卒業したら・・・

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イライラする。



目の前でいやいや文法書の問題を解いているこなたを見て思う。
こいつは何だってこんなにもやる気がないんだろう。



私たちは仮にも受験生だ。
自分で勉強する時間を作るのは難しくても、
勉強する時間を与えられたら一生懸命勉強するべきじゃないのか?



今日だって模試が近いからってせっかく4人で図書室に来たのに、
こんなんじゃみんなで集まった意味がないじゃない。



「ねぇねぇ~、つかさもみゆきさんも帰っちゃったしサ、
 勉強なんかやめてどっか遊びに行こぉよ~」
「・・・・・・あんた私がそんな誘いに乗ると思ってるの?」
「う・・・思ってないデス・・・・・・」
「よろしい。さっさと終わらせちゃいなさいよ。
 その章が終わるまで本当に帰さないからね。」
「ぅええ!?アレ本気だったの?キビしすぎるよかがみん・・・」



相変わらず勉強しようという意志の見られないこなたにため息を吐く。
こなたが言ったようにつかさとみゆきは先に帰っていて今は2人きりである。



みゆきは用事があるそうで、それこそスラスラ~っとノルマをこなし、
「最後までお付き合いできず申し訳ありません」と言い残して帰っていった。
つかさにはもっと勉強してもらいたいところだったんだけど、
帰りに買い物を頼まれてて、どちらかが早く帰らなくちゃならなかった。
それで、つかさとこなたを残して果たして勉強になるのか不安だったから、
買い物はつかさに任せて私がここに残ったというわけだ。




・・・・・・それにしても。
こいつは何でこんなに危機感がないのだろう。
こいつは何でこんなに平気そうな顔をしていられるのだろう。
私はこんなに頑張ってるのに。私はこんなに焦ってるのに。



ああ、もうっ!本当にイライラするっ!



受験と共にちらつく”卒業”の2文字。
卒業したら私たちはどうなっちゃうんだろう。
私は法学部を目指してるけど、つかさは調理専門学校だしみゆきは医学部。
こなたにいたってはこんなで、将来のことなんて考えてる気配さえない。



みんなバラバラだ。バラバラになっちゃう。
私はそれが不安で仕方なかった。
とりあえず目の前にある受験という目標にその不安をぶつけていた。
みんな同じものを目指している。その連帯感が不安を少しだけやわらげてくれた。



それに引きかえこなたののん気さときたら呆れるほどだ。
こなたは不安じゃないんだろうか?寂しくないんだろうか?
もうすぐ、お別れなのに・・・・・・



胸にモヤモヤが生まれる。こなたが何を考えてるのかわからない。
鉛筆を鼻の下にのせ「むぅぅ・・・」とうなり声を上げはじめたこなたに話しかける。



「あんたねぇ、少しでも受験生の自覚とかないの?
 そんなんじゃホントに大学いけなくなっちゃうわよ?」
「うぅ・・・・・・いいモン、大学なんていけなくても・・・・・・」
「ちょっとソレ本気で言ってんじゃないでしょうねぇ?
 大学いかないでどーすんのよあんた?」
「ん~、まぁ世に言うNEE・・・
「はいストップ!馬鹿なこと言ってんじゃないの!
 おじさんにいつまでも迷惑かけるわけにはいかないでしょ
 まったく・・・・・・頼むからしっかりしなさいよ・・・」
「むぅぅ・・・そりゃいつまでもってわけにはいかないけど、
 1年や2年ならOKしてくれると思うけどなぁ・・・・・・」



部屋で一日中ゲームをするこなたの姿が思い浮かぶ。
なんだか自然すぎて違和感がない。




――そっか、こなたは私たちと別れても平気なんだ。
ゲームがあれば幸せだから卒業しても寂しくないんだ。



モヤモヤがぐん、と大きくなった。
イライラを巻き込んで一緒に大きくなっていく。



私が黙って俯いているとこなたは何気なく言葉を続けた。



「ところでさ、なんでかがみはそんなに私に勉強させたがるの?
 私が大学いけなくてもかがみには関係ないじゃん?」




・・・・・・”関係ない”。その言葉にカチンときてしまった。



私がこんなに不安なのに。私がこんなに寂しいのに。
こなたは私のことなんて気にも留めてないんだ。
そのことがどうしようもなく心をザワつかせる。



イライラもモヤモヤも一緒くたになって、
何なんだかわからなくなった感情が急膨張して暴れだす。
ダメ、気持ちが抑えられない・・・・・・



「悪かったわね!どーせ私は関係ないわよ!あんたはいいわよ・・・
 どーせあんたは私と会えなくなっても構わないんでしょ!?」




つい大きな声を出してしまった。


感情を吐き出した所為か制御の利かなかった心が落ち着きを取り戻す。
そしてそれと同時に後悔した。こんなの八つ当たりだ。



まわりにも聞かれてしまったようで何人かが好奇の目を向けていた。
突然のことにこなたも驚いている。



「え?え?・・・な、何ソレ?どゆこと?」
「だ、だからあんたの言うとおり、あんたが勉強しようがしまいが
 私には全然これっぽちも関係ないって言ってんのよ・・・・・・」



言ってしまった手前もう後には引けない。
羞恥と後悔で顔を赤くしながらそっぽを向いて吐き捨てる。
吐き出したはずのモヤモヤがちくちくと私の胸を責めたてている。



ヤダ、私カッコわるい・・・・・・。涙、出ちゃいそ・・・・・・。



私が顔を見られないように俯いていると、
こなたは場違いなほど間抜けた声で私に聞いてきた。



「いやいや、そーじゃなくてサ、
 それでなんでかがみと私が会えないって話になるの?」



こなたの間の抜けた質問にポカンとする。



「え・・・・・・だ、だって卒業してバラバラになっちゃったら
 会う理由がなくなっちゃうじゃない」
「なんで?」
「なんでって・・・・・・えと、学校じゃ会わないし、宿題もないし・・・・・・」
「私とかがみが会うのにそんな理由が必要?」
「うっ・・・・・・えと、その・・・・・・」
「かがみは私がそんな理由でかがみと会ってたと思ってたの?」
「え、いや、その・・・・・・。・・・・・・違う、の・・・・・・?」
「うぅ・・・かがみの中の私ってそんな薄情な人間なの・・・?
 私たち用がなくてもしょっちゅう電話してるし、
 放課後とか休みも一緒に遊びに行ったりするじゃん・・・・・・
 私はかがみと会いたいから会ってるんだよ?」
「・・・・・・。・・・卒業しても、会いたいと思う・・・・・・?」
「まぁ、かがみが迷惑じゃなければネ。
 あ、迷惑でも押しかけちゃうカモ♪」
「・・・・・・こなた・・・・・・」



私の中に何か温かいものがじんと流れ込んでくる。
トゲトゲしてた気持ちがうそみたいにまるくなって優しく心を揺らす。
さっきとは違う温かいものが込み上げてくる。



やば、ホントに泣いちゃいそ・・・・・・



たぶん赤くなってる目を見られるのが恥ずかしくて視線を逸らした。



私が何も言えなくなっているとこなたはにんまりと小悪魔の笑みを浮かべた。
まずい。このパターンは・・・・・・



「あれれぇ~、もしかしてかがみは卒業したら
 私と会えなくなっちゃうと思って寂しかったのかなぁ?」
「う、うるさい!そんなんじゃないわよ・・・」
「何がどう違うのかなぁ~?ん?ん~?」
「くっ・・・・・・」
「やっぱり可愛いなぁ~、かがみんは。
 心配しなくても大丈夫、私の寄生主第一候補はかがみんだから」
「・・・・・・ちょっと待て、そうすると別の心配をする必要があるんだが・・・」
「気にしない気にしない☆」



なんだか満足そうな顔をしているこなたを見てついつい笑みがこぼれる。



――そうだ、卒業なんかで私たちの縁は切れたりしないんだ。
そう思うと不思議と嬉しさが湧き上がってくる。
何よりこなたがそう思ってくれていることが嬉しかった。



嬉しい。でもそれがバレるのはなんだか悔しいから言わないことにした。
代わりにこなたには痛い一撃になるだろう一言を言い放った。



「ほぉら、手が止まってるわよ。早くやりなさいっての」
「うぅっ、その話に戻るのは反則だよかがみん・・・・・・」
「うるさいな。大体いきなり穀つぶしに転がりこまれても養えるわけないでしょ
 せめて自分のことは自分でできるようになりなさい」
「むぅ、キビしいのはかがみじゃなく現実のほうだったか・・・・・・」
「うまいこと言ってないでさっさと手を動かす!」
「ハイ・・・・・・」



しぶしぶ問題にとりかかるこなたを見てもう一度微笑む。



――あんたがその気なら私だってずっとあんたの側にいてやるんだからね。
覚悟しなさいよ・・・・・・!




おわり


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  • さびしんぼかがみん萌え。。。 -- ぷにゃねこ (2013-01-27 18:34:29)

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