無題(20-171)

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「ねえ、こなた。今日の放課後、暇?」
「今日はバイトも入ってないし、暇だけど」
「よかった。放課後、ちょっと付き合ってくれない?」
「いいけど。珍しいね、かがみから誘ってくれるのって」
「たまにはね。あんたと行きたいとこがあってさ」
「行きたいとこ?」
「別に大したところじゃないわ。ちょっとしたとこよ」
「ふぅん…待ち合わせとかどうする?」
「うちのクラスのHRが終わったらそっちに行くから、教室で待ってて」
「わかった。じゃあ放課後、待ってるね」

 …よし、ここまでは問題ない。
 あとは放課後だ。今日は、今日だけは予定があってもらっては困る。
 だって今日は―――。


 こなたと付き合い始めてちょうど一ヶ月の日、なんだから。
 だから今日は、何か記念に残るようなことをしたかった。


 そして放課後。

「こなた、お待たせ」
「ん、別に大して待ってないから」
「そう?じゃあ、行きましょ」
「かがみ、結局どこに行くの?」
「朝も言ったとおり、大したとこじゃないわ。
 ついてくればわかるわよ」

 訝しげなこなたを連れて、着いたところは…。

「…ゲーセン?」
「だから言ったでしょ。大したとこじゃないって」
「確かにそうだけど…なんでまたゲーセンなのさ」
「その前に一つ、いい?」
「…?」
「今日は、何の日?」
「今日…?なんかあったっけ」
「…そんなことだろうと思ってたわ」

 案の定、こなたは覚えていなかった。
 覚えてないんなら、忘れられない日にしてやるだけよ。
 その程度でいちいち凹んでたら、こいつと付き合ってなんていられない。

「む、どういう意味それ」
「つくづくあんたらしいって意味」
「ほめられ…てないよね、絶対」
「そうね。とにかく今日は特別な日。あんたが覚えてないんなら、それでも構わない。
 私が今日を、こなたが絶対に忘れない日にしてあげる」
「ふぅん…じゃあ、期待しちゃおうかな」
「任せときなさい」
「それじゃ、そろそろ行かない?
 いつまでも店の前にいても邪魔になるし」

 さて、行くとしますか。
 一度しかない今日この日。
 絶対思い出に残るようなことをしてあげるんだから。

「で、どれやるのさ。
 私がいつもやるようなものじゃないってことはわかるけど」
「アレよ、アレ」

 そうしてこなたを連れてきたところは…。

「プリクラっすか、かがみ様…」
「そ。別におかしなことじゃないでしょ?あとかがみ様言うな」
「いや、そうだけど…」
「何か問題でもあるの?」
「問題ってわけじゃないけど、私はあまりこういうのやんないからさ」
「なら、好都合じゃない。普段やらないなら、思い出にも残りやすいでしょう」
「そんなもんかなぁ」
「そういうものよ。さ、行きましょ」

 そうして、二人で中へ入る。
 よし。ここなら…。

「こなた」
「っ!か、かがみ?」
「いいじゃない、誰も見てないんだしさ」
「だからって…いきなり抱きつかないでよ…恥ずかしいよ」
「今に始まったことでもないでしょ。ほら、時間ないわよ」
「え?…あっ」

 ―――そして、フラッシュの光が私たち二人を照らす。
 そうして印刷されたものを手に、二人で外に出た。

「むぅ…かがみがいきなり抱きついてくるから…」
「そう?よく撮れてるじゃない。可愛いわよ」
「なんか素直に喜べない…」

 少し拗ねている様子のこなたを尻目に、
私は携帯の操作をする。

「これでよしっと」
「かがみ?」
「すぐわかるわ」
「ふぅん…お、メールだ…かがみから?なんでまた?」
「いいから。見てみなさい」

 こなたが携帯を開く。
 その直後、こなたの顔が真っ赤になった。

「か、かがみ!?これ!」
「そ。今さっき撮ったやつ」

 そう、私がこなたに送ったものは、たった今撮ったばかりのやつだ。
 笑顔の私と、その私の腕の中で真っ赤になったこなた。

「どう?それなら絶対忘れないでしょ?」
「そうだけど…」
「それともう一つ、あんたに渡すものがあるの。本命はこっちかな…」

 鞄の中から小さな紙袋を取り出して、こなたに渡す。
 普通に渡せばよかったんだろうけど、他にも何か思い出になるものを残したかった。
 だからこんな回りくどい真似までしたけど、結果だけ見ればよかったのかな。
 普段見れないこなたも見れたしね。

「これは?」
「開けてみて」
「…!これ…指輪?」
「ちょっと高かったけどね。あんたとの大事な日だもの。
 このくらい、どうってことないわ。
 それとね、その指輪のついてる宝石。ラピスラズリって言ってね。
 その宝石言葉…花言葉みたいなものね。それは―――」



「―――永遠の誓い」
「…永遠の、誓い…」
「この先もずっと、何があっても、
 こなたと一緒にいるって決めたから。その証」
「そっか…。私、ずっと大切にする」

 こなたは、その小さな指輪を胸に抱いた。

「しかし参ったなぁ。
 まさか、かがみも同じようなこと考えてるとは思わなかったよ」

 …同じこと?

「こなた?同じって、どういうこと?」
「私もかがみにプレゼントを用意してた、ってこと」
「え…?」

 そしてこなたが私に差し出してきたものは…。

「はい、これ。私からかがみへプレゼント」
「ネックレス…?」

 こなたが渡してくれたそれは、緑色の宝石のついたネックレスだった。

「これは、エメラルド…?」
「うん。エメラルドにはね、『幸福』って意味があるんだって。
 かがみと、二人で幸せになりたいから」
「こなた…ありがとう」
「かがみがくれた、ラピスラズリとあわせて『永遠の幸せ』、なんてね」
「そうね。なら…その二つの宝石に誓って永遠の幸せ、実現してやろうじゃない」
「大丈夫だよ。私は…かがみと一緒にいられれば、それが幸せなんだから」
「私も、こなたと一緒なら、絶対に世界で一番幸せになれるって思えるわ」

 こなたと一緒なら…何があっても平気。
 どんなことでも乗り越えられる。

「そういえば、どうして私にプレゼントなんて?
 だってあんた」
「―――今日は、私とかがみが付き合いはじめて、ちょうど一ヶ月の日。
 …だよね」

 ―――え?

「…!覚えてたの!?」
「当たり前だよ。一度しかない最初の記念日だよ?忘れるわけないよ」
「だって、あんた…」
「覚えてない、なんて言った覚えはないよ」

 …言われてみれば、こなたは覚えてないとは言ってはいなかった。
 シラを切っていただけ…?

「じゃあ、なんであんなこと…」
「かがみを驚かせようとと思って。
 まさか逆に驚かされるなんて思わなかったけどね」

 まったく…こんなことばっかり頭が回るんだから。
 こなたらしいといえばらしいけど。

「こなた。渡した指輪、貸してくれる?」
「…?いいけど、どうしたのさ」

 指輪を受け取り、こなたの左手を取る。
 そして、その薬指に指輪を通した。

「…じゃあ、私も。ネックレス、貸して」

 そう言って、こなたが私にネックレスをつけてくれた。

「ありがとう、こなた」
「ありがとう、かがみ」

 私の胸と、こなたの指でかがやく二つの光。
 その光に誓って、二人で幸せになる。絶対に…。

「私もね、かがみにもう一つプレゼントがあるんだ」
「こなたも?」
「その前に確認しておきたいんだけど…かがみ、今日はうちに泊まれる?」
「明日は学校も休みだし、大丈夫だけど…それがどうかしたの?」

 こなたの家でないと受け取れないものなのだろうか。
 だとしても、一体なんだというのだろう。

「よかった。もし断られたらダメになっちゃうとこだったよ」
「何なのよさっきから」
「えっとね。この日を記念して、かがみにご馳走してあげようと思って。
 先週から仕込みしてたんだ」
「本当?…なんか私のほうが割に合わないものになってきた気がするわ…」
「こういうのは気持ちの問題。私は凄い嬉しかったから問題ないよ」

 こなたは本当に嬉しそうにそう言ってくれた。
 この笑顔が見れたのなら、確かに実際のものが何であってもよかったと思える。

「私の家には後で連絡入れるから、行きましょうか」
「うんっ!あぁそうだ。言い忘れてたことがあったよ」
「言い忘れてたこと?」

 そしてこなたは私の耳元でこう、囁いた。

「今日はね―――」


    ―――お父さんもゆーちゃんも用事があって家にいないんだ。
       だから、今日は久しぶりに…ね―――


「なっ!?」
「ほーら、かがみ!置いてくよー!」

 道の先で手を振るこなたの笑顔を見て私は思う。

 ―――今日は眠れない日になりそうだ―――

fin



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  • こんなの反則だろおぉぉ!! -- 名無しさん (2010-07-22 14:53:01)
  • やばい!!甘すぎるやろ~~~~~~~~ -- 名無しさん組長 (2009-09-04 00:12:56)

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