こなたが告白された。

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こなたに彼氏が出来た。それはかがみにとって衝撃的な出来事であった。
昼休みの昼食時、こなたは彼氏が出来たと告げた。
その報告をするこなたの嬉しそうな顔を見てかがみは、複雑な気持ちになる。
「でさー、いつも放課後にゲマズとか行こうってなってね」
こなたと同類の彼氏らしい。気もあうのだろう。かがみは、つかさの作ったウインナーをフォークで刺すと、口の中に放り込んだ。
あまり味がしない。というより味を感じない。
「そうか、こなたにも彼氏か」
平静を装うためにもなんとなくつぶやいてみた。だけど、その言葉はより一層かがみを悲しくさせただけであった。
(なんで私、こんなに悲しいんだろう)
かがみは疑問に思った。こなたに先を行かれたから? 恋愛が羨ましいから? 
友人としては普通、喜ぶべきところなのだろうが、やはり悲しみと憂鬱さが増していく。
「かがみも、頑張れば出来るって!」
その慰めの言葉もただ空虚に響くだけだった。

おかしい。午後の授業中、かがみはそればかり考えている。
このよくわからないもやもやはどこから来て、どこへ行くのか。当ての無い感情の発露はどうすればいいのか。
かがみは自分でもよくわからなくなっていた。
(このせつなくて、やるせない気持ちはどうしてやってくるだろうか)
原因はこなたにあるのはわかっていたが、その原因からどうしてこの症状が出てくるのか見当もつかなかった。

放課後、こなたは彼氏とそのままどこかへ行くらしく、つかさと一緒に帰っていた。
かがみはいつもと違う帰り道に寂しそうにうつむいている。そんな様子を吹き飛ばすように、つかさは大げさに
「それにしてもこなちゃん、羨ましいね」
「まさか、あついに先を越されるとは思わなかったわ」
「お姉ちゃんも、頑張れば出来るよ」
こなたに言われたことをまたつかさに言われる。落ち込んでいることがつかさにもわかるらしい。だけど、その励ましの言葉はなんの意味を持たなかった。
「あーあ、こなたがいないと調子が狂うわ」
そういった後、かがみは悲しくなった。ここにこなたがいないことは、確かに調子が狂うのだが、それ以上の喪失感があった。
それきり、かがみとつかさはしゃべらなくなった。かがみはずっと押し黙ったように下を向いている。
(この胸を締め付けられる痛みはなんなんだろう)
自問自答しても回答は返ってこなかった。ただ、こなたの喪失を感じ、物足りなさが心に残っただけだった。


自室にこもり、予習、復習していたら結構な時間になっていた。
今ごろ、こなたはなにをしているのだろうかと、ふとかがみは思った。
そして、こなたに電話でもしようかと思い、電話に手が伸びた時、かがみの手が止まった。
もしかしたら彼氏と電話しているかもしれないし、邪魔しちゃ悪いかもと考えたのである。
そのとき、かがみは自分が泣いていることに気がついた。
(あれ、どうして私、泣いているの?)
ポロポロと落ちてくる涙を前にして、狼狽する。意味のわからない涙は、しかし、意味を持って出てくる。
こんなとき、急にこなたに会いたくなる。だけど、こなたに会えない。
(こなたぁ、こなたぁ)
かがみは何度も心の中で叫ぶ。こなたを感じていないと悲しくて胸がもやもやして、苦しかった。
やっとかがみは気がついたのだ、こなたが好きであると。
はじめて失って気がつく恋心は、もう行き場を失っていた。
淡くてむなしくて、そして悲しかった。
かがみはその晩、ずっと泣き続けた。自分がこんなにも弱い存在だとはじめて知った。
(こなたがいないと私、なにも出来ない!)
その心の叫びはこなたの元には届かない。ただ、空虚を漂うだけであった。


翌日、通学中にかがみはこなたと会った。
それは以前と同じ日常であったのだが、かがみはこなたに会って嬉しくなった。
こなたの声も、顔も、体も、すべて愛しくてすべて悲しかった。
(強くならなくちゃ)
かがみは決心する。
(こなたの彼氏に勝てるほど、強くならなくちゃ)
こなたと会話しながらかがみは何度も決心する。この誰よりも好きなこなたを誰よりも愛せるように。
性別の垣根なく、女同士だろうと構わない、そんな強い人になりたいとかがみは願った。
「どったの、かがみ? 今日はなんか変だよ」
「なんでもないわよ。あんたこそ、彼氏がいるからってちょっと浮かれているんじゃない」
「えへへ、かがみ、嫉妬してる」
「そんなわけないでしょ!」
こなたにつっこみながら、かがみはこの掛け合いが楽しいと感じた。
こんな日常、こんな掛け合いのために、かがみは頑張ろうとしているのかもしれない。

放課後、かがみはこなたのクラスにやってきた。
「お、かがみん、帰るの?」
「うん、つかさを呼びに来たの」
「つかさなら職員室に呼び出されていたよ。だから、先に帰ってだってさ」
「じゃあ、」
かがみは思い切って言ってみる。
「一緒に帰る?」
「いやー今日もちょっと……ね」
頭を掻きながら、こなたは悪そうな顔をする。また、彼氏と帰るのだろう。
「そう……」
かがみはちょっとだけ悲しくなったが、落ち込んでもいられないとすぐに立ち直った。
「へへ、かがみ羨ましい?」
こなたが悪戯な笑みを見せる。
「そうね」
穏やかにかがみは答えた。こなたはその回答を聞いてちょっとだけつまらなさそうにしている。つっこんで欲しかったのだろうか。
しかし、その先に続く言葉は、彼氏が羨ましいになるのだろう。
「おーい、こなた。行くぞー」
こなたの彼氏がクラスにあらわれて呼んでいる。
「じゃあね、かがみ」
というと、こなたは足早に彼氏の方へ行った。かがみは無言で別れると、その二人に背中を見せた。
(絶対に、)
かがみは、心の中でつぶやく。
(絶対に、こなたを振り向かせてやるんだから)
このとき、かがみはこなたの彼氏に宣戦布告したのだった。



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  • こういゆーの好きw -- 名無しさん (2014-08-29 23:21:46)

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