新たなステップ

このページを編集する    


可愛いなとか。優しいなとか。一緒にいるのが当たり前で、いないとなんだか物足りなくて。離れたくないし、手放したくないって思った。
笑ってほしい。笑顔が見たい。ずっとそばで笑っていたい。
好きって気持ちを家族愛とか友情とか、恋愛ってやつに分類するとしたら。間違いなく私はかがみに恋している。
だから好きって言ってもらえて嬉しいし、付き合ってほしいって言葉にも頷けた。
今までも、これからも。ずっとかがみの隣は私の場所なんだって思えたから。

珍しく早起きした朝、いつもとは反対に柊姉妹を待つ。
通学の時間帯だから学生服の若者でごった返してる。朝から堂々といちゃついてる人もいたりするのかな。
以前なら冷やかし気味にちら見する程度だったけど、なんとなく青春のワンシーンに目が行く今日この頃。
間違ってもバカップルにはなりたくないけれど。
そもそも女同士だからカミングアウトもし辛いし、友達感覚が染み着いてて緊張とかドキドキとかもわからないまま。
付き合って何をするんだろう。なんて言うのはゲームとか色々で見てきた世界だし、知らないふりはしないけど。
そこに自分とかがみを当てはめ……るのは、恥ずかしくて無理。
そんな悶々としてること自体何より恥ずかしい気がする。時間を確認、結構経ってるじゃん。
もし今かがみたちが来たら、と思い自分の顔色を窺ってみたいけど、手鏡なんてものは普段の私は持ち歩かなかった。
家を出るときとか、最近絶対に時間かかりすぎてるってわかってる。いっちょ前に女の子してる、って昔の私が笑ってるかな。
でもそんな今の自分がわりと好きだったりするんだよね。


「おはようこなちゃん」
「おはよ。どうしたの、珍しく早いじゃない」
らしくなく考え事に耽っているうちに二人がやってきた。悟られないようにすぐ返さないと。
「おはよう。たまには早く来てみたらそんな言い種なんて、つれないねかがみんや」
「そんなの普段のあんたの行いのせいよ」
「つかさー、かがみが朝からいじめてくるよぅ」
ちょっとオーバーにつかさに泣きつく。少し苦笑いを浮かべながらもよしよしって頭を撫でてくれる。癒されるねえ。
「あ、ちょっと」
「どうしたの、お姉ちゃん」
「……別に、なんでもないわよ」
つかさに甘えた時のかがみの反応は今までにないものだった。
名残惜しいけどつかさから離れて、そっぽ向いてるかがみのほうに歩み寄る。からかいたい気持ちもあるけど、ほんのちょっと変化を加えてみようかな。
「かがみに早く会いたかったから」
本音は伝えたい人にだけ聞こえてればいい。そっと耳に寄せて囁いた。
みるみるうちに赤く染まるかがみの顔。忙しなく動いているけど言葉にならない口元。やっぱりかがみは可愛いねえ。
とは言えこのくらいでさ。告白してきた時の大胆さはどこへやら。
「わ、私だってこなたの……」
何か言いかけて結局口をつぐんだ。首をかしげて促してみる。
「その殊勝さもどれだけ続くことかしらね」
「いや、かがみ違うでしょ。さっき何を言おうとしたのさ」
「もうすぐバス来るわよ」
そう言って乱暴に私の頭を撫でる。ピンと背筋の伸びた立ち姿はキレイでカッコよくて。何か誤魔化された気がするのに追求ができなくなる。
じっと見上げていると不意に目が合った。
常識的で堅苦しい、照れ屋で怒りっぽい、そんなの全然違くて。
優しく微笑んでみせる。特別なんだって。
どんな顔で応えたらいいんだろう。かがみみたいな笑顔ができる自信なんてない。
見られたくなくて俯いて、でも見ていたくて顔を上げる。照れくさくっても構わない。好きなんだって気づいたから。
かがみが笑うと私まで嬉しくなる。私が笑えばかがみも笑ってくれるなら、いつだって笑顔でいたいと思った。


のんびりまったり昼休み。授業の間の短い休み時間じゃかがみは顔を出してくれなかった。
「おーっす、来たわよ」
何事もなかったようにやって来て、ほっとする反面ちょっと面白くない。そんな内心を隠してかがみを迎え入れる。
「もー、遅いよかがみ」
「悪い悪い、ちょっと日下部にしつこく絡まれてさ。普段はそうでもないのに、なぜか今日に限って」
なんでだろう、野生の勘みたいな?だけど残念だったねみさきち、一足遅かったみたいだよ。
「みさきちの必死の懇願も笑顔でスルーしてきたわけだね」
「そんな真似するか。誰かさんがずっと待ってるからって言ってきたのよ」
「つかさ、いい加減お姉ちゃん離れしないと」
「えぇ!?そんなことないよぅ」
「……もうあんな顔するんじゃないわよ」
私の頭を小突きつつ小声でぽつり。
「えっ?」
「遅くなって悪かったわね、みゆき。さあ食べましょ」
「いえ、そんな。皆さん揃っているほうが美味しいですからね」
いただきます、と手を合わせる三人。あれ、私置いてけぼり。
ちらりとかがみを見るけど、もういつもの食欲魔神(は言い過ぎかな)で美味しそうにお弁当を食べ進めていた。
最近のかがみは勘が鋭くなった気がする。主に私限定でってずるい。
「なに、欲しいの?」
「いやいや、つかさが作ったのならともかく、かがみ作じゃねえ」
いつもの調子で答える。本音を言えば味じゃなくてかがみが作ったってことに意味があるんだけどね。
「悪かったわね。と言うかあんたこそ、最近全然弁当作ってこないじゃない」
「まあ最初は姉の威厳ってやつもあって頑張ってたんだけどさ」
ゆーちゃんもすっかり一人でできるようになっちゃって。私は以前のようにゆっくり寝ていられるのでいいかな、と。

「もったいないよこなちゃん。せっかく料理できるのに」
「急にどしたのつかさ」
「食べてくれる人のこと考えながら料理するのって楽しいよ。お姉ちゃんもそう思わない?」
「私はどっちかと言うとつかさにがっかりされたらやだな、ってプレッシャーのほうが」
「思うでしょ?」
「ええ、つかさが美味しいって言ってくれたらすごく嬉しいわね」
珍しくかがみがつかさに押されていた。何事ですか、とみゆきさんに視線を投げても聖母の如き微笑み。
つかさがいつの間にかこっちに戻ってきていて、見たこともないような真剣な表情で。
「だから、こなちゃんもお姉ちゃんにお弁当作ってあげたらいいと思うんだ」
「はい!?一体どうしてそんな結論が?」
「お姉ちゃんも、こなちゃんの手作り食べたいでしょ」
「そ、それはその……食べたいかな」
照れながらも素直なかがみ萌え。なんて言う余裕はあるはずもなく。
「ね、こなちゃん」
「泉さん」
「えぇ!?なんでみゆきさんまで」
ちょ、なにこれ。どういう展開。
大好きな彼のために頑張ってお弁当作ってきましたとか、そういう感じ?私のキャラじゃないよ、勘弁して。
常識人のかがみに期待してみたけど。
「こなた」
呆れてたり怒ってたり、色んな声音で呼ばれてきた私の名前。いつでも感情が込められていて、呼ばれる度に私の心臓が小さく跳ねる。
優しく、はっきりと私に届けられる言葉。かがみが真っ直ぐに私を見つめる。
目が離せない。思考が止まったみたいに。確かなことが一つ。私はかがみが大好きだ。
「それだけお願いされちゃ仕方ないね。わかったよ。でもあんまり期待しないでよ?」
「こなちゃん、つんでれ?」
「つ、つかさ何言ってんの!?」
「おお、まさしくあんたの言うツンデレってやつよね」
「ちょ、かがみ!みゆきさんもなんか言ってやってよ」
「ふふ、泉さんもかがみさんも幸せそうですね」
みゆきさんまでなんてこと言い出すかな。いや、間違ってはないんだけどさ。
かがみも、こういう時は真っ先に否定してたのに。笑ってないで。可愛いけども。
「もうお姉ちゃんとこなちゃん、付き合っちゃえばいいのに」




コメントフォーム

名前:
コメント:
  • GJ! -- 名無しさん (2017-04-22 23:26:56)
  • やったー! 新作キタ~ -- kk (2014-09-14 23:20:26)



投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)


|新しいページ|検索|ページ一覧|RSS|@ウィキご利用ガイド | 管理者にお問合せ
|ログイン|
  



★Counter

TOTAL: -
TODAY: -
YESTERDAY: -

★更新履歴

取得中です。