こなた×かがみSS保管庫

雨上がりの日のできごと -午前-

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
「へー、こなたってば意外に可愛い寝顔してんのねー」

聞き覚えのある凛とした声に惹かれ、私を瞼を開いた。
そのぼやけた視界の中に佇んでいた彼女。
……かがみん?

「へぇー、こなたってば意外に可愛い寝顔してんのねー」
「ぞれは、ざぁっき聞ぃだよ」
「……つまんないわね」
「なんだよー、何じに来だんだよー、がえれよー……」
「うっわー酷い声」
「うるざーい」
「まったくー、この時期に風邪を引くとは情けない……」

息を吐いて、腕を組む彼女。

「それも、揃いも揃って三人一緒にとはね」

そういうお前も昨日寝込んでいたじゃないか。
と言い返す余力も、今の私には残っていなかった。

「まぁ、あたしは心が広いから? この貴重な休日を潰して、お見舞いに来てあげた訳よ」
「……」
「でね、折角だから何かお供えも必要かなと思ってさ」

まだ生きてます。
そんな事を考えつつ枕元の時計を見遣ると、時刻は既に12時を回っていた。

「これ、作ってきたの!」

ジャーン!
と言わんばかりの笑顔で、透明の袋に詰めた物体を差し出される。
ブラック、ブラック、ブラーック、驚くほどにだ。
そうか、そういう事か。

つまりかがみは、
「それを誰かに食べて貰いたかった訳だね」
「うん!」
「ちなみに、誰かに食べさせてみたりした?」
「みんなお腹いっぱいだったらしいから、まだね」

黙り込んだ私を意にも介さず、
「仕方がないから、つかさの枕元に4袋くらい置いてきたけど」
と付け足していた。

――ゴリッ

「うっ……」
「どう、ねぇ、どう?」
「ポイズン……」
「ん?」
「いや、美味しいね、この煎餅」
言いたい事も言えない。
そんな心中を知ってか知らずか、いや多分知らないんだろうけど。
彼女はやれやれといった感じに口を開いた。

「うわぁーツッコミも入れられないほどに下手な冗談ね」
いや、まぁ……すみません。

「それチョコチップクッキーよ、美味しいでしょ?」
「へぇー、上手い冗談だね」
「ん?」
「へ、へぇー、上手い焼き加減だね」
「だよねー」

あなたの笑顔、怖いです。

風邪で頭が回らないせいだろうか。
どうもペースを乱されている気がする。

「それじゃ、あたしはそろそろ帰るね」
「え、もう? もう少しゆっくりしていってよ」

ずっと寝込んでいただけあって正直、人恋しい。
枕元に居座り続ける父はすぐさま追い払ったが、
かがみには少しでも長く側にいて欲しかった。

「でも、みゆきの所へも行きたいからさ」
「わ、私とみゆきさんどっちが大切なの?」
「みゆき」
「……」
「そ、そんな眼で見ないでよ、冗談よ冗談」
「じゃあ、どっち?」
「両方」
「女の人ってずるい!」
「うわぁー面倒くさい奴だなー」
「なーんてね、みゆきさんも寂しがっているかもしれないし、行ってあげてよ」
「アンタにしてはえらく簡単に引き下がるわね」

そう、私は物分かりがいい子なのだ。
冗談ばかりの仲だけど、ちゃんと分かっているんだよ、私は。
……分かっているんだよ。

「うーい、それじゃお大事にね!」
「うん……」

引き留めるべきか、或いは見送るべきか。
迷っているうちに答えは逃げてしまった。

「おーいこなたー、体調はどうだー?」
かがみが部屋を出ていくのを見計らったかのように、父さんが部屋へと入ってきた。
「この通り元気だよ、喉は痛いけど」
「そうかー」

うんうん、と頷いた父はそのまま続ける。

「しかし、かがみちゃんもいい子だよなー」
「そだね」
「お見舞いだぞ、お見舞い。それも朝早くから来るとは驚き物の木だ」
父の説明臭い台詞廻しは置いておくとして、気になる点を指摘する。
「朝、早くから?」
「そう、9時だぞ、9時」
「そ、そんな早くから来て何してたの?」
「お見舞いだろ?」
「え、私の所に来てたの?」
「へぇー、こなたってば意外に可愛い寝顔してんのねー……って言ってたみたいだぞ?」
うわぁ、アレ、起きるまでずっとやってたんだ……
っていうか何でそれを知っているんだ父さん。

「で、10時からは一緒にケロ○軍曹とリ○ーンを見て……」
そこは譲らないんだ。

「で、また部屋に戻っていったから、父さんは一人寂しく煎餅を御馳走になっていた訳だ」

かがみん……私の為にそこまで……
私は胸の内が暖かくなったような気がした。
こんなにも私の事を考えてくれている人は、他には居ないんじゃないのか?
こんなにも……

でも考えようによってはちょっと怖いなと考えたら背筋が寒くなったので、そのうち私は考えるのをやめた。
今度、お返しに本物のチョコチップクッキーを作ってあげようかな。
うん、そうしよう。


コメントフォーム

名前:
コメント:
  • GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-03-29 10:57:03)
  • 何か溌剌としたかがみに萌えました。GJ! -- 名無しさん (2013-02-03 13:12:40)
  • ケロロとリボーンってwwwww -- 名無しさん (2009-09-12 19:51:00)
  • ちょwwwツッコミ所満載すぎwww -- 名無しさん (2009-04-26 18:03:57)
  • 起きるまで言ってたのかぁ…ww
    想像するとちょっと恐いような…… -- 名無しさん (2008-06-04 14:18:32)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー