Because you're being loved

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ざざ・・・ざざ・・・と、波が押し寄せては引いていく。
冬の海はとても冷たく感じて、見てるだけなのに心が芯から冷えてくような感じを受ける。
私はこの光景が好きで、嫌い。
まるで、私の行動を表してるようで、私たちの今を写してるようで。

『 Because you're being loved 』

「かがみん、みっけ」
後ろから声がした。
振り向くと、腰辺りで切り揃えられた蒼い髪に歳不相応な愛らしい顔が見える。
「・・・こなた」
泉こなた。
私の愛しい恋人。
「この時間は大抵ここにいるからねー。見つけるのは簡単だよ」
「そう、ね」
言葉少なに返す。
「ねえ、かがみ?」
「なに?」
「何、考えてたの?」
・・・知ってるくせに。
でも、そう聞いて欲しかった。
「みんな。みんな、向こうで何してるのかなーって」
「・・・ん」
ちっさく聞こえた声についで、私の背中に覆いかぶさる暖かい温もり。
「・・・つかさは、きっとしっかりやってるよ。アレで結構芯が強いのは、かがみも知ってるでしょ?」
「・・・そうね」
「他のお姉さん・・・いのりさんと、まつりさんだっけ?二人もきっと大丈夫だよ」
「・・・うん」
なんの根拠もないけど、こなたにそう言ってもらえると落ち着く。
「かがみのお父さんとお母さんも、大丈夫。連絡は入れてるんでしょ?」
「うん、こなたとの約束だものね」
一番最初にした約束。
絶対に連絡を絶やさない事。
「私のとこも大丈夫だよ。ゆーちゃん、ちゃんと進級したって。みなみちゃんとの仲も良好だってさ」
「うん。いいわね」
話しながら、私の体を自分の体でゆっくりと揺らすこなた。
まるで、揺り籠に乗ってるようで気持ちがいい。
「お父さんも相変わらずだったよ・・・ちょっと煩かったけどね」
「・・・っ」
「かがみ、いつもの事だよ。今更気にしないで」
私の前に回されて、優しい力で抱いてくれる両手に、私はゆっくり頬擦りする。
「みゆきさんは・・・多分、まだ、ダメ」
「・・・そうね」
あの日、私がこなたと交際をする事になった翌日。
私たちは最初にみゆきとつかさに伝える事にした。
世間には受け入れられないこの関係を何時までも秘密にしていられるとは思えなかったし、
なにより大事な親友と妹に隠しておきたくなかった。
そして・・・いざとなったら協力してくれるのではないか。という打算もあった。
「一番最初に反対したのはみゆきだものね」
そう。最初に私たちの関係を否定したのはみゆき。
”間違ってます”
”え?”
”お二人の気持ちを否定する気はありません。ですが、その関係は間違っています”
とても強い眼差しで私たちを見やり、そう言った。

「みゆきさんは、私たちのことを考えて言ってくれたんだよね」
「うん、それは解ってる・・・」
勉強だけでなく雑学にも長けたみゆき。
きっと、そういう話も幾つか知ってるのだろう。
そして、その末路も・・・
「みゆきさん、かがみのお父さんとお母さん、私のお父さん・・・一番反対して欲しくなかった人たちに反対されちゃったね」
「・・・・・・だから、こうしたのよ」
世間を知ってて、世間に則した判断をできる両親。
仕事柄色々な知識を持っていて、実はとても常識的な判断力のあるこなたのお父さん。
私たちの中で一番世間的な知識を持ってるみゆき。
彼らに反対されると、反論のしようがなかった。
ただ感情論を展開するだけで、理論的なことは何一つ言えなかった。
だから、その感情論で行動したのだ。
「・・・こなた」
「ん?なーに、かがみ」
「・・・・・・戻りたい?」
みんなの反対から逃げて、こんなとこまできて。
1年以上もたって、初めて聞いた。
「・・・・・・・・・お父さんやみゆきさんが・・・受け入れてくれるなら、ね」
「そっか・・・」
「かがみは?」
「・・・そうね」
逃げる時にこなたと約束した。
一つ、連絡はちゃんといれること。
一つ、居場所は言わないこと。
一つ、みんなが受け入れてくれるまでは、帰らないこと
「私も、受け入れてくれるなら・・・帰りたいわね」
一つ、弱音を言いたい時は、絶対に我慢しないこと。
本当は今すぐにでも帰りたい。
また、家族そろって鍋で夕食を食べたい。
また、つかさとつかさと一緒に学校に行きたい。
また、みゆきやつかさと一緒に、4人で楽しく・・・

「こなた、ウチに帰ろっ」
少しだけアクセントの違う"ウチ"
それだけで、こなたには十分伝わる。
私たちは、まだ帰る訳には行かないのだから。
「うん。もう日も落ちちゃいそうだしねー」
そんなこなたの言葉に、視線を海へと向ける。
「ああ、夕日も消えそうね」
「うん。続きはウチでしよ」
「そうね。ご飯食べて、お風呂入って、それからゆっくりね」
今日が終わる。
「んふふー。ベットの中で、たあっぷりとね~」
「ちょっ、こら、こなたっ」
「あれれ~?今更何を恥ずかしがってるのかな~、かがみん」
わざとおちゃらけて話しかけてくれるこなたに心の中で感謝しつつ、私たちのウチへと帰る。
「おまえはもうちょっと恥じらいを持て!」
「えー。持ってるよ~」
「どこがだ・・・」
今日のお互いの疲れや傷を癒すために。
「私がこんな風に話すのは、かがみの前でだけだよ~」
「・・・」
「かがみにだけ、素の私を見せるのさっ」
また、明日を2人で生きていくために。
「こなた・・・」
「なーに?かがみん」
「今晩、覚悟しなさい・・・っ」
「ちょっ、かがみん?!」
貴女を愛してると、解ってもらうために。
「明日は休みなんでしょ?私も休みだから丁度いいわ」
「・・・えっと、かがみん」
「なぁに?こなた」
いつか、あの場所へ帰るための逃避を続けよう。
「お手柔らかに、ね?」
「やーよっ」



朝日に照らされて、私は目を覚ました。
「・・・・・・夢、ね」
自室の天井、一部欠けた目覚まし時計、壁にかかった学校の制服。
「なんて、夢よ」
受け入れてくれない周囲から逃げて二人だけの世界に行くとか。
どこのドラマだ。
いまどき流行んないってば。

なんとなく、右側をみる。
私と壁に挟まれるようにして、私に抱きついて静かに寝息を立てているこなた。
昨日、告白して、こなたが受け入れてくれた。
今日、学校でみゆきとつかさに報告するつもりでいた。
「大丈夫かな・・・」
先行きの悪い夢を見たもんだ。
でも、隠すわけにはいかない。
昨日、こなたと話して二人で決めた事だ。
親友と妹には、絶対隠さない。

「頼むわよ・・・みゆき、お父さん、お母さん」

寝ぼけて私に擦り寄ってくるこなたの頭をゆっくり撫でながら、私はそう願った。





劇終



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  • もし友達や家族と別れてしまっても二人なら大丈夫だよ。 -- 5244 (2008-09-01 00:52:17)

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