「小さい頃にさ、ままごとってやったよね?」
こなたの口から突拍子の無い発言が出たのは、昼食を済ませた後の昼休みのことだった。
「何よ、いきなり?」
「昨日、ゆーちゃんと話してたんだ。小さい頃はよく一緒に遊んでたねって」
「昨日、ゆーちゃんと話してたんだ。小さい頃はよく一緒に遊んでたねって」
こなたは思い出すように身振り手振りを使いながら話している。
「ふーん、それでままごとが出たってワケね」
「そうなのだよ。私もネトゲばっかりしてたわけじゃなかったんだねー」
「そんな小さい時からネトゲ漬けだったら、もう色々終わりだろ…」
「そうなのだよ。私もネトゲばっかりしてたわけじゃなかったんだねー」
「そんな小さい時からネトゲ漬けだったら、もう色々終わりだろ…」
今でも終わりかけているとは口に出さずに、私はこなたの話を聞き続ける。
「でね、思ったんだけど…今の私達でままごとをするとすれば、誰がどの役にピッタリかなって」
「なんかいきなり話が飛躍したな…」
「なんかいきなり話が飛躍したな…」
不満そうな返事をしながらも、何となく頭で考えてみる。こなた、つかさ、みゆき、私の四人でままごとか…。
「みゆきさんはどんなのにする?」
「そうですね、私なら…」
みゆきは少しズレかかった眼鏡を上げ、聖人の微笑みで答えた。
「そうですね、私なら…」
みゆきは少しズレかかった眼鏡を上げ、聖人の微笑みで答えた。
「泉さんとつかささん、私とかがみさんが夫婦なんてどうでしょう?」
「んなっ!?」
「私と…こなちゃん?」
「おぉ!?み、みゆきさんにしては何だか意外だ…」
「んなっ!?」
「私と…こなちゃん?」
「おぉ!?み、みゆきさんにしては何だか意外だ…」
こなたの意見に激しく同意せざるをえない。
まさかみゆきがつかさとこなたを応援してたなんて。それに、みゆき…私のことをっ?
まさかみゆきがつかさとこなたを応援してたなんて。それに、みゆき…私のことをっ?
「ちなみに夫役は泉さんと私。更に泉さんとかがみさんの、私とつかささんは幼馴染設定です」
私の動揺を無視して、新たな設定が上乗せされていく。こなたはいつも眠そうな目を見開き、つかさは唖然としながらそれを聞いている。
「どちらの夫婦も、親からの強要により愛の無い結婚をしてしまいます。その為泉さんはかがみさんを、私はつかささんを、本当に好きな人を強く求めてしまいます。たった一人、愛すべき人を…」
えっと…誰かこの子を止めるべきではありませんか?明らかに昼メロの見すぎだろ。そんな私の思いは虚しく、みゆきは楽しそうに話を続ける。
「それぞれの想いが溢れ出した時、遂に夫達は妻ではなく…ずっと想い続けていた幼馴染と一夜を過ごしてしまう。この一夜を忘れることなく生きていこうと心に決めながら…」
話は更にエスカレートしている、こなたは少し顔を引き攣らせながら、つかさは顔を赤くしながらモジモジしている。
「そこで終わっていれば良かったものの、神からの罰なのか…そのことがお互いにの家庭にバレてしまい………という愛憎劇はどうでしょう?」
「………」
「………」
「あは、あはは…」
「………」
「………」
「あは、あはは…」
私もつかさも…何も言えなかった。こなただけが辛うじて、渇いた笑い声を上げている。
「実はこの話はまだ続「つかさは、どんな配役がいいと思う?」
「へっ!?わ、私ー?」
「へっ!?わ、私ー?」
ナイスタイミングこなた。みゆきには悪いけど、それ以上はもう語らせまい。だって…あまりの刺激につかさが倒れるから。
みゆきは少し残念そうな顔をしながら、つかさを見ていた。
みゆきは少し残念そうな顔をしながら、つかさを見ていた。
「私は…みんな仲良く一緒に暮らしていけたらいいなぁって思うよ」
周りの人まで幸せにしそうな表情で、つかさは最高の言葉を言った。
「うんうん、やっぱりつかさは良い子だ…」
「尊敬します、つかささん…」
「尊敬します、つかささん…」
こなたとみゆきも大絶賛。さすがはつかさ。四人の平和の象徴は間違いなくあんたよ。感慨深くしみじみしていると、こなたは次に私の方を向いた。
「ねーねー、かがみんはどんな配役にする?」
「わ、私!?」
「うん、どんな配役にしたい?」
「そうね、私なら…」
「わ、私!?」
「うん、どんな配役にしたい?」
「そうね、私なら…」
頭の中で一つの光景を思い浮かべてみる。
一つ屋根の下に私と…。
一つ屋根の下に私と…。
―――。
仕事帰り、私は疲れた身体を引きずりながら愛する妻が待つ家へと向かう。
その手には妻の大好物のチョココロネを下げながら。
その手には妻の大好物のチョココロネを下げながら。
『かがみ、おかえりー』
『ただいま、こなた』
『ただいま、こなた』
学生の頃から相変わらずの小さな身体と長い蒼髪に不釣り合いな、少し大人っぽいエプロン姿。
ああ、なんて可愛い嫁なんだ…。
ああ、なんて可愛い嫁なんだ…。
『先にご飯にする?それともお風呂?』
質問の度、首を左右に傾けながら尋ねてくる。
『えっと、今日はご飯にしようかなー』
『分かった!それじゃあ用意するから待っててね』
『分かった!それじゃあ用意するから待っててね』
私の返事を聞くと、一つ柔らかな笑顔を見せてリビングの方へと走って行った。私はこなたが用意を済ませる間に、服をスーツを着崩し少し楽な格好になる。
そのままテーブルに座り、こなたが来るのを待つ。
そのままテーブルに座り、こなたが来るのを待つ。
『用意出来たよー!』
『こなた、チョココロネ買ってきたから……って!?』
『こなた、チョココロネ買ってきたから……って!?』
振り返り返事を返そうとしたが、目の前の驚くべき姿のこなたを見た途端、私は息が止まりそうになった。
『こっ、こなた!?その格好は一体…』
『えへへ…』
『えへへ…』
何と言うか…その容姿からは想像も出来ない、セクシーな下着のみを身につけたこなたが私の前に立っているのだ。
恥ずかしそうに頬をかく姿が、私をより一層呼吸難に陥れる。
恥ずかしそうに頬をかく姿が、私をより一層呼吸難に陥れる。
『今日のご飯は…私だよ、かがみん』
『………うぁ…』
『………うぁ…』
こなたはとびっきりの笑顔を見せる。私は口をパクパクとしながら辛うじて息をしている。顔が熱いし言葉も出ない。頭が考えることを止めている感じだ。
『こ、これは流石に…ダメだったかなぁ…』
私の反応に悪気を感じたのか、こなたはしょんぼりしながら言葉を濁している。
『………』
『かがみ…』
『………』
『かがみ…』
今にも泣きそうになりながら、細々と私の名前を呼んでくる。
ああ…もう無理、これは限界だ。
ああ…もう無理、これは限界だ。
『全く…こんな大好物を目の前にして、食べずになんていられないわよっ!』
『え?』
『え?』
床は冷たいフローリングだったが、私はそんなことを気にせず、彼女を押し倒した。
こなたは少し驚いているようだったが、それ以上に何かを期待するような眼差しを私に向けている。
こなたは少し驚いているようだったが、それ以上に何かを期待するような眼差しを私に向けている。
『かがみぃ…』
『こなた…』
『こなた…』
こなたを見つめる視界の端に、先ほど買って来たコロネが見えた。その瞬間、私の心にほんの少しだけ、悪戯心が芽生える。
『ねぇ…こなた。あんたの好きなコロネ買って来たから、今から食べるわよね?』
『え…?』
『え…?』
私の言葉に、こなたはムッと顔をしかめ始める。
その表情を見た私は、更に追い打ちをかけるためにこなたの上から退こうと身体を上げる。
…が、それは私の腕をつかむ小さな手によって止められた。
その表情を見た私は、更に追い打ちをかけるためにこなたの上から退こうと身体を上げる。
…が、それは私の腕をつかむ小さな手によって止められた。
『コロネなんかいらない!それよりかがみがいいんだもん!』
涙目になりながら必死に訴えてくる様子を見ると、ちょっと焦らし過ぎたか?と思ってしまう。
声には出さず心の中で謝罪をし、出来る限り優しい微笑みをこなた向ける。
声には出さず心の中で謝罪をし、出来る限り優しい微笑みをこなた向ける。
『ふふふ、嘘よ。私も…こなたが1番だからね』
その言葉を聞いた途端、こなたのしかめっ面はすぐに崩れ、変わりにとても嬉しそうな笑みを浮かべた。私はそんな可愛い彼女を抱き寄せ、額に一つキスを落とした。
『大好きだよ、かがみ』
『私も…好きよ、こなた』
『私も…好きよ、こなた』
―――。
「ちょっと、かがみん!話聞いてる?」
「へっ!?ほ、ホントに食べていいの?」
「へっ!?ほ、ホントに食べていいの?」
私の偽り無き本音に、三人は不思議そうな顔をしている。
「…かがみ、お昼食べ足りなかったの?」
「お姉ちゃん、何か買ってこようか?」
「私も着いて行きますよ、つかささん」
「お姉ちゃん、何か買ってこようか?」
「私も着いて行きますよ、つかささん」
ああ、今のは妄想なのね。それも飛び切り素敵な…。これじゃあみゆきのこと言えないじゃない。全く…自分の脳内クオリティの高さに、良い意味で涙が出そうだ。
「べ、別にそんなんじゃないわよ!」
「じゃあどうしたのさ?」
「じゃあどうしたのさ?」
私の思いを無視して、こなたはしつこく同じことを問い詰めてくる。
言えるワケないでしょ、あんたとの新婚生活をシミュレーションしてたなんて…。
言えるワケないでしょ、あんたとの新婚生活をシミュレーションしてたなんて…。
「も、もう…何でも良いじゃない!そーゆーあんたはどうなのよ?」
「私?私は…」
「私?私は…」
こなたに話を振ることにより、私はどうにか尋問から逃げることが出来た。
いや、ただ話を逸らす為だけに話を振ったワケじゃないんだけど。だって私のことなんかより…こなたの意見が聞いてみたいから。
「んー…まぁお父さんは私で決まりかな?」
「こなちゃんがお父さんかー」
「こなちゃんがお父さんかー」
よし、夫役は大丈夫。こなたはきっと選んでくれるわよね。私だけがあんな妄想してるなんて…惨め過ぎるもの。
「それと…お母さんはかがみ!」
「…っ!」
「…っ!」
よし、やっぱりきた!想定の範囲内の解答に、小さくガッツポーズを決めようとしたら…
「それにつかさとみゆきさん!」
「へっ…!?」
「へっ…!?」
あれ?幻聴が聞こえたような…。つかさとみゆき…何それ美味しいの?
「一人なんて選び切れないよ。だからみんな私の嫁に決まりー!」
この言葉に意識を取り戻す。…開いた口が塞がらないとはまさにこのことか。
ガッツポーズを決めるハズだった腕はダラリと落ちてしまった。
ガッツポーズを決めるハズだった腕はダラリと落ちてしまった。
「あれ?どうしたの、かがみ?」
「………」
「………」
酷いよ、こなた…。
私達付き合ってるんだから………。
例えばの話でも…
遊びの話でも…
私達付き合ってるんだから………。
例えばの話でも…
遊びの話でも…
「ばか…」
「ふぇ?」
「ふぇ?」
こなたは私だけのこなたじゃなきゃイヤなのっ!!
「こなたの…バカァァァァァ!!!!」
「の、のわっ!!かがみん?どこ行くのさー!?」
「の、のわっ!!かがみん?どこ行くのさー!?」
―――。
こうして私はこなたのもとを去り、再び妄想の中へ…ってのはなかったけど。
こなたは後でちゃんと謝ってくれたし、それに…夜には妄想が現実になったから大満足!
あ、これはまた別のお話になるんだけどね…
あ、これはまた別のお話になるんだけどね…
おわり。
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- みゆきワールド…じゃなかったかがみワールドだわこれ -- うに5 (2014-05-14 21:49:28)
- かがみワールドすげwww -- 白夜 (2009-10-20 20:33:37)