寂しさは秋の色、温もりは紅葉色

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 段々と、秋が深まる。
 一日毎に少しずつ冷たくなっていく風。特に今日は一段と冷える。

 つい一月前までの、半袖でいられる程の暑さは何処へ行ったんだろう。
 月日や時間は、確かに、流れている。四季があると、その移り変わりがより鮮明に
感じられるような気がする。
 それを寂しく思うのは、秋だからかな。

 冬に向かうにつれ、空気も冷たくなり、木の葉は散っていく。
 どことなく哀愁を感じる。私にとって秋という季節は、そんなイメージだった。

「止められる筈なんか、ないのにね…」

 卒業まであと数ヶ月。これからは進路活動も本格的に始まって、そうやって忙しく
している内にあっという間に過ぎ去ってしまうんだろうな。
 あぁ、どうしてこんな事考えているんだろう。
 時間が止まればいいのに。このまま、今がずっと続いたらいいのに。そう、思う。

「それでも…」

 吐いた溜息はうっすらと白い。
 そう、時は変わらずに動いている。万物は生滅流転し、永遠に変わらないものは
一つもないということ。
 無常。いつかは終わりが来ると。
 …わかってるよ。

 それでも…。

 何時からだろう。小学生の時も、中学生の時も、同じ様に「別れ」は経験してきたけれど、
こんなに寂しくは思わなかったのに。
 どうしてだろう。何かが確実に変わっていた。

 何が?

 ふと浮かんだのは、こなたの顔だった。
 思い出せばこの3年間、色んな事があったけど、何かといえばいつも一緒にいたっけ。
 一度も同じクラスにはなれなかった事を落ち込んだりもして。

「かがみはさびしんぼさんなんだから」

 何だかんだ言いつつも、こなたといる時間は一番楽しい時間だった。
 卒業してしまえば、それぞれの未来に向かって、バラバラになってしまう。勿論、もう
今みたいに毎日会えなくなるし、話もできなくなる。
 いつか忘れてしまうかもしれない。それが、凄く寂しいんだ。

「まだ時間はあるのに」

 私の隣で、こなたは笑った。

「でも、時間は止められないけどね、かがみが寂しいって言うなら」

 私の中のこなたの存在はこんなにも大きくなって。その感情は、最初に抱いていたものとは
随分かけ離れていた。

「私は、ずっと傍にいるよ」

 こなたが私の手を握る。
 私のより少し小さい手。風は冷たくても、その手は確かに暖かい。

「私は…かがみが好きだから」

 その言葉に、いつものようなふざけた感じはなかった。
 真っ直ぐ、こちらを見ている。顔が赤い。


 好き…?

 その言葉を聞いて、やっと気づいた。
 好きに、なっていたんだ。友達に対するそれとは違う、もっと深い感情。
 気づいた瞬間、何かがどっと溢れ出てきた。暖かいものが頬を伝う。

 唐突だったけど、たとえ冗談だとしても、嬉しかった。

「あの…冗談とかじゃなくてね…?」

 耳まで真っ赤になって言う。
 それはきっと今日の寒さのせいではなくて。でも、秋ってこんな色かな。

「ありがと…」

 こなたも私と同じだったのかな。同じ様に、寂しいと思ったのかな。

「かがみは…私の事好き?」

 私は…

「…うん…私も、こなたが好きだよ」

 いつかは来るかもしれない終わり。
 月日や時間が流れて、永遠に変わらないものなどありはしないとしても。ここにある
想いが変わらなければ、ずっと続いていく事も、もしかしたらあり得るのかもしれない。
 そう思った。

 冬に向かうにつれ、空気も冷たくなり、木の葉は散っていく。
 不思議と、さっきまでの寂しさはどこかへ消えていた。


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