―私はいつからアイツの事が好きになったのだろう?
…気づくとアイツの事ばっかり考えてた。
本人は気にしている小さな体、胸、そして顔にある大きなホクロ。
コンプレックスも、すべて私をトキめかせる長所になっている。
いつか、ちゃんと告白してアイツと…”恋人”同士になれたらいいな。
コンプレックスも、すべて私をトキめかせる長所になっている。
いつか、ちゃんと告白してアイツと…”恋人”同士になれたらいいな。
でも、マトモに告白したって「ダメだよ…。」とか言われるのは
目に見えて分かってる。
目に見えて分かってる。
成功か否かはともかくとして、言うキッカケが掴めず
気づいたら、もう3年生になっていた。
気づいたら、もう3年生になっていた。
言うんだ、今回こそ…。
―早く、来ないかな、アイツ。
―7月8日、日曜日。
わたしは、みゆきさんとふたりで住宅街を歩く。
目的地は柊家。今日は双子姉妹の誕生パーティーだ。
去年のプレゼントはさすがにドン引きしたみたいだから、
今年こそはまともな物を送りたい。
わたしは、みゆきさんとふたりで住宅街を歩く。
目的地は柊家。今日は双子姉妹の誕生パーティーだ。
去年のプレゼントはさすがにドン引きしたみたいだから、
今年こそはまともな物を送りたい。
「みゆきさんは何をプレゼントするの。」
試しに、聞いてみる。
「去年はイヤリングでしたから、今年はネックレスを贈ろうと思っています。」
「泉さんは?」
「んーと、両人ともルビーのイヤリングだね。」
「泉さんは?」
「んーと、両人ともルビーのイヤリングだね。」
…それと、STG好きのかがみに某、<<よう、相棒>>のアレをあげようと思っている。
何回P●xyに墜とされるか、今から楽しみで
ニヤニヤが止まらない。
何回P●xyに墜とされるか、今から楽しみで
ニヤニヤが止まらない。
―そんなこんなで到着。
呼び鈴を鳴らす。
すでに誰が来るのかは分かっていたのだろう。
両人とも出てきた。
呼び鈴を鳴らす。
すでに誰が来るのかは分かっていたのだろう。
両人とも出てきた。
「おーっす!いらっしゃーい。」
「こなちゃん、ゆきちゃん、来てくれてありがとうね♪」
「おぃ~っす!かがみ、つかさ、昨日も言ったけど誕生日おめ~!!」
「かがみさん、つかささん、誕生日おめでとうございます。」
「ま、まぁ、こんなところで立ち話もなんだからさ。上がりなよ。」
「こなちゃん、ゆきちゃん、来てくれてありがとうね♪」
「おぃ~っす!かがみ、つかさ、昨日も言ったけど誕生日おめ~!!」
「かがみさん、つかささん、誕生日おめでとうございます。」
「ま、まぁ、こんなところで立ち話もなんだからさ。上がりなよ。」
各人それぞれの挨拶をすませ、居間に通される。
「はい、プレゼント♪つかさにも。」
言って、差し出す。
「うわ、アンタにしてはえらくマトモだ・・・。」
「うわぁ~、こなちゃんありがと~」
「マトモすぎてコメントしづらいが・・まぁ、うん、ありがと。」
「それと~、かがみにはもうひとつ。お下がりになるけど。」
「うわぁ~、こなちゃんありがと~」
「マトモすぎてコメントしづらいが・・まぁ、うん、ありがと。」
「それと~、かがみにはもうひとつ。お下がりになるけど。」
言いながら例のパッケージを見せる。
「ホイこれ、かがみにあげる。」
「お~、ZEROじゃ~ん。5までしか持ってないからマジ嬉しいわ。」
「一段落したらやってみるといいよ。」
「そうさせてもらうわ。」
「お~、ZEROじゃ~ん。5までしか持ってないからマジ嬉しいわ。」
「一段落したらやってみるといいよ。」
「そうさせてもらうわ。」
…話が終わり、テーブルの上に置かれた
”たぶん”つかさの手作りらしいイチゴのタルトが気になっているのだが、
私の異変に気づくと、少し笑いながらかがみが、「さ、食べましょ」といってくれた。
”たぶん”つかさの手作りらしいイチゴのタルトが気になっているのだが、
私の異変に気づくと、少し笑いながらかがみが、「さ、食べましょ」といってくれた。
・・・・・・。
・・・。
・・・。
―なぜ楽しい時間というものは、すぐに過ぎ去ってしまうのだろう?
外はまだまだ明るいが、時刻は夕方の18:30。
外はまだまだ明るいが、時刻は夕方の18:30。
…何度目かの<<ガルム1墜落!!>>を聞いて、声をかける。
「かがみ、そこは高速バレルロールで避けれたよ~。」
「言ってる意味が分からん。」
「言ってる意味が分からん。」
みゆきさんに目配せしながら、言う。
「と、そろそろ帰るかなぁ~。」
「え?まだ明るいじゃない、ゆっくりしていきなさいよ…。」
「いや~帰んないとお父さんがお腹すかせてるし。」
「え?まだ明るいじゃない、ゆっくりしていきなさいよ…。」
「いや~帰んないとお父さんがお腹すかせてるし。」
言いながら立ち上がり、歩き出そうとする。
「ち、ちょっと待ってこなた!」
呼び止められる。
「うん?どったの?」
「そういやアンタの誕生日って5月28日らしいじゃない。」
「そうだけど、なに?」
「まったく…。言ってくれれば、私らも何かしてあげれたのに。」
「私は別に何も…。」
「そんなこと言わずに…ほれ。あげる。」
「そういやアンタの誕生日って5月28日らしいじゃない。」
「そうだけど、なに?」
「まったく…。言ってくれれば、私らも何かしてあげれたのに。」
「私は別に何も…。」
「そんなこと言わずに…ほれ。あげる。」
言いながら、かわいらしいピンクのチェックが入った紙袋をかがみが差し出す。
…受け取る。
「…ちょっと遅れてるけど誕生日のプレゼントよ。」
「かがみが?私に?」
「かがみが?私に?」
…正直、人から何かをプレゼントとかされるのは慣れてないので、
声が上ずってしまう。
声が上ずってしまう。
なぜかは分からないけど、かがみの顔が赤面している。
「い、いいから黙ってしまっときなさいよっ!」
「かがみ。ありがとう…♪」
「かがみ。ありがとう…♪」
…素直に嬉しかったので思わず声に出てしまう。
「んじゃあ、また明日ね。かがみ♪」
「うん。それじゃ、バイバイ。」
「うん。それじゃ、バイバイ。」
…みゆきさんと一緒に柊家を出る。
ふと、振り向くとかがみの顔が少し寂しそうに見送っていた。
・・・・・・・・。
・・・・。
・・・・・・・・。
・・・・。
―帰宅後。
一通りの家事を終えて、時間は午後9時。
いつもならここでネトゲにログインだが、今日はちょっと気になることがある。
いつもならここでネトゲにログインだが、今日はちょっと気になることがある。
…かがみにもらったプレゼントだ。
”帰るまで開けないで。”と厳命されているので素直に従っておいた。
カサカサと音を立てて紙袋を開封する。
カサカサと音を立てて紙袋を開封する。
「なにこれ…。」
出てきたのは、金属製で”K”の文字をかたどったケータイ用のストラップ。
キラキラと銀色に輝く。中心あたりにはご丁寧に
5月の誕生石である、エメラルドが配置されている。
キラキラと銀色に輝く。中心あたりにはご丁寧に
5月の誕生石である、エメラルドが配置されている。
…どう考えても、普通の高校生が他人の誕生日にあげるような代物ではない。
―私がケータイなんざ、ほとんど持ち歩かないのを知っての所業なのだろうか?
…つ~か、コレ絶対高いよねぇ…?
…つ~か、コレ絶対高いよねぇ…?
「………。」
わたしの頭の中でさまざまな思考がうごめく。
…こんなの貰ってどうしろと?
…とりあえず付けてケータイを持ち歩けってこと?
…とりあえず付けてケータイを持ち歩けってこと?
―唐突に思い出す、あのかがみの赤面した顔。
ひとつの「可能性」に、気づく。
ひとつの「可能性」に、気づく。
…まさか、かがみ。……いや、違うよねぇ?
―頭をワッシャワッシャと掻きながら、今日も夜が更けていく。
・・・・・。
・・・。
・・・・・。
・・・。
―翌日。
「お~っす、こなた。」
「こなちゃんおはよ~。」
「あい、おはよう…。」
「こなちゃんおはよ~。」
「あい、おはよう…。」
…我ながら気の抜けた返事だと思う。
「また、徹夜でネトゲーかぁ?まったく…。」
「言っておくけど、昨日はネトゲしてないよ。」
「言っておくけど、昨日はネトゲしてないよ。」
言いながら、少しだけかがみを睨み付ける。
「あによ?」
「…別に。」
「そういや、昨日ちゃんと家に帰って開けたんだろうな~?プレゼント。」
「かがみ。家に帰って開けてみたけど、アレ高かったよね?…あんなの、私がもらってもいいの?」
「私が、アンタのために買ったんだから、だまってもらっておいていいの。」
「…別に。」
「そういや、昨日ちゃんと家に帰って開けたんだろうな~?プレゼント。」
「かがみ。家に帰って開けてみたけど、アレ高かったよね?…あんなの、私がもらってもいいの?」
「私が、アンタのために買ったんだから、だまってもらっておいていいの。」
…言いながらなぜか顔をそらすかがみ。
「でもさ、なんか悪いよ…。」
「良いから、貰えるものは貰っとけ!」
「良いから、貰えるものは貰っとけ!」
…言いながら走り出すかがみ。
―最後に見た顔は、やっぱりなぜか赤面していた。
特に変わる事のない一日が始まる。
・・・・・。
・・・。
・・・・・。
・・・。
―HRも終わり、私はひとつ、欠伸をする。
…今日も終わった。
空かさず。と言うべきか、今日はちゃんともってきたケータイから
バイブの振動が伝わる。
バイブの振動が伝わる。
―開いて見てみると、かがみからだった。
”大事な話があるから、今から屋上に来てくれない?”
―…何だろ?
…階段を上って金属製の重たい扉を開けると、屋上に到着する。
夕日を浴びながら鉄格子に体を預けて、誰かを待っている女の子が一人、立っている。
夕日を浴びながら鉄格子に体を預けて、誰かを待っている女の子が一人、立っている。
―かがみだ。
「で、なにかな?」
「あ…うん。……」
「…。」
「あ…うん。……」
「…。」
―沈黙。
…呼び出した位だから、何か話があるハズなのだが一向に話す気配がない。
…うっすらと見えない、あやふやな思考の糸が
繋がりかけているのは、私だけだろうか?
繋がりかけているのは、私だけだろうか?
「ちゃんとケータイ持ってきたようで嬉しいな。」
スカートのポケットから、昨日つけたストラップが
顔を出しているのをかがみに発見される。
顔を出しているのをかがみに発見される。
「まぁ…さすがにね。」
「…それね?あんたの言うとおり、結構高かったんだから。」
「…それね?あんたの言うとおり、結構高かったんだから。」
―話す勇気ができてきたのか、かがみが口を開き始める。
「この先いろいろあるかな~って思って貯めてた貯金、
全部使っちゃった。」
「…な!?」
全部使っちゃった。」
「…な!?」
……堅実なかがみの事だ。
確かに、卒業やら進学やらでいろんなお金が吹っ飛ぶだろう。
バイトはしていないとは言え貯金は数万とかではないはずだ。
確かに、卒業やら進学やらでいろんなお金が吹っ飛ぶだろう。
バイトはしていないとは言え貯金は数万とかではないはずだ。
「だったら…ますますこんなの受け取れないよ!?」
…あからさまにキョドる私を尻目に、かがみが落ち着いて首を振る。
「ううん。あんたがもってて。
だって、私、あんたの事……好きみたいだから。」
だって、私、あんたの事……好きみたいだから。」
わたしの目をまっすぐ見つめながら言う
「…こなた。…私…あなたの事、好きです。…付き合って…ください。」
……は?…今、なんて…言いました?
…前述のとおり20%位は予想していたんだけど、
実際に聞くと、相当異質のものに聞こえる。
実際に聞くと、相当異質のものに聞こえる。
…つか、かがみ?。自分がなにを言ってるのか本当に分かっているの?
「え?そ、そんな事いわれたって…困るよ。」
…何とか言葉をひねり出す。
「あ…。」
かがみの顔が一気に寂しい顔へと変わる。
「そっか。…やっぱり駄目だったんだ。」
「ごめんね?…迷惑だったよね。」
「ごめんね?…迷惑だったよね。」
―言って、立ち去ろうとする。だが、わたしの手が、
かがみの手を掴むほうが速かった。
かがみの手を掴むほうが速かった。
「ち、ちょっと待って!」
―はぁ、なんか恥ずかしいなぁ~。
「よく聞いてね?。私、かがみから”好き”って言われて、
とっても嬉しいんだよ?。…”迷惑”だなんて、そんな事思ってない!」
「"好き"か、"普通の友達"か、"嫌い"って言う3択なら、
私だって、間違いなくかがみの事、"好き"なんだよ?」
とっても嬉しいんだよ?。…”迷惑”だなんて、そんな事思ってない!」
「"好き"か、"普通の友達"か、"嫌い"って言う3択なら、
私だって、間違いなくかがみの事、"好き"なんだよ?」
「…じゃ~、良いんだよね?」
…言いながら目を閉じて、キスの体勢をとるかがみ。
…ほっぺたをグニュとつまむ。
…ほっぺたをグニュとつまむ。
「だから、気が早いっつ~に。」
「…なによ?」
「確かに、私もかがみの事好き。だけど、私のほうは、まだそこまで
かがみのこと思えてない。」
「…そっか。」
「……。」
「…なによ?」
「確かに、私もかがみの事好き。だけど、私のほうは、まだそこまで
かがみのこと思えてない。」
「…そっか。」
「……。」
…いい加減、私の言葉に一喜一憂するのはやめてほしい。
さすがにこんなことをかがみに言いたくないけど、
常識で考えたら、おかしいよ?女が女の子を好きなんて…。
さすがにこんなことをかがみに言いたくないけど、
常識で考えたら、おかしいよ?女が女の子を好きなんて…。
―大体、本来なら住むべき世界すら違うんだよ?
今はたまたま一緒なだけであって。
成績優秀、品行方正、しかも、将来は法学部に入学して弁護士志望だという。
成績優秀、品行方正、しかも、将来は法学部に入学して弁護士志望だという。
……かがみならやってのけるだろう。
かたや私は見ての通り、勉強嫌いのβακαだ。
将来はバイトを続けるか、NEEEEEET予定かな?
将来はバイトを続けるか、NEEEEEET予定かな?
―自分で考えおいてなんだが、鬱になってきた。
かがみへの救済を通して、自分も救われるように、言う。
かがみへの救済を通して、自分も救われるように、言う。
「…でも、私のほうは、かがみに対して壁なんてないから。
今まで通り、接してくれて良いから。」
「…うん。」
「もちろん、かがみも遠慮なんかしなくて良いんだよ。」
「こなたぁ…。」
今まで通り、接してくれて良いから。」
「…うん。」
「もちろん、かがみも遠慮なんかしなくて良いんだよ。」
「こなたぁ…。」
言いながらかがみの目から涙がこぼれる。
「も~。泣かないの~。」
―ハンカチを差し出す。
「ほら、これで涙拭いて。帰るよ。」
「うんっ。」
「うんっ。」
―今日も日が暮れていく。
後編へ続く