当たるも八卦…

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文化祭を明日に控え、いつもならばすでに放課後の時間になっているにも関わらず、校内には
最後の仕上げをする生徒達がまだたくさん残っている。
もちろん私のクラスメイトも、ほとんどがお化け屋敷の準備に精を出していた。
けれど私自身は明日オープニングで披露するチアリーディングの練習を終え、
程よい疲労感の中体操着から着替えもせず、練習場所である特別教室にいた。


さっきまで一緒に練習をしていたみんなは、水を飲みに行ったり
自分のクラスに戻って行ったりで、教室には私とそしてもう一人、こなたしか残っていなかった。
私も戻ってもよかったんだけど、まだ動きたくないし…なにより、こなたと二人きりというこの状況が
私の足を留める一番の原因になっていた。


私とこなたの関係の境界線は酷く曖昧だ。
私は何も伝えてないし、こなたの方も明確な言葉を言わないまま
ぬるま湯のような、だらだらとした関係に浸っている。
自然に手を繋いだりするし、抱きしめるのも抱きしめられるのも
お互いに受け入れる。一度、じゃれ合いの延長みたいな形で頬にキスされたりもした。
欧米では挨拶程度だとは言え、ここ日本でやるには明らかに過剰と言えるスキンシップ。
多分…いや、確実と言ってもいいかも知れない。…こなたも私と同じ気持ちなんだろう。
だけど今一歩踏み出せないのは、間近に卒業が迫っているからか、
それとも同性同士であることに負い目のようなものを感じているからか。


(…こういうのを友達以上恋人未満って言うのかしら)
女の子だと言うことに対しては、実は私は余り問題にしていない。
そんなことはもう、とうに吹っ切れてしまった。…ただ、仮に今こなたと付き合ったとして
卒業後はどうする?こなたには聞いたことがないけれど
おそらく進学先は違うだろう。
近場ならそれでもいい。でも、もし遠距離恋愛になってしまったら?
…そんなの、私には耐えられないよ。
こんなことを考えている辺り、末期なのかもしれない。だけれど、『友達』としてであっても
精一杯楽しくこの時を過ごしていたかった。
…だから境界線を崩すまねはしない。…少なくとも私は。




「そういえばつかさはお煎餅の割れ方で占う、とか
言ってたけどあんたは結局どうすんの?」
ダンスをするために、隅に寄せていた椅子を持って来るのも面倒で
床に直接座りながら、隣で同じように座っていたこなたに聞いてみる。
「んー?えーと、私は人相、手相、水晶占いetcetc…」
「何でもありか!!」
「ま、テキトーってことだネ」
「…そだ、かがみは私が特別に無料って占ってしんぜよう。ささ、手出して」
こなたがいいこと思い付いた!と言わんばかりに、目を輝かせてこっちを向く。
「…適当なんでしょ」
「そう言いながらもしっかり手は出すかがみ萌え」
「う、うるさいっ!」
差し出した右手を両手で掴んで、むうう…とかうむう…とか
訳の解らない唸り声をあげながら、こなたが凝視する。
…何となく恥ずかしいんだけど…っ。
「わかったよー」
何分かそうやって私の手を見ていたこなたが、顔をあげて笑う。
「かがみは長生きするし、希望の大学にも進学出来る。
卒業した後は、仕事もバリバリこなして出世間違いなしだね」
手相なんて見れないくせに、真剣そのものの表情で次々と
『占った』結果を話すこなたに、思わず笑みが零れてしまう。


「――で、一番気になる恋愛の部分だけど……。
……かがみの運命の人は……今目の前にいる人、だよ」
「…………は…………?」
「だぁーかーらー…いい?後一回しか言わないからね?
かがみの運命の人は私だ、って言ってるの。わかった?」


…今まで何にも言って来なかったのに、何でいまさらになってこんなこと言うかな、こいつは。
私たち二人の境界線は、こなたの一言で呆気なくも崩れてしまった。
それでも嬉しさを感じて、余裕ぶって私も返す。
さっきまで心の中にあった不安感はいつの間にか消し飛んでいた。
「…あら?私はこなたの運命の人が私だと思ってたけど?」
そういつもいつもからかわれてたまるか。…だけど、こなたは私の一枚も二枚も上手だった。
「ふふっ、そうかもね?じゃ、卒業して同じ大学に行ってもよろしくねー♪
さて、私もそろそろ自分の所に戻ろうかな」
さらりと爆弾発言をかましたこなたが、勢いよく立ち上がってお尻に付いた埃を掃う。
「ちょ……!今、なんて……」
こいつ今同じ大学とか言わなかったか?
廊下へと繋がる扉へ歩き出していたこなたが振り向いて、間抜けな顔をしているであろう
私がよほど可笑しかったのか、くすりと笑って言った。
「言ってなかったっけ。学部は違うけどかがみと一緒の大学受けるって」
ほんのり顔が朱に染まっているのは、窓から差し込む西日のせいだろうか。それとも――…。
「知らなかった?私は好きなものを手に入れるためなら、努力は惜しまないのだよ」


…負けた。降参。やっぱり私はこなたには一生勝てそうもないや。
顔周辺が熱くなるのを感じながら、私も立ち上がりまた歩き始めたこなたを追いかける。


捕まえたら、とびっきりの笑顔で言ってやろう。
「大好きっ!」ってね。


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コメント:
  • いいこなかがだ
    作者GJ -- 名無しさん (2009-12-02 11:34:01)
  • やっぱり幸せな結末はよい!!
    作者殿、GJです!! -- にゃあ (2008-12-02 04:03:25)
  • よかったネ☆かがみん。(=ω=.) -- 無垢無垢 (2008-12-01 21:42:49)

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