寂寞としている、暗い部屋。
そのベッドの上、私は天井をぼんやりと眺める。
そのベッドの上、私は天井をぼんやりと眺める。
さっきまでの喧騒がウソのような寂寥に、違う世界にいるという勘違いさえしそうになる。
喧騒を作り出していた主は、もう電車に乗っている頃だろう。
明日が火曜日じゃなかったなら………。
そんな、仮定法・反実仮想の文章。
つまり、裏返せば明日は火曜日だから………。
つまり、裏返せば明日は火曜日だから………。
憾んでも、その願いが叶うことはない。
頭ではわかっていても、やはり憾んでしまう。
頭ではわかっていても、やはり憾んでしまう。
「こなた……」
今はいないその人の名前が、暗がりに響く。
今日は、私とつかさの誕生日。
受験生ということもあり、今年は去年のようなパーティは開かなかった。
みゆきはお昼休みのときに、私とつかさにプレゼントを渡してくれた。
こなたはこの後2人の家いったときに渡すよ~と言って、放課後、家まできてくれた。
受験生ということもあり、今年は去年のようなパーティは開かなかった。
みゆきはお昼休みのときに、私とつかさにプレゼントを渡してくれた。
こなたはこの後2人の家いったときに渡すよ~と言って、放課後、家まできてくれた。
家についてから、こなたはつかさにプレゼントを渡した。
去年のこともある。
今年は少しはまともなものにしたのかしら?
気になるわね………。
去年のこともある。
今年は少しはまともなものにしたのかしら?
気になるわね………。
こなちゃん、ありがとぉ~!
いえいえ~。って言っても、対した物じゃないけどねぇ~。
あけてもいい?
うん、どうぞどうぞ。
いえいえ~。って言っても、対した物じゃないけどねぇ~。
あけてもいい?
うん、どうぞどうぞ。
承諾されたつかさは、破れないように包装紙を綺麗に開ける。
わぁー!お料理のレシピだ~!!
あの有名な女王ドールのメニューのレシピ本があったから、つかさにいいかな~って思ったんだよね。
ありがと~~、こなちゃん!
喜んでもらえたようでよかったよ。
あの有名な女王ドールのメニューのレシピ本があったから、つかさにいいかな~って思ったんだよね。
ありがと~~、こなちゃん!
喜んでもらえたようでよかったよ。
つかさの喜びように、そのレシピが本当に良いものだっていうのが感じられた。
その満面の笑顔に、自分の分のプレゼントにも期待してしまう。
その満面の笑顔に、自分の分のプレゼントにも期待してしまう。
それじゃ、次はかがみに……。
そう言って、こなたはプレゼントを取り出そうとする。
あっ、邪魔しちゃ悪いし、私は自分の部屋にいくね。
こなたに貰ったレシピを大事に両手で持ったまま、つかさはそう言った。
別に、そんなの気にしなくてもいいわよ。
私の口から出る、本心とは逆の気持ち。
えへへ、私でもちゃんと分かってるよ。誕生日だもん、恋人同士で過ごしたいよね♪
つ、つかさぁっ!
恥ずかしさのあまり、思わず出る変な声。
こなちゃん、お姉ちゃんをよろしくね♪
お~ぉ~、任せてくれたまへ~。
二人して、何いってるのよッ!
つかさは真っ赤になっているだろう私を見て破顔一笑する。
こなちゃん、プレゼント、本当にありがとうね~!それじゃね~。
そう言ってつかさは、自分の部屋へと入っていった。
つかさってさ………本当にいい娘だよね。
閉じられた扉に向かって、こなたが言った。
そう……よ。
私のことを考えてくれてる双子の妹。
その妹に向かって、心の中で言った。
ありがとう、と。
そう言って、こなたはプレゼントを取り出そうとする。
あっ、邪魔しちゃ悪いし、私は自分の部屋にいくね。
こなたに貰ったレシピを大事に両手で持ったまま、つかさはそう言った。
別に、そんなの気にしなくてもいいわよ。
私の口から出る、本心とは逆の気持ち。
えへへ、私でもちゃんと分かってるよ。誕生日だもん、恋人同士で過ごしたいよね♪
つ、つかさぁっ!
恥ずかしさのあまり、思わず出る変な声。
こなちゃん、お姉ちゃんをよろしくね♪
お~ぉ~、任せてくれたまへ~。
二人して、何いってるのよッ!
つかさは真っ赤になっているだろう私を見て破顔一笑する。
こなちゃん、プレゼント、本当にありがとうね~!それじゃね~。
そう言ってつかさは、自分の部屋へと入っていった。
つかさってさ………本当にいい娘だよね。
閉じられた扉に向かって、こなたが言った。
そう……よ。
私のことを考えてくれてる双子の妹。
その妹に向かって、心の中で言った。
ありがとう、と。
それじゃ、愛しのマイハニーへプレゼントを渡すかね~。
恥ずかしい言い方するな、まったく………。
口とは裏腹に、心の中では喜んでる私がいた。
こんなだから、こなたにツンデレって言われちゃうのかな。
こなたは手のひらよりちょっと大きな包装紙と、口が閉じられた紙袋を出す。
誕生日おめでとう、かがみ。
あ、ありがとう……。
真面目な顔と声に、思わず恥ずかしくなる。
つかさにあげたのに勝っても劣ることはないものだよ。かがみが嫉妬しないようにね。
ば、ばか………。
図星をつかれ、驚いてそれ以上何も言えない。
ちゃんと分かってるよ。つかさには悪いけど、一番はかがみだよ。
こなた…。
私はこなたに抱きついた。
恥ずかしい言い方するな、まったく………。
口とは裏腹に、心の中では喜んでる私がいた。
こんなだから、こなたにツンデレって言われちゃうのかな。
こなたは手のひらよりちょっと大きな包装紙と、口が閉じられた紙袋を出す。
誕生日おめでとう、かがみ。
あ、ありがとう……。
真面目な顔と声に、思わず恥ずかしくなる。
つかさにあげたのに勝っても劣ることはないものだよ。かがみが嫉妬しないようにね。
ば、ばか………。
図星をつかれ、驚いてそれ以上何も言えない。
ちゃんと分かってるよ。つかさには悪いけど、一番はかがみだよ。
こなた…。
私はこなたに抱きついた。
あけてもいい?
だめぇー。
な、なんで?
恥ずかしいから。
なんじゃそりゃ。
とにかくダメ。私が帰ってからあけてね。
だめぇー。
な、なんで?
恥ずかしいから。
なんじゃそりゃ。
とにかくダメ。私が帰ってからあけてね。
あっ、そっか。こなた、帰るんだよね……。
そんな単純なことを私はすっかりと忘れていた。
そう、明日は平日なんだから、当たり前のこと。
なのに、それは私の頭の中から根絶されていて、再び現れたとき、涙が出そうなくらいの寂しさに襲われた。
そんな単純なことを私はすっかりと忘れていた。
そう、明日は平日なんだから、当たり前のこと。
なのに、それは私の頭の中から根絶されていて、再び現れたとき、涙が出そうなくらいの寂しさに襲われた。
うん、わかった。
私は、浮かびかかった涙を隠そうと、こなたから視線を逸らして頷いた。
それからしばらく、こなたと色々の話をした。
ずっとずっと続いて欲しい幸せの時間。
でも、そんな時間にも、終わりは来る。
逆なのかも。
そんな時間だからこそ、終わりは来る。
織姫と彦星だってそう。
時間が来たら、また離れ離れになってしまう。
ずっとずっと続いて欲しい幸せの時間。
でも、そんな時間にも、終わりは来る。
逆なのかも。
そんな時間だからこそ、終わりは来る。
織姫と彦星だってそう。
時間が来たら、また離れ離れになってしまう。
…………もうこんな時間なんだね。
こなたが静かに言った。
時計の針を見ると、無情にもいい時間を示していた。
……そうね。
………私、そろそろ帰るね。
こなたは、そう言って立ち上がった。
うん……。
それ以上何も言えず、私も立ち上がった。
こなたが静かに言った。
時計の針を見ると、無情にもいい時間を示していた。
……そうね。
………私、そろそろ帰るね。
こなたは、そう言って立ち上がった。
うん……。
それ以上何も言えず、私も立ち上がった。
今日、ありがとうね。
いえいえ、次の私の誕生日の時も、期待してるよん~♪
ま、そうね。アンタ次第かしらね。
いえいえ、次の私の誕生日の時も、期待してるよん~♪
ま、そうね。アンタ次第かしらね。
心の中はぐちゃぐちゃなのに、ちゃんと振舞えているのが不思議だった。
ね、かがみ。
何?
………今日が、土曜日か金曜日だったら、よかったのにね。
寂しそうな顔をして、こなたはそう言った。
………私も、同じこと思ってたわ。
そのこなたの顔が少し歪んで見えるようになりながら、私はそう返した。
………それじゃ、また明日。
………うん、またね。
何?
………今日が、土曜日か金曜日だったら、よかったのにね。
寂しそうな顔をして、こなたはそう言った。
………私も、同じこと思ってたわ。
そのこなたの顔が少し歪んで見えるようになりながら、私はそう返した。
………それじゃ、また明日。
………うん、またね。
小さく手を振り合った後、こなたは暗闇の中にその小さな姿を溶かしていった。
「そういえば、こなたからのプレゼント……」
私は明かりをつけないまま、こなたの誕生日プレゼントを大事に開ける。
こなたが最初に出した手のひらサイズの包装紙。
その中身は、写真の入った写真立て。
私は明かりをつけないまま、こなたの誕生日プレゼントを大事に開ける。
こなたが最初に出した手のひらサイズの包装紙。
その中身は、写真の入った写真立て。
HAPPY☆
BIRTHDAY
かがみ
BIRTHDAY
かがみ
写真を立てる上半分には、そう書かれていた。
下半分には、私とこなたがピースしてる写真。
「この写真……この前、不自然に学校にデジカメ持ってきたのはこのためだったのね」
数日前のこなたの奇怪な行動にも納得し、それが自分のためだったことを知ると、一層嬉しくなる。
フレームは手作りなのか、少し不恰好に見える。
でも、そこもまた、嬉しく感じる。
下半分には、私とこなたがピースしてる写真。
「この写真……この前、不自然に学校にデジカメ持ってきたのはこのためだったのね」
数日前のこなたの奇怪な行動にも納得し、それが自分のためだったことを知ると、一層嬉しくなる。
フレームは手作りなのか、少し不恰好に見える。
でも、そこもまた、嬉しく感じる。
そっとそれを立てかけると、もう1つの紙袋を開けてみる。
その中には、ハート型の長い花瓶と、小さめの笹が一本。
その笹には短冊が1つ。
その中には、ハート型の長い花瓶と、小さめの笹が一本。
その笹には短冊が1つ。
かがみと
結婚できますように
泉こなた
結婚できますように
泉こなた
汚い字でそう書いてあった。
「こなた…まったく……」
呆れたように言う私の声は、震えていた。
呆れたように言う私の声は、震えていた。
紙袋の中には、何も書かれていない短冊がもう1枚と、小さな袋がもう1つ入っていた。
袋のほうを開けてみると、そこには、シルバーの指輪が1つと、メモが1枚。
袋のほうを開けてみると、そこには、シルバーの指輪が1つと、メモが1枚。
織姫と彦星が私の願いを叶えてくれるまで、ちゃんと大事にとっておいてね♪
「なるほど、だから恥ずかしいわけね」
小さく笑う私の顔は、涙が溢れていた。
小さく笑う私の顔は、涙が溢れていた。
「こなた………ありがとう……」
私はその指輪を両手でぎゅっと抱きしめた。
私はその指輪を両手でぎゅっと抱きしめた。
何もかかれてないもう1枚の短冊には、きっと私の願いを書けってことなんだろう。
どんなことを書こう?
悩む時間は少しもなかった。
どんなことを書こう?
悩む時間は少しもなかった。
こなたといつまでも幸せに
一緒にいられますように
柊かがみ
一緒にいられますように
柊かがみ
私は小さな笹に短冊をつるした。
今頃電車に揺られてるあいつは、私がどんなことを祈ったと思っているんだろう。
そんなことを考えながら、小さく笑った。
今頃電車に揺られてるあいつは、私がどんなことを祈ったと思っているんだろう。
そんなことを考えながら、小さく笑った。
私は、窓を開けて、空を見上げる。
黒の世界に流れる輝く河と、その周りを彩る光。
そんな星明りに、2つの短冊が照らされた。
黒の世界に流れる輝く河と、その周りを彩る光。
そんな星明りに、2つの短冊が照らされた。
「どうか、願いが叶いますように―――」
私はそう祈りを捧げた。
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- GJ!!( ;∀;)b -- 名無しさん (2023-05-10 15:39:59)
- こんな名作が2年も前に作られていたとは・・・スイマセン見逃してました。
作者様GJです。 -- kk (2010-08-13 07:48:12) - 心が和むめっちゃいい話でした、こなた視点も是非! -- 名無し (2010-08-13 00:44:55)
- こなたの
誕生日の方も是非! -- 無垢無垢 (2009-03-07 21:56:22) - めっさ良い話です!!!
泣けました(ノ△T) -- チハヤ (2008-07-16 22:59:59)