こなた×かがみSS保管庫

2月14日

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匿名ユーザー

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さて、2月14日。所謂バレンタインデーであるが、渡される方は兎も角、渡す側にとっては必死になって準備を行う必要がある。それが本命ならば、なおのこと。
 では、互いを想い合う少女達、彼女達がそれぞれの為に必死になってチョコを作る様を2月13日に遡って見てみたいと思う。

 2月13日、時刻は昼頃。高校三年生は既に家庭学習期間に入っており、学校に行く必要が無いため割と気楽な時期ではないだろうか。進路が決まっていない場合はそうでもないが。
 さて、進路が決まっているかどうかは兎も角、この物語の主人公である四人組も翌日に控えたスーパーイベントの為に入念なる準備を行っていた。
 しかし今、4人組と言っても一人足りないのだが……

「みゆきさん、遅いね~」
 そう言ったのは泉こなた。いつもの様に人の字を書く猫口をしながら、今日はエプロン装備。お菓子作りの準備は万全。
「そうね、みゆきが遅いなんて珍しいわね」
 答えたのは柊かがみ。こなたと同じくエプロン装備。そして、さり気なくこなたの隣に立ち、或いは傍目にはその肩を抱いているようにも見える。本人に自覚なし。
(ゆきちゃん、大丈夫かな……?)
 口に出さず心の中で呟くのは柊つかさ。エプロン装備は、言うまでも無いだろう。

 さて、ここいらで少し話しておかなくてはならないことがある。こなたとかがみは両想いである。友人、では無く、恋、の方で。
 ただし、あまりにも近く居すぎる為に本人達はそのことに気が付いていなかった。
 なので未だ現れていない登場人物、高良みゆきが色々手を回して、恋心を自覚させるまでには至ったのだが、何の因果か、相思相愛であることには気が付かない、と言う鈍感振り。
 仕方が無いので、みゆきは事情を周りに話して、告白イベント、両想いであることに気が付かせる、そのための詰め将棋を今行っている、と言うわけだ。
 このバレンタインも勿論その一つで、事情を承知しているつかさは、上手くいくかどうか、まぁ、割と心配している。

 と、その時だ。
「遅れてすみません。材料の買出しに手間取ってしまったので。私のせいで始められなかったことを謝ります。それとも、何か奢ったほうがいいでしょうか?」
 謝罪を述べながら入ってきたのはみゆき。エプロン装備であることは……面倒だからもう言うまい。
「いやいや、みゆきさんなら可愛いからオールオッケー!」
 ビっと親指を立てるこなた。‘可愛いから’の発言にかがみのみゆきを見る目に殺気を帯びたが、本人は自覚なし。気付いたのはみゆきとつかさ。でも余計なことは言わない。

「じゃ、じゃあ、みんな揃ったし、とにかく始めようよ」
 空気を変える為に、つかさが提案。ことお菓子作りに関しては彼女の右に出る対抗馬はここにはいない。故に首を横に振るものは誰もいない。

 さて、チョコレート作りの始まりなわけだが、
「ちょっと……素材用チョコの量多くない?」
 と、かがみ。
「そうでしょうか?これでも考えて買ってきたのですが……」
 みゆき。多いのは承知のうえ。考えてきたのは別のこと。今は言わずとも後で分かるだろう。
「ま、必要な分だけ使って、後は普通に食べちゃおうよ」
 こなた。実に彼女らしい提案。だが、
「ま、まって!余った分のチョコは私に頂戴!後で使うから」
 慌てるつかさ。その言葉に反応するのは姉であるかがみ。
「え~、もしかして本命?」
 違うよぉ、と首を振るつかさを尻目に、余った分はつかさに渡す、と言うことで決着が付いた。

 ところで、チョコレート作りの工程をご存知の方はいるだろうか?
 自分が欲しい、決まった形にするためにはまず溶かす必要が当然、ある。
 故に、
「あ、かがみんや、鼻にチョコが付いてるぞ♪」
「え、嘘っ!」
「ちょっと待ってて、取るから」
 跳ねたチョコが誰かにくっついて、それを意中の人が取ってあげる。なんて定番なイベントか。
 取ったほうも、取られたほうも想い合っているのだから、顔が紅くなるのもやむなし。で、互いに
(こなたは――)(かがみは――)
*1
 なんて考えてるのだから、ちょっと呆れたものだ。いい加減気付きなさい。

 さて、実はチョコ作りの工程、よくは知らないので省いてしまうのだが、とにかく後は型に嵌めるまで、と言う状態。
 さてはて、バレンタインチョコ。形といえば当然、
「ハート型でしょ!フラグ立てるには必須だね!!」
 グッと拳を握るこなた。そんなこなたを愛しそうに眺めながら、あることに気が付く、かがみ。
「ところでこれ、私達の間で渡しあうものよね?フラグって……あんたもしかして私達の中に好きな人がいるとか?」
 期待半、不安半の問い。
 聞いてるみゆつかは背筋が凍る思いがした。こなた流に言えば、ここで選択肢をミスったらバッドエンド一直線。

 こなたは、問いを発したかがみを見、次いで自分のステータス、貧乳に手を当て考えること凡そ30秒。
「女同士……だよ?」
 ヤバイ、本気で思うみゆき。
「そ、そうよね……」
 落胆の仕方がいつもと違う、気が付くつかさ。
「でも……ありなら……」
 ボソっと呟いたこなた。おや?
「私は、かがみが好き!」
 言った!ついに言った!聞いたかがみも顔を真っ赤にしている。

 だが、人生そんなに甘くない。と、言うか2人が鈍感すぎる。
「そ、そうよね。私も、こなたが好きよ……親友だもんね」
「う、うん、そう、親友だもんね~」
 ここで身も蓋もないことを言えば、こなたはかがみをノンケだと思っている。かがみもこなたをノンケだと思っている。
 故に、今の告白。好き、の度合いをずれた方向に解釈してしまうのだ。なんと言うヘタレ。でも、親友、と言うニュアンスに悲哀が込められている分、悲しいすれ違い。
 一瞬でもお2人がくっついたと思った私の時間を返してください、とみゆきは口にも表情にも出さないが、思った。
「つかささん……この詰め将棋、かなり難易度が高そうです」
「う、うん……2人ともどんだけぇ~」

 で、まぁ、なんやかんやあったわけだが、ついにチョコは完成。
 完成は今日でも渡すのは明日。
「で、この残ったチョコはどうするのよ?」
「えへへ~、内緒だよ♪」
 妙に楽しそうなつかさを訝りながらも、かがみは、こなたと一緒にアニメ○トに買い物に行く。
 かがみと一緒ならポイント溜まるしねぇ~、と本当は一緒に居たいだけなのに強がるこなた。本心に気が付かないかがみ。前 途 多 難。

「さて、つかささん。明日のメインイベントの為の準備を始めましょうか」
「うんっ!」
 頷きあう、みゆつか。さてはてメインイベントとは?


 さて、2月14日。
「渡しあい~」
 昨日作られたチョコがみんなに配分される。ハート型。
「かがみん、私のハ~トを、た・べ・て」
「……本気にしちゃうわよ」
「え、何か言った?」
「な、何でもないわよ!」
 と、ヘタレ2人組は、婦婦漫才。
 そこへ、
「お姉ちゃん、こなちゃん、見てこれ」
「「うおぉぅ!」」
 声が揃う、パーフェクトハーモニー・完全調和。だが、やむなし、つかさが持ってきたモノは全長2メートルはあろうかという巨大チョコ。

「昨日の余りで作ったんだよ」
 正確には、わざと余らせて作ったんだよ。多目にみゆきが買ってきた理由は、これ。
「あまりに大きすぎますので、切らないと食べられませんね」
 微苦笑する、振りをするみゆき。
「すみませんが、泉さん、かがみさんで切っていただけませんか?」
「えっ、私達で?」
「はい」
 反論する暇を与えるほど、この作戦はチョコほど甘くは無い。ささっと二人の手に結婚式場で見かける、
「入刀の儀用の包丁です」
 を、握らせる。

 それが意味する所、流石に鈍感なこなかがでも分かるようだ。今2月、でも室内温度は7月位?
「さぁ、遠慮なさらずにどうぞ」
「チョコ、入刀~♪」

「ど、どうする、こなた?」
「う~ん、ここでやらないと、空気嫁って言うね。私なら」
「じゃあ……」
「やろうよ、かがみ」
「うん……」
「それに、最初がかがみとだと――」「最初がこなたとだと――」
「「嬉しいからね!」」

 こうして、恙無くバレンタインは終わった。だが、みゆつか、そしてこなかがを応援する機関の戦いは終わらない。いつか本当の気持ちに互いが気が付くまで、応援しよう、どこまでも!


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  • GJ! -- 名無しさん (2022-12-27 00:11:07)
  • あと一歩なんですがね。 必要なのは勇気でしょうか。 -- 名無しさん (2012-12-16 16:40:37)
  • う〜んι相思相愛なのに結ばれないのが歯痒いですね〜(ノ△T) -- チハヤ (2008-07-10 09:08:22)

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注釈

*1 私の事、どう想ってるのかな……