ふたりの夜

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「まさか、こういう所だとは思わなかったねぇ」
「そんな暢気な事言ってる場合か!」
「だけどかがみんや。もうどうしようもないいんだから、
楽しんだほうが賢明だヨ」
「まぁ…そうなんだけど…楽しむって…」


五月の大型連休、というか所謂ゴールデンウィークの初日。
休日にふさわしい青空は雲ひとつなく、ぽかぽかの陽気だ。
大学も今日は何もなくてアルバイトも入れていない。大学に入って
こなたと二人で暮らし始めた私は朝ごはんの時の食器を洗いつつ
こなたに話しかけた。
ちなみに家事は分担制だ。食事に関して言えば、作るのはこなたで
片づけるのは私。…もっとも、これは私の料理の腕があまり良くないから
必然的にそうなってしまったのだけれど。

「今日、どっか出かけるー?せっかくの連休なんだしプチ旅行とか」
「んー?なんか今つかさからメールがあって、今からこっちに来るんだって」
「?つかさが?昨日電話したときには何も言ってなかったんだけど…。
…何かあったのかしら」

エプロンで手を拭きつつ携帯を弄っているこなたの向かいに座る。パタン、と
携帯を閉じたこなたがくすりと笑った。
「あーぁ。まだまだお姉ちゃんは妹離れ出来てないみたいだねぇ。
妬けちゃうなー」
「んなっ!?そ、そんなんじゃないってば!!ってかあんたにだって
ゆたかちゃんがいるでしょ!?」
「ちっちっちっ。甘いなかがみん。ゆーちゃんにはすでにみなみちゃんという
伴侶がいるではないか。もう姉離れも妹離れも済んだのだよ。」
言いながら、蒲団を取った炬燵の周りを四つん這いになってじりじり距離を
詰めてくるこなたに、嫌な予感がして私も同じ速度で後ずさった。
とん、と軽い衝撃があって背中に壁が当たる。その間にも
距離は段々と近くなって、ついに30センチも離れていない距離にこなたの顔が迫る。
「ねぇ、だから早く私だけを見て?」

分かってる。これはからかっているだけだって事。それでも、心臓が鼓動を早めるのは
惚れた弱みってやつなんだろう。
「……っ、そんなの、…分かるでしょ」
「いやあ、態度で示して貰わないと伝わらないことだってあるんだヨ?」
「た、態度って…」
「キス、とか?」
止まっていたこなたの動きが再開して、またお互いの距離が狭まって行く。目を閉じることも忘れて
こなたのエメラルドグリーンの瞳を見つめた。
「目、閉じてよ…」
こなたの言葉に目をゆっくりと閉じて――。

「お姉ちゃん、こなちゃん、おじゃましまーす…わ…!」
「すみません、朝早くから失礼します。…!!お、お取り込み中申し訳ありません!!」
「わぁっあああああ!!!?」
最初のは私の妹であるつかさの声、二番目は私、こなた、つかさの友人であるところの
みゆき、最後のは私の叫び声だ。こなただけがち、と小さく舌打ちをして慌てもせず
離れていった。タイミング良くと言うか、それとも悪くと言うべきか
つかさがみゆきを連れてやってきたようだった。あれを見られていたかと思うと
顔に一気に熱が集まって行く。
「あー、まぁ気にせず上がってくれたまへー」
「気にするわっ!!」


そうして、冒頭のシーンに戻るというわけだ。詳しくは省略させてもらうが
要するにみゆきの知り合いが経営しているホテルに皆で行かないか、という
ことだった。知り合いということで特別に料金を安くして貰えるみたいだったし
特に予定も無かったから、一も二もなく承諾したというわけだ。

「まさかこんなに豪華だとは思わなかったわよ…」
「みゆきさんの人脈を舐めてたね」
ヨーロッパの城を参考にしたという外見はゴシック調で、ここが日本だということを
忘れそうになる。もちろんご飯や部屋の中も外装に劣らないような代物だった。
夕食を食べ終え私とこなた、みゆきとつかさに分かれお風呂に入ると
漸く緊張の糸が切れた。大広間で食べる食事はそりゃあ美味しかったけれど
ただの大学生が来ていいところではないとひしひし感じて気まずい事この上なかった。
「んもー、楽しまないとせっかく誘ってくれたみゆきさんに失礼だよ?」
「ん…そうね。明日からはもっとリラックスするから」
「そだよ。…ところでパジャマ的なものがこれしかないのはもしや仕様?」
「そう、みたいね…」
バスタオルとともに置いてあった部屋着はベビードールだけで、私たちはそれを着ている。
まぁ、甚平とか置いてあっても雰囲気に合わないからこれを置いておいたのは
正解だと思うのだけど、普段着なれないせいか何と無く気恥ずかしい。それに
半袖から伸びるこなたの真っ白な腕だとか、細い脚だとかが…なんというか、
目に毒だ。そのせいで、さっきからこなたの方をまともに見ることが出来ない。
それを知ってか知らずかこなたがぽふん、とベッドに座っている私の隣に
腰を下ろして来た。
「ねぇ、かがみ。かがみの思ってること、分かるよ。私だってどきどきしてるもん」
「こな、た…?」
「かがみがそういうの着てるの初めてみるからさ、なんだか新鮮で…」
恥ずかしそうに頬を染めながら俯いて話すこなたに一際大きく心臓が跳ねる。
するり、と微かな衣擦れの音がして、気づいたらこなたを押し倒していた。
目を細め笑みを浮かべたこなたの左手が私の頬に触れる。瞬間、ぞくりと背中が震えて
もう頭の中にはこなたしかいない。
「大好きだよ、かがみ」
「私も…好き」

そうして、私たちは今日初めてのキスを交わした――。




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コメント:
  • いいですなーw -- 名無しさん (2014-08-26 23:53:43)
  • 幸せそうで何よりです -- 名無しさん (2010-04-18 13:02:50)
  • ああ、、、あの公式画像ですね。わかります -- 0210 (2009-03-16 19:13:34)
  • あの絵かWWWGJ -- 名無しさん (2008-08-12 22:39:32)
  • マジでいくのかw -- 名無しさん (2008-07-25 01:25:12)
  • おkエ○パロに行ってきます -- 名無しさん (2008-07-05 19:16:55)
  • はいはい。後は脳内フィルターで我慢しなさい。
    又はエ〇パロの方へGO -- 名無しさん (2008-07-04 21:50:28)
  • その後こなたとかがみは、あんな事やこんな事をしたのだろうか
    (*´Д`) -- ハルヒ@ (2008-05-27 14:58:47)

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