ある日のこと……
「いや~、今日も大漁大漁♪
秋葉巡りは、これだからやめられないよね~」
秋葉巡りは、これだからやめられないよね~」
長い髪の女の子が、満足気に話す。
「ホント、よく飽きないわね……」
もう一人のツインテールの女の子は、
若干呆れた表情だ。
若干呆れた表情だ。
「新刊と特典ある限り、秋葉巡りに終わりは無いのだよ」
「はいはい。ま、私も何だかんだで欲しかったラノベ買えたし、
丁度良かったかな」
「プレゼントも買えたし、そんじゃ帰ろっか」
「そうね」
「はいはい。ま、私も何だかんだで欲しかったラノベ買えたし、
丁度良かったかな」
「プレゼントも買えたし、そんじゃ帰ろっか」
「そうね」
電車に揺られながら家へと向かう。
そこでは、女子高生同士の他愛の無いお喋りの時間になる。
二度とは戻らない、青春の時間に……。
そこでは、女子高生同士の他愛の無いお喋りの時間になる。
二度とは戻らない、青春の時間に……。
「ただいま~」
「おかえりー、また秋葉行ってきたの?」
「うん! はい、お母さんにお土産!」
「あら、ラノベの新刊出てたのね。
わざわざありがと」
「おかえりー、また秋葉行ってきたの?」
「うん! はい、お母さんにお土産!」
「あら、ラノベの新刊出てたのね。
わざわざありがと」
私は、それを青髪ツインテールの子から受け取る。
「こなたお母さんは?」
「あいつ、またネトゲしてるみたい。
折角、私が休日だってのに……」
「何か呼んだ~?」
「あいつ、またネトゲしてるみたい。
折角、私が休日だってのに……」
「何か呼んだ~?」
こなたが、飄々と笑顔で二階から降りてくる。
「お母さん、これ!」
「おお! これぞまさしく例の
プレミアつきDVDBOX初回限定版!
流石は我が娘! 私の欲しい物もバッチリ把握してるとは!」
「おお! これぞまさしく例の
プレミアつきDVDBOX初回限定版!
流石は我が娘! 私の欲しい物もバッチリ把握してるとは!」
そう言って、菫色の髪のロングヘアーの子に抱きつくこなた。
ほんと、幾つになっても変わらないんだから。
ほんと、幾つになっても変わらないんだから。
「さ、折角久々に皆揃ってるんだし、ご飯にしよっか!」
娘から身を離したこなたが、そう皆に呼びかける。
「こなた、いつの間に食事の準備したの?
まだ作ってないんでしょ?」
「かがみんが、今日休みって聞いた時からだよ。
朝食も昼食も、下ごしらえは大変だけど
調理は簡単なやつだったの、気がつかなかった?」
「あ……」
まだ作ってないんでしょ?」
「かがみんが、今日休みって聞いた時からだよ。
朝食も昼食も、下ごしらえは大変だけど
調理は簡単なやつだったの、気がつかなかった?」
「あ……」
そう言われてみると、そうかもしれない……
「夕食も同じ。協力してやれば、あっという間だよ。
さ、久々に二人一緒に準備しよ?」
さ、久々に二人一緒に準備しよ?」
何だかんだで、こういう所は敵わないなあと思い知らされる。
「その前に、お母さん達にもう一つプレゼント!」
「はい! コレ!」
「はい! コレ!」
そう言って娘達が差し出したのは、
お揃いのペンダント。
お揃いのペンダント。
「おお、これまた嬉しい物を。
本当に二人はいい子だね~♪」
本当に二人はいい子だね~♪」
そう言い、二人の娘にベッタリなこなた。
間違いなくそうじろうさん似だな、こなたは……。
間違いなくそうじろうさん似だな、こなたは……。
「でも、何で急にこんなに買ってきたの?」
「だって、お母さん達の結婚記念日でしょ?」
「……? たしかに、もう少しで記念日だけど
まだ若干早くないかしら?
あ、もちろん、気持ちは嬉しいけどね」
「だって、お母さん達の結婚記念日でしょ?」
「……? たしかに、もう少しで記念日だけど
まだ若干早くないかしら?
あ、もちろん、気持ちは嬉しいけどね」
私達の結婚記念日はもう少し先だ。
女子高生にもなる娘達が、今更間違えて
日付を覚えているとも思えないし……。
女子高生にもなる娘達が、今更間違えて
日付を覚えているとも思えないし……。
「……あのね、つかさ叔母さんにこの前聞いたんだ。
お母さん達が私達くらいの歳に、一度二人で結婚式挙げてるって」
「え……!?」
「あ……!」
お母さん達が私達くらいの歳に、一度二人で結婚式挙げてるって」
「え……!?」
「あ……!」
私とこなたは、ふとあの時のことを思い出した。
「その日が丁度今日だったんだよね?
だから、今日はそのお祝い!」
「あんた達……もう、ちょっと感動しちゃったじゃない」
「……本当に幸せ者だね、私達って」
「そうね……」
だから、今日はそのお祝い!」
「あんた達……もう、ちょっと感動しちゃったじゃない」
「……本当に幸せ者だね、私達って」
「そうね……」
私とこなたは目を合わせて、あの時のことを
感慨深気に思い出していた。
感慨深気に思い出していた。
「ねー、お母さん、お腹空いた~」
「ほいほい。それじゃ準備しよっか、かがみん」
「分かったわ。あ、二人とも、食事の前に……」
「うん、分かってる!」
「おばあちゃんの所にお供え物ね」
「ほいほい。それじゃ準備しよっか、かがみん」
「分かったわ。あ、二人とも、食事の前に……」
「うん、分かってる!」
「おばあちゃんの所にお供え物ね」
そう言って、双子の娘は仏間へと駆け出していった。
その様子を、じっと見つめる私。
その様子を、じっと見つめる私。
「……どったの、かがみん?」
「え……? あ、いや、私達にもあんな頃があったな、って」
「そだね……私も、さっき色々思い出しちゃった」
「え……? あ、いや、私達にもあんな頃があったな、って」
「そだね……私も、さっき色々思い出しちゃった」
懐かしさと寂しさが、胸のうちからこみ上げてくる。
こなたもきっと、同じような気持ちだろう。
こなたもきっと、同じような気持ちだろう。
「……寂しくないって言ったら嘘。
時間をあの頃に戻せたら、って思うことだってあるよ。
……でもさ」
「……?」
時間をあの頃に戻せたら、って思うことだってあるよ。
……でもさ」
「……?」
じっと、こなたの話に耳を傾ける。
「あの子達を見てるとさ、そんなこと綺麗サッパリ忘れちゃうんだよね。
だって、今だってすっごく幸せだもの!」
「そうね……そうよね」
「あれ~、お母さん達まだ準備してないの~?」
「私達も手伝うから、早く始めよ?」
「はいはい、それじゃ始めましょっか!」
だって、今だってすっごく幸せだもの!」
「そうね……そうよね」
「あれ~、お母さん達まだ準備してないの~?」
「私達も手伝うから、早く始めよ?」
「はいはい、それじゃ始めましょっか!」
――ここは……?
辺りを見回す。朝日が部屋を照らし始めている。
そうだ、昨日はみゆきの家にこなたと泊まって……。
目の前には、寝息をたてているこなたの姿。
そうだ、昨日はみゆきの家にこなたと泊まって……。
目の前には、寝息をたてているこなたの姿。
今のは……夢……?
「むにゃ……始めましょっか……」
「……!?」
「……!?」
こなたの寝言にハッとする。
まさか、同じ夢を……!?
まさか、同じ夢を……!?
「こな……」
名前を呼びかけたが、
やはり起こすのは気がひけたのでやめた。
それよりも、今は彼女の幸せそうな寝顔を
見ていたいと思ったから……。
やはり起こすのは気がひけたのでやめた。
それよりも、今は彼女の幸せそうな寝顔を
見ていたいと思ったから……。
(最後の贈り物、届いたかしら……?)
「……?」
ふと、何か聞こえたような気がした。
空耳……?
空耳……?
(……さん……のこと、宜しくお願いしますね……)
「え……?」
確かに、何かが聞こえたような……。
だが、周囲には幸せそうに眠るこなただけ。
だが、周囲には幸せそうに眠るこなただけ。
「う……ん……」
寝ているこなたが体を寄せてきた。
私も、こなたが目を覚まさないように優しく抱き返す。
私も、こなたが目を覚まさないように優しく抱き返す。
……今は彼女だけを見ていよう。
彼女の温もりだけを感じていよう。
二人で手を取り合っていけば、夢みたいな未来もあるはず……。
そんなことを考えながら、私も目を閉じて
こなたの額に優しく口付けた。
彼女の温もりだけを感じていよう。
二人で手を取り合っていけば、夢みたいな未来もあるはず……。
そんなことを考えながら、私も目を閉じて
こなたの額に優しく口付けた。
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- やっぱ家族になってる話が1番だなぁ(/ _ ; )b -- 名無しさん (2023-08-06 23:48:55)
- GJ!泣 -- 名無しさん (2022-12-23 18:26:17)