こなた×かがみSS保管庫

パーフェクトスター プロローグ

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匿名ユーザー

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「暑い、、、、暑すぎる…。」
午前中の講義は何時もの如くだらだらと過ごし、正午過ぎにあるバイトに備える為、大学から駅まで移動中の独り言。
7月、温暖化の影響だろうか。去年よりパワーアップされた強い日差しは、容赦なく私を責め立ていて、
このまま溶けるんじゃないだろうかと錯覚してしまうくらいだ。

「だらだら歩いてても仕方がないし、きびきび歩くかネ…。」

自分に喝を入れる為に口に出して言ってみた言葉の効果は皆無。
変わりに得たのは孤独感だけだった。

大学一年生、3ヶ月目。
陵桜学園卒業後、私は危ういながらも合格した大学へ進学した。
大学に行っても、勉強嫌いな私が精進するわけでもなく、これといってやりたいことも特にはなかったけど、
お父さんが「自分探しは大学に行ってもできる!」と限りなくポジティブな言葉をくれたので、その言葉に甘えた。
ご覧の通り、心身ともに何一つ変わっていないないし、
交友関係も大学で出来た友達も含め、高校時代に仲の良かったつかさやみゆきさんとは1ヶ月に1回、
遊ぶか遊ばないか程度でそこら辺にも大した変化はない。

最大の変化は、実家を離れて一人暮らしになったことだけだろうか。

が、そんな一人暮らしもお父さんからの仕送りで衣食住不自由なく成立している。
そういった部分を総合的に考えたら、結局のところ、何も変わってないと言われればそうかもしれない。
趣味に没頭するなら実家のままでよかったのに…。
今だからこそ、環境の変化を望んだ当時の自分がちょっと恨めしい。

選んだ"変化"はいつのまにかに"日常"になっていて、私は日常から逃げ出せないと気付いたのはつい最近の話。

―別にいいんだけどネ。

暑さで狂ったのか、そんな思考に嘲笑してそのままどこかへ思考を投げ捨てて、私は駅までの道を急ぐ。

 * * *

たかが10分。されど10分とも言うべきか…。
駅のホームについたときには下に着ているタンクトップがツルペタな胸に張り付くほど汗を欠いていた。
ええい、夏なんか嫌いだー!コミケだけ残して消えてしまえ!とハチャメチャな愚痴だけを心で叫んで、電車へ乗りこんだ。

空席を見つけた私はここぞとばかりに座り、未だに張り付いているタンクトップを肌から剥がす作業を片手間に行いながらも、
何気なく車内を見渡してみた。
さすがに平日の正午なだけあって、きっと営業先へ移動中のサラリーマンやサラリーウーマン、
余生を楽しく過ごしているであろうじーちゃま・ばーちゃまがちらほらと見える。

その光景の中、左に視線を向けると奇異な存在に見えるつり革に掴まる女子高校生3人のグループに目がいく。
目的駅まで数駅分まだ余裕があるので、暇つぶしにじっくりそのグループを観察することにした。

少女Aが、私と同様な動作に加え、さらに鞄から下敷きを出して洋服の中、さらにはスカートの中に風を入れ込む。
少女Bが少女Aの珍行に気づき赤面。それから周りをきょろきょろ伺ってから少女Aに小声で何か注意しているようだ。
そんな二人を気にもかけていないマイペースな少女C。

ゴーイングマイウェイな少女Aはまるで高校時代の私みたいだ、
と過去の自分を重ねていたが、彼女たちと私とでは大きな違いがあったことに気づく。
そう、私─泉こなたとマイペースな柊つかさ、歩く天然萌え要素の高良みゆきには少女B的な突っ込み役がいなかった。

もしも、少女Bみたいな「突っ込み役」が私たちのグループに健在していれば、
学園生活はより楽しいものになっていたのかな。なんて無いもの強請りに過去の話。
今更すぎると、本日二度目の嘲笑とともに私は観察をやめることにした。
視線を外しかけたそのとき、少女Aと視線がぶつかる。

少女Aは私を目視した後、薄く笑った─気がした。
その意味が分からなくて、私は硬直した。

しばらくそのままだったのだろうか。車内に次の駅が目的地だと知らせるアナウンスが流れたとき、
私は白昼夢から抜け出すような感覚を覚えた。
女子高校生グループの少女Aはすでにこちらを見てはいなく、少女Bと会話をしている。

─ なんぞこれ。どうしちゃったんだろうネ、私は。
まさか精神疾患ですか、なんて私に限ってありえなさそうなことだ。
脳みそを切り替えるために、とりあえずは今日のスケジュールを簡単に整理しようと試みた。

降りればすっかり汗の引いた肌と乾き始めたタンクトップがまた汗みどろになることに嫌悪することは当然忘れない。




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  • 長期連載となっていて、続きが楽しみですw -- 名無しさん (2008-06-22 00:59:08)

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