かがみまもり

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「お姉ちゃ~ん、早くしないと遅れるよ~」
「おい、こなたー!おいてくぞー!」
外からの声だというのに、二人の声がガンガン頭に響き渡ってくる。
「ま、待って…ふああぁ…」
急いで荷物をまとめ、靴を履いて外に出ようとしたわけだが、まだ完全に起きれてない。
昨日はコミケやらカウントダウンやらで、はしゃぎすぎたのが悪いのだろう。
まぁ、大きな理由はもう一つあったりするんだけどね…。

『かがみまもり』

クリスマスにかがみから告白されて丁度一週間後の昨日、ほとんど一緒に一日を過ごした。
まず、朝一番でひよりやパティと一緒に冬コミへ突撃。
ひよりは自分のサークルもあるし、パティも一緒に手伝っていたようで、二人の休憩時間以外は、
ずーっとかがみと一緒に回った。
かがみも朱に染まったか、何冊か買っていた。頬も染まってたけどね。

その後、かがみの家に行ったわけだけど、半ば無理やり神社の手伝いをすることに…。
かがみ曰く、「毎年コミケに付き合ってるんだから、手伝ってくれたっていいじゃない」だそうだ。
一緒に本買ってたのに、理不尽だー!って言ったら、急に赤くなっちゃってさ。
買った本のことかと思って弄ろうとしたら、
「そ、それに、手伝ってくれた方が、長く…一緒にいられるじゃなぃ…」
声は尻すぼみで小さくなって、顔を真っ赤にしながら言うんだよ?!もう最終兵器だよ?!
そんなかがみに敵うはずもなく、私は巫女のコスプレで遅くまでお手伝いしてんだよね~。
引いたくじは二年連続で凶だし、かがみと立場が逆転したりしてネ。

まぁ、カウントダウンは言わなくても分かると思うけど、ゆい姉さんが暴れだしたのが大変だったヨ。
さっそくのおみくじ効果だったかな…。

して、今はどういう状況かというと、初日の出をみんなで見ようというのだ。
みんな、というのは私たち泉家、柊家、高良家、岩崎家+ひよりん、パティ、みさきちと峰岸さんだ。
おっと、それに黒井先生もね。もちろんゆい姉さんとゆーちゃんは泉家に含む形だよ。
全員そろって「いざ行かん、海へ!」ってことになったんだけど、今の私にそんなこと言う元気はない。
でも、行かないわけには行かないし、なんてたってかがみを独りには出来ない。1人じゃないけどね。

「う~、さぶっ!…でも、ねむぅ~…。」
「ほら、こなた!早く乗りなさい!」
「わ、分かってるってばぁ。ふわあぁっ…。」
外に出ると、風が吹いて目が覚め…るかと思ったが、眠気の方が勝っていた。
「こなた、まさかずっとネトゲしてたんじゃないだろうな?」
「いやぁ、昨日は挨拶だけしてすぐ寝たんだけどね~、なれないことしたからかなぁ。」
「でも、巫女さんの仕事ちゃんと出来てたの、凄かったなぁ。さすがお姉ちゃんだよね!」
「う、うん、まぁね…。」
今までずっとかがみの事を見てたから、やることとか覚えちゃった、なんて言えるわけないネ。
もちろん本人の前で言ったら即弄られるネタになっちゃう。
「とりあえず、着いたら起こして~。私、寝るから~、はうぁっ…」
「ったく、しょうがないな。ゆーちゃん、代わりに前に来てくれるかな?」
「あ、はい。…お姉ちゃん、大丈夫?無理しないでね?」
「うん、ありがとうゆーちゃん。おやすみ~」






わたしとかがみは手を繋いで海辺を歩いてた。海からの風が当たるのに、凄い暖かい感じがしてた。
となりにかがみがいるだけで私は嬉しくて、なにより幸せで。
すると、不意に向こう側から大勢の人を抜けてつかさ達がやってくる。
…あれ皆、どうしたの?顔が暗いんだけど…。
「お姉ちゃんとこなちゃん、そろそろやめにしない?」
「私も潮時だと思います。やはり、いろいろと危ないと思いますし。」
「え…?あー、満ち潮が近づいてるってこと?そだね、海を侮ると怖いっていうし…」
「違うよ、お姉ちゃん達のことだよ。」
その言葉で、何か大きな剣で心を貫かれた衝動に駆られた。
会話の始めから感じていた違和感から来る不安が、現実になった。
いや、もっと前から感じていた感情で、自分の中に閉じ込めていただけだ。認めたくないと。
「べ、別に私は世間体とか気にしないし、本人達の気持ち次第だよ、そんなの!」
私はつかさ達に向けられるとは思えないような大声で言い返す。
「では、かがみさんはどう考えてるんですか?」
「わ、私は…」
「な、なんで、そこで口ごもるの?ねぇ、かがみ!」
「やっぱり、世間の目が…少し…気になるかな、どうしてもね…。」
貫いていた剣が爆発を起こしたかのように、私の中の不安が破裂した。
明らかに手が震え、顔もこわばっているのが自分でも分かる。それでも、かがみは言葉を続ける。
「ごめん、こなた…。自分で言っておいてだけど、前みたいに戻ろう?やっぱり私、今後の不安とか、周りからの視線が耐えられない……みゆきの言うとおり潮時なのよ…。」
ちょ、ちょっと待ってよ!かがみ、どういう…
「ごめんね…っ!」
かがみは後ろを向いて勢い良く走り出した。つかさとみゆきさんも一緒に。
「ま、待ってよかがみ!戻ろうってどういうこと?!ねぇ、待ってよ…そんなのって…ないよっ……」
私は、何も感じられない状態で、絶望と孤独によるショックでただ立っていた。
考えることができないというより、もはや、生気を感じられないレベル、かかし状態だ。
周りは真っ暗で、先ほどまでの人も海もなにもなくて、ただ自分だけ取り残されたようだった。

虚無にいた私の口に、不意にスポンジケーキのようなやわらかさと淡い甘さが襲ってきた。
(…何だろう、やわらかくて、気持ちいい…んっ……って、い、息が!く、くるし!)
「ぷはあっ…、はあっ、な、なに…?」
「ようやく起きたわね、まったくもう。」
「か、かがみ?!な、なんで、ここに?」
若干意識が朦朧としていたのか、今の状態が把握できていない。
周りを見渡すと未だに暗いが真っ暗ではなく、自分は椅子に座っているようだ。天井も近い。
そして、さっき別れを告げて走っていったはずのかがみが目の前にいて、いまされたのが…?
「なーに言ってんの!もう海に着いたわよ!」
「あ、あれ?だって、さっき〈ごめんね〉って走り去って行って…」
「…なんのこと?あんたが全然目覚まさないっておじさんに言われたから起こしに来たのよ。
目、覚めたでしょ?新年早々、恥ずかしいことさせんなっつーの。」
(じゃあ、さっきのは全部ただの夢?…よ、良かった…。)
かがみが悪戯っぽく微笑んで、私のほうを見てくる。その言葉と顔に安心して、思わず抱きついた。
「うぅっ、かがみぃ~~!!!」
「な、いきなりなによ!ほ、ほら、他の皆も何事かって来てるから!って、あんた泣いてる?」
どうやら、無意識に泣いていたみたいだけど、今はそんなことよりかがみがいることが嬉しかった。
「ど、どうしたのよ、あんた!どこか痛いの?」
「…うん、もう大丈夫だヨ。ごめんね、心配かけて。ありがと。」
「なら、いいんだけどね。…ってほら、みんなの前でいつまで甘えてるつもりだ!」
ちょっと強引に離されたが、かがみの存在を心と体で感じて、ひとまず落ち着くことが出来た。
まだ説明してないお父さんとかがいるから、自重しないとネ。
まぁ、親以外は全員知ってることになるから、そろそろ頃合いを見計らって言うつもりだけど。

この間のクリスマスの時点で、つかさにみゆきさん、それとゆーちゃんまですでに知っていた。
ひよりんやパティはすぐに感づいて問い詰めてきたし、みなみちゃんにもゆーちゃんがしゃべったみたいだから、正直他に知らない人はいない。みさきちと峰岸さんには、かがみが自分で伝えたみたい。
あー、親じゃないけど、ゆい姉さんと黒井先生も知らないね。ゆい姉さんには言うにしても、先生にはどうしたものかな?

起きて車を降りると、みんなが待っていてくれた。
「お姉ちゃん、やっと起きたね。全然起きないから心配しちゃったよ。」
「ごめんごめん、色々疲れててさ。今は顔も変わって、元気100倍だよ!」
「また懐かしいネタやなぁ。どないにしても、泉にしては幼稚すぎへんか?」
すかさず突込みが入る。でも、これはかがみじゃなくて、
「あ、先生、明けましておめでとうございます。いやぁ、寝起きだから頭のキレが悪いんですよ。」
「おぉ、そういえばまだ挨拶してへんかったな。明けましておめでとうな。」
ちらっとかがみの方を見ると、なにやら不機嫌そうな顔をしている。可愛いねぇ~。
でも、ここはあえて気づいてない振りをして、先生との会話を続ける。
「そういえば、ゆい姉さんの運転は平気でしたか?」
「何もなくて、全然平気やったで?しいて言えば、運転上手かったなぁ。」
「運がいいですね、先生。いつもはリバース地獄ですよ。全ての道が酷道と化します。」
「そーなんか?まぁ、帰りを楽しみにしとるわ。」
そういって笑ってるけど、帰りにゆい姉さんの本気を見ても知らないヨ?

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


その後、まだ挨拶していないみゆきさんとみなみちゃんの親にも挨拶を済ませた。
私とかがみのお父さんとゆい姉さんは場所を探しにいってたみたいで、しばらくしたら戻ってきた。
他にも大勢の人が来ていて、砂浜では全員で取れるような場所がなかったらしく、かろうじて見つけた場所は砂浜から少し離れた岩場だった。
「いやぁ、すいません皆さん。こんな場所になってしまいまして。」
「いえ~、全然構わないですよ~。せっかく探してくれたんですもの。ねぇ、みゆき?」
「はい。それに他の方々から若干離れているので、静かでいいです。」
どっちが親なのか分からないような反応だが、そこはさすが高良家。
「それに、砂浜よりは僅かに高いから、ちょっと早く拝めてラッキーかも?」
「そんなん大して変わらんがな。特に泉の場合はな。」
「先生、さりげに気にしてる事をズバッと言いますね…。」
そんな話をしていると、岩場の上は大人グループ、下は私たち高校生という構図が出来上がった。
そんな中で、私だけ岩場の上で先生とネトゲや受験などの話をしては、突っ込まれていた。
すると、何かを感じて下を見ると、なにやら不吉なオーラを出しているかがみんがいるわけで。
(ちょ、かがみ!?いくらなんでもオーラはまずいよ、オーラは!)
「って、うおっ!」
急いでかがみの方へ寄ろうとしたら、暗かったため、石に躓いて派手に転んでしまった。
そこが岩場の上だったため、岩場の側面に沿いながら下の砂浜に転げ落ちた。
「ぐえっ…ま、まだ、死ねない…」
「こなたっ!大丈夫!?立てる?」
「お姉ちゃん、大丈夫?!」
「おい、泉ぃ!無事か?」
「こなたー、大丈夫かい?骨とか折ってない?」
かがみとゆーちゃんが慌てて駆け寄ってくる。上からも先生とゆい姉さんが心配そうにのぞいてくる。
特にかがみは顔面蒼白だ。とりあえず必要以上の心配はかけたくない。
「大丈夫だヨ、そんなに心配はいらn、うぐっ…」
無事だと見せるため、立ち上がろうとしたら右足に激痛が走った。思った以上に痛めたかもしれない。
「ちょっと、こなた?!あんた、本当に大丈夫なの?」
「…待って。動かないでください…足をくじいてるかもしれないから…。泉先輩、懐中電灯を…。」
懐中電灯を渡すと、みなみちゃんが丁寧に足を診てくれた。かがみや周りの皆も心配そうに見ている。
高さは2メートルぐらいだったし、厚着していたのも手伝って外傷はほとんどなかったけど…
「…軽い捻挫だと思います…。けど、あまり動かさない方がいいです…。待っててください、今…。」
そう言うと、持っていたバックの中から湿布と包帯を取り出し、手当てしてくれた。
「おぉ、さすが保健委員。ありがとう、みなみちゃん。」
「いえ、お役に立ててよかったです。」
「私からもお礼を言うわ、ありがとう、みなみちゃん。」
何か親がするお礼をかがみがやってる感じで、嬉しいんだけど、恥ずかしいし、それに複雑。
「それにしても、良く持ってたね。常備してるって凄いなー。」
「本当、みなみちゃんはすっごい頼りになるんだよ。」
「さすがネ、みなみン!」
つかさにゆーちゃん、パティが褒めるもんだから、みなみちゃんは顔を赤くして顔を逸らしてしまった。
今は慣れたから分かるけど、知らない人から見たら怒ってるようにしか見えないんだろうね、これが。
まぁ、本当の意味が分かると、これはこれで可愛いんだけどね~。
「…ゆたかに何があっても対処できるように…いつも持ってるから…」
「そ、そうなんだ!ありがとう、みなみちゃん。そう言われると恥ずかしいな、えへへっ。」
どこから見ても立派な恋人にしか見えない二人は、本当に微笑ましい絵になる。
「ふぉー、もう駄目ッス!この二人は反則ッス!いくら、つきぁ(むぐっ」
「ひよりン!それはまだ言っちゃだめネ!」
「あ、ごめんごめん…。つい、暴走しそうになっちゃった。」
「まだ、あの二人のことも言ってないんだから、気をつけてもらわないと困るよ、ひよりん…。」

そう、私たちと時を同じくして、無事カップルになったのがゆーちゃんとみなみちゃんだ。
まぁ、あの二人はなんだかんだで、前から似たような感じだったから、違和感ないけどね。
みゆきさんとかからすれば、あの二人にそういう考えがあったのことに皆は驚いてたみたいだけど、
私たちの時同様、みんなでサポートする形になったんだよね。本当、いい人に恵まれてるよ、私たち。
それにいつ見ても、あの二人は萌えるからね~。

「な~に馬鹿なこと考えてんの?どうせ、あの二人を見て萌えとか考えたんでしょ?」
「うぉ?!かがみん、いつの間にか読心術を?!」
「あんたの考えてることなんて分かるわよ、単純だしね。ほら、支えてあげるから立ちなさいよ。」
「一言余計だヨ…。でも、ありがとう、かがみ。」
憎まれ口をたたきながらも、照れながら肩を貸してくれた。やっぱりツンデレだよね~。
でも、そんなことを言ったら座らされて、しばらく放って置かれそうだから止めとく。
「…それにしても、さっきは妬いてたのかなぁ?ねぇ、かがみぃ~。」
ただ、やっぱり自分がかがみを弄りたいという心は抑えられない。だって、ねぇ…いじると可愛いし。
私は支えられているというのに、にやけ顔全開でかがみを見つめる。
「んなっ?!そ、そんな訳ないでしょ!ただ、先生の方が突っ込み速かったなぁって思っただけよ。」
ボンッと音が出たように聞こえるほど、すぐにかがみの顔は真っ赤に沸騰した。それでも私は続ける。
「それで自分の専売特許を奪われて、やきもち妬いてたんだ~。可愛いねぇ~かがみは♪」
「う、うるさ~い!ただ、こっちに戻ってこないかなって思ってだけで、別に妬いてたわけじゃ…!」
「かがみ…耳元で大声はきついよ…。それにかがみもバレバレだよ、ある意味単純だし。」
「ご、ごめん。でも、ある意味単純ってどういうことよ?」
ちょっと反省したのか、声を極端に小さくして問いかけてきた。
「だって、かがみは何でもかんでも顔とかしぐさに出るもん。まぁ、そこが可愛いんだけどネ♪」
「うぅ~、みんなの前でそれ以上恥ずかしいこと言うの禁止…。それにそんなに顔に出てる…?」
「だって、今も真っ赤だし。それに多分皆もそう思ってるよ?ねぇ、つかさ?」

急に話を振られて、つかさはボーっとしてたのか慌てた様子で答えてきた。
「ふえっ?ご、ごめん、こなちゃん、何の話?」
「いや、かがみってなんでも顔とかしぐさに出るよねって話。」
「確かにお姉ちゃんって表情豊かだよね~。うれしい時とか、悩んでる時ってすぐ分かるよ~。」
「それに、なんかオーラでも分かるよな!隠し事とかあんまできないタイプだぜ。」
そういってみさきちが会話に飛び込んできた。後ろから峰岸さんもやってくる。
…何か1人だけ苗字で呼んでるし、仲間外れみたいだから呼び方変えようかな?
「あぁ~、分かる分かる。そういうとこあるよね、かがみって。」
「柊ちゃんは隠してるつもりでも、結構分かりやすいのよね。照れてる時は反対に取ればいいし。」
「あれだな、この間ちびっ子に聞いた通り、柊はツンデレなんだってヴぁ。」
「じゃあ、あんたはあれだな、馬鹿素直ってやつで決まりね。」
「お、お姉ちゃん、容赦ないね。」
「みゅう~。あやのん、この寒いのに、柊がドライアイスみたいだぜ…。」
いつものみさきちのあしらわれ方、そしていつもの峰岸さんのフォロー。
私でもちょっとばかしかわいそうに思えるが、いつものことだから華麗にスルーする。
「気になったんだけど、かがみとつかさは苗字で呼ばない方がいいんじゃないかな?ややこしいヨ。」
「う~ん、考えてみれば確かにそうね。それに5年間も一緒何だし、下で呼んでもらって構わないわよ?私もこれからはそうするわ。」
「そう?じゃあ、これから私もそうするね。よろしく、つかささんにかがみさん。」
「じゃあ、私もそうしよっかな?よろしくね、あやちゃん。」
つかささん、それはマジっすか?いきなりあだ名で呼ぶとは、さすが天然系。
「…つかさ、いきなりあだ名で呼ぶのは…。」
「うふふ、私は別に構わないからいいわよ。みさちゃんもみさちゃんでいいと思うわ。ね?」
「おう、よろしくな、つかさにかがみん!」
む!かがみのことをそう呼んでいいのは私だけだというのに!…そんなルール決めてないけど。
「お前までかがみんと呼ぶな!普通に呼べ。」
「えー、いいじゃんかよー。ちびっ子だってたまにそう呼んでんじゃん。」
「いいからかがみと呼べ。なんでも構わないから、かがみんと呼ぶな。」
「ちぇー、つまんねぇの。まぁ、いっか。よろしくな、かがみ~。…おぉ、何か新鮮だ。」
「分かればよろしい。こっちこそよろしく、みさおにあやの。」

かがみが〈かがみん〉という名を私だけが呼んでいいことにしてくれているのが、正直嬉しかった。
別段かがみは私のことをあだ名で呼ばないけど、私は全然構わないし、今頃変えられても違和感がある。
「よろしくね~。それとつかささんにかがみさん、私もあだ名で呼んでいいかしら?」
「うん、全然いいよ~。でも、今まで呼ばれたことないかも…。」
「私も構わないわ、かがみんでなければね。まぁ、あやのがそう呼ぶとは考えにくいけど。」
「ありがとう、二人とも。どんなのがいいかしら。柊からとって、〈ひーちゃん〉とかどうかしら?」
(うぉ、それってつかさが自分でつけた場合として考えた奴ジャン!似たもの同士だからかな?)
「わあ、前に私が自分で考えたのと一緒だね♪私もOkだよ。」
「そうなの?じゃあ今度からそう呼ばせてもらうわね。」
「いや、それじゃあ苗字で呼んだときに逆戻りしてるだろ。区別がつかないわよ。」
確かにそうだ。親しくはなった感じは出るけど、この二人の差がつかない状態に戻っては意味がない。
「それじゃあ、お姉ちゃんは〈きょうちゃん〉にしたらどうかな?私が前に考えたやつなんだけど。」
「なるほど、名前を変換して音読みにしたのね。かがみさんもそれでいい?」
「まぁ、あやのだったらいいかな?」
「えー、私が呼んだ時は散々嫌がったのに、なんでさ?」
「あのときはいきなり呼ぶからでしょ。決めてもないあだ名に普通は反応できないわよ。」
ちょっと不満だけど、正論を言われると反論できない。でも、一番あだ名らしいのがなぁ…。
「な~に?あんたも妬いてんの?あんたも人のこと言えないじゃない。」
また心を読まれて図星を指された。なんか最近、私が主導権を握るペースが崩されてるヨ。
「うお、またしても読まれた?!…前より、敏感になったネ。」
「当たり前じゃないの。前よりあんたのこと見てんだから。」
私は顔を赤く染めてしまったが、暗さでごまかせる範囲だと思う。すぐさま逃げに入る。
それにしても、かがみの方は当たり前じゃないのと言わんばかりで、恥ずかしがってない。
私がいじる側で固定されてたのに…まさか、今年から下克上?!
おみくじにそんなこと書いてあったかなぁ?…凶だからろくな事じゃないだろうけどネ。
「そ、そういえば、峰岸さんだけ上の名前で呼んでるから、私も下でいいかなぁ?」
話しかけた相手は、どう見ても暖かい目としか言い様がない眼差しでこちらを見ていた。
逃げたな、という視線をかがみから感じながらも私は返答を待った。断られることはないと思うけど。
そのため、峰岸さんは急に方向転換した話にビクッと驚きながらも、快く了承してくれた。
「え?うん、もちろんいいわよ~。私も下の名前で呼ばせてもらってもいいかな?」
「もちのろんだヨっ。じゃあ、あやのさんヨロシク!」

そんなこんなで話は収束し、後は初日の出を待つばかり…のはずだった。


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