
かがみを好きになって、かがみが私を好きになってくれたこと。
擦れ違い一人寂しく過ごしていた日々を思い出し胸が締め付けられる。
つい繋いだ手に力が入ってしまってかがみの足が止まる。訝しむかがみに普段通りの表情ができてるかな。
握り返してくれた手から伝わる温かさに安心する。
くっと引き上げてくれるかがみは強いね。悩み押し潰されそうになっていた私とは全然違うよ。
少し先を行くつかさがちらりこっちを見て嬉しそうに笑う。いつだってその笑顔で支えてくれていた。
私と同じ女の子だけどかがみはおっきくて、それに甘えてばかりの私がいる。
「ねえかがみ」
好きだよ、大好き。かがみと出会えてよかった。今すごく幸せだよ。
そう伝えたいのになかなか声にならなくて、どうし
2017-07-08T09:50:18+09:00
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新たなステップ
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/1329.html
可愛いなとか。優しいなとか。一緒にいるのが当たり前で、いないとなんだか物足りなくて。離れたくないし、手放したくないって思った。
笑ってほしい。笑顔が見たい。ずっとそばで笑っていたい。
好きって気持ちを家族愛とか友情とか、恋愛ってやつに分類するとしたら。間違いなく私はかがみに恋している。
だから好きって言ってもらえて嬉しいし、付き合ってほしいって言葉にも頷けた。
今までも、これからも。ずっとかがみの隣は私の場所なんだって思えたから。
珍しく早起きした朝、いつもとは反対に柊姉妹を待つ。
通学の時間帯だから学生服の若者でごった返してる。朝から堂々といちゃついてる人もいたりするのかな。
以前なら冷やかし気味にちら見する程度だったけど、なんとなく青春のワンシーンに目が行く今日この頃。
間違ってもバカップルにはなりたくないけれど。
そもそも女同士だからカミングアウトもし辛いし、友達感覚が染み着いてて緊張とかドキドキとかもわからないまま。
付き合って何をするんだろう。なんて言うのはゲームとか色々で見てきた世界だし、知らないふりはしないけど。
そこに自分とかがみを当てはめ……るのは、恥ずかしくて無理。
そんな悶々としてること自体何より恥ずかしい気がする。時間を確認、結構経ってるじゃん。
もし今かがみたちが来たら、と思い自分の顔色を窺ってみたいけど、手鏡なんてものは普段の私は持ち歩かなかった。
家を出るときとか、最近絶対に時間かかりすぎてるってわかってる。いっちょ前に女の子してる、って昔の私が笑ってるかな。
でもそんな今の自分がわりと好きだったりするんだよね。
「おはようこなちゃん」
「おはよ。どうしたの、珍しく早いじゃない」
らしくなく考え事に耽っているうちに二人がやってきた。悟られないようにすぐ返さないと。
「おはよう。たまには早く来てみたらそんな言い種なんて、つれないねかがみんや」
「そんなの普段のあんたの行いのせいよ」
「つかさー、かがみが朝からいじめてくるよぅ」
ちょっとオーバーにつかさに泣きつく。少し苦笑いを浮かべながらもよしよしって頭を撫でてくれる。癒されるねえ。
「あ、ちょっと」
「どうしたの、お姉ちゃん」
「……別に、なんでもないわよ」
つかさに甘えた時のかがみの反応は今までにないものだった
2023-12-01T20:20:51+09:00
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さあ始めよう
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/1328.html
こなたは焦っていた。待ち合わせの時間を考えたらもう家を出てないといけない。完全に遅刻、好きで遅れてるわけじゃないのに。
誕生日プレゼントにかがみから貰ったネックレス。ファッションなどに興味はなかったけれど嬉しくて、大事にしようと思ってどこにしまったのか。
バタバタと捜索するのにスカートだとちょっと動き辛い。いや、別に誰に見られるとかじゃないけどさ。
今の服装も必死に探しているのも朝イチに届いたメールが原因。らしくなくて笑えるかもしれない。でもそれは何年か先に青春時代の懐かしい思い出としてだ。
漫画やアニメに夢中になっても現実世界ではそんなことないんだよって思ってた。そんな自分を恥じて、今だけは取り繕ったりしない本当の姿で。
やっと見つけたそれはかがみのセンスの良さとか、ちょっぴり高価に思えてよかったのかなとか、私に似合うのかなとか。安堵とともに複雑な感情が沸き上がる。
何を言っているんだ泉こなた。デートとは目一杯めかしこんで一番の自分を見てもらうもの。大丈夫、今日の私は可愛い。
あっ、と叫びそうになった。時は無情にも過ぎていく。赤い顔のままこなたは大急ぎで家を出た。
待ちくたびれていたかがみはやっぱり怒らせてしまったけど、驚かせて、可愛いと言ってくれた。なんか、じーっと見すぎじゃないかな。
デートって宣言してみたけれど正直くすぐったい。慣れない甘い雰囲気、お試しだからと自分に言い聞かせる。
エスコートはかがみにお任せ。普段のこなたならアキバデートとかになってしまいそうだ。手を繋いでるのも、先導してもらうのも、恥ずかしいけど我慢ガマン。
歩幅の違いに気付いてか、かがみが歩くスピードを緩めた。ちらりとうかがうさりげない仕草、とても優しい表情で。胸の奥が締め付けられるのを理解した。
どうしたって見上げてしまう。傍から見れば仲の良い姉妹だろう。変に勘繰られたりするよりはマシかもしれない。
女同士だからなんて考えたことはない。そもそもかがみの告白はかなり嬉しかったし。ただ分からなかったことがあったから、今それを確認中。
今まで何度も二人で出かけたことがあるのに、いつもより速い鼓動は何のせいか。指を絡めて繋いだ手や自身の服装、どこか楽しげな表情。全然知らない自分の一面に逃げたしたい衝動に駆られる。
こそばゆくって何となく楽しくて、た
2023-12-01T04:32:04+09:00
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決意表明
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机の三番目の引き出し、彫刻刀や色鉛筆などの下。隠すように入れてあったそれを取り出す。
ハートマークのついた封筒と一通の便箋。宛名と差出人、それからただ一言だけ。
それらを確認するとかがみはため息をついた。生まれて初めて書いたラブレターは全然中身がない上に役目を果たせてないまま。
別の方法で告白はできた。いや、勢いに任せて言ってしまった。でも結果から言えば伝えることができて良かった。後悔はない。
甘い妄想とは違って現実では望んでいた返事は得られなかったけど、最悪の事態は回避できたし、可能性も残されているから十分すぎる。
好きと言われて嬉しいと、こんな自分でも好きだと、そう言ってくれたこなたをますます好きになっていく。
あの日から一月経とうとしている。スキンシップを増やしてみたり、優しくしてみたり。時にはいじわるして困り顔のこなたを楽しんだりもしたけど。
毎日が楽しかった。こなたと過ごす時間が幸せだった。好きな人と一緒にいるだけで満たされてしまう。
椅子に座り直してペンを手に取る。思い浮かぶかけがえのない日々と、胸の奥で大きくなった気持ち。
人生で初めての恋は同性の女の子。悩み諦めかけたりもしたけれど、今は全て受け入れられる。
様々な想いを書き綴って最後の一文。好きや愛してるじゃない伝えておきたい言葉。
『こなたと出逢えて良かった』
書き終えたかがみは満足そうな笑みを浮かべて眠りについた。
「つかさー、そろそろ起きなさい。待ち合わせ遅れるわよ」
翌朝、休日ということでいつもの四人で遊びに行く約束をしていた。習慣として早起きしたかがみは朝食を済ませた後、つかさを起こしに部屋越しに呼び掛ける。
「あ、お姉ちゃんおはよう」
すんなりと部屋から出てきたつかさは寝癖をつけてのほほんとした笑顔を見せる。遅れるなんて言いながらも本当は余裕があるので大丈夫だろう。
顔を洗って寝癖を直して、と告げて背を向けるかがみ。自室のドアノブに手をかけたところでつかさが呼び止めた。
「あのねお姉ちゃん、今さらだけど今日私行けないの」
いつもみたいに起こしてくれてありがとうとか言うかと思ったら。弾かれたように振り向く。
「え、なんで?今日のこと楽しみにしてたじゃない」
「えーっと、急な用事が入ったから?」
「なんで疑問系なのよ……」
残
2023-11-30T09:26:03+09:00
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押してダメならもっと押せ
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一人きりになった自室のベッドの上でこなたはぼんやりと天井を眺めていた。
そういえば夕食の当番は誰だっただろう、確かそうじろうだった気がする。今のこなたには料理など作れやしない、自信を持って言えた。
薄暗がりの部屋の中で自問自答を繰り返していた。あの時あの行動は何を思っていたのか。これから先どうしたいのか。
ごめんと言う謝罪の言葉を先に告げて自分の心をさらけ出していたかがみ。泣きそうな、でも真っ直ぐに射抜いてきた視線が脳裏に焼き付いている。
意味合いは違えど好きだった。掛け替えのない親友。真剣な眼差しに高鳴った鼓動は上手く説明できないが、好意を向けられていることはとても嬉しかった。
拒絶はしない、できない。が、応えることもできなかった。ただ受けとめたかったから、示すためにした頬へのキス。
今はまだ。なら今後の展開次第で唇を重ねることもあると言うのか。
想像して、身悶えした。その行為にではなく、すんなりとイメージ出来てしまったことが顔から火が出るくらい恥ずかしかった。
翌朝、眠い目を擦りながら待ち合わせの場所へと向かう。
なんとなくではあるが、かがみの好意には気付いていた。こなたはかがみを好きだったから純粋に嬉しかった。
しかしそれが恋愛感情であると告げられると解らなくなった。からかった結果として押し倒されてたら心臓が持たない。怖さはないのだけれど。
自分の触れたいと思う気持ちとかがみのそれのズレ、どう折り合いをつけたらいいのか。抱きつきたいと思いながら、抱き締めれたときのむず痒さに対処できない。
悶々とした気持ちを抱えながらも、やっぱりかがみとは一緒にいたい。受け入れるって決めたのだし。
「かがみおはよー」
いつも通りゆるい声で挨拶。なぜかいないつかさは寝坊でもしたのだろうか。
「あ、おはよこなた、今日も可愛いわね」
夢でも見ているのだろうか。かがみが自分のことを大好きだという妄想の産物を。
「もう好きって言ったからね。ダメじゃないならひたすらにアプローチするわよ」
往来でなんということを、と思ったがさして注目は集めてないらしい。羞恥に言葉を失ったこなたは足早にバスへと乗り込む。
ニコニコ笑顔で後に続くかがみ。ツンデレのツンはどこ行った。
「ところでつかさはどうしたの?」
こなたがその質問をできたのはバ
2023-11-30T09:17:59+09:00
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素直な想いを
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『この調子なら明日は大丈夫そうだよ』
電話越しに聞こえる声は聞き慣れたそれと同じ調子でホッと胸を撫で下ろす。
「だからって油断しちゃダメよ。ネトゲとかせずに早く寝なさい」
いつも通りの小言だけど、いつも以上に強い口調で言う。
ぶー垂れる様子も眼下に広がるようで、素直に聞くようなヤツなら今日みたいなこともないよなと思う。
最近暑くなってきたので冷房を効かせてたら消し忘れて風邪をひいたという。
全く見た目も中身も全然成長してないな。
思わず漏れたため息を敏感に聞き取ったのか、相手の怒りが電話越しでも分かった。
「こなた」
『……うん?』
「明日はちゃんと学校来なさいよね。あんたがいないとつまらないから」
話が通じないのもお構いなしにオタトーク全開で周りを振り回す。賑やかしいことこの上ない。
そんなこなたがいない学校は静かすぎて、ゆっくりできるはずなのに物足りなかった。
『うん。おやすみかがみ』
「おやすみこなた」
通話を切って一息。元気そうでよかった。
つまらないなんてもんじゃない、好きって自覚したあの日から。
こなたに早く会いたいと学校に向かう。
こなたの笑顔を見れば私も嬉しくなる。
こなたが落ち込んでたら力になりたいと願う。
欠席したと聞いてすぐにお見舞いに行きたいと思った。
でも今日に限っては家の用事で全然時間を作れなくて、メールだけでしか気遣えなくてもどかしかった。
声が聞きたい、なんて携帯を握りしめていたり。
なんでこんなにも、と思ったりもしたけど、そんな自分が嫌いじゃないって気付いた。
素直になりたい。そう願っていたその時に手の中の携帯が震え出して笑っちゃうくらい驚いた。
文明が産み出した魔法の小箱。距離の壁を越えて二人を繋いでくれた。
今は何の音も奏でていないけれど、いとおしさが募り唇を寄せる。
明日こなたと会えますように、という想いを乗せて。
日に日にこなたへの想いは大きくなっていった。
こなたと一緒に過ごす時間が何より楽しくて、こなたの笑顔を見るだけで幸せな気分になれる。
でもそれだけじゃなくて。
こなたが私以外の人と話していることに良からぬ感情を抱いてしまうようになった。
寂しさならまだいい。認めたくはないけど私は寂しがりな人間だ。
けれどもそれは独占欲、あるいは嫉
2023-11-30T09:12:08+09:00
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不器用と本音
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机に向かってからどれだけの時間が経ったのだろう。
今考えている問題は非常に難問だ。
これが数学や英語の課題だったら、と思う。
教科書を読めばヒントが隠されてるし、親友に助けを求めることだってできる。
でも私が頭を悩ませていることには正解すらないのかもしれない。
答えを導くことはできる。だけど焦点はそこじゃないんだ。
これは私の心の問題だ。
正直に相談にのってほしいと悩みを打ち明けることも叶わないんだ。
一向に進まないペンを置いて時計を見る。
すでに日付が変わっていて、それだけの時間を費やしても見つからない答えにため息がでる。
もう『今日』は諦めて寝てしまおうか。
そう思いながらも頭では先ほどまで考えていたある人物を浮かべている。
アイツならまだ起きていることだろう。
話がしたい。毎日だって繰り返してたんだから。
言いたいこともあった。
でもそれこそ言っていいのだろうか正しいのだろうかと、悩み結論が出ていない。
充電器に挿したままだった携帯をひったくりベッドに腰掛ける。
今はまだ言うべき時じゃない。
一つ深呼吸して着信履歴からリダイアルを押した。
朝、きちんと時間通りに目を覚ましたものの左手が少し痛い。
不注意で落として欠けてしまった目覚まし時計。
いつか買い換えなければと思いながら先伸ばしにしていたんだけど、これは早急に解決する必要がありそうだ。
今日の放課後にちょっと寄り道して行こう、こなたを誘って。
普段着る服にも気を遣わず、キャラグッズをコレクションしてるこなたのことだ、一緒に選ぶ相手としてはミスチョイス。
それでもこなたと過ごす時間はきっと楽しくて、目的も忘れてしまうくらいに。
机の上の宛名のない手紙を一瞥して階下へと急いだ。
毎朝の待ち合わせ、その待ち時間は昔は苦手だった。
通勤通学で人は多いし、ずっと立ちっぱなしだし。
それでいてずいぶん待たされたと思ったら大して時間が経ってなかったりして、イライラが収まらない。
別に好き好んで怒ったり口やかましく言ってるわけじゃないから。
元々口調がキツいってわかってるから尚更。傷つけたくない。
とは言え、アイツはその程度じゃへこたれない。
それどころか、私の素直になれない部分を先読みしてくるもんだから。
私は照れ隠しに声を荒げて
2023-11-30T09:02:09+09:00
1701302529
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作者の部屋(H7-496氏)
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/1323.html
-[[おとなとこども>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/1322.html]]
-[[不器用と本音>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/1324.html]]
-[[素直な想いを>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/1325.html]]
-[[押してダメならもっと押せ>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/1326.html]]
-[[決意表明>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/1327.html]]
-[[さあ始めよう>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/1328.html]]
-[[新たなステップ>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/1329.html]]
-[[好きの証明>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/1330.html]]
-[[木枯らしに吹かれて>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/1331.html]]
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2014-12-25T06:36:24+09:00
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おとなとこども
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/1322.html
新年度が始まってから早いうちに誕生日を迎える私は正直今年のその日をあんまり期待していなかった。
理由は単純。祝ってくれる人がそんなにいないから。
いや別に昔から誕生日が好きってほどじゃないんだけど。それでも誕生日が特別なんだと気付いたと言うかなんと言うか。
待ち遠しいだとかそんな気持ちにさせるのは高校時代の友人達のせい。無頓着だった私を色々と変えてくれた親友がいたからだ。
だから世間一般ではただの平日の一日にすぎないけど、今日という日に期待とちょっと寂しさを感じてしまう私がいた。
大学も入って二ヶ月足らずじゃ大して人間関係を築けない。
それでも同志の子達とかみさきちがいたこともあって何人か仲良くなれた人達からはお祝いの言葉や誕生日プレゼントなんてもらったりした。
今のところ知り合いの中じゃ一番先に誕生日を迎えたらしく、全然年上に見えないって言葉が第一声。
全く成長してないのは高校生の頃からだけどやっぱり言われたら少なからずへこむ。まあ誕生日に落ち込んでらんないからテンプレ反応で笑いをとっといて。
別々の学校に進学したんだからつかさやみゆきさんに会えるわけもなく残念だけど、二人とも日付の変わるタイミングでメールをくれるという味なことをしてくれたし。
そこまで深く知り合えたわけでもないのにプレゼントを貰えただけで十分幸せ者だと思う。
それなら今感じているこの気持ちは一体なんなんだろう。
「たっだいまー」
荷物を抱えて勢いよく玄関をくぐったのはいいけど、返事が何もない。
あれ、今日ってお父さん打ち合わせかなんか言ってたっけ。ゆーちゃんだって帰ってきていい時間なのに。
さては去年誕生日パーティーすっぽかしたから仕返しも兼ねたサプライズかなんかかな。
無音の圧力って結構心臓に悪い。とりあえず荷物を部屋に置いてからっと。
「おかえりこなた誕生日おめでとう!」
「ふぉっ!?」
自室の扉を開けたら目の前に仁王立ちのかがみ。クラッカーは自重してくれたみたいだけど声大きすぎ。
驚いて持ってた物全部落としちゃったじゃん。食べ物割れ物なんてないからいいけど。
「あ、ありがとかがみ。それと、ただいま」
去年とは違う満面の笑みで言われると少し照れくさい。
素直なのは良いことだけど、たまにはアイデンティティ
2023-11-29T09:32:47+09:00
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