ねこなた、出現。~華麗なる前編~

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最近、こなたが学校に来ない。
あの超健康児が、だ。
今週は丸ごと休む気かあいつ…
先週はあんなにぴんぴんしてたのに。おかしい。

こなたの家に電話しても、おじさんやゆたかちゃんに聞いても、病気だとか言って話をはぐらかされるばっかりだし。
こなたの携帯に電話をしてもメールを送っても、返って来ない。

泉家でこなたの存在を隠そうとしているのか?

身内ですら、やむをえない事情があるのなら仕方ない。
が、こなたは私の一番の友人だ。ほっとくわけにはいくまい。
しかし、家族はあまり心配しているように見えない。なんというか…言葉に詰まらせた笑顔をしてるというか…


日曜日。
さすがに心配になった私とつかさは、泉家に出向くのだが、おじさんはこなたは怪我したとか、病気だとか、遠出したとか、いろんな理由を言ってはぐらかされるばかりだった。
結局そのまま何もできず、脱力したまま帰ることになった。

私とつかさが帰宅すると、家の前に子猫がちょこんと座って私たちのことをじっと見ていた。

首輪が付いてない。
小さい体で、ふさふさした青い毛、きゅっと締まった猫らしい口、眠そうな眼。

…なんかデジャブを感じるな。

「わ〜、かわいいね〜。どうしたの?こねこちゃん?」
「にゃあ」
つかさが子猫の前に手を出すと、その猫はすりすりと頬を寄せた。

元気そうだし、人懐っこいようだ。
毛並は整っているし、猫臭いわけでもない。きっと育ちのいい猫なのだろう。

「にゃ〜」

それにしても気の抜けるような声ね…

「ねえ、お姉ちゃん。この猫飼っちゃだめかなあ?」
つかさは、その子猫を抱きかかえて言った。猫は暴れる様子は全く見せず、ただのほほんとつかさの腕の中におさまってた。
「何言ってんの。動物を育てることは大変だって前にも言ったでしょ?それに、この猫はきっとどこかの家の飼い猫が逃げてきたんだと思うわ。毛並もいいし、ノラには見えないもん」
「でもこの猫ちゃん、夜ひとりぼっちじゃ可哀想だよ〜」
「…」


私は乗り気じゃなかったのだが、家で相談してみたら、家族に温かく向かえられた。
そして猫の名前はどうしようという話になり、つかさが「ね子」という名前を付けた。

その名前で呼ぶ者は誰もいなかったが。


かくして、極めて健康そうなその猫は、我が家で一晩だけお世話することになった。

「ごろごろごろ…」
しかし、この猫は私によく懐いてくる。私のひざ元にやってきては、すりすりしてきて、喉を鳴らしながら、ひざの上に落ち着いている。呑気なもんだ。

結局、私に一番懐いているということで、夜は私の部屋に入れることになった。


私が宿題をしていると、猫は机の上にぴょんと跳んできて、ノートを見ようとしてきた。
「もう、おとなしくしてなさい!」
「にゃー」

「これが終わったら遊んであげるから」
「にゃあにゃあ」

ノートに手を乗せたり、ほっぺをなめてきたり、いたずらばっかりしてきて、なかなか集中できなかったが、私が無関心を装っていると猫の方も興味がなくなったのかおとなしくなった。

ようやく宿題が片付く。
「ふう、終わった」

子猫は、机の上でくたーとしていて、ごろごろと喉をうならせながら寝ている。
「猫ちゃん」
「にゃ?」
猫がぱちっと目を開ける。きれいな瞳だ。

「おいで」
「にゃん!」
ととっ、と走り寄って来て、ぴょんと跳んで私に抱き着いてきた。
抱っこすると、ぬくもりを感じてあったかい。

両手で抱いて、子猫の顔をじーっと眺めてみる。
子猫も私のことをじーっと眺めている。
猫なのに、じっと見つめられると、なんだか顔が熱くなってしまいそうだ。

かわいい猫口をした子猫が、首をくいっ、と傾ける。犬でもないのにしっぽをふいふい振ってる。

確かに可愛らしいわね。
青くてふさふさしたきれいな毛並、眠そうな眼、頭からはぴょいんと飛び出るアホ毛のようなものまである。それに気の抜けるような声も。

…この特徴はどうみても。

「あんた、こなたそっくりね」
「にゃあ」

「ほら、こなたぁー」
私はベッドに寝転がりながら、子猫を天井へ向けてたかいたかいする。
「ふにゃあ」
この猫が、あまりにこなたに似ている要素がたくさんあるため、私はついそう呼んでしまう。普段からかわれている事への仕返しだ。

猫を顔の目の前まで近づける。
「可愛いな…こなた」
すると、子猫は目をそらしてうつむいてしまった。なんだかもじもじしている様子が楽しくて、笑顔がこぼれてしまう。こいつ、案外照れ屋さんなのかな?
なんだか名前がこなたで定着しちゃってるけど、まあいいか。

「ほら、こなたぁ〜、ちゅーしちゃうぞ〜〜」
「にゃーにゃーにゃー!」
私が猫に顔を近づけると、この子はじたばたする。あ〜もう可愛いなあ〜〜。ついにやけてしまう。

「うぅうぅゅぅうぅうぅ…うぅぅうぅううぅ…」
子猫が唸り始めた。ちょっとからかいすぎたかしら。
「あははっ!うなる声まであいつそっくりぃ〜!!!」

さすがに可哀想なので、下に降ろしてやる。

「かわいいなあ〜〜〜…はい、お手!」
「にゃっ」
猫は私の手にぽむ、と手を乗っけた。

「きゃ〜っ☆かわいい〜〜〜っ!!!♪」
私は猫をぎゅ〜っと抱いて、頬にすりすりした。
子猫の動作の一つ一つが可愛らしくて、楽しくてたまらない。
普段はクールな私を、木っ端微塵に砕いてしまうほどに。
「ふにゃあ〜」
「こ〜なたっ♪こ〜なたっ♪」
私は子猫を胸に抱いて、左右に頭を振りながら、謎の歌を唄う。

ガチャリ。

「こ〜なたっ♪こ〜なたっ♪」

「お姉ちゃん」

「こ〜なたっ♪こ〜なたっ♪」

「…………おねえちゃん」

「こっ…………………………………………………………………………………………………………………………」

「…」
「…」


…私としたことが。

子猫のあまりの可愛らしさに、ついはしゃいでしまった。
…うわあ、つかさがすっごい不安そうな目で私のこと見てる。

「えと………………………………………………………………

あの…………………………………………………………………

猫が…………………………………………………………………

可愛かったから……………………………………………………

……………………………………………………………………つい」



つかさは、どうにかごまかして部屋に戻した。



寝っ転がりながら子猫を見つめる。猫はちょんと座ったままじっとしている。
頬をつんとつついてやると、目をつぶってまた私のことをじっと見つめてくる。
「かわいいなあ…もぉ…」

手をきゅっと握ってみる。ちっこい手がふにふにして気持ちいい。

「ふふっ……こなたん♪」
「にゃんにゃん♪」
なんだか猫の方も嬉しそうで、ますます楽しくなってしまう。

子猫のちっちゃな両手を握って、ぶらぶら動かしてみる。

「こ〜にゃたん♪こ〜にゃたん♪」
「にゃ〜にゃっ♪にゃ〜にゃっ♪」
猫も一緒に唄っているようで、とても楽しい。

「こ〜にゃたん♪こ〜にゃたん♪」
「にゃ〜にゃっ♪にゃ〜にゃっ♪」

「こ〜にゃたん♪こ〜にゃたん♪」
「…」
「お姉ちゃん」

「こ〜にゃたん♪こ〜にゃたん♪」
「…」
「…お姉ちゃん」

「こ〜にゃたん♪こ〜にゃたん♪」
「…」


「…オネエチャン」


…はっ。
またも、つかさに見られてしまった。

どうしよう。


こなったこなった。



「猫と……………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………踊ってた。

ただ………………そんだけ」

「そんだけ〜」

「…そう。そんだけ」



つかさは、どうにかして部屋に戻しました。



「こなたぁ〜、じゃんけんしよっか」
「ふにぃ〜?」
私がにこにこと笑いながら聞くと、子猫は首を傾げた。

「は〜い、じゃ〜んけ〜んぽ〜ん☆」
私はパーを出す。すると、猫も手を差しだしてきた。

「わ〜い!!勝った勝った〜!」
私は喜ぶ。
猫の手相手に、一体どんな基準で自分を勝たせたのか私も知らんが。

私は猫の目の前に指を突き出して、
「あっちむいてほ〜い♪♪♪」

猫は、指を向けた方向に顔を向けた。

「きゃ〜!!おりこうさ〜ん!!」
ゲームに負けたにも関わらず、なぜ誉められているのか猫には知る由もないが。

「いいこいいこ〜!!も〜、かわいいなぁこなたちゃんは!」
猫の頭をなでなでする。
「にゃんにゃん♪」

「ねえお姉ちゃん」
「あ〜ん!もぅほんとに可愛いでちゅね〜、おーよちよち♪」

「…お姉ちゃん」
「そんなに可愛い子にはちゅ〜のおしおきしちゃいまちゅよぉ♪」

「………………お姉ちゃん…」
「何でちゅか♪」


「…」
「!!!!!!!!!!!」


またもやつかさに恥ずかしい所を見られてしまった。


「あっ、あのね…!!これは…その…猫がこなたに似てて…その、あんまり可愛いから…あっ、か、可愛いのは猫の方ね!!別にこなたが可愛いって言うんじゃなくて…んと、えと…!」
「…」

つかさが見ている。すっごく心配そうな顔で見ている。

「…そ、そうだ!!この猫ね、とってもおりこうさんなのよ!見てなさい!!びっくりするから!!」
つかさにこの猫のスゴさを見てもらえば分かるだろう。

私は、さっきのテンションはそのままに

「じゃ〜んけ〜んぽ〜ん☆あっちむいてほ〜い♪♪♪」



「…」

無反応。


私は、右手の人さし指を左にくっと向けたまま、硬直している。

部屋の中で、ただ楽しそうな私の声が、響いた。


さて、つかさになんと言ったらよいのだろう。このままじゃおかしい姉と思われてしまう。
…つかさが次に発する言葉が怖い。



「…あっはは〜、お姉ちゃんバルサミコ酢ぅ〜」


なっ…

なんですとおおおおおおっっっっっ!!!!???

まさか妹に酢ー呼ばわりされるとは。
妹の無邪気な顔で言われた一言に、私は軽く生きる希望を失い落ち込む。

そんな私のひざに小さな手がぽんとのせられる。
「にゃあ」
「優しいのね…あんた…」

「にゃん♪」
猫に慰められてる人間。それは、私。


つかさは、なんとかして部屋に戻しました。




ひたすらヘコむ私。

あああ…、この猫が可愛すぎて愛でていたら、つかさに恥ずかしい所ばかり見られてしまった。
あぁ、どうしよう。姉の面目丸つぶれだこりゃ。
こなたにこの事バラされたら、またからかわれそうだな……………はあ…

しかし、ヘコみすぎてちょっと冷静になってきた。

ふと、妙な違和感が出てくる。

猫を自分の目の前に持ってきて見つめる。やっぱり見れば見るほどこなたに似ている。というか、これほど実在の人に似た動物なんて身近に現れるものだろうか。

…それに、やけにこの猫とコミュニケーションがうまくいく。うまくいきすぎてるくらい。


こなたは最近学校に来ない。一週間も休んでるのに家の人は深刻そうではないが困ってる様子。
それと間を置かず目の前に現れた、私に懐くこなたそっくりの猫。

「まさかねえ…」

「にゃ?」
また反応した。しかも疑問系ぽく。やっぱこいつ言葉分かるのか…

「ねえ、こなた」
「ふ〜にゃ?」
首を傾げて返事する猫。

「…」

おいおい…まさか…まさかな。で、でもこれは偶然とは思えないし…もしかしたら…

私がだんまりしてるもんだから、猫も不思議に思っているようだ。

「…まさか人間が猫に変わるなんてことが」


「ふにゃ!?にゃあ、にゃあ」
猫は“しまった”という顔をして、慌てて首を傾げたり不自然に鳴いたりした。…怪しい。
私がじろっと睨むと、猫は一層焦りはじめる。
「…にゃ…………にゃあ?」



「もしかしてあんた…言葉分かるの!?」

猫はぶんぶんと首を振った。



「まさか、あんた…………こなたなの!?」

猫はぶんぶんと首を振った。



「…違うの?」

猫はこくんと頷いた。

「…」








「…嘘つけえええええええっっっっっっっっ!!!!!!!!」









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コメント:
  • 一瞬、有名な家政婦さんがいませんでした?気のせい? -- 名無しさん (2012-07-05 17:23:38)
  • ね子に吹いたww
    -- 名無しさん (2011-07-02 19:17:54)
  • こ~にゃたん♪こ~にゃたん♪( ´ ▽ ` )☆
    ☆彡 -- 名無しさん (2010-08-19 04:53:44)
  • ねこなた可愛い…
    かがみさんに譲って♪てお願いしたら殲滅されるんだろうな…(;^_^A
    続編が激しく楽しみです。
    GJ!!!! -- にゃあ (2009-02-05 19:54:40)
  • ぽっぽぽぽぽぽ・・・byつかさ -- 名無しさん (2009-01-26 20:54:14)
  • ニヤニヤ度MAXですww。なんでだろう 某スレの某氏の壊れ具合といい、貴方の作品といい壊れ気味のはずなのに違和感がないなんて……!!ww
    続き早く見たくなるほどGJです!!ww -- 名無しさん (2009-01-21 11:53:49)
  • GJです
    にやにやが止まらないです、もしねこなた画像がupされたら萌え死にします
    -- 名無しさん (2009-01-21 04:57:35)
  • これはおもしろい。かがみの行動がかわいすぎです。 -- 名無しさん (2009-01-21 02:55:05)
  • おもしろいです!
    続きまってます!(*^_^*) -- 無垢無垢 (2009-01-21 00:27:36)


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