『こなかがライフ』

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「ふ~、さすがに疲れてきたヨ。」
「そうね…こうも荷物を移動すると、腰とか腕とかもうくたくたよ。」
「かがみがもう少しラノベを減らしてくれたら…」
「あんたがあんなにグッズとか持ってくるからでしょうが!!人のせいにすんな!」
とあるマンションの一室で、大きな声が鳴り響いた。


『こなかがライフ』


全く、こなたも少し考えて欲しいわよ!なんでこんな量のグッズを持ってくるかなぁ。
天候・気温・運勢も最高の日に引越しできるって言うのに、これじゃあ台無しよ!
ゆたかちゃんにみなみちゃんまで手伝いに来てるのに…。

「あの泉先輩…さすがに私もこれはさすがに多すぎるかと…」
「うん、持っていくときに私もそう思ったんだけど…」
「そうよ、いくらなんでもダンボール8箱は多すぎるわよ!」
「いやいや、10箱だよ?まだ、下の車に残ってるから。」
「なお悪いわ!!こんなにあったら邪魔で仕方ないっつーの!」

そういいながら、横に積んである箱を指差す。
その箱8つで既に寝室1つを埋め尽くせそうな量のグッズが入っていることだろう。
ていうか、まだ下にもあるのか…一体どういう生活をシミュレートしてきたのよ。

「えー、かがみんだってたくさんラノベ持ってきてるじゃん?」
「確かに重いけど本棚一つ分ないわよ。ほとんど置いてきてるし、あるのはお気に入りだけよ。」
「私も10分の1ぐらいの量しか持ってきてないんだけど?」
『じゅ、10分の1?!』

いつも多いと思ってたけど、この量で10分の1とは…さすがに知らなかったわ。
そんなだから、ゆたかちゃんの部屋にも少し置くはめになるのよ。
一応悪影響がありそうなのは避けて、ゆたかちゃんが興味ありそうなのに絞ったみたいだけど。
ただ、田村さんが書いた同人誌もいくつかあったような…。

「お姉ちゃん、それだと残りの9割は全部うちにあるってこと?」
「うん、そだよ。でもおとーさんとの共有倉庫の分は入れてないから、これで5%にも満たないかも~」
「とにかく何とかしなさいよね?これじゃあ、生活スペースがほとんどなくなるんだから。」
「むぅ、分かったよ…」
「それじゃあ、みなみちゃん、悪いんだけどこっち手伝ってくれる?」
「あ、はい。」
「それじゃあ、ゆーちゃん…こっちの手伝い、お願いしてもいいかな?」
「うん、いいよお姉ちゃん。」
「こなた、言っとくけど危ないものは自分で整理しなよ?」
「分かってるよぉ~、それぐらいは弁えてるって。」

☆★☆

数時間後

「ふぅ、やっとこっちは片付いてきたわね。」
「そうですね…後は衣類とかだけでしょうか?」

見渡すと居間にはマットレスや、カーテンはつけたし、部屋の形は整った。
テレビや冷蔵庫などは、既に業者さんが持ってきてくれていて、基本は軽いものだけだったから、
実際そこまで重いものはなく、テーブルと小型のソファーの位置を調整したぐらいだった。
小物もお気に入りだけ飾って、後はこなたと一緒に買いに行く予定だし、問題なしっと。
水周りや食器、玄関なども片付けは既に終わっていて、一つ除いて居間が最後だった。
そう、残ってるのは…

「…そうね、後は私とこなたの寝室のものだけね。私は自分でできるけど、こなた達大丈夫かしら?」
「ゆたかがいるから、大丈夫だとは思いますが…」
「はぁ…なんであんなに持ってくるのかしら。これから二人で暮らすってのに、結局こなたはアニメやゲーム、漫画のことばっかりだし…あーもう、腹立つ!」
「…嫉妬…ですか?」
「んなっ、ち、違うわよ!?ただ、もう少し二人だけで生活するって自覚を持って欲しかっただけよ。」
「それを嫉妬というのでは?」
「そ、そうじゃなくて、ほら、二人だけなんだから、こう、もっとしっかりしてもらわないとね?
もう、みなみちゃんったら何を言い出すのよ。別に嫉妬なんてしてないんだからね?」
「……が…ン…レ…?(ボソリ」
「えっ?」
「あ、いえ…ちょっと、ゆたか達の様子を見てきます。」
「う、うん、ありがとう。お願いね。」

何か違うことを言われた気がしたけど、この際気にしない。
なぜなら、みなみちゃんは的確に私の心情を捉えていたからだ。
確かにオタクなのはこなたのアイデンティティーだし、それもこなたの長所の一つ。
こなたを好きになった理由というより、それも「こなた」の一部であるから好きになった。
簡単に言うと、よくあるクサイ台詞だけど、全てひっくるめてこなたが好き。
だから責めるつもりはないけど…やっぱり少し、ほんの少しだけど寂しいかな。
(私も様子見てこよっ…)
そう思って立ち上がり、ドアを開けた…が

ゴン!
「はうっ」ドサッ
「ゆ、ゆたか?!」
「へっ?」

ドアを開けた瞬間、何かがぶつかって、倒れる音がした。
嫌~な予感がして、気をつけてそっとドアを開けて見ると、
目を閉じているゆたかちゃんを抱きかかえたみなみちゃんがいた。
言われなくても、大体のことは想像できた。

「ご、ごごごめん、もしかしてぶつけちゃった?」
「もう、かがみったら気をつけないとだめじゃん。全く凶暴なんだから~」
「うっ…」
「大丈夫です、ちょっと気絶しているだけなので心配ないかと…」
「え、ええっ?!気絶させるほど強く開いてたの、私?!」

そうだとしたら、かなりショックだ。自分では普通に開けたつもりだったのに。
ノックもしなかった私も悪いけど、これだと本当に凶暴と言われても仕方がないわね…。

「あ、いえ、ちょっと色々あって元々ふらふらしていたので、それが原因で…」
「色々って?」
「いやぁ、どの箱に何が入ってるかと書いてなくってさぁ、開けてみたら同人誌だったみたいでネ。
私が気付かないうちにそれを読んでて、ちょびっと刺激が強かったみたいなんだよね~。あはっ♪」
「……あはっ、じゃないわよー!!」ごんっ!!
「ふごっ!」
「ったく、殴るわよ?!」
「かがみぃ…いっつも思うけど、もう殴ってるってぇ…」
「うっさい!やっぱりあんたが悪いんじゃないのよ?!」
「えぇー、実際に気絶させたのはかがみに変わりないじゃん?それに、その本書いてたのひよりんだったから、興味がわいたのも仕方ないことだし~、ネ?」
「そりゃ…ノックしなかったり、そっと開けなかった私も悪いけどさ…。ていうか、どんな内容よ?」

そこに無造作に落ちていた同人誌を拾い上げ、中身を確認した私は固まってしまった。

「な、ななな、何よこれ!これ名前こそ違えど、どう見たって私たちじゃないの?!」
「いや、それもひよりんが書いたけど、ゆーちゃんが見てたのはこっちだヨ。」
「って、表紙見ただけでわかるけど、これだってゆたかちゃんとみなみちゃんじゃない!」

そう書かれていたのは、おそらく内容が濃いとされる百合本。
別にゆたかちゃんが見てはいけないレベルでないにせよ、かなり恥ずかしい内容である。
ほのぼのしているところこそあれど、キスシーンとかは無駄にシチュが凝っているように思える。
そこで、この間のことをふと思い出した。

「この間こそこそして、田村さんと話してると思ったら、もしかしなくてもこれのことか。」
「ん、まぁね。あの時、ひよりんとパティの会話で引っかかったから、問いただしたまでだけどね。」
「今度会ったら一言言っておかないと、今後どんなこと書かれるか分かったもんじゃないわ。」
「私も…これは、結構恥ずかしいから…」
「いやぁ、これでもかなり自重してくれたらしいよ~。もともとは年齢制限がバリバリかかるような内容だった所を、良心が働いて抑えたって言ってたしネ。」
「良心があるなら、書く前に一声かけてほしいわね…。私達だ、って特定されなきゃ、私もかまわないし。それにしても、あんたやけに庇うわね。何か取引でもしたんじゃないの?」
「いやいや、同じオタクとして気持ちがわからないでもないからね。特にこんなに身近に、願ってもいない話のネタがあって、毎日会うような相手だとどうしても考えちゃうもんだよ~。たとえば、毎日通る場所においしそうなアイス屋があったら、我慢しててもいつか食べたいと思うでしょ?それと似たようなもんだヨ。」
「なんか無理がある気もするけど…なんとなく分かるかも。でもねぇ…はぁ…。」

勝手にネタにされていたのも、同人誌として販売されていたのも、ぶっちゃけると構わない。
しかし、第三者からこう見られてる、と考えると恥ずかしくて仕方がないのが一つ。
それともう一つ、この漫画にあったシーンの一つが気にかかった。

それは、二人きりのお泊り会の場面。実は、まだ私達は二人きりで寝たことがない。
なぜなら今までは、大抵つかさとみゆきが一緒だったのもあるけれど、一番は私が恥ずかしいから。
二人きりになるチャンスもあったけど、恥ずかしくて、いつもつかさを誘ってた。
遊びに行くだけなら、こなたに自分の気持ちを感づかれることもないと思ってたから平気だったけど、
お泊り会となった時に、双子の妹を置いて一人で行った場合は、どう考えても怪しまれる。
気持ちが伝わった後なら、別にお泊り会をやっても良かったけれど、機会がなかった。
受験もあったけど、勉強会ついでも、こなたがどうしても一人で頑張ると言い張ったため諦めた。

(今から考えると、自分の受験校がばれないようにするためだったのかしら?まぁ、私もこなたが隣にいたら、どこまで集中してできたか分からないけどね…。)
でも、問題はそこじゃない。
そんな状況だった私たちが、明日からほぼ毎日、一つ屋根の下で二人きりということなのだ。
(今日からなのよね…嬉しくて頭になかったけど、今になって恥ずかしくなってきたわ…)

「かがみぃ~?顔赤いけど、なんか変な妄想でもしてたでしょ~」
「もぅっ…?!し、してなわいよ、そんなこと!ただ周りにこう見られてたと思ったら、恥ずかしくなってきただけよ!だぁー、そんなニヤニヤしてこっち見んな!!」
「いやぁ、本当にかがみは可愛いねぇ~♪好きになって良かったヨ~」
「あ…う~っ…」

こんなにも簡単にこなたのペースに持っていかれる…何かずるい。
でも、私も自然とその流れを心地よく感じているのはいつものこと。
もっと積極的になれば、こなたの反応も変わってくるのは分かってるけど、しない(できない?)。
やっぱり、私って…

「やっぱり私って、こなたに弄られるのが好きなのよね~♪」
「って、おいこら!何、勝手なこと言ってんのよ!そんなこと思ってないわよ!」
「いやいや、お酒が入った時のかがみんには私もたじたじだったし、やろうと思えば私を弄れるのに、
あえてそうしないのは弄られ好きだからじゃないの?今まで散々弄られておいて、私を嫌いにならずに、逆に好きになってるんだから、そうじゃないと辻褄が合わないジャーン?」

くっ、なぜこう言う時は無駄に鋭いのよ!っていうか、いつも図星指されてるのって私だけ?
そうだとしたら、こなたは私のことをよく分かってくれてることよね?
でも、悔しいからせめてもの反論をしておく。

「そ、それじゃあ、私がドMみたいじゃないのよ!私は積極的じゃないだけで、別にマゾとかじゃないわよ。むしろ、あんたが積極的だから自然とそうなったのよ…嫌じゃないのは認めるけどね。」
「もうかがみは素直じゃないな~。」
「なっ!だ、大体、あんたの言い方だと取りようによっては、あんたがっ…!」
「う~ん……あれ…?みなみちゃん?」
「あ、ゆたか…気付いた?大丈夫?」

ここでゆたかちゃんが目を覚まし、みなみちゃんが抱き起してあげた。
とりあえず、すぐに意識を取り戻してくれて、私もほっとした。
私もこなたに抱き起こされたいとか想像(という名の妄想)をしていたのは、秘密。

「うん、まだちょっとくらくらするけど、大丈夫だよ。」
「ご、ごめんね、ゆたかちゃん。私がドアを静かに開けなかったせいで…」
「ドア…?」
「ゆーちゃんはかがみんが開けたドアで頭打ったんだよ。」
「そうだったんだ…あ、でも私もぼーっとしてたので、気にしないでください。」
「本当にごめんね。ほら、あんたも謝る!」
「えっ、あ、そだね。私もごめん、ゆーちゃん。」
「…?なんで、お姉ちゃんも謝るの?」
「いやぁ、だってほら。あれ、見せちゃったしね。」

そういって、こなたは私がまだ手に持っていた同人誌を指さす。
ゆたかちゃんは私の手にあるものを見て、すぐに顔が赤くなってしまった。
なんだか私まで恥ずかしくなってしまい、それを両方共こなたに渡した。

「あ、う、ううん、だって、あれは私が勝手に読んだんだから、気にしなくていいよぉ。私も表紙絵を見て、それが私とみなみちゃんに似てたから、つい見ちゃったし…。」
「そこはこなたの管理方法に問題があったってことよ。あれだけ念を押したって言うのに。」
「いやいや、ちゃんと年齢制限物を分けたんだけどさぁ、ジャンルまでは考えてなかったというか、手が回らなかったというか。ごめんネ、ゆーちゃん。」
「ちょっと恥ずかしかったけど、大丈夫だよ~。お姉ちゃんたちは平気なの?」
「私は何回か読んでるし、もともと他ので見慣れてるから。まぁ、自分がモデルなのは、最初はさすがに恥ずかしかったけどネ。かがみは?」
「え、わ、私?そ、そりゃ恥ずかしいわよ。でも、もう気にしてないわ。結局はフィクションだし。」
「ある意味、これからノーフィクションになるだろうけど。」
「それを言うならノンフィクションだ!っていうか、何をさらっと言い出すのよ!」

ゆたかちゃん達がいる中でのとんでもない爆弾発言に、さっきの妄想が甦ってしまった。
思わず首を振って、振り払おうとしたけど、抵抗できずに顔が熱くなる一方。
あの純粋な二人も顔を真っ赤にして、少し焦りながらお互いを見合っている。

「同じベッドで寝るぐらい、すぐだって~♪キスしたり、抱きついたりなんていつものことじゃん?」
「そ、それと、これとは話が別よ!!」
「だって、これから一つ屋根の下というより、一つ部屋の中で寝るんだしサ♪可能性無限大だよ~。
むしろ、かがみが一番リアルにそうなって欲しいと願ってるんじゃないの?」
「んな訳あるかぁ!というか、一つ部屋の中ってどういうことよ?!勝手に人の寝室で寝るつもりじゃないでしょう……ね?」

ふと今まで気付かなかったのが不思議なぐらいだが、寝室は二つあるのに何故かここにベッドが二つ。
しかも、こなたの荷物が左角にたまっているので、右側にツインベッドみたいになって、並んでいる。
すぐさま部屋を飛び出し、自分の寝室になる予定の部屋を見てみると…
(な、なんじゃこりゃぁああーー!!)
ベッドなんてものはなかった。その代わりに机、本棚、椅子、パソコンがある…二つずつ。
要は、完璧な書斎みたいな形になってる。しかも、ケーブルやら何やらがほとんど接続済みで。
急いでもう一方の寝室に戻って(ドアはそっと開けたわ)、こなたに向かって言う言葉は一つ。

「い、いいいい、一体どういうことよ?!」
「なんか業者さんがね、配置間違えて置いちゃったみたいなんだよね~。」
「ちょっと、待て!あんた、それに立ち会ったんじゃないの?!」
「いやぁ、置いた後に気づいたから、入れ替えてもらうのも悪いと思ってね。あと、寝室と勉強部屋、分けた方が勉強の効率上がるかな~って。分からないところもお互いに相談できて、良い案じゃん?」
「た、確かにそうだけど…というか、相談してくるのは、主にあんただろうけどな。」
「それにかがみと同じ部屋で寝るなんて、ねぇ?…ぐふふっ」
「やっぱりそれが目当てなんじゃないのよ!私は納得してないからね!」
「とか言っちゃって~、本当は一緒に寝たいくせに~♪照れない、照れない。」
「て、照れてなんかないわよっ!!」

自分でもわかるほど顔が真っ赤なのだから、ただの照れ隠しにしか見えてないのだろう。
(それにしてもい、いきなり同じ部屋なんて。おまけにあれじゃ、同じベッド見たなものじゃないの…。)
とにかく、このままじゃいじり倒されるのが目に見えているし、それだと何も進まない。

「だぁー、もうとりあえずそれを片付けなさいよ!私とゆたかちゃんでもう一つの寝室、というか書斎を片付けてくるから、それまでに終わらせなさい!いいわね?!ほら、行くわよゆたかちゃん。」
「へ?ふぁ、は、はい!」

そういって、強引ながらもこなたに反論を許さず部屋を後にする。
「嫁に逃げられた!」なんて声が聞こえたけど、今は聞き流しておくことにした。
今の私の頭には、今夜どうするべきかでいっぱいだったから。

☆★☆

「はぁ…(あいつのことだから、絶対何かするわよね…部屋が別だからって安心してたのに…)」
「…ぉ~」
「う~ん…(とにかく疲れさせたりすればあっさり寝てくれるかしら?でも、徹夜でネトゲする体力があるわけだし、片付けと夕飯を作るぐらいじゃ無理かしら…)」
「あ…、…み…ちゃん?」
「うぅ…(それならいっその事、私から…って、何考えてんのよ私は!)」
「かがみお姉ちゃん!!」
「ひゃぁっ!あ、ゆたかちゃん?ご、ごめん、何かしら?」
「この写真は、どっちの机に置けばいいですか?二人とも写っているので、こなたお姉ちゃんのか、かがみお姉ちゃんのか分からなくて…。」
「あー、その写真は私のよ。左側の机に置いておいて…って、あれ?今、お姉ちゃんって言った?」

あまりにも普通に言うから危うく気付かなかったけど、そう呼ばれていることに今気づいた。
私の記憶が間違っていなければ、今朝、挨拶をしたときは普通に「かがみ先輩」と呼ばれていたはず。

「えっ、あれ?あ、あの、もしかしてお姉さまって呼んだ方が良かったですか?」
「ちょ、ちょっとストーップ!そ、そうじゃなくて、いきなりなんでお姉ちゃんって呼んだの?」
「え?えっ?さ、さっきこなたお姉ちゃんが、『これからはかがみも〈お姉ちゃん〉とか〈お姉さま〉って呼んでいいよ~♪』って言っていたので、てっきりかがみお…先輩も承知なんだと思って…。」
「ううん、知らないけど…またなんでそんな話に?」
「こなたお姉ちゃんに突然言われたので、何でかは分からないんですけど…」
「はぁ、何の脈略もなく話し出すのはあいつらしいわね。それで、どういう話だったの?」
「えっと、まず私から見て血縁的にはゆいお姉ちゃんが姉で、きよたかさんが義兄になりますよね?」
「え?えーと確か、きよたかさんって成実さんの旦那さんよね?だとしたら、そうなるわね。」
「それと本来なら私がこなた先輩と呼ぶところを、こなたお姉ちゃんって呼んでますよね?」
「まぁ、従姉妹だから先輩もよそよそしいし、間違ってないわね。それで?」
「だから、こなたお姉ちゃんのお嫁さんのかがみ先輩も、お義姉ちゃんになるって言われて…」

こなたの考えることだから大体予想はついていたけど、やっぱりその通りだった。
まぁ、別に迷惑でもないし、むしろ望むところだけど、何かむず痒いというか気恥かしい。
ゆたかちゃんに、こなたのお嫁さんと言われて顔が真っ赤になっているのが分かる。
ほんと、こういうことに抵抗がないわね、私って…。

「なるほどね、こなたの考えそうなことだわ。私は別にいいけど、ゆたかちゃんはいいの?」
「はい!むしろ頼れるお姉さんが増えて、嬉しいですから。」
「それなら、いいんだけどね。」

純粋さ100%の満面の笑みで返してくるゆたかちゃんには、いつも癒されるわね。
つかさが笑顔の時もそうだったし、妹の笑顔とかに弱いのかしら?つかさには結局甘いままだったし。
(まぁ、こなたの笑顔とかにも弱いからそうとも言えない…って、まさか私って…ロr…いやいやいや、そんなことはないはず。でも、これは絶対あいつには言えないわね。)

「あの~、本当にお姉ちゃんって呼んでいいんですか?迷惑でしたら…」
「あ、ち、違うのよ、ちょっと考え事をね。大したことじゃないから、気にしないで。それと、姉と呼ぶからには敬語じゃなくてもいいわよ。こなたと同じ感覚でしゃべってもらって構わないから。」
「は…じゃなくて、うん、ありがとう、かがみお姉ちゃん♪」
「うん、よろしくね。」
「はい!…あ、えっと、うん!」
「まぁ、慣れないうちは気にしないでね。そういえば、さっきの理論だけど…」
「なに、お姉ちゃん?」
「あれだと、みなみちゃんも私とこなたの妹になるのかしらね?」
「え?あ、はうぅ…もう、お姉ちゃんってば。」
「ふふっ、さっきのお返しよ。さてと、あと少しだしぱぱっと片付けちゃおうか。」
「うん、そうだね!」

☆★☆

「それじゃあ、またねお姉ちゃん!」
「うん、二人とも手伝ってくれてありがとネ~。」
「ホント助かったわ。二人がいてくれなかったら、どうなってたことやら。ねぇ、こなた?」
「むぅ…いいじゃん、無事に終わったんだから。」
「あの、それでは失礼します…。今日はお疲れさまでした。」
「うん、お疲れ!またね~」
「気をつけて帰ってね~。じゃあね、二人とも。」
「またね、お姉ちゃん♪」
パタン

片付けも何とか無事に終わって、ゲームで少し遊んだり、夕食を一緒に食べたりしていたら、
辺りはすっかり暗くなっていたから、みなみちゃんはこなたの実家に泊まることになった。
下で見送りを済ませて、今部屋に戻ってきたところなんだけど…静かなかつ微妙な空気が流れている。
一気に疲れが来て黙っているのもあるけど、なんて話したらいいのかが分からない。
不意にこなたが、

「かがみお姉ちゃん♪」
「んなっ?!」
「むふふっ、言われてみてどうだった?」
「あんたねぇ、そりゃびっくりはしたけど、つかさがいるんだから特に何もないわよ。」
「いやいや、ゆーちゃんがかがみに言うのに意義があるのだよ。」
「どんな意義よ?」

もちろん分かっているけど、あえて言わない。なんとなく言い返す気も出なかった。
長い付き合いだから分かることだけど、こなたの攻めからはそうそう逃げられない。
それに、今のこの状態じゃ到底こなたには適いそうもない。

「もう、気付いてないフリして内心では照れてるかがみ萌え~♪私に言ってほしいの~?」
「べ、別に今更嫁だの言われたって、何とも思わないわよ。」
「ツンデレも健在みたいだし、一安心だね♪よっ、ツンデレ大ひょふごっ!」
「それ以上ツンデレツンデレ言うと、殴るわよ!」
「もう殴ってるじゃん…。でも、いつものかがみに戻って良かったヨ。」
「えっ?」

急に優しさを帯びた声と言葉に、声が少し裏返り気味になってしまった。

「いや、めがっさ肩に力入ってたし、緊張でもしてるのかな~って。」
「そ、そんなことないわよ。ただ疲れてただけよ。」
「もう、ウソついたってバレバレだよ。どれだけかがみの事を見てきてると思ってるのさ?」
「あ、う…もう、恥ずかしいセリフ禁止…」
「これから一緒に暮らすんだから、れら~っくすしよーよ。ね、かがみん♪」
「…ばか…それを言うならリラックスでしょ…でも、ありがとうこなた。」
「いやいや、嫁を元気づけるのは婿として当たり前だしね~。そんじゃ、そろそろお風呂にでも入るかー!かがみも私と一緒に入ろっ、お・ふ・ろ♪」
「っ…!!」

すでに赤かった顔に、追い打ちをかけるように血が頭に上っていくのが分かる。
せっかくいい感じに落ち着きそうだったのに、やっぱりこなたはこなただわ。
別に何度か一緒に入ってるし、恥ずかしがることでもないんだけど。

「あれあれ~、そんなに顔を赤くしちゃって、どーしたのかなぁ?」
「あ、あんたが変な言い方するからでしょ!」
「言い方一つで、妄想しちゃうかがみ萌え~。」
「してないわよ、そんなこと!!変なことなんて考えてないんだから!」
「変なことってどんなこと~?私は妄想としか言ってないんだけどなぁ~。かがみのH♪」
「ううぅ、うるさい、黙れぇっ!!」

ニヤニヤ顔で近付いてくるこなたに、とことん図星を指されて、最早なす術もない。
この場からの逃げ道もなく、しばらくは主導権を握られることになりそうね…。

「かがみ…近所迷惑になるよ?」
「知らないわよ!それに、ある程度は防音にしてあるって、あんた自分で言ってたじゃないの!」
「いや、それはかがみが叫んだり、色々大声出したりするかもしれないしね~」
「ちょっと、あんたそれどういう意味よ!」
「さぁね~、んじゃお風呂お風呂~♪一緒に入りたかったらお好きにどうぞ~」

そう言い残して、私の腕をするりと抜けて、いつ用意してたのか着替えを持って風呂場へ向かった。

「こ、こら、待ちなさいこなた!…ボソリ…もう、あんなに狭いのに二人で入れるわけないじゃない…」
『抱き合いながらなら、入れるよ~♪』
「?!?!そ、そそそんなこと出来るかー!!ってか、なんで風呂場から聞こえてんのよ!!」
「へ~、本当にそんなこと考えてたんだ~。今、かがみの心を予想したんだけど、図星だったネ!」
「ぐぅ…分かったわよ、入ればいいんでしょ、入れば!」
「もう、素直じゃないんだからぁ。私と入りたいって言わないと、一緒に入んないよ?」

ひょこっと覗かせた顔は、すでに満面のニヤニヤでこっちを見てる。
ここで認めたら負け…なんだけど、今回は珍しく欲望が勝ったみたいで、

「うぅ………こ、こなた、一緒に、お風呂…入りたいんだけど…ぃぃ?」
「ナイスデレだヨ、かがみ~。んじゃ、どぞどぞ~」

☆★☆

「ふぅ、極楽極楽ぅ~」
「……(あ゛ぁぁあ、やばいぃ!)」

めちゃくちゃ狭いというわけじゃないけど、一人がようやく足を軽く伸ばせるようなお風呂。
そこに私たちは同時に入っているわけで、それもお互い向き合っているわけじゃない。
それだと窮屈だからと、先に体や髪をこなたが洗っていたのだが、今こいつは私に重なって座ってる。
こなたの後頭部と背中しか見えてないけど、お互い裸で大きく触れているわけで、そんな状況で私が
平静でいられるかというと、そんなわけはない。今、頭は噴火寸前、吹っ飛んでいきそうなレベルだ。
別に抱き合ってるわけじゃないけど、けどやばいって!!

「いやぁ、気持ちいいね~。特に背中の感触が♪」
「っ~!!お、おま、何でいつも思考がおやじなのよ!」
「かがみ様、正直たまりません、これ。」
「ネタはいいから、早くどきなさいよ!体とか髪が洗えないじゃないのよ。」
「だが断る!天国ともいえるこの場、そう易々と退くことはできんなぁ~。退くには対価が必要だネ。」
「なんでもいいから、早く退きなさいって!(そうじゃないと、私がもたないわよっ!!)」
「それじゃあ、失礼して。」

そういって、体を器用に捻って私の方に体と顔を向けたかと思えば、唇が触れ合っていた。

「んっ!んん~…はぁ…ふう、んんっ~~!!(いつもより、なが、い……もう…ダ…メ…)」

☆★☆

チチチ、チュン、チュン
「ん~ふあぁ。もう朝か…」

少しずつ目が覚め始めているが、まだ頭がはっきりと機能していない。
昨日は引越しがひとまず完了して、ゆたかちゃん達と遊んで、あとは風呂に入って…?
(あれ、そこからどうなったんだっけ?えーと、確か…)

「もう無理だって~、かがみぃん~…」
「…~っ?!」
(そうだ、こいつに思いっきりキスされて意識が…あれ、でもそのあとどうしたんだっけ?)

それを聞くには一つの手段しかない。ちょっぴりかわいそうだけど、昨日の仕返しもあるしいいわよね。

「もう入らないよぉ、かがみさmいったぁっ!!」
「早く起きなさいよ!ったく、どんな夢見てるんだか…」
「んぁ…、あぁ、かがみがめっちゃ料理上手になってる夢だったことは覚えてるな~」
「よっぽど殴られたいみたいだな…」
「え、ちょ、ちょまっ!ゆゆゆ、夢なんだから仕方ないじゃん!?」
「だったら、昨日どうしたのか教えなさい、いいわね?」
「そんなまた強引な…」
「いいから!」
「うぅ、言うからそんな怒らないでよ…。え~っと、私が確かキスしたら、かがみがお風呂でのぼせて、それで仕方がないから引き上げて、着替えさせて、あとは寝かせただけだよ。」

風呂場で気を失ったわけだから、ベッドで寝る状態にするまで全てこなたがやってくれた事になる。
しかも、髪の毛があまり痛んでないあたり、しっかり乾かしてくれたみたいだ。
でも、あまりにあっさりと言うものだったから、いつものこいつらしくもないと思って追及する。

「他に何にもしてないでしょうね?」
「してないって~。多少は悪戯心が芽生えたけどね、そこは私の高性能な良心が働いて…」
「普段から悪戯心の塊みたいなくせに、何言ってるのよ。」
「なんと!…まぁ、ちょっとだけ寝顔をねぇ~」
「って、やっぱりしてるんじゃないのよ!今すぐ消せ!」
「そんなの無理だヨ」
「なんでよ?!写真のメモリーぐらい…」
「だって、眺めてただけだし、あんな可愛いかがみの寝顔を記憶から簡単に消すなんて…無理だネ!」
「なっ?!ぁ、うぅ…」

てっきり携帯かなにかで写真を撮られたと思ってた私にとって、あまりの不意打ちだった。
まだ昨日のダメージが残っているのか、それとも朝だからか、普段より頭がくらくらする。
(あれ、何か世界がひっくり返ったような?そんなにやわだったの、私?)
と思ったら、こなたが私をベッドの上で押し倒しているだけ…って、ええぇ!

「な、何すんのよ!」
「可愛いから押し倒しただけだよ?」
「いや、それ大問題だから!ほ、ほらお腹減ったし、朝御飯の支度でも、ね?」
「そだね、じゃあまずは目の前にあるりんごから…」
「ちょっと、たんmんん~~っ!!………」
「…んはっ、ってまた?!」
「―――」
「普段より十秒ぐらい長くキスするだけで気を失うなんて…長い道のりになりそうだヨ(=▲=.;;)」

そう言って、こなたが布団をかけるために起き上がった瞬間だった。

「……隙あり!」
「ぐふぉぁ!気絶するフリとは…やるね、かがみん。」
「まだまだ、詰めが甘いわよ。ったく、今日だって沢山やることあるんだからね。さっさと起きるわよ!」
「くぅ~、かがみと〈お楽しみでしたね〉のはずが…って、まさか風呂のもわざと?!」
「さぁ、どうかしらね~(あれは本気でのぼせたんだけどね…)」
「かがみんがこんな策士だったとは!迂闊だったー!うぅ…私の願望はまだまだ先になりそーだヨ…」
「はいはい、朝御飯の用意するわよ。」
「…ブツブツ…」

どうにも私をすんなり攻められなかったのが、よほど悔しいのか朝っぱらからネガティブオーラが出てる。
私が拒否したんだと勘違いはしてないだろうけど、ほら…心の準備とかいろいろあるじゃない?
それに元々は別の部屋にしてもらうつもりだったんだから、あいつとしては願ってもいない状態のはずだし。
…あれ、あいつが仕組んだんだっけ?まぁ、どちらにせよ、元気出してもらわないとね。

「はぁ、ほらシャッキリする!これから一緒に暮らすんだから…その…機会はまだいくらでもあるでしょ?」
「…ま、そだね♪ていうか、何々?かがみも心の奥では期待してたのかな?ねぇねぇ♪」
「ううう、うるさいっ。もうっ、切りがないから、早く作るわよ!」
「子供を?♪」
「違う!!朝ごはんだ!とっとと作れぇ!」
「ジョーダンだって~。イエス・マイ・ロード!」

そう言って部屋を出て行き、キッチンの方へ向かった。
やれやれ、これから毎日これが続くのか…こなたと私の二人っきりの暮らしが…♪

-Fin-


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  • こなかがは正義!
    わかりますよ~ -- チョココロネ (2013-11-16 19:02:41)
  • >「ううう、うるさいっ。もうっ、切りがないから、早く作るわよ!」
    >「子供を?♪」
    こう言う掛け合いが出来る二人が凄く好きです!
    -- こなかがは正義ッ! (2009-01-21 23:21:40)
  • すばらしい(*´Д`*) -- 名無しさん (2008-10-07 10:15:47)
  • おおー。
    -- 名無しさん (2008-06-13 11:11:44)

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