こなた×かがみSS保管庫

サマー・デイズ

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匿名ユーザー

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つかさと一緒にこなたの家に泊まりに行った時に起こった一瞬の出来事……。
そう、本当に一瞬の出来事だった。

明かりが消えた部屋の中で私は目を見開いて天井を凝視する。
なかなか眠れない…。

その原因というのが夏特有のうだるような暑さ。
そのせいなのか、眠気が全く来ない。

体を横にして隣にいるつかさを見てみるといつもどおりぐっすり眠っている。
今度は上体だけを起こしてベッドで寝ているこなたを見ると何度も寝返りを打ちながら寝ていた。
やはり、二人とも起きていない。

私もさっさと寝ようと思い、また暗闇の中、天井を見ながら眠気が来るのを待っていると、
その時、事故は起こった。

こなたがベッドから落ちてきたのだ。

私とつかさは布団なので、ベッドとはちょっとした段差ができてしまう。
しかも左から、こなた、私、つかさの順で寝ているため、
当然、こなたがベッドから落ちれば私の上に落ちてくる。

私は避けることもできず、こなたを体全体で受け止める。
その時に、強い痛みとともに唇に違和感が残る。
反射的に閉じてしまった眼を開けてみるとこなたの顔が視界いっぱいに私の目の前にあった。



そう、私たちは……キスをしてしまったのだ。




-サマー・デイズ-




終業式が終わって早一週間が経ち、夏も本番を迎えてきた。
太陽はサンサンと輝き、蝉の鳴き声が降り注ぐ。
そんな蝉たちの鳴き声を全身に浴びながら私とつかさはこなたの家に向かっていた。

「今日も暑いね~」などという日常会話をつかさとしながらこなたの家に向かう。

そもそも、こんな暑い中、こなたの家に向かう理由。それは、夏休みだから泊まりがけで遊ぼうという
こなたからの提案がきっかけである。
まぁ、今日はこなた一人だけになってしまうというのもあるけど…。

こなたが言うには、おじさんは原稿を届けに行くらしいが、連日徹夜したためか
向こうで一泊していくということらしい。
ゆたかちゃんはというとみなみちゃんの家にお泊まりだという。

ちょうど、こなた一人になってしまったわけだ。
それで、泊まりがけ遊ぼうというのだ。
よくあるパターンである。




少し歩いたところでこなたの家が見えてきた。
家の前まで行き、インターホンを押す。
数秒ほど待っているとドアが開き、中からこなたが顔を出した。

「おっす、こなた」
「やふー、二人ともいらっしゃい。」

いつもの挨拶を済ました後、私たちはこなたの部屋へと移動する。
こなたが部屋に入るのに続いて私たちも中に入る。
部屋に入った瞬間、熱気が体全体を包み込んだ。
思わず口から「うわっ!」と声が漏れてしまう。
その声を聞いたのかこなたが苦笑を浮かべつつも理由を話し始めた……。

「いやぁー、昨日まではエアコンがしっかり動いていたんだけどね~」

どうやら、こなたの部屋にあるエアコンは夏の猛暑の中、ほぼ毎日活動していたためか
壊れてしまったらしい。
修理してもらえるのは一週間後。この時期はエアコンの修理で
かなり混んでいるらしく、いつもよりも修理が遅れるのだという。

こなたの部屋の隅には扇風機が設置されていた。
扇風機は『強』に設定されているためかブーンという荒い音を立てて首を振っている。
そんな扇風機の前までつかさがやってきて、
「あ゛~」とやり始めた。

「つかさもそれやるよねー」
こなたがアニメのキャラがプリントしてあるうちわを持って仰ぎながらベッドへと横たわる。
「うん、扇風機があったらなぜかやっちゃうよね~」

そんな会話に私がいつものようにツッコミを入れる。

「そんなの普通やらないわよ」
「お姉ちゃんも今朝やってたってお父さんが言ってたよー」
「なっ!」

つかさの意表をついた台詞に固まってしまう。
それを見て、こなたがいつもの調子で私をからかってくる。

「かがみんはやっぱりかわいいねぇー」
「う、うるさいわよ」
そんな言葉しか返せない。
いつものパターンだ。

このあとも、雑談やらゲームやらをしていたせいか、
いつの間にか時間は6時を過ぎていた。

時計を見た後こなたが言う。
「じゃあ、そろそろご飯作ろうか」
「あ、こなちゃん私も手伝うよ」
つかさに続いて、私も……と言いかけようとしたが、それよりも先にこなたが口を開いた。

「かがみは部屋で待ってる役だからね~」
こなたはそれだけ言うとつかさと一緒に部屋を出て行ってしまった。

確かにこなたの言うとおり料理に関しては待ってる役なのかもしれない。
仕方ないからラノベでも読んでるか…。

それから20分が経った。ものすごく暇だ…。ラノベを読み始めたが今日に限ってなぜかつまらなく感じる。
結局、ちょっとだけならと思い台所へと足を運ぶ私。

「こなた、やっぱり私に手伝えることないか~?」
私が台所に来たのを見た瞬間、こなたは面白い玩具を見つけたような顔になった。
なんとなく、いやな予感がする。

「やっぱり、かがみはウサちゃんだね。寂しいからこっちに来たのかな?」

予感は的中。実にこなたらしい発想である。引っ掛ってしまった自分が情けない。

「おまっ…まさか、それ言うためにわざわざ部屋に居ろって言ったのか?」
「おぉ、かがみも鋭いね。いや~、かがみなら絶対来ると思ったからね。でも、夕飯作るのを手伝いに来てくれたのは嬉しいんだけどね~、実はもう終わったんだよね」
こなたは苦笑を浮かべつつも私に言う。

「なんだ、私が来た意味無いじゃない。それにしても、早いじゃない。何作ったのよ」
「みんな大好きチキンカレー! ちなみにつかさも手伝ってくれたから
いつもより早く出来たってわけだよ。」
「お姉ちゃんごめんね。まさか、こんなに早く出来るとは思ってなかったから」
つかさが申し訳なさそうに言う。
「別に誤ることでもないわよ。それより早く食べましょ。」
「じゃあ、つかさちょっとお皿出してー」

こなたはつかさにそう言って炊飯器を見た途端に固まってしまった。
私が「どうしたのよ?」と声をかけるが反応しない。
何度か声をかけたところでやっと口を開く。

「…………忘れた。」
声が小さくてよく聞こえなかったため聞き返す。
「え? ごめん、もう一回言って。」
今度はこちらを向いてこなたは、はっきりこういった。

「ご飯、炊くの忘れた」
たった一言であった。
そして、しばし沈黙。


最初に口を開いたのは意外にも、つかさだった。
「こなちゃん、大丈夫だよ。今から炊けばいいんだし。それに、チキンカレーは煮なおせば大丈夫だよ」
つかさに続いて私も口を開く。
「つかさの言うとおりだよ。炊いている時間なんてそんな長くないんだし
お風呂にでも入ってれば炊き上がってるわよ」

気が付けばこなたはもう開き直っていた。
まったく、こなたらしい…。
「そうだよね。よし! じゃあ、お風呂入ろうか」
「あんたって開き直り早いわねー」

「じゃあ、お風呂だけど3人一緒に入ろうか」
こなたは顔をにやにやしながらとんでもないことを言い始めた。
「あんたは子供か。」
「なんて、冗談だよ。さすがに家の風呂じゃ高校生3人はきついよ。でも、かがみが寂しくてしょうがないんだったら一緒に入ってあげてもいいよ?」
「寂しいわけあるか。」
何でこいつはいつもこういう恥ずかしい台詞を次から次へと言えるんだろうか。
そんなことを考えているとつかさが割って入ってきた。
「えっ…、一緒に入んないの?」
「つかさ……。」




お風呂に入った後、ご飯はちょうど炊けていた。
それからみんなでチキンカレーを食べて、再びこなたの部屋へと移動する。

夜とはいえど、やはり夏は夏である。
こなたは部屋に入るや否や扇風機のところに行き、『強』のスイッチを押す。
時計を見ればもう10時を過ぎていた。

「ちょっと布団持ってくるから待っててね」
こなたが部屋を出て、それから少し経つと敷き布団を2枚持ってきて
それをベッドの脇に敷く。

「こなたにしては寝るの早いんじゃないの?」
私はこなたに疑問を投げかける。
「いや、これならいつでも寝られるからね」
「あぁ、そういうことね」

そんなことを話しているとつかさがあくびを一つする。

「私もう寝るね~、おやすみー」
つかさはそれだけ言うと布団に横になってしまった。
数秒後にはもう寝息を立てていた。

「かがみ~、つかさはこんなに早くに寝て何で次の日は起きるのが遅いんだろうね?」
「そんなの私にだってわからないわよ。」
「つかさも寝ちゃったし、私たちも寝るとしますか」

それだけ言うとこなたは部屋の電気を消した。それを確認した私は寝床に入る。
だが、いつもより寝るのが早いせいか、それとも暑さのせいなのか、
なかなか寝付けずにいる。

私は暗闇の中こなたに話しかける。
「こなた?」
「……」
そうやら寝てしまったらしい。こんなに寝るのが早いってことは、昨日、ネトゲーでもしてたのか…?
学校に行く前の日もこのぐらい早く寝れば遅刻なんかしないで済むのに……。

それから何分経っただろうか、未だに寝れないでいる。
その寝れない原因、それはこのうだるような暑さ。
かなり暑い。時間が経つにつれて暑くなっている気がするのは私だけだろうか…。
寝る前にこなたが付けた扇風機がなんとか頑張ってはいるが、本来、風を送るものであって
部屋の温度を下げるものではない。
風は来ても生温い風だけだ。

寝返りを打った拍子につかさを見てみるとぐっすり寝ていた。
寝ることに関してはつかさはすごいなと感心しつつ、今度はこなたを見てみる。
暑さのせいなのか寝返りを何度も打っている。
ちょっとだけ誰かが起きていることを期待したのだがやはり二人とも夢の中である。

私もさっさと寝ようと思い、天井を見ながら眠気が来るのを待っていた。

その時だった。

本当に一瞬だった。

寝返りを打った拍子に落ちたのか。
こなたの小さな体が私の上へと落ちてきた。

当然、避けられるわけもなく
こなたの体は私の上に着地する。

その時に体に強い痛みとともに
唇に押しつけられた柔らかい感触。

反射的に閉じてしまった眼を開けてみると、そこにはこなたの顔が
視界いっぱいにある。

そう『キス』という状態である。





ベッドから落ちた衝撃で目が覚めたのか、こなたは顔を朱に染まらせながら「うわっ!」という小さな悲鳴をあげて
私の上から退く。
私もやっと状況がつかめたのか顔に血が上る。そして、こなたと同時に起き上がった。
「こっ、これは! こなたがベッドから落ちてくるから……。」
いきなりのこと過ぎて私の口から出る言葉は相手を責めるような言い方。


しばしの沈黙……。
扇風機の音がやけにうるさく感じるのは気のせいだろうか。


先に沈黙を破ったのはこなただった。
「かがみ……怒ってる?」
こなたは俯いたまま私に言う。
気まずい雰囲気だったためか、こなたは私が怒ってると解釈してしまったらしい。

「別に怒ってなんかいないわよ。事故だったんだし…。」
キスしてしまった恥ずかしさからなのか、何故か声が小さくなってしまう。

「かがみは……ファーストキス…だった?」
今にも消え入りそうな声で私に訊いてきた。

「そんなの初めてに決まってるじゃない!」
未だにキスすらしていなかった恥ずかしさからなのか、今度は少し声が大きくなってしまう。
「かがみんは初めてのファーストキスの相手が私で嫌だった?」
またもや質問である。
こなたの顔をよく見ると、いつもの猫口はなく、真剣なこなた。瞳には涙を溜めている。
いつも一緒にいるのに、私が見たことない表情だ。
そう思うと何故か胸が締め付けられる…。

「何でそんなこと聞くのよ」
私は逆にこなたに質問を投げかける。
「だって……私のせいで……。かがみはそういうの気にすると思って…」
そこまで言うとこなたは静かに泣き始めた。いつも一緒にいて泣いているこなたを見るのは初めてだ。
また、私の知らない表情。どうしてなのか、胸が締め付けられる。

「こなたとキスしたことが嫌だなんて言ってないでしょ、それにファーストキスなんてどうでもいいわよ。」
小さな赤ちゃんをあやすようにこなたを抱きよせて背中を摩ってやる。

「かがみ……ごめん…なさい」
「ほら、最初から怒ってなんかないんだから泣かないの。こなたに泣いた顔なんて似合わないわよ。」
何故かは知らないが私のほうが泣きたい気分だった…。


それからどのくらい経ったのかは知らないが、こなたの背中を摩っていたらいつの間にか寝てしまったらしい。
起きた時には外は明るくなっていた。

気が付けばこなたと私は抱き合ったまま寝ていた。
なぜか恥ずかしくなってくる…。

事故とはいえ、キスしちゃったんだ。こなたと……。

それにしても、こなたの髪…すごくいい香りがする。

「あれ…かがみん、おはよー……ってなんで私、かがみんの布団で寝てんの!?」
「それは、あんたが昨日あのまま寝たのが悪いんでしょうが」
私はこなたにため息交じりに言う。
それを聞いて思い出したのかこなたは「あっ」と小さく声を漏らした。

「思い出したよ…。だけど、なんで、かがみまで一緒に寝てるんだい? しかも、私のこと
抱いたまま…。」
「それはっ、私もそのまま寝ちゃって…。」
「とか言いつつも私のことを抱いてるかがみ萌え~。」
それをこなたに言われ、ハッとなって起き上がる。
「う、うるさいわよ!」
やはり、こんな言葉しか返せない自分が情けない。
「かがみ~顔、真っ赤だよ」
こなたは微笑しつつ言う。

くっ! 昨日のことは、もう開き直ってる…。
だけど、そんなこなたを見てなぜか安心する。
やっぱり、泣いているこなたよりこうして
笑っているこなたのほうが好きだ。

「ねえ、こなた」
「ん? なに、かがみ」
「もう、泣いたりするんじゃないわよ。」
「……なっ!」
声をあげて赤面するこなた。
「へぇ~、こなたでも照れたりするんだ」
私がそれを言うとこなたは頬をぷぅーっと頬を膨らましてそっぽを向いてしまった。
そんな姿を見ると何故か勝った気分になる。
「こういうのはかがみの役なのに」
「何で私の役なのよ」
不貞腐れて頬を膨らますこなたが何か可愛い。
しかし、何かを思いついたのか、またいつもの猫口になった。
「ねぇ、かがみん」
「なによ」
こなたは親指を立ててとんでもないことを言った。


「かがみのファーストキス、ゲットだぜ!」

きっと私の顔は真っ赤だと思う。
やっぱり、こなたには勝てない…。
私はそんなことを思いながら、私をからかう無邪気なこなたを見た…。








お姉ちゃんたちの声で目が覚めた…。
だけど、何か私が入っちゃダメな気がするのは私だけ…?
「…いつ『おはよう』って言おうかな」
あっ! こんな時はゆきちゃんに助けてもらおう。

メール送信!

あれ? なんで送れないの…?

あっ! ゆきちゃん海外旅行だったんだ!
「どんだけ~」



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コメント:
  • GJ!!(^_-)b -- 名無しさん (2023-05-15 09:10:03)
  • そんなことでいちいちめーるおくるなよつかさ!!! -- 名無しさん組長 (2009-09-14 23:54:49)
  • こなちゃん萌え☆ -- 名無しさん (2008-09-25 23:29:12)
  • GJです!これで初投稿?
    普通に俺よりうまいですww
    固定名使ってるのも珍しいですねぇ~
    まぁお互いにがんばりましょ♪ -- naniw (2008-08-29 20:43:28)

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