ちょっとした姉妹離れ

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お姉ちゃんがいないと、勉強もスケジュール作りも、ちゃんとした寝起きもできない私だけど、
料理だけは教えてあげられるよ。
覚えなきゃいけない公式の意味や、英語の文法、お姉ちゃんが目指す弁護士が
具体的に何をする仕事なのか、みんなよくわからない私だけど、
ひとつだけ絶対にわかることがあるよ。



「……でね? 新作が出たからって連れまわされちゃってさ」
「新作? こなちゃんが好きなアニメとか?」
「そうそう、OVAで、初回限定のフィギュア付きだって喜んじゃってね」
「おー、ぶい、えー……」

最近のお姉ちゃんはなんだかとっても目が輝いてる。
輝いてるっていうか、何ていうのかな、キラキラしてるっていうか。
あ、同じ意味だったかな、そうだよね。

「そういえば、お姉ちゃん。
 こなちゃんと二人になってる時間、増えたよね」
「えっ、増えてる……かな」
うん、絶対に増えてる。
お姉ちゃんは「おたく」には興味ないって言ってたけど、
よくアニメや漫画、ゲームの話をしてるの。
もともと、そういう人たちが好きになる小説 ―― 「ライトノベル」って言うんだっけ ―― が
好きで、ゲームも他の女の子よりはやってるみたいだから、変だとは思わないけど。

「お姉ちゃんはどれくらいアニメ好きなの?」
「うーん、別に、全然見ないわね」
でも、アニメの話はするようになったね。
お姉ちゃんが見ているわけじゃなくて、こなちゃんが見ているアニメの話。
もしかしたら、本当は見てたりして。 そこまで考えなくてもいいかな?



何もびっくりするようなことのない日常の会話、だけど、
やっぱり一つだけ今までとは違うことがあるんだ。
―― お姉ちゃんが、家族じゃない誰かのことをずっと考えるようになったってこと。
誰かって言っても、それはすぐにわかっちゃう。 頭の良くない私でも。

こなちゃんのことを、ずっと気にしてる……本当は、友達より上になりたいって思ってるんだよね。



ゆきちゃんが教えてくれたんだ。 話の中身は難しいからあんまり覚えてないけど、
「同じ性別の人たちが付き合うことはおかしいって言われているけど、
 実は結構ありふれたことなんだよ」って感じだったかな?
二人で仲良く話し合ってるお姉ちゃんとこなちゃんを見ながら言ってたの。
その時は全然意味がわからなくて考えてたけど、最近のお姉ちゃんを見るとすごく納得できる。


晩ご飯を片付けた後、毎晩こなちゃんのことを楽しそうに話してくれるお姉ちゃん。
自分の部屋にこなちゃんと一緒の写真をたくさん貼り付けてるお姉ちゃん。
本当にたまーにだけど、私のことを間違えて「こなた」って呼んじゃうお姉ちゃん。
携帯で、こなちゃんとの通話やメールの記録が、私との記録よりもいつの間にか多くなってるお姉ちゃん
―― きのう、ちょっと後ろからのぞいちゃった。 ごめんね ―― 。
正月にはお祈りまでしたのに、こなちゃんと同じクラスになれなくて一日中落ち込むお姉ちゃん。



「お姉ちゃんって優しいよね。
 こなちゃんの好きなものに一生懸命ついていこうとしてる」
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけいじわるしちゃう。
「こなちゃんに、一生懸命ついていこうと」
「ななな何言ってんのよっ!?」
ごめんね。
顔、真っ赤にさせちゃって。
「そんなんじゃなくて! こなた、一人だと寂しそうじゃない?
 だから、その……」

こなちゃんはお姉ちゃんに「ツンデレ」って言葉をよく使う。
意味を聞いたら、確かにその通りの性格みたい ―― こなちゃん向け限定で。
お姉ちゃんは私にはずっと優しい。
寝坊しそうな時とか、宿題を忘れちゃった時は怒られるけど、それは私が悪いもんね。
だけど、こなちゃんにはいつもこんな感じ。
今そうなってるのは、私がこなちゃんの話をしたからだよね?



双子だけど、髪や目の色くらいしか似てるところのないお姉ちゃんと私。
お姉ちゃんがいっぱい知ってることでも、私にはわからないことばっかり。
でも、心のどこかで通じ合ってる気がするの。
だから、気づけるんだよ。 お姉ちゃんはこなちゃんが好きだって。
もっとはっきり言っちゃうと、恋人さんどうしになりたいって。
「ツンデレ」は、私にも見せない、こなちゃんに向けた愛の形なんだってこと。


「……なんていうか、ほら、もうちょっと一緒にいてあげられたらなって、それだけよ」
お姉ちゃんはとってもいい人。
一人じゃ何もできない私をいつも助けてくれるし、
一緒に歩いてる時は周りを見ていろいろと心配してくれるし、
なんとなく夜が怖くなったときには近くで寝てくれるし、他にもたくさん、数えられないほどいっぱい。
でも、私はもう大丈夫。
ずっとお姉ちゃんの頼りになってたら、成長できないから、一人前になれないから。
これからはもっとこなちゃんのそばにいてあげて。
私とは学校でも家でも話せるし、二人でいる時間は十分あるでしょ?
寂しくないよ、だから――



――自分の気持ちに正直になってね。 絶対だよ!



「ありがとう、お姉ちゃん」
「ん? いきなりどうしたのよ?」
「えへへ、なんとなく、かな」


私をここまで支えてきてくれてありがとう。
これからは、私がお姉ちゃんを支えてあげられたらいいな。
どれくらい力になれるか、自信はないけど。
こなちゃんも、きっとお姉ちゃんを好きになってくれるよ。 二人とも似合ってるもん。
女の子どうしが恋人さんになるのも、おかしいことじゃないよ。 愛は自由だもん。
みんながダメって言っても、私は応援するからね!
ゆきちゃんも仲間になってくれるよ!



「それよりつかさ。 ちゃんと勉強はしてる?」
「うん! 私、がんばる!」
「なんだか今日は元気ね。 どうしたの?」

私は今までよりずっとずっとがんばるよ!
お姉ちゃんがもっと自由になれるように、
もっとこなちゃんと一緒にいられるように、
いつか……こなちゃんともっと幸せな仲になれるように!


「お姉ちゃんもがんばってね」
「えっ」
「何かあったら、手伝ってあげるから」
――部屋を出るとき、お姉ちゃんは変な顔をしてた。
そうだよね。 急にこんなこと言われたらびっくりするよね。


私はがんばる。 ちゃんと勉強して、料理も今より上手になって、誰にも心配されないようになる。
一生懸命なお姉ちゃんのおかげで、私はとっても幸せでいられる。
今度はお姉ちゃんが幸せになる番だよ!
こなちゃんに手作りのお弁当を作ってあげたいんだったら、いつでも、どんなことでも教えてあげるからね!
……なんだか眠くなってきちゃった。 この調子で明日もがんばろう。


おやすみなさい、お姉ちゃん。
笑顔のお姉ちゃんを見ていれば、私はそれだけで大丈夫だよ。
二人が幸せになれますようにって、ずっと祈っててあげる。



(柊)



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  • つかさやさし〜♪ -- かがみんラブ (2012-09-15 03:28:38)
  • プレイ内容:自由。時間:自由。場所:自由。男性アルバイト募集中(〃▽〃) http://sns.b8y.in/ -- 恭子 (2012-07-01 06:16:14)
  • つかさいい子~
    -- 名無しさん (2012-02-08 16:09:30)
  • つかさも策士よのう -- 名無しさん (2011-05-14 13:55:32)
  • つかさ可愛いなぁ♪ -- 名無しさん (2010-04-17 23:52:05)
  • 最後がw
    良い話しなのに……。 -- 名無しさん (2010-04-16 16:52:02)
  • ええ話や…でも最後の柊がwww -- 武蔵 (2010-03-29 23:14:29)
  • 柊w -- 名無しさん (2008-05-12 21:56:26)
  • さりげなく『柊』で吹いた -- 名無しさん (2008-04-07 02:51:58)
  • 『柊』、ね……。 -- 名無しさん (2008-03-24 14:57:13)

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