「輝け」

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「輝け」


季節は夏。少しずつセミの声が聞こえ始めた、緑が眩しい神社の境内には、きれいな紫の髪をした女の子が2人と、青い髪にぴょこんとたったアホ毛が印象的な女の子が1人。

「みゆきさん、今歯医者終わったってさ」口にソーダアイスを含んだままメールを読み、もごもごとしゃべるアホ毛の子。
「みゆきはいつもいつも大変ね…;てかあんた喋るか食べるかどっちかにしなさいよ」こちらの子は紫のツインテールを肩から垂らし、アイスモナカを手に持っている。
「じゃあゆきちゃんは夕方までには来れるねっ」こちらは黄色いリボンをハタハタと動かし、持っているアイスが溶け出すのを必死で舐め取ろうとしている紫のショートカットの子。

「今日はこなちゃんもゆきちゃんもお泊まりだからわくわくだねー」
ん?お泊りとな?

…遡ること1週間。

「今年のつかさ他1名の誕生日って、土曜で休みなんだねー」
「略す意味あるのかそれ」
「では、もしご家族でどこかに行かれる用事などがなかったら、プレゼントを持って行っても構いませんか?」
「わあーありがとう、ゆきちゃん!というか、こなちゃんと一緒に遊びにおいでよっ!ケーキも焼くよー」
「そうね、どうせどこにも出かけないし。」
「そんなに私たちに祝ってほしいかい、かがみんやー」
「あ、じゃあアンタはつかさのケーキ食べにこなくていいから」
「ちょ!それはナシだよー冗談だよー」

みたいなやりとりがあったそうな。


んで、それから3日後
「おとーさんが週末は取材旅行でいないから、土日はゆーちゃんはみなみちゃんのとこ泊まるんだってー」

というSS特有のなんともご都合主義なセリフにより、誕生日当日から翌日にかけてのお泊りが決定したらしい。


ここで元に戻って神社の境内。
今は柊姉妹だけなようだ。こなたはトイレかしてーと言って柊家の中に入っていった。


しばらくの沈黙のあと、つかさが少し決心したように口を開く。
「ねえお姉ちゃん。」
「ん?」
「今日ね、夜はわたしとゆきちゃんがわたしの部屋で寝て、こなちゃんとお姉ちゃんがお姉ちゃんの部屋で寝ることにしない?」
「へ?別にいいけど、でもいつもみたいにみんなで同じ部屋で寝ればいいんじゃないの?」キョトンとした顔で聞き返す。
「…お姉ちゃん、私が何言おうとしてるか、わかるよね?」つかさは珍しくまじめな顔でかがみを見つめた。
「何、って…」目をそらしてしまうかがみ。
「ふたりっきりで、しかも夜のほうが気分的にも言いやすいかなあと思って。ね?」ニッコリと笑いかけるつかさだが、かがみのほうは目を白黒させている。
「な…!いつから知ってたの…?」真赤な顔を伏せて妹に問いかける。
「お姉ちゃんのことは大体わかるよー」ふふ、と笑いながら答えるつかさ。
「それでね、お泊りが決まったときからゆきちゃんと相談してたの。別々の部屋で寝るのが不自然じゃないようにわたしとゆきちゃんでうまくやるから、がんばってね!」小さなガッツポーズを姉に見せたつかさは少しだけ頼りになりそうだった。
「…わかった。頑張ってみるわ。ありがとう、つかさ」かがみは完全につかさに後押しされる形で、今日の夜に告白をする決心をした。
「しかし、まさかつかさにバレてるとはね…」苦笑を浮かべるかがみだが、トイレから帰ってきたこなたの姿を見つけて、また少し顔を赤くしてうつむいた。


さて、ここからはしばらくダイジェストでお送りするよ!
<夕方ごろ柊家にやってきたみゆきは、つかさとなにか意味ありげな目配せを交わした後、かがみに向かって、こちらも小さなガッツポーズをしてみせた。
晩御飯のとき、みゆきからはおそろいのイヤリング、こなたからはコスプレグッズが二人にプレゼントされた。
食後につかさ特製ケーキに舌鼓をうち、交代でお風呂を済ませた4人はかがみの部屋でUNOで白熱した勝負を繰り広げていた。>

…「あがりー!つかさ最下位ーっ♪」こなたの楽しそうな声とともにつかさの「ふぇぇ」の声も聞こえてきた。
ゲームもひと段落ついたところで、みゆきが小さくあくびをした。
「ごめんなさい、私いつもはもう寝ている時間なもので」とみゆき。
「あ、じゃあゆきちゃんはわたしの部屋で先に寝ててもいいよー!うん、そうするべきだよ!そうだ、わたしも急に眠くなっちゃったから向こうで先に寝てるね!お姉ちゃんとこなちゃんはまだ二人で遊んでていいからね!じゃあおやすみこすー!」
…怒涛の速さで部屋を出て行く2人の不自然さ以上に、あそらくセリフをしっかり考えていたのであろうつかさの、信じがたいほどの棒読みが気になるが、これがつかさの必死の演技のようだ。オヤスミコスー
んで、ポカーンとしているのが残された二人。
「つかさ…なんて恐ろしい子…!」頭を抱えるかがみ。明らかに不自然な空気が漂う。
しばしの沈黙。
かがみは葛藤していた。こなたへの想いをぶつけるチャンスだ、と思う自分と、言ってしまったらこなたとの友情さえも終わってしまうかも、と思う自分がいた。
でも、せっかくふたりが頑張って作ってくれたこなたと二人きりの時間。少し、いやだいぶ不自然だったけど。これを無駄にするわけにはいかない。それに、こなたはそんなことで友達をやめるような子じゃないことはかがみが一番知っていた。
しばらく考えて、かがみは想いを伝えることに決めた。
かがみの決心がついたのと同じタイミングで、こなたが口を開いた。
「うーん…あー、そっかそういうことかぁー。うん、つかさとみゆきさんの優しさは痛いほど伝わってきた」
ん?もしかしてこいつ全部わかってる?
「…あんなことまでされたら腹くくるしかないね」とかがみには聞こえないような声でポツリと言ったこなたは、目じりを下げて、困ったような喜んでるような顔をしてポリポリと頭を掻いた。
「こ…なた…?」かがみは不思議そうな顔をしてこなたを見つめる。こなたもかがみを見つめ返す。

そのまま数秒が経った。

かがみは勇気を振り絞った。言ってしまおう。今しかない。そう思って声を出した。
「こなっ…」
こなたも勇気を振り絞った。言ってしまおう。今しかない。そう思って声を出した。
「かがっ…」
かがみとこなたは同時に相手の名前を口にしていた。


一瞬の間を空け、かがみが続けた。
「わたし…こなたのことが好き。好きなの。ずっとずっと、気持ち伝えたかった…!」
こなたが目を丸くしているのを見て、かがみは続けた。
「…わかってる、こんなの気持ち悪いよね…いきなりこんなこと言ってごめ……っ!?」
優しい顔で微笑んだこなたが、かがみの唇を自分の唇でふさいでいた。
目を見開いたまま固まるかがみから顔を離すと、こなたは緑色の瞳にたまった涙を頬にこぼしながら「…気持ち悪くないよ。かがみは世界一かわいいよ。」と言ってまた微笑んだ。
かがみはその半開きの口元から「…ふぇっ」っという声を漏らしたと同時に、堰を切ったように泣き出した。
それから、2人で顔がぐしゃぐしゃになるまで泣いた。ずっと、お互いを抱きしめていた。

「ん…」
…明け方ごろ、涙も枯れてうとうとしていたかがみは、金属の冷たさで目を覚ました。
こなたがかがみの指に指輪をはめていたからだった。
「あ、起きちゃだめだよかがみんーっ」と、いたずらっぽく笑うこなた。
状況が飲み込めないかがみをよそに、こなたが続ける。
「…本当はかがみの誕生日にこれを、と思って買ってたんだけど、面と向かって渡すの、恥ずかしくて。だからかがみが寝てる間に、と思ったのになぁー」といいながら苦笑いを浮かべている。
ああ、はじめからこなたも今日勇気を出すつもりだったんだ。そう気づいた時、かがみにはこなたがとてつもなくいじらしく感じられた。
指輪は左手の薬指にぴったりだった。かがみは枯れたはずの涙を瞳いっぱいにうかべて、小さな、小さな声で「ありがと…」と言った。
こなたはそんなかがみを見て「好きだよ、かがみ」と言ったあと、はずかしそうに目をそらした。


隣の部屋では、みゆきとつかさがぐっすりと寝ている。
…つかさは、みゆきからつかさだけにプレゼントされたバルサミコ酢(←お決まりw)の瓶をしっかりと抱いていた…。こちらのふたりがどんな一晩を過ごしたのか、それはまた別のお話。


空には星が輝いている。こなたとかがみの忘れられない夜がもうすぐ終わり、じきに輝く太陽とともに、朝が来る。
きっと、忘れられない朝が――

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