こなたが告白された(後編)

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こなたに彼氏が出来た。それはかがみにこなたが好きであるという事実を与えたが、英知は与えなかった。
具体的になにをすればいいのか、かがみにはわからなかった。
強引に別れさすのは人としてどうかと思うし、意外とべた惚れのこなたたちに魔が差すのを待っているしかなかった。
(だけど、なんとなくそれは寂しいわ)
自分の卑しい心があるのを感じて、かがみは寂しくなった。友達なんだから別離を応援してどうするのだ。
四面楚歌だ。心に正直に生きるって難しい。
強くなると誓ったはずなのに戦うって決めたのに、なにも出来ずにいる。
だから、今日も下を向いてしまうのだ。こなたのいない帰り道を歩きながら。

登校時や昼食時には、こなたはいた。しかし、どれだけ近くにいても遠い存在だった。
かがみは、平常心をなんとか保ちながら、みんなと話をしていた。それでも、いくらかはへまをした。
たとえば、急にぼーっとしたり、急に泣きたくなったり、その症状は様々だった。
誰もかがみに対して変だとかおかしいとは言わないが、うすうす気がついているのではないだろうか。
日に日にこなたは幸せそうになるが、かがみは辛くなっていく。
実際に、かがみは押しつぶされていたのだ。自分の気持ちと現実との間で。
しかし、それを感じ取った人がいた。

こなたは、かがみが日に日に少しずつおかしくなるのを感じていた。
なにかに耐えているような、そんな感じ。今まで、彼氏のことがあったため、その関連だろうかと思っていたが、つかさやみゆきはそのショックから復活しているのに、かがみだけが相変わらずなのである。
それに彼氏が出来たことで、かがみがそれほどまでに落ち込むことがあるのだろうか。嫉妬とかはあるだろうけど、そんな間接的なこと忘れてもいい頃合のはず。
(おかしい)
こなたは、今日彼氏が用事で放課後一緒に帰れないのをきっかけにかがみと一緒に帰ろうと思った。
聞かないまでにしても、慰めることぐらいはできるはずだと考えたからだ。
「おおい、かがみ帰ろう」
「え、でも、彼氏と一緒に帰るんじゃないの?」
「なんか用事があるらしいってさ」
「そう、それじゃ、つかさも呼んで」
と、かがみはつかさを探す。
「あーそうそうつかさ、なんか職員室に呼ばれてたよ。先に帰ってて、だってさ」
「まったく、あの子たらなにをしたのやら」
ため息をつく、かがみ。でも、嬉しそうだ。
「よーし、それじゃ帰ろう!」

かがみは、こなたの申し出が嬉しかった。好きな人と一緒に帰るというのは、新鮮であった。たとえ、それが今までの日常であったとしても。
「いやーほんとに……」
こなたは一方的に彼氏の話題をしゃべる。
本当にこなたは楽しそうだと、かがみは考えると、自分が嫌になりそうだ。
(宣戦布告、戦い、強さ、本当にそれらは必要だったのかしら)
やはり、それらはこなたの幸せを思うと、行使できない力だった。
かがみはずっとずっと、考えていた。だけど、その考えは、自分を幸福にする思考でしかなかったのではないか。
そう思考の深みに入りかけた時、こなたは下を向いて少し寂しそうに、
「最近、かがみ変だよ」
「え」
「そうやって、悲しい顔をしたかと思えば、ずっと考えたり、なにか悩みでもあるの?」
こなたの寂しそうな顔をして、やっぱり同じようにかがみも寂しそうな顔をする。
「べ、別にない……わよ」
ここで、すべてを吐露してもよかったのかもしれない。でも、それだと台無しになってしまうから。こなたの幸せが。
「そう」
こなたは依然、寂しそうにしている。
(私がいたらダメになる)
こなたの表情を見ながら思った。
(私のせいでこなたが不幸せになる。それなら私なんかいないほうが……)
かがみは走り出した。こなたはそれを見て、驚いている。それでも振り返らずにかがみは走った。
(私はこなたと会ってはいけない。だって私は……)

どこかの公園のブランコに乗りながら、かがみは息を切らしている。こなたの顔も、こなたの体も、こなたの心も、でもそれ以上に好きだったこなたのことを忘れなくてはいけない。
あの日、確かに強くなると誓った。だけど、強さはいつからか忍耐力へと変わっていくのだろう。そうやって、ブランコのように揺れる心も、今は停止させて、ただ忘却に放り出さなくてはいけない。
もしかしたら、最初から強さなんて必要なかったのかもしれない。ただ、諦める強さだけ必要だったのかもしれない。
(諦めよう)
最初からそうしていれば苦労はなかったのに、とかがみ自嘲気味で思う。
(諦めることで全てがよくなるのなら……)
「かがみ……」
声が聞こえる。それは心からでもなく、まして天からでもない。目の前の少女からである。
「……こなた」
目の前の少女は髪を乱し、息を切らしていた。
「こなたっ!」
探してくれたんだと思うと急にかがみは泣き出した。
そんなかがみを見て、こなたは少しだけ困っていたが、やさしく抱きしめた。
かがみはこなたの胸でずっと泣いていた。すべての思いをこなたに伝えようと必死に泣いていた。
「かがみ、泣いてばかりじゃわからないよ」
母親のようなやさしい声でいった。うんと頷くと、かがみは降参した。
「あのね……」
言っていいのだろうか、迷った。だけど、こなたには勝てない。こなたから離れて、ちゃんと相手の目を見て、
「こなたのこと、好きなの」
こなたは驚いた様子を見せたが、いつものちょっとふざけた顔をしながら、
「じゃあ、両思いだね」
「え、どういうこと」
「私も、かがみのこと好きだよ」
とても軽い調子でいう。
「え、あ、え!」
口が思うように動かない。どこから質問すればいいのかわからないのだ。
「か、彼氏のことはどうするのよ」
「いやーだって彼氏とかがみは別物じゃん」
「私のこと好きって、それは友達としてだったの? だとしたら私は、こなたのこと……」
「わかっているよ、かがみ」
こなたは空を見ながら真面目にいう。
「だったら、別物って……」
「かがみは、私のどこが好きなの?」
「えっと……」
どこだろう。顔? 声? 体? 心?
ううん、どれも正解でどれも違う。そう答えは、
「こなたが好きなの。こなたと一緒にいるのが好きなの」
「うんうん。私も、かがみが好き。かがみと一緒にいるのが好き」
そういってから、こなたは一息ついて、
「だから、きっとそれは浮気じゃないんだと思うよ」
きっぱりという。それを聞いて、
「なんだか、それって男が浮気するときの言い訳みたい」
とかがみは笑いながら言った。やっぱりこなたには勝てない。
「というわけだから、かがみ一緒に帰ろ」
手が差し伸べられる。それを取り、二人は手をつないだ。
「やっぱり、笑顔のかがみが一番いい」
「私も、笑顔のこなたが一番いい」
そういいながら、二人は笑顔になる。これから何度も波乱があるだろうけど、今この瞬間はこなたを感じていたい。
こなたと一緒にいられる、そんなありふれた幸せを。

終わり



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コメント:
  • 別物? -- かがみんラブ (2012-09-20 08:29:40)
  • 三人称視点で話し進める必要性はないと思う。
    あ、でもでもとにかくお疲れさまです( ^ ^ )/□ -- 名無しさん (2011-02-26 22:35:10)
  • そんな都合のいい二股はいかがかと。 -- 名無しさん (2010-04-14 21:12:34)
  • うーん… -- 名無しさん (2010-03-30 01:51:30)
  • いいんだけど
    やっぱりこなたにはかがみ一筋でいてほしい… -- 名無しさん (2010-02-18 00:01:33)
  • 良い作品だと思います・・・でもでも、
    かが×こなファンの自分にはビミョー!! -- kk (2010-02-15 19:10:29)
  • いい話だが……これは………。 -- 名無しさん (2010-02-15 16:17:11)

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