あつい日

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蝉が鳴き始めて数週間
いまだに鳴り止む気配を見せないそれは、ここ数日ラストスパートの如く大音量で夏の空に響いていた

「暑いわね」

「暑いね」

ここは私の部屋
隣にいるかがみが無言で何かを訴えてくる

だから私も無言で諦めて、と返す

きっかけは簡単
エアコンが壊れた

今朝方まで稼働していたソレはかがみが来る20分程前に完全に沈黙
今さら場所を変更して勉強する気にもなれず
私達はそのまま予定通り勉強を開始

しかしこの暑いなか集中力が続くわけもなく、開始から一時間で早々休憩という訳だ

「暑いわね」

「暑いね」

すぐ近くにあるかがみの顔を見上げる
かがみは私ではなく窓の外、その瞳の色と同じ青い空を見ていた

いつも見ているはずの横顔なのに
その時私は何故だか
本当に何でだかわからないけど
この夏が過ぎたら、この暑さが消えたら
かがみまでいなくなってしまう気がして、怖くなった

そんななか、グッと右手に圧力がかかる
いつの間にかかがみはこちらを見ていた
その顔は心配そうで、それでいて力強い笑顔

先程までの不安が嘘かのように思えた
つられるように私も笑い返す

私は改めて、この人を選んで本当に良かったなと思った

「暑いね」

「そうね」

だから私は繋がっている右手に力を込める

今年も夏は過ぎていく
暑さもいずれは引いていく
それでもこの手は離さないと
それでもこの人は離さないと
澄んだ夏の空の下
私は誰に誓うでもなく
自分自身にそう誓った




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  • 完全に沈黙…で吹いてしまったw -- 名無しさん (2009-11-26 08:41:01)

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