オレンジ

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それは大学の帰りだった。
行きつけの本屋に注文していた参考書が届いたというので、友達との予定をキャンセルして、
自宅とは反対方向にあるその本屋に向かった。
高校時代によく遊びに来ていたこの大通りも随分、変わったなぁと柄にも無く感慨に浸っていると、道路の向こう側にアイツがいた。
ぼさぼさの髪の毛。3年前から全く伸びてない身長。オシャレには無関係な服装。
おいおい、相変わらずオタクっぽいな。
久しぶりにからかってやるかとケータイのアドレス帳を開いた時、思わぬ事に気が付いた。
隣に誰かいる・・・しかも、男。
背はまぁまぁ高くて、服も地味だけど少し高そう。
顔も充分、男前だ。
彼氏・・・かな?
最初は友達かと思ったけれど、二人でしっかりと手を繋いで楽しそうに歩いている。
まるで絵に描いたような幸せそうなワンショット。
ったく・・・道理で最近捕まらないと思ったわ。一言ぐらい報告くれてもいいじゃない?
今すぐ電話を掛けて文句の一つでも言ってやりたいけど、楽しくて嬉しそうなアイツの顔を見てると、
それは無粋だなって思ってやめた。
まぁ、しっかりしてそうな人だし、だらしないアイツには丁度いいかもね。
末永くお幸せに・・・。
遠ざかる二人の背中を心の中で祝福して、目的の本屋に歩き出す。
けれど・・・。




あれ、おかしいな?
何か、胸の中が苦しくて痛いな。
風邪を引いてるわけでも無いのに、鼻がシュンシュンする。、
ゴミが入ったわけでもないのに、涙がポロポロ零れてくる。
季節外れの花粉症かな?



うん、そうね。そうに決まってる。
本屋は明日にして、今日はウチに帰って休もう。
ははは。何か私、バカみたい・・・。
みっともない顔が周りの人にばれない様に空を見上げて、踵を返して駅へと向かう。
頬に当たる冷たい風がふいに卒業した日の事を思い出させる。
こんな事なら卒業式の後に、怖がらずに告白しとけばよかったかな。
本当に私はバカね。
そんな事を心の奥で考えたけど、耳を塞いで聞こえないふりをする・・・。
オレンジ色の空が、水彩絵の具をこぼしたみたいにぐちゃぐちゃに見えた




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