KEEP YOURSELF ALIVE2

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秋の彩りが薄まり、木枯らしが吹き始めた
ある日の事…。

「最近は一緒に遊んでないよね~。久しぶりに家に来る?」

電話の会話の中で、何気なくこなたは言った。
ふむ。言われてみればそうかも。

「そういえば学校で会うだけで最近は
確かにあまり遊んでないわね。」

それもそのはず今は年末も近づき、
私達三年生は受験勉強も佳境に
差し掛かっているのだ。
更に中間、期末と定期試験があっては
遊べる時間も自然と減っていくものである。
十月にもなるとそれはより顕著になった。
…中にはそんな事など関係ない生徒も居そうだが…。
私もこの時期になってからはラノベも読むことも
少なくなってきた。
新刊を買っても本棚の中身が充実してくだけだ。
こなたの言うところの積みゲーみたいなものだろうか。
電話で話すのも久しぶりな気がする。
しかしお菓子を食べる量だけは減っていなかったりする。
これはちょっと自重するべきだろう。

 「ちょっと面白い格ゲー買ったんだけど、
かがみなら好きそうかなと思ってさ。
ちょうど今日は土曜日だし明日の日曜日でどう?」

もう私が来る事を前提で話を進めている。
まず相手の都合を聞くことが先だと思うのだが…。
しかし大抵はいつも誘いに乗るので慣れっこである。

「おいおいまだ来るとは一言も言ってないわよ。
まぁ明日なら空いてるしいいわよ。」
「なんだ結局来るんだ。」
「勉強ばかりってのも気疲れしちゃうしたまには
息抜きもいいかもと思ってね。」
「あれあれそんな言い訳しなくても本当は寂しかったって
素直に言っていいんだよ~?やっぱりかがみはツンデレだなぁ。」

やれやれこいつはまたつまらん挑発を…。
単に『ツンデレ』って言いたいだけなんじゃ…。
いつもように私はお決まりの言葉を返す。


「だからツンデレ言うなっての!
それよりあんた受験勉強はちゃんとしてるんでしょうね?
一夜漬けが効くほどいつもの試験とは勝手が違うんだからね!」

こんな時に遊びに誘ってくるのはある程度順調で安泰か
だらけて遊びの誘惑に負けているかのどちらかだ。
進学を選んだと聞いた時、こなたにしては意外だったが
こうも余裕に満ちていると逆に不安である。
だからつい保護者じみた台詞を言ってしまう。

「大丈夫だよかがみん。さすがにこの時期となれば
私だって本格的にやってるさー。…ほどほどに。」

どうも最後の一言が引っ掛かるがほんとに大丈夫か?
自然とお節介な台詞が口をついて出る。

「いつもみたく『宿題写させて~』みたいには行かないわよ?
あんたの事だからやる時はやるし、あまりうるさく言わないけどね。」
「あはっ、心配してくれてるの?なんだかんだ言って遠まわしに
心配してくれるかがみん大好き~。」

大好きとはこれまた大げさで珍しい…。
いつもなら『~なツンデレかがみん萌え~』とか
言ってくるのに。しかし何故か『大好き』という
言葉が妙に耳に残る。
私は何事も無かったように話を続ける。

「はいはい分かった分かった。じゃあ時間も遅いしもう寝るわ。
こなたもネトゲなんかしてないで早く寝るのよっ。」
「う~んもう十二時過ぎてるし、今日はもう寝ようかな。
さすがにちょっと眠いな。」
「ん?『今日は』ってまさか昨日も深夜アニメとか見てたりしたの?
今のうちに規則正しく寝起きする習慣つけとかないと
後が辛いわよ?」
「いやいや今は録画して録りためてるからその辺はばっちりっすよ。」
「やれやれ相変わらずね。少しは自重しなさいよ~。
それで明日は何時ごろに行けばいいのかしら?」
「そうだねぇ…んと、十一時くらいでいいよ。」
「十一時でいいのね?それじゃおやすみ。」
「ふぁーいおやすみ~。」

こなたはどうやら本当に眠気が限界のようだった。
そのまま寝落ちしてなきゃいいのだけど。
やれやれと小言をいいながら電話を切る。
そこでさっきこなたが言ったあの言葉が脳裏を横切る。

「大好き…か…。どうしたんだろ?妙に気になるけど…。」

いつも同じ言い回しなので気まぐれに変化球でも
使ったのだろうか?だがしかし私も限界なので
さっさと明かりを消して布団を被って考えるのを止めると、
すぐに意識を手放す事が出来た。


…休みの日はどういう訳か、やけに早く目が覚めてしまう。
時計が鳴る前に起きてしまった。
これなら別にアラームをセットしなくても良かったかな?
何だか損をした気がしてしばらく布団の中でもう一度
微かな眠気を消化しようとする。
あれ、いつから私はこんなにダラダラするようになったんだっけ?
もしやこなたの影響か?いやいやそんなはずはない。
私がこなたの影響を受けて変わってしまうくらいなら
あいつも私の影響を受けて少しはまともになるべきである。
とりあえず『宿題写させて』が無くなれば言う事ないんだけど。
未だにそれがないので多分、私自身が少し疲れているのだろう。
他愛も無い事を考えるのを止めて、よいしょと気持ちを
奮い立たせてベッドから抜け出て支度を始める。
私は日曜日の朝に何をそんなに張り切ってるんだろうね?

「あれー?お姉ちゃん日曜日なのに早いね?あふ…。」

つかさがまだ重そうな目をこすりながら部屋から出てくる。
もはやお馴染みの朝の挨拶である。

「早いってもう九時過ぎてるんだけど…。
ちょっとこなたの家に行ってくるからね。」
「ふーんこなちゃんのとこ行くんだ?ごゆっくり…。むにゃ…。」
「昼過ぎまで寝てたら駄目だからねー。
母さん達にはつかさから言っておいてくれる?
じゃあ行ってくるね。」
「ふぁーい…。」

緩いやりとりをして家を出るがおそらくあの様子では
あの子は五分と持たないだろう。
やれやれ、これなら直接母さんに行き先を告げれば良かったかな。
今日は幸いにも快晴で雲一つなく、澄んだ空気に磨きが掛かっていた。
洗練された蒼がそこには広がっていた…。こなたの髪みたいに…。

「なんでそこでこなたが出てくるんだろ…。
昨夜のこと意識しすぎたのかしら…。」

あどけなく笑みに輝く緑の瞳を思い出しながら
独り言を漏らす。
そして泉家に向かう途中で昨晩、睡魔に負けて放棄した
『大好き』の意味をまた考えていた。
どうしてだろう、何気ない些細な会話の中での一言なのに…。
ぼんやり考えながらもようやく泉家に辿りつく。

 「やふー、いらっしゃーい。」
「おーす今日はちゃんと起きてたわねー。偉い偉い。」
「私だっていつも夜更かししてるわけじゃないよ~。
それに今日はかがみんが来てくれるし、寝てたらもったいないよ。」
「なっ、臆面も無くそういう台詞を言うなって。
こっちが恥ずかしくなってくるわよ。」
「え?なになに照れてるの?隠さなくていいんだよ~?」


うぐ…。少しでも隙を作るとめざとく突いてくる。
しめたと言わんばかりにニヤつく表情が憎たらしい。
どうも弱みに付け込んで主導権を握られている気がしてならない。
こればかりはむかっ腹が立つ。

「それで昨夜言ってた面白い格ゲーってどれよ?」
「今やってるとこ~。先に説明書だけでも読んどく?」
「そうさせてもらうわ。…で、どれよ?」

こなたの部屋は無数のゲームや漫画などが空間を占めていて、
その中に新しいものが混じっていてもどれがどれだかまるで
解らない。しばらく見ないうちにまた量が増えてる?

「え~っと…あ、あったあったこれだよ。」

どうやら自分でも何がどこにあるのかよく把握できていないらしい。
それで同じ本を一度に三冊買うのだから大したものだ。

 「ふーん…『ギ○ティ○アイグ○クス○○セントコア』ねぇ…。
えらく長いタイトルね。」

パッケージのイラストといい、タイトルロゴがやけに殺伐としているような。
ふむふむ、絵柄が結構アニメチックなのはむしろこなたの趣味なのでは?
おおまかに操作方法やシステムを読んでみる。
なるほどこれまた複雑そうである。私もある程度ゲームはやるが、
初めての人間にどういう意図を以ってこんなものをやらせようと
するのか全くの謎。

「ま、習うより慣れろっていうしね、かがみんもすぐに慣れるよ。」
「あんたにしては正論を言うわね…。でもさすがのあんたでもすぐには
無理でしょ?」
「え?私は慣れっこだよ?これゲーセンで動いてるやつだし
よく遊んでたよ。」
「ちょ、まさか対戦相手が欲しくてわざわざ誘ったの?」
「まーそうとも言うね~。」

やれやれ素直じゃないのはどうやらこなたの方らしい。
今までだって散々いろんなことに付き合ってきたし、
これくらい相手してあげるのに…。
まぁこんな時期では無理もないか。でもこなたって時々
変なところで気を使うのよね。

「それじゃ肩慣らしに始めよっか。」
「私は初めてなんだから少しは手加減しなさいよ?」
「分かってるって。まずは練習練習~。」

 BGMは割とロックっぽい。悪くないかも?
さて、使用キャラはどれにしようか…。
お?このヨーヨーを使う女の子なんか可愛くてよさげかも。
だがしかし…。

「かがみんはツンデレだからソルでいいよね?」
「ちょ、勝手に決めるなって!」
「大丈夫大丈夫、一応初心者向けのキャラだから。」
「いや私はこのヨーヨー使う女の子が…。」
「あーそのキャラ男だよ。にひひ。」
「な、なんだってーーーッ!?」


ショックから立ち直れそうにないので半強制的に決められたこのソルなる
キャラクターで始める事にする。
…なかなか癖が無く動かしやすい。こなた曰くゲームのシステムの
基本的なものを体現しているそうだ。初心者向けだからだろうか。
しかしさっきのツンデレだからどうこうというのはどういう
関係があるのだろうか?

 しばらくはこなたがダミー役となって技の練習台となってくれて
操作にもようやく慣れてきた。

「お~だいぶサマになってきたねぇ。ここらで一つ勝負してみる?」

と、こなたがワクワクした表情で聞いてきた。

「そうね、いつまでも練習じゃ上達しないだろうしいっちょやってみますか。」

そんなこんなで私のデビュー戦が始まった。(家庭用版だけど。)



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