私は今、かがみの部屋の中にいる。
いつものように、宿題を見せてもらって、ゲームをしたり、漫画を読んだりした。
ベッドに寄り掛かって、漫画を読みながら、私はちょっとしたイタズラのつもりで、かがみに擦り寄った。
「…なんでくっついてくるのよ」
「いいじゃん」
のほほんと答える私。
かがみが私から逃げるように、ちょっと離れる。
私も、ちょっと動いてかがみの肩に寄り掛かる。
「…あーもう!くっつくな、うっとうしい!!」
かがみが顔を赤くして慌てる様子が楽しい。でも、もっと大胆なことをしたら、かがみはもっと大きな反応を見せることだろう。
そう思うと、私は無性に行動に移したくなってきた。だから、

ぎゅ。

こうしたらかがみはなんて言うかな?というつもりで、かがみに抱きついた。かがみの反応が見たくて。
「こ、こ、こ、こなたぁ…!は、離れなさいよ~!」
「ん~、かがみあったか~い」

本当に。すごく、あったかかった。

かがみは、私の期待通りの反応をしてくれた。
かがみが暴れるので、私は必死にかがみに食らい付いた。
…じゃれ合ってるようなもんだけどネ。
なんだか、自分がすごく恥ずかしい事をしてるんじゃないかと思うと、顔が熱くなってきたので、あまり考えないようにした。

私とかがみの攻防はしばらく続いた。

やがて、かがみは半ば諦めたようにして、抵抗しなくなった。
顔は赤いのに、ツンツンした顔のまま、ぷいっと横を向いていた。
「ふー…」
私は、かがみに抱きついたままくつろぐ。
私の顔はたぶん赤くなってる。でも、かがみにしっかり抱きついてるから見えてないはず。
人のぬくもりってこんなに安らぐんだね。相手が、かがみでちょっとどきどきしちゃうんだけど。

なんだか、すごくあったかいよ。こころも。からだも。
素直になれそう。

「かがみも、ぎゅっとして!」
「…」
かがみは何も答えなかった。
「…こういうの、私、初めてだよ」
「…何がよ」
「こんな風に誰かにぎゅって抱きつくのってさ。すっごく温かいんだね!」
「…」

「もぅ…」
かがみは、一瞬寂しそうな目で私を見て、私の背中にそっと自分の腕を乗せた。
「かがみぃ~…」
私は嬉しくなってかがみの胸元にすりすりした。かがみは、私よりも大きい体をしている。
腕も私より長いし、胸も大きい。
かがみの体って、とっても心地がいい。私の胸の中は、早く動いてて落ち着きそうにないけど。

「ねえ…」
「なに?」
「こなた…私以外にいるの?こんな風に甘えられる人」
「んーん、かがみだけ」
「…」
かがみは、私の頭を後ろからそっと撫でてくれた。
「んぅ~~~…かがみぃ…」
私はとても気持ちよさそうな声を出す。
「もっとぎゅ~~ってして~…」
かがみは、ふふっ、と笑った。
「どうしたのよ…今日はやけに甘えんぼじゃない…」
私は、かがみの腕の中でぎゅっと包まれる。

かがみが息をして、胸が動くのが分かる。
かがみの体温が、私の体の中に直に伝わってくる。
私の顔は、気持ちよさそうな表情から、眠っている顔に変わっていった。
「…んぅ~…」
ゆっくりと呼吸をする。

『お姉ちゃ~ん』
その時、つかさの声が聞こえてきた。
階段を登ってくる音が聞こえる。

かがみは急に慌て始めて、私の体を離そうとした。
「ちょ、ちょっと、つかさが来るから離れろって…!!」
かがみから、私の表情は見えない。
私は、かがみに、ひしっと抱きついたまま、頑なに動こうとはしなかった。

『お姉ちゃん、ちょっといい~?』
つかさが部屋の扉を開ける。

「あ」
つかさの目が点のようになり、固まったようにぽかんとしていた。
「あ、あのっ、これはっ…!こ、こなた離れなさいよ~~!!」
私は、がっしりとかがみにしがみついていて離れない。

すると、つかさは顔を赤くしながら
「あ、ご、ごめんね。やっぱ後でいいや…」
そう言って、部屋の扉を閉めて行ってしまった。

「ちょっ、つかさ、待ってってば!もう、こなたぁ~!離れろってぇ~~!」
かがみが全力で私から離れようとする。
でも。私は絶対に嫌だった。絶対にかがみの体から離れたくなかった。

「もう…こなた…いいかげんに……しな…さい…よっ!」
かがみは、必死に私の体を剥がそうとしてくる。


「離しちゃやだ…!!」
それが嫌で、私は叫んでしまった。

かがみははっとして、動きを止めた。
切なくて、泣きそうな、素直な私の言葉。ちょっと本音が出ちゃった。
かがみの胸がきゅっと締め付けられた。
部屋の中に沈黙が流れた。

かがみは、少し考えてから一息ついて言った。
「…しょうがないわね…もうしばらくこのままで居てあげる」

私は、何の反応も示さず、かがみに抱きついたままだった。

目をつぶって、ただかがみの胸の中に体を預けていた。






私は夢を見ていた。
いつもの登下校時に乗るバスに、かがみと二人だけで座っている。
他には誰も乗っていない。
私は、かがみの肩に頭を寄せて、ただじっとしている。
かがみも、何かする様子もなく、ただじっとしている。
ただ、道を走るバスの中で揺られている。

優しい時間だった。かがみに優しく守られているようで、すごく安心できた。








私は目を覚ました。
外からは夕日が指し、部屋がオレンジの光に彩られていて、部屋の中が少し暗い。
抱き合ったままの体の中でもぞもぞと動いて、かがみの顔を見る。
かがみは目を細めて、私のことをとても優しい顔で見つめていた。
「おはよ」
「…うん」

私は、かがみの顔に見とれてしまった。
少しの間、じっと見つめ合った。
そしたら、私の顔が熱くなってきちゃった。


だから、私はまたかがみの胸の中に戻っていった。

ぬくもりが欲しくて。…ちょっと照れくさくて。
私が眠っちゃった間、かがみは、私のことを見ながら何を思っていたんだろう。
かがみが、何も言わなかったので、ほっとした。

もう少しだけ、このままで居たかったから。
このぬくもりをしっかり覚えておきたいから。
私はそっと目をつぶって、かがみの体温を感じる。


さらに、時間が経った。

目を開けると、部屋の中はもう真っ暗になっていた。
なのに、とても静かだった。この家には大家族だから、もう何人かは帰って来ているはずなのに。

私は、頭を上げて、かがみの表情を窺う。

かがみは、目を閉じて眠っていた。
すう…すう…、とゆっくり息を吐きながら。…私のことは離さないまま。

ごめんねかがみ。私のわがままにずっと付き合ってくれてたんだね。
なんだか、かがみに申し訳ないことをしちゃった。
今さらだけどそう思った。


「かがみ、かがみ」
私は、背中にまわした手で、かがみの肩を揺らした。
「んん…」
「おはよ、かがみ」

かがみは、ぼーっとした目でにこっと微笑んだ。
「おはよ…こなた」
私はかがみに、心を「ぎゅっ」とつかまれた。
そして、私は体を離した。

きっと私がかがみを離さなかったら、かがみもそのままで居てくれたかもしれない。
でも、そんなわけにはいかない。

かがみのぬくもりから離れた私の体は、ちょっとだけ寂しがっていた。


もう6時半を過ぎている。
「今日は家に泊まっていきなさいよ。晩ご飯くらいなんとかなるから」
「…ううん、いいよ。」
なんだか、かがみに迷惑をかけてしまったような気がしていて、泊まっていく気にはなれなかった。



玄関で。
「じゃあ、また明日ね」
かがみが言った。

「うん、わがまま聞いてくれてありがと」
私は、そう言って、外に出た。

かがみの顔が赤くなってた。



外は涼しかった。過ごしやすい気温だったけれど、なぜかちょっと寒く感じた。

かがみのぬくもりは、かがみの体の感触は、まだ私の中に残っているのに。

このぬくもりを覚え続けていけたらいいのに。

そう思いながら、私は家に帰った。



また、かがみに抱きしめてもらいたいよ。

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コメント:
  • なんだかとても癒されますー(-▽-) -- 名無しさん (2008-09-30 01:10:14)
  • 甘えん坊こなた萌え… -- 名無しさん (2008-09-26 00:01:37)
  • なんで… なんで…、こんないい話やらカオスやら書き分けられるんだww
    ともかく GJ!! -- 名無しさん (2008-09-19 10:39:15)
  • 5-974氏の新作ktkrwwww
    ギャグからシリアスまで何でもこなせてうらやましいです
    (´・ω・`) -- 名無しさん (2008-09-18 12:20:13)
  • ぐぁぁぁ!泣ける!
    こなたかわいいよこなた
    この人カオスなときはとことんカオスなのにこういう優しい話も書けるからすごいなぁ… -- 名無しさん (2008-09-17 01:01:49)
  • 読んでて、感情が伝わってくるよーな感じで泣きそうになりました(ノ△T) -- チハヤ (2008-09-16 05:33:11)

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