家庭教師

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あと一年で受験。
私は溜息をつく。

…イヤだな。

現在高校2年の私は、親友のつかさと教室に一緒にいた。

今は昼休み。
お昼のお弁当も食べ終え、食後雑談していたのだが…

「あと、1年だね~」

なんてつかさが言うもんだから。
嫌なこと、思い出させないでよ。

「つかさは志望は専門学校だよね」

うん、とつかさ。
私はというと…未定。

漠然と進学、なんて思っていたもんだから勉強も適当にしてきてしまった。
今の成績じゃ、どこも行けない。

「あ~あ、どうしよ…」
とは言うものの、どう考えても答えは一つ、進学したいなら勉強しろということ。

でもどうやったらいいんだろうか。
はっきり言って検討がつかない。

「こなちゃん?」

黙っていた私につかさはどうしたの、と伝えた。
私は思っていたことを話した。

どう勉強したらいいんだろう。
誰かに教わりたいな、なんて。

つかさには悪いけど、あまりつかさに相談することじゃなかった。
だってつかさ、成績、私と同じなんだもん。

いいアドバイスは期待せず、心のわだかまりが少しでも消えたらいいな、なんて思って言った。

するとつかさは、私に言うのだった。

「こなちゃんに、いい家庭教師を紹介してあげるよ!」


その家庭教師は柊かがみさん。
つまり、つかさのお姉さんだ。
今は大学1年。
有名な大学に通う人だ。

依然、会ってつかさと3人で遊んだことがある。

ツンデレーな方だったなぁ…。

「あのね、お姉ちゃんすっごくわかりやすいから!」

つかさの話では、バイトがてら誰かの家庭教師をやろうかな、なんてこぼしていたそうだ。

その日私はよく考えてみた。

やっぱり、勉強、しなくちゃかな…
でも、したいこと(ネトゲとかネトゲとかネトゲとか)沢山あるしなぁ…

でもかがみさんが教えてくれる、そう思うと幾分抵抗が減った。

勉強に対して抵抗が軽くなる、そんなことは今まで一度もなかった。

これは、チャンスなのかも。

そう思い、私は決めた。
かがみさんに、家庭教師をしてもらおう。


「久しぶり、こなたちゃん」

「久しぶりですねー、かがみさん」

土曜日の午後、早速私は教えてもらうことになった。
私の部屋にあがったかがみさん。

「じゃ、始めよっか」

早速始まる。
正直、かなりわかりやすい。
なんか、こう、私にピッタリな教え方とでもいうのかな。

あっという間に一時間たった。
お父さんがお茶とお菓子を部屋に持ってきたのをきっかけに、休憩になった。

「こなたちゃん、志望校は?」

「まだ未定…」

「そっか。まぁ、まだ時間あるしじっくり決めようね」

改めてかがみさんを見ると、美人である。それでいて、ツンデレ。
そんな家庭教師とのシチュエーション、これはフラグだよね…などとくだらないことを考えていた。
…私って不真面目だな~。

見ると、かがみさんはお菓子に手をつけていない。

「これ、嫌いですか?」

「あ…いや、そうじゃないんだけどね…」

否定するかがみさん。
…じゃ、なんで?

「いや、…だ、ダイエットしてるんだ…せっかく出してもらってるのに失礼だよね」

そう言って一口食べようとする。
…私は止めた。

「気にしないで残していいですよ?」

「でも…」

「ダイエット中なんだし…もしかして食いしん坊なんですか?」

「いや、違うよ?ていうかなんでそうなるのよ」

慌てて即答。
顔を赤くするかがみさん。

「別に隠さなくてもいいですよ?」

「ちーがーうー。いいでしょ、別にダイエットしてても」

ちょっとからかってみたくなった。
…ごめんなさい。かがみさん、許してね?

「今の反応、意味深…やはり」

「だから違うって!もぉ…」

「相変わらずツンデレですな~」

「相変わらずって何よ。私はツンデレなんかじゃないから、ね!」

「ムキになるとこがツンデレなんじゃん?」

「あーもう。違うとゆってるのに…というか敬語はどうした、敬語は」

「え~。敬語、無しじゃダメ?」

「…ま、いっか。つかさの友達だしね…」

「お、デレた」

「あーもう!馬鹿言ってないで再開するわよ、もう」

ふふ。かわいいな~、かがみさん。


定期テストで信じられないくらい成績があがった。
いや、本当にビックリ。

「みてみて、かがみさん!すごいでしょ!」

土曜日、いつものごとく来たかがみさんに成績の結果を見せた。
かがみさんに教えてもらって2ヶ月。
こんな簡単に結果がでるとは思わなかった。

テスト結果を見せると、かがみさんはまるで自分のことのように喜んでくれた。

嬉しかった。成績がよかったのと、あとかがみさんが喜んでくれて。

「今日はじゃあ、お祝いしようか♪」

「え?」

お祝いって?

「今日勉強終わったら、2人でご飯食べに行こっか」

「…いいの?」

「だって、こなた頑張ったじゃない。たまには、ね」

…う、嬉しいよ…。

「ありがとう、かがみん♪」

「…か、かがみん!?」

頬を赤くするかがみさん。

「かわいいでしょ、その呼び名」

「は、恥ずかしすぎるわよ!やめてよね」

「じゃあとっとと終わりにして行こー行こー!」

「聞けよ!」


夕焼けでもう闇に切り替わりつつある時間。

かがみさんは車を持っていて、いつもそれで家に来ている。

連れて行ってもらうのに、私は助手席に乗せてもらった。

車の中に入り、ふと気がつく。

ここ、かがみさんの匂いで一杯だ…。

そう思ったら、なぜかドキドキした。

「何食べたい?」

かがみさんの声で我に返る。
私は返事をした。

「…かがみかな?」

「ぶつわよ」

と、軽くわたしのおでこを小突きながら言った。いてっ。

「もうぶってるじゃん…」

「馬鹿言うな。てゆうか、ついに呼び捨てか」

「いーじゃん、もう♪」

「まったく…で、何がいいの?」

「お任せするよ。私はなんでも大丈夫だよ」

「…じゃあ、あそこにしよっかな」

そう言って、かがみは運転し始めた。

「どこに行くの?」

「私の友達のお母さんがやってるレストランで、パスタとかピザが美味しい所があるのよ」

「へ~。持つべきものは人脈だね。こうゆう時、迷わず行けるね」

「確かにそうね。あんたも減らず口叩いてないで、今のうちから友達沢山作っときなさいよ」

「ま、かがみんの場合飲食店の友達が多そうだねぇ」

「な、なんでよ?」

「ほら食いしん坊だからそうゆう関係の人が集まってくるのかな、なんて」

「うるっさい!」


きれいな外観の建物。オシャレ。
第一印象は、それだった。

着いたレストランは、とても上品だった。レストランというより、喫茶店に近い。

店内へ入ると…

「いらっしゃいませ…ってかがみちゃん!久しぶりね」

「どうも、おばさん。お久しぶりです」

「たまにはみさおと遊んでやってね…なんて、もう子供じゃないのに、昔のくせで…」

みさお、という人のお母さんなのか。
…なぜか、ムカムカした。
2人の会話を聞いて、なぜだか嫌な気分になった。

テーブルにつく。

私たちは2人、同じパスタを注文した。

私は聞いた。

「みさおさんって、誰?」

「私の中学と高校の同級生よ。とっても剽軽」

ますますムカムカするよ…なんでだ?
自然と口から質問がでる。

「今も会ってるの?」

「たまにね。大学は違っちゃっても、友達だしね」

“友達”。その言葉を聞いて、わたしのムカムカは消えていった。フェードアウト。
なぜか、よかった、なんて思ったりした。

「でも、その人かがみんのこと絶対好きだよね」

「え?なんで?」

「だってかがみ美人だもん」

ボンって音がするくらい、赤くなるかがみ。まさか自覚無しだったのか?

「何言ってるのよ…何も出ないわよ」

「でも、事実だよ?」

「うぅ~。あ、ありがと…。お世辞でも嬉しいよ」

だからお世辞じゃないって。赤くなるかがみは、めちゃめちゃ可愛らしかった。

「で、なんで日下部が私を好きなのよ?」

…日下部?あぁ、みさおさんのことか。

「だって、中高一緒で今も会ってるなんて…絶対そうでしょ」

かがみは怪訝な顔をして、そしてすぐに合点がいった表情になった。

「日下部みさおは女の子よ?」

…え!?
あれ、そうなのか。

「そうなんだ…なんだ、勘違いしてたよ」

ふふっと笑うかがみ。

「まあ確かに男の子みたいな名前よね」

なんだ、そうだったのか。

だが、また疑問が浮かんだ。
浮かんだ?いや、ずっと気になってたことだ。
それは…

「じゃあさ、かがみ、今好きな人いる?」

心臓はなぜか、暴れていた。
ドキドキというかなんというか。

かがみが言葉を紡ぐ。

「…いないかな」

…そうなんだ。いないんだ……

私はなぜか、ひどく安心した。
なんでだろう。

さっきから、私はどうしちゃったんだろう…。

答えが見つかろうとした瞬間、

「おまたせしました♪」

と、日下部さんのお母さんが前菜のサラダを運んできた。


非常に美味しかった。
また、来たいな。
そう思えるお店なんて久しぶりだった。

今は帰り、車の中。

「こなた、あんたは今好きな人いるの?」

突然、助手席にいる私に言うもんだから、ビックリしてしまった。

そして、好き、という言葉に私の体は反応した。

「い、いないよ」

「お、なんだなんだ~?微妙にどもってるぞ?」

「いないってば~」

「ふふ、どーだか」


気づいてしまった。

私は、あなたに、

――柊かがみに恋している、と――

だからあんなに日下部さんに対してムカムカしてたんだ。
嫉妬、してたんだ…。

かがみは、突然黙った私を怒ったと思ったのか、言った。

「…ごめん。嫌な気分にしちゃった…?」

申し訳なさそうに、不安げに言う。
私は慌てて、

「そんなことない!」

なんて言ったけど、あんまり効果はなかった。

「やっぱりあんたは弄るのが好きみたいね」

「まあ…そうゆう性分なのかな。かがみが弄られるの好きみたいに」

「なっ…。…もう突っ込むんめんどくさいんだが…」

「かがみん」

突然私が真面目な声を出したので、かがみは怪訝な顔をする。

「今日はありがと…。また、誘ってね」

そう言うとかがみは、すぐに莞爾として笑い、

「もちろん♪」

といった。

その笑みは。

とても。
とても、綺麗で…。

輝く、笑顔。

ますます私の心は、高鳴るのだった。


また土曜日、かがみはそう言って帰っていった。

私は果たして土曜日、同じようにかがみに接せられるのかな…。

そんなことを思いながら、家の前で去り行くかがみの車を見つめていた。

いつまでもそうしていて、見えなくなったところで、私は家に入った。



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  • まだ保管されてないけど避難所に続編あるよ! -- 名無しさん (2008-12-24 01:27:44)
  • このアイデアはなかったなぁ‥‥
    続編期待です!! -- 名無しさん (2008-12-24 01:15:53)
  • 続編期待して待ってます! -- 名無しさん (2008-12-22 21:15:56)
  • 激しく続編希望 -- 名無しさん (2008-12-22 20:02:01)


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