プロジェクト・こなかが 外伝~3年B組朝の……~

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「……それで、かがみさんとつかささんが先に来られたのですね」
「うん、こなちゃんから‘遅れるから先に行ってて’って連絡もあったしね」
「まぁ、遅れた理由が夜更かしのしすぎで寝過ごした、なんて言うのはこなたらしいんだけど。受験生って言う自覚が足りないのよね、アイツは」

 いつもと同じ朝。HRが始まるまでの僅かな時間、B組にかがみが遊びに来るのはもはや必然といっても過言ではなく、いつもの4人で他愛もない世間話に花を咲かせるのもこれもまた必然。
 だが、往々にしてこなたが遅刻するのも、よくあること。
 本当に、いつもの朝。
「あ、かがみさん。ずっと立っているのもお辛いでしょう。泉さんの席今は空いてますから少しお掛けになったらどうですか?」
「そうね。こなたはまだ当分来ないだろうし、そうさせてもらうわ」
 と言って、かがみが未だ主の来ないこなたの席に腰を落ち着ける。
「でさ~、聞いてよ。昨日こなたが遅くにさ――」
 そして、また、3人で他愛もない話に戻る。

「でね、こなたがその時――」
「こなたったらまた宿題やっていないみたいで――」
「こなたがね――」
「こなたが――」
 ……とは言え、みゆきもつかさも話の主導権を握るタイプではないので、必然的にかがみが会話の口火を切る事になるのだが、その殆どがこなたに関する話題と言うのは如何程なものか。
「お姉ちゃん、こなちゃんの事話してるとき、何だか嬉しそうだね」
「ええ、本当に」
 1人で昨日こなたと酢豚のパイナップルについて夜遅くまで議論をしたと語り続けるかがみを端に、みゆきとつかさは目を合わせると、コッソリと苦笑した。

「――いや~、ゴメンゴメン。遅れちゃったよ~」
 で、話題の主。こなたがやってきたのはそれからもう間もなくのこと。かがみの話題はこなたが作る生ハムメロンの味についてに及んでおり、どうしてそんな事を話していたのかと首を捻るつかさ。隣でただただ微笑むみゆき。
「いや、参ったね。録画って便利だけど、録ってあると安心してつい後回しにしちゃって、でも一回見だすと止まんなくなっちゃうんだよね~」
 やれやれ、と机の上に鞄を置くこなた。
「全く、ちゃんとメリハリつけなさいよ。受験生なんだし」
 途端に‘ツンモード’に入るかがみ。
「え~?いいじゃん。勉強の合間には休憩が必要だよ~」
「アンタの場合は休憩がメインだろうが!」
 グッとツッコムかがみ。AHAと笑うこなた。
 それはそれとして、と机の上に荷物を展開しつつ、
「何でかがみんは私の席に座ってるのかな?かな?」
「あ、かがみさんがずっと立っているのも辛そうだったので、泉さんが来るまでの間に、と私が進めたんです。勝手な事をしてすみません」
「いやいや、みゆきが謝ることはないわよ。遅れたコイツが悪いんだし」
 と、かがみが立ち上がろうとした刹那。
「それにしても、かがみさんが泉さんの席に座っていても、あんまり違和感がありませんね」
 機先を制す。後はぶつけるのみ。
「だよね、お姉ちゃんいつもうちのクラスにいるから、もうB組の一員みたいな感じ」
 それを聞いて、いい事思いついたとニヤッと笑うかがみ。

「そう?じゃあ、このままB組に入っちゃおうかな~」
 上げかけた腰を再び椅子に落とす。
「ちょ、かがみ、そこは私の席だって」
「ふふ~ん?私がC組み抜けちゃうと穴ができちゃうから、こなたがC組に入りなさいよ」
「え~?」
「と言うわけで、ここは私の席。ハイ決定」
 と、こなたの席で伸びをする。勿論、そんなことで出来るわけもないし、いつもの些細な冗談。だけど、
「でも、泉さんに抜けられても困りますね……」
「そうそう、私が抜けたら一体誰がB組を纏めて行くと言うんだねかがみんや」
「いや、纏め役はみゆきだろ……」
 みゆきからつかさにアイコンタクト。この天然さんなら、絶対、
「あ、じゃあ、やっぱりお姉ちゃんもこなちゃんもB組の一員ってことにすればいいんじゃない?」
 と言う。
「それはいい考えかもしれませんね」
 笑顔で同意。
「む~……じゃあ、私の席は?」
 むくれるこなた。
「泉さんには今まで通りの席がありますから。問題はかがみさんの方ですね。席のストックはありませんし」
「そうだ!お姉ちゃんとこなちゃんで同じ席を使えばいいんだよ!」
 我ながら名案。と微笑むつかさ。
「どうやってですか、つかささん?」
「えっとね……お姉ちゃんがまず椅子に座って、その上にこなちゃんが乗るの」
 キラン。こなたの瞳が光る。逆襲のこなた。
「それいい考え!じゃあちょっと失礼して――」
 よっこいしょ、とかがみの膝の上に腰掛ける。
「ちょ、こなた!?」
「ん~、この柔らかすぎず固すぎない所がまた何とも言えませんな~♪」
 2人の身長差から丁度、こなたがすっぽりとかがみに包まれている形になる。
「人を椅子に使うなんて」
「ふっふ~ん?これはさっきのお返しだよ。私、泉こなたが粛清しようと言うのだ」
「エゴだよ、それは!」
「地球が持たん時が来ているのだよ、かがみん♪」
 丁度、かがみの胸元に来ているこなたの頭。うりうり、と擦り付ける。
「意外とあるジャマイカ、かがみんや」
「そんなセクハラのおっさんみたいな……んっ、くすぐったいってば」
「うりゃうりゃ~♪」
「だから……っ、くすぐったいって……ぁっ!」
「参ったか、かがみん♪」

 にまぁ、と満足げな表情のこなた。ここまでされてされっぱなしというのもかがみにとっては納得の行かない状況であるわけでして。
「……えいっ!」
「ひゃうっ!?」
 こなたはかがみの胸中にあり。つまり、最初から手中に落ちていたのだ。
 ぎゅ、っと思い切りこなたを抱きしめるかがみ。
「これなら、もう動けないわよね」
「む、むぅ……」
「さて、どう料理してやろうかしらね」
「かがみは料理が下手だから、つかさの方がいいなぁ」
「そんな減らず口、いつまで叩けるかしら?」
 攻 守 逆 転。こなたの耳元に口を近づけると、
「恨むなら、身長の低い自分を恨みなさいね♪」
「むぉ、人がさり気なく気にしている事を……」
「ふっふっふ……えいやっ」
「ぅう!?」
 後ろからこなたの髪に顔を埋めるかがみ。
「あ、何かいい匂い……意外ね、ちゃんと手入れしてるんだ」
「そ、そりゃ……私だって、一応女だしさ」
「一応って……ま、いっか。さらさらしてる♪」
「くっ、くすぐったい……」
 身を捩ってかがみの腕の中から逃れようとするが、がっちりとホールドされてそれは叶わない。
「みゆきさ~ん、つかさ~、助けて~」
「あ、そういえば私日直でした。黒板を綺麗にしませんと」
「じゃあ、手伝うよ、ゆきちゃん」
「お願いします。つかささん」
「そんな~……」
「さて、次はどうしようかしら?」
 こなたを抱く腕に力を込めるかがみ。すると、2人の密着度もそれだけ増す、と言うもので、
(うわ……かがみ、何かドキドキ言ってるよ)
 普段伝わらないような心音までしっかりと伝わるわけだ。
「こなたって、線が細いのに意外と柔らかいのね」
「う、ど、どうも……」
「それに、‘あまい’」
「ふぁぁ!?」
 こなたの耳に届くのはかがみの吐息。そして甘く暖かい触感。
「くすぐったいって!っていうかかがみの方が――」
 振り向く。交錯した碧色と菫色の視線。ついでに言うと超至近距離。
「「あ――」」

「朝っぱらから元気があって大変よろしい。けどな、チャイムはとっくに鳴ってんで?」
「「ごめんなさい……」」
 ここは、職員室。朝の時間というのは不思議なもので、するりと手から零れ落ちる水のようにサラッと流れてしまう。
 HRが迫っていた時間に、あんな風に遊んでいたら、まあ、当然先生に見つかるわけで。それが独身女性でロマンスの欠片もないような先生だと、全くいちゃついてる様に見えた2人はけしからんと。お叱りを受ける次第となったわけだ。
「んで?お前ら一体何してたんや」
 B組担任・黒井ななこ先生(2×才 独 身)は顔を笑わせて目を笑わせないと言う器用な真似をしながら2人を詰問する。
 答えに窮るのは当事者の2人。
「えっと……スキンシップって言うか」
「ちょ、ちょっとした……まぁ、察してください」
「ほうほう。つまりは、アレやな。そんなに2人は離れたくないと。ウチに見せ付けたいと。そういうわけか!!」
「せ、先生!何か逆恨み入ってますよ?」
「そんな事あらへん。なあ?泉、柊?ウチがもう直ぐ三十路で、CD出しても構わん歳になることへの当て付けなんやろ?」
 ダメだ、目がいってしまっている。こうなった黒井先生を止めるのは不可能。そう思われた時、
「黒井先生。その辺にしておいてあげてください」
 救いの主。救世主。
「みゆきさん!」
「みゆき!」
 が、現れた。
「高良、ウチの覇道を邪魔するんかいな!」
「そ、そうではなくて。お2人も反省しているようですし。次の授業もありますから。どうかこの辺で……」
「……まあ、高良がそこまで言うんやったら」
「それに、黒井先生には大人の魅力もありますから。歳の事は気にしなくても大丈夫ですよ」
「ほ、ホンマか!!」
「ええ」
「そかそか。うんうん。やっぱり女はじっくり磨き上げるもんやな。よし、泉、柊、もう行ってもええで」

「ほぁ~、助かった……」
「全く、あそこでみゆきがフォローに入ってくれなかったらどうなっていたか」
「お2人が無事で何よりです」
 にこりと微笑むみゆきは、正に、今の2人にとっての救世主だった。
「それにしても、何でこんなことになったのやら……」
「だよね……」
 はぁ、と嘆息するこなたとかがみ。それを見て、みゆきは眼鏡を直すように手を当て、視線を隠すと、
「さて?何か切欠があったのかもしれませんが、例えばかがみさんを泉さんの席に座るように誘導した何か、とか。でも、過ぎたことですよ」
「……そうね。過ぎた事言っても始まらないし」
「じゃ、とりあえず昼寝に行こうか」
「ちょっと待て昼寝じゃなくて授業だろうが」
「私にとって英語の授業はお昼寝タイム、なのだよ。後でノートよろしく」
「誰が見せるかっ!」
 などと騒ぎ立てながら教室へ戻るこなたとかがみ。それを見送ってみゆきは、
「ちょっと後押ししてあそこまでやりますからね……もう一押し、と言ったところでしょうか」
 眼鏡にかけていた手を離した。



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コメント:
  • 覇道ww -- 名無しさん (2012-12-16 13:38:31)
  • 黒井先生もガンバ! -- かがみんラブ (2012-09-17 07:50:54)
  • やっぱ黒井先生恨めしいの半分羨ましいの半分かwww -- 名無し (2010-08-11 00:06:13)
  • 黒井先生w w w -- 名無しさん (2010-04-05 10:53:48)

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