こなた×かがみSS保管庫

異常、デート?

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匿名ユーザー

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ここ最近、こなたの様子がおかしい。
やたらとそわそわしているし、何かを言いかけては止めるといった事は日常茶飯事で。
なぜだろう? とみゆき聞いてみたところ、苦笑だけが返ってくるし、
つかさに至っては今更気付いたの、なんて表情をされてしまった。
……なんとなく、腑に落ちないのはなぜだろう。



「こなたー?」
机に突っ伏してふう、と息を吐いているこなたを覗き込むようにして声をかける。
「ん、ああ。どしたのかがみん?」
「どうしたも何もお昼食べに来たのよ?」
こなたは、一瞬首を傾げ、あれ、と呟き、周りを確認し、
「もう昼休み?」
などとふざけた事を言い放った。
「あんたまた授業中に寝てたのか!?」
「いや、寝てはいなかったんだけどね?」
じゃあ何をしてたんだ。というか、寝てないならいいという問題じゃない。けれど。
「……授業くらいはちゃんと聞きなさいよ」
なんとなく、そっぽを向きながらそれを言うだけにしてやる。
最近はやたら呆けているし、それくらいは仕方ないかな、とも思――
「んん? かがみ、今日はやたら優しくない?」

びきん。ぎぎぎぎ。ごごごごご。
その一言と擬音は、教室の喧騒より、遥かに大きく聞こえた。

「やだなー? 私、は、いつでも、優しいわ、よ?」
油が切れた機械みたいな動きでゆっくりと詰め寄る。
詰め寄り、抑揚も発音もめちゃくちゃな喋り方で言葉を繋げる。
「あのー、もしかしてものすごく怒ってます?」
「そんなどこに私を怒らせるような要素が?」
ぎぎ、と音を立てながら更に距離を詰め、言う。
「あんたはいつもいつも――」
「ちょ、かがみ! 顔が近い!」
そんな事を言いながら制止してくるが、お構いなしに責め立てる。
「人を心配させておいてふざけた事を――」
「かお、ちかっ……心配?」
一時停止し、何で? と心底不思議そうに尋ねられた。
「え、………………空耳じゃない?」
さっきまでの焦りっぷりはどこへやら。
にやり、と笑って更に顔を近付けてきた。
「かがみんは、何で私の事を心配してくれてたのかな?」
ほお擦りされ、急いで顔を離すが、こなたはにやけた笑いをやめずに
「何で、なんでー?」
と、わざとらしく聞いてくる。
「う、うう、うるさい……!」
肺の奥から空気を搾り出すけれど、言えたのはそれだけで。
「うるさくないよ。うるさいって言うなら周りの方がうるさいもんねー」
そう言って、指をくるくる回すこなたから逃げるように辺りを見回す――
と、お弁当を食べているつかさとがっちり目があった。

「……先に食べるなら、声かけるとか、しなさいよ……」
「だってお姉ちゃん達、楽しそうだったし……」
弁当をほおばりながら申し訳なさそうに言う。が、ちょっと待て。
「今のどこが楽しそうに見えるのよ!」
「うーん、全体的に?」
……駄目だ。我が妹の頭の中は平和すぎる。
「みゆきもどこがだー、とか言ってやってよ」
やんわりと笑いながら傍観していたみゆきに話題を振ってみる。
きっとみゆきなら、分かってくれる筈だ。
「いえ、私にもそう見えていまして……」
が、困った笑顔をされ、すみませんと律義に謝られてしまった。
「このいい子ちゃん達め……」
一度この二人のフィルターを通して世界を見てみたい。
うふふあはは、なんて皆が笑っている綺麗な世の中なんじゃないだろうか。
「……あー、もういいや。私もお昼食べよう」
そんな想像がなんだか馬鹿らしくなって、逃避するように席につく、と。
「早く食べないと休み時間終わっちゃうもんねー」
こなたがいつの間にかチョココロネを食べていた。
「…………っ」
わなわなと拳を震わせながら、もきゅもきゅとコロネを食べるこなたを見る。
「ごめんごめん。お腹空いちゃってさー」
「あ、ん、た、は……っ!」
お弁当を開きながら、じろり、と恨みがましく睨んでみるがまったく効いていない。
それどころか、何かを思い出したかのようにあ、と呟き、
「かがみ、今日の放課後デートしない?」
なんて、爆弾発言を投下した。
「な、何言ってんのよ!?」
「だからデートしむぐっ」
「わ、わかった! わかったから! 行くから!」
口を塞ぎながら必死に答える。
頼むから、そんな事大声で言わないでほしい。

「――で、どこに連れてく気?」
口から手を離して極めて普通の声で聞く。
うわずってるなんて絶対にないので、そう聞こえたら耳が悪いだけなのだ。うん。それだけ。
「秋葉!」
――勢いよく言う声に思わず、ずっこけた。
「それはただの寄り道だ!」
「本人がそう思ったなら、それは既にデートなんだよ?」
「そうですか。そうですね」
「突っ込んですらもらえない!?」
冷たくあしらってみるが、行くと言ってしまったからには付き合わねばなるまい。
……これはこなたの作戦か?
むむむ、と唸ってみるも真意は分からない。

「デートって言っても、秋葉原に寄って帰ろうってだけなんじゃないの?」
「行くところは秋葉でもデートはデートなんだって」
「何でそこまでデートだと言い張るかね……」
しかし、こなたがデートという言葉にこだわる理由は何なのだろう。
首を傾げてみると考えている事を見透かしたかのように
「そりゃあ、デートがしたいからでしょ」
と、誇らしげに仰られた。
「……またアニメか何かの影響か?」
「……あー……」
ちょっぴり困ったようにコロネを咀嚼しているところを見ると、図星だろうか。
だからそっち系は分からないってのに……。
「まあ、ほら、デートはデートだからね。放課後よろしくー」
「はいはい。分かったわよ」
一応、頷きで返し、最後の一口を食べたところで調度よく予鈴がなる。
「んじゃ、つかさ。私はこなたと帰るから、悪いけど先に一人で――」
帰ってて、と伝えようとすると少し呆れたような声でうん。頑張ってね、と言われてしまった。
何を頑張れと? 一瞬、頭を捻る。
けれど既に予鈴はなっているし、いつもの天然かな、と思う事にしよう。
「うん。じゃ、私は自分の教室戻るわ」
じゃねー、と言う声を背で受け止めながらこなた達の教室を後にした。

……デート、ねえ。

 ◆

授業になんて、集中出来るはずなかった。
さっきまでは特に意識してなかったのに、冷静になると恥ずかしくなるというか。
「なんだって、あんな」
自分にも聞こえないくらいに小さく呟いて、外を見る。
よく晴れている空。青くて、綺麗で、あの日とは対象的な。
そう。おかしいな、と思い始めたのはあの雨の日からだ。
前までもスキンシップはしてきたが、あれは少し過剰なようにも思える。
なんというか、それ以来、こなたのちょっとした行動が気になるし。
なんだってんだよー、と今すぐにでも叫びだしたい気分を抑えて先生の言葉を聞き取ろうとする。
それでも、空気の振動は右から左へ逸れていって、それは私の頭の中も同じで。
何一つ纏まらないまま、時間は過ぎていく。

きーんこーんかーんこーん。と、授業の終わりを告げる鐘の音で正気に戻った。
なんだかんだと考えていても、体はいつもの習慣を覚えているようで、
ノートにはきっちりと授業の内容が書かれていた。
「……助かった」
ぱたん、と小気味よい音を立ててノートが閉じられる。
そしてそれらを鞄にしまい、意識しないよう振る舞う為に気合いを入れた。
「かっがっみー!」
教室に来るなり、語尾に音符マークが付きそうなくらいに明るい声で駆け寄ってくる。
あほ毛がぴょこぴょこと揺れていて、犬の尻尾みたいだ。
と、言うより今のこなたは飼い主に寄る犬っぽい――いや、それは流石に失礼かな。
「はいはい。じゃあ、行きますか」
思わずにやけかけた頬を騙すようにふう、と息を吐いて頷いた。

「デートだよ、かがみー」
昇降口を出るなり笑顔を浮かべてこなたが私に振り向いた。
「ええい、しつこい。一緒に遊ぶだけでしょうが」
赤くなっているであろう精一杯顔を反らしながら答える。
「そうだね。んじゃ、少しデートっぽくしてみようか?」
「え? 何を――」
するのよ、と聞く前にこなたの指と私の指が絡んでいた。
これは、所謂……?
「こいびと、つなぎ?」
頭に浮かんだ事をそのまま口にしてはみるけれど、それが何なのかすぐには理解しきれなかった。
「……かがみ?」
と、どしたの? と見上げてくる目と声でようやく、事態を把握した。
「…………な、」
「な?」
「なに、なにを、何してんのよ、あんたはっ!」
「さっき、かがみが言ってた通りの事だけど?」
ぼん、と顔が熱くなったのを感じて、目一杯叫ぶ。
「は、離せぇっ!」
「別にいいじゃん」
「全くよくない!」
ばっくん、ばっくんと心臓が破れそうな程に暴れている。
送り出された血液が握られてる手とかの感覚を鋭敏にして、余計に恥ずかしい。

「だって、あの時の方がくっついてたよ?」
「あの、時?」
「相合い傘した日」
あれ以上熱くはならないだろうと思ってた顔が、一段と、熱くなる。
「だ、だってあれは、濡れないようにするためで!
 デートとか、言われてたら意識しちゃうし……!」
無我夢中で言い訳をするとぽけん、とした顔をして
「――かがみはやっぱり可愛いなあ」
くくく、と笑いを堪えるようにして手を離してくれた。
さっきまで温かく包まれていた手が風にさらされてちょっぴり、冷たくなる。
「また今度しようねー」
「二度とするかこんな恥ずかしいの……!」

それでも、冷たくなった手は少し悲しくて。
その、それくらいならしてもいいかな、という気分に、させられてしまった。
……この辺、淋しがり屋だと、からかわれる理由なのだろうか。

「そのかわり、してあげるわよ」
「ん?」
「デート。……だけど、つまらなかったら、承知しないんだからね?」
しかし、素直になれない私にはそれが精一杯で。
ぶっきらぼうにそう言うくらいしか出来なかった。

「――――うんっ!」

それを聞いて、大きく頷くこなた。

この笑顔を見られただけでも、デートをする価値はあったのかもしれない。



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コメント:
  • GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-02-24 23:30:45)
  • こなたが、めっさカワイイ(≧∇≦) -- チハヤ (2008-07-19 12:18:36)
  • ニヤニヤが止まらんwww -- 名無しさん (2008-05-25 22:21:15)

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