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『Everything is so dear ~すべてが愛おしい~』

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匿名ユーザー

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『Everything is so dear ~すべてが愛おしい~』

冷たく乾燥した風の吹く、冬の晴天の午後。
今年最後の講義を終えた、私・・・柊かがみは、大学に入ってから向こうから告白され
親友から恋人になった泉こなたと、クリスマスデートに出かける待ち合わせの為、
こなたが指定した待ち合わせ場所である代々木公園に来ていた。

約束の時間より早く来た私は、近くのベンチに腰をかけ、一心地つく。
日が傾きかけた夕方の時分、日差しが弱まり木枯らしが吹き
冷え込みが厳しくなった為、ブルッと体が勝手に震え体が縮こまる。

年末を迎え寒さが一段と厳しくなったからと、厚手のコートを着てマフラーや
手袋を付けてきたにも関わらず、体が縮こまるほどの冷えた空気と吹きすさぶ寒風
・・・やっぱり使い捨てのカイロを持ってくればよかったわ。

そんな後悔をしつつ、私はカバンの中から暖かいお茶の入った
水筒を取り出し、一口飲む。
冷え切った体に暖かさがしみ込み、少しばかり寒さが和らぐ。

「お~い!かがみ~ん。遅れてごめ~ん。」

こうしてホッと一息入れていると、遠くから小さい恋人が、白い息を吐きつつ走って来た。
約束の時間より遅れたと思っているのか、少し焦り気味だ。

「全然良いわよ、こなた。約束の時間より全然早いわよ。」

焦り気味な恋人に、柔らかな笑顔で答える。
するとこなたは

「・・・ふぉおぉぉ。」

と奇声を上げ、照れ照れさせながら体をもじもじとし始めた。
そんなこなたの姿をみて、先ほどの柔らかな笑顔から引きつった呆れ顔に変わってゆくのを実感する私。
どうにか勇気を出し、奇行に走る恋人に恐る恐る声をかける。

「あ、あのう・・・こなたさん?」
「これだーこれを求めていたんだ、私はー。」

もじもじしていたと思ったら、急にガッツポーズをして力説を始めるこなた。
ごめんね、こなた。いくら愛していても、もうついていけないや。

「ドラマで使われそうな公園で、待ち合わせした恋人に優しく笑顔で迎えられるシチュ。
髪を下ろしているかがみんが、両手で水筒を持って暖かいお茶でヌクヌクしているのも、
女子力が上がっていてなお良い!・・・やばい、鼻血出てきた(首筋を手の平で叩く)。」
「おまっ、女の子としてそれはどうなんだ?」
「んじゃ、お腹一杯になったから私もう帰るね~。」
「待て、オマエ。」

好き勝手なことを言って帰ろうとするこなたを、襟首つかんで引き留める。

「クリスマスデートはどうした?確かイブの24日はアンタのバイトで無理ってことで、
25日である今日になったんじゃなかったか?何故帰る。」

思いっきり怒気をはらんで力強く言う。
コノヤロウ、人がどんだけ楽しみにしていたんだと思うんだ。

「ウソウソ、冗談だよ。んじゃ行こうか、かがみん。」
「まったく。」

ホントにまったく・・・でもこなただって本気で嫌がらせようとしているんじゃなく、
こうすると私がどう反応するか分かっている上でやっているし、私もそんなこなたの
考えが分かっている。つまりは互いに信頼しているからこそ出来るやりとりなんだ。
じゃあなければ、恋人として付き合ったりなんてしない。


むしろこの子とのそんな日常がとても愛おしく大切なものだからこそ、
同性だけれども、恋人として一緒にいる。

そんないつも通りのやりとりをしつつ、私達は渋谷方面へと向かっていった。
渋谷に着いたらこなたの希望でまんだらけへ、私の希望でロフトへとそれぞれ一緒に回っていった。
こうしているうちにうちにあっという間に時間が過ぎ、時刻は夜へと移った。

「う~冷えるね、かがみ。」
「そうね。さすがに夜になると、昼より冷え込みは厳しくなるわね。」
「う~ん、こんなに寒いと、かがみが寒い事に乗じて暖かいものを食べすぎて
冬太りしてしまうことが懸念されてしまう・・・どうしよう?」
「どうしよう・・・じゃないわよ。こっちだってそう毎年毎年失敗しないわよ。
カロリーにも気を付けているし、運動だってしてるわ。」
「そう、そんなかがみだからこそ今年は、
『ケンタッキー食べては懸垂し、けんちん汁飲んでは懸垂し、まるでケンタウロスのような体になる』
ことを期待するよ、かがみん。」
「どんな期待だよ。しかも女でケンタウロスって、すごくきもいわ!!」
「でもかがみのことだから~ケンタウロスのような体じゃなくて、ミノタウロスのような体かな~?」
「誰が牛の化け物だ。ホント失礼ね!」

変な声を上げつつ、私の体を下から上にまさぐる

「なんだよ!やめろよ!!」
「(かがみの腹をさすりながら)こりゃ、大物になりますぞ~。」
「うるさい!」

そんな私弄りを繰り広げつつ、これからどこかで晩御飯を食べようかってことになった訳だが・・・

「で、こなたさん・・・此処はどこかな?」
「しゃぶしゃぶ食べ放題~。」
「私が太る太る言っといて、行くとこ此処かい!!」

私は今、渋谷公園沿いの映画館や飲食店の入っているテナントビルの1階、
エレベータホールにいる。

「甘いねかがみん。しゃぶしゃぶは湯にくぐらせた際に肉の脂を落とすから、
焼き肉よりもヘルシーなんだよ。とゆーわけでいこー。」
「ちょっ、ちょっと。」

手を握られ、エレベータの中に無理やり連れて行かれた。
プシューとエレベータの扉が開く。

「扉が開きま~す。私達の未来も開きま~す。」
「何か言わないと気がすまないのか、アンタは。」

和風モダンでシックな店内。入ると早速個室へ案内された。
どうやらこなたがあらかじめ予約していたらしい。
個室からは渋谷の夜景が一望出来、なかなかの雰囲気だった。

「食べ放題だって言うから、なんか殺風景な店内かなと思ったけど、全然違うわね。」
「そだね~。私もこんな個室のとこは初めてだよ。
ところで結構夜景が見えるけど、ここは五階だっけ。」
「それは誤解よ、こなた。ここは八階よ。」
「『ここは五階かな?それは誤解よ!』うちの嫁です!!」
「なんで私がダジャレ言ってるみたいになっているのよ。そんなこと外に向かって強調するな。」
「ちなみに『五階にいるかがみは豪快です!』うちの嫁です!!」
「しつこい。初めての場所に来てはしゃいでいる子供か、アンタは!」
「ごめん、ごめん。こんなに眺めがいいんだよ?嫁を紹介したくなったんだよ。」
「ホントに良く分からん。」

しばらくすると、店員さんが注文していた牛肉を御重に入れて持ってきた。


「かがみ~。ミノタウロスの肉、2重分だよ~。」
「食べにくくなる言い方するな!普通に牛肉でいいだろ。」

牛肉と一緒に頼んでいた瓶ビールを互いのグラスに注ぎ、乾杯をすることとなった。

「それじゃ、乾杯。」
「かんぱ~い、お疲れ様・・・パウエル。」
「日本人でお願い。」
「んじゃ、かがみ・・・またお金?」
「違えよ。何で私があんたに金の無心しにここまで来るのよ。」
「司法試験頑張るって言って数年。もうお互いに20代後半だけどさ、
まだまだあきらめないで欲しいな、かがみには・・・。
私正社員で働いてるし、貯金も少しづつだけど作って、将来のこと考えているからさ。
頑張って、かがみ。毎日祈っているからね。」
「ちょっ、待てお前。何勝手な未来予想図作ってんだ。それとお前が今している祈り、
アフリカ原住民族の雨乞いの儀式みたいになっているわよ、こなた。
頼むから日本風に手と手のしわに合わせる形でお願い。
ほら、IHクッキングヒーターの前でのろし上げるマネしない。
そして鍋が沸騰したのに驚かない!」
「とまあ、みんなに寄生して生きていきたいと思っていた私が、
かがみに寄生される未来を描いたところで食べようか?」
「いいからさっさと食べるわよ。」
「‥‥・」
「何?」
「安心して、もうボケは無い。」
「いちいち言わなくていいわよ、そんな事。」

店内に入ってからなが~いふざけ合い経て、ようやく食事の時間となった。
牛肩ロース肉に国産豚肉をはじめ、つくね、季節の野菜、きのこ類、豆腐、
春雨などまんべんなく食べてゆく。
こなたはこなたで『一度こんなふうにしてみたかったんだよね~。』と言って、
御重の中に盛り付けられている肉を箸でいっぺんに取れる限り取り、
鍋の湯にくぐらせて楽しんでいる。
私はこなたに懸念されたダイエットの事など忘れ、家だったら起こっていた
姉たちとの肉の奪い合いも気にすることなく、こなたが無駄に湯にくぐらせた分も
含めゆっくりと満足ゆくまで舌鼓を打つことが出来た。
それとお肉もきれいで、量を食べた割には、ほとんど胃もたれすることがなかった。
また店員さんはとても明るく親切で、時間を忘れ90分を過ぎてもお茶を出してもらえ
すぐ追い出そうとはせず、満足のいくまでいられる雰囲気であった。
あまりに言われないので、申し訳なくなり自分達から早めに出て行った。
こなたに『まさかあんたがこんな店見つけてくるとは、驚いたわ。』と言ったところ、
『愛は人を変える力があるのだよ~。』と軽く返された。そんな私の事を気遣って
いるのだけど、そんなことを感じさせない普段の飄々とした態度で接するこなたに
嬉しさを感じ、クスッと自然に笑みがこぼれた。

暖房の効いた店内から出る際、外のあまりの寒さに震えるに違いないと身構えて出てみたが、
鍋物を食べ、体があったまっていたからかあまり寒さを感じなかった。
もしかしたらこのことも考えてここにしたのだろうか、
本当に相手に気づかれないところですごく気を使っているな、この子は。
そう思っていると、こなたが

「折角だしさ、クリスマスイルミネーションの渋谷の街を歩いてみようよ。」

と散策に誘ってきた。『そうね、折角だし』と私も同意し、
こなたに誘われるがまま手を繋ぎ、体を近付けつつ一緒に行くことになった。

クリスマスイルミネーションに彩られた街を2人歩いてゆく。
冬の澄み切った空気にイルミネーションの光が映え、
より一層美しく光り輝いていた。
そんな光景を楽しみながら、私達は公園通りからパルコ方面へと歩いて行った。


渋谷パルコの正面口に飾られているクリスマスツリーのところで、
こなたが話しかけてきた。

「ねえ、ザ―ボンさん。」
「・・・地球人でお願い。」
「決して『普段のザ―ボン=普段のかがみん』、
『醜くなって戦闘力の上がったザ―ボン=ダイエット失敗のかがみん』と言う訳じゃないからね。」
「もうオマエ、口開くな。」

「あのさかがみ。ちょっと遅れたけど、クリスマスプレゼント。」

こなたはカバンから、赤い光沢のあるどこかのジュエリーショップと思わしき
紙袋を差し出してきた。

そのこなたからのプレゼントに顔の引きつりを隠しきれない私。
決していつぞやの時の様なひどいオタグッズだったからではない、
だってそれ・・・・・

「あ、あのさ。私からもこれ・・・プレゼント。」

今こなたから貰ったプレゼントと同じ包装の紙袋をカバンから取り出し、こなたに手渡す。
そう、どうやら私とこなたは、互いのプレゼントを同じ店で購入したみたいだ。
こなたも糸目ネコ口の状態でなんとも言えない表情をしている。
そんな状態で互いに無言で、それぞれ渡したプレゼントを開けてみることにした。

ちなみにこなたからのプレゼントは、ピンクゴールドでコーティングされ、
ダイヤでクロスをモチーフにしたシルバーリング。
私からは、ピンクゴールドでコーティングされたクロスに、ダイヤのリングが
かかったペンダントトップが付いたネックレスと、さすがにお互いの品は違っていた。

「あ、ありがと、かがみ。すごく嬉しいよ。でもさ、モノは違ったけど、
両方のプレゼントに『すべてが愛おしい』ってメッセージが入っているって
なんなの?かなり通じ合い過ぎて、すごく恥ずかしいんだけど・・・。」

そう言ってこなたは、もじもじと照れ始める。
確かに品は違っていたのだが、両方とも英語で
『Everything is so dear ~すべてが愛おしい~』
とメッセージが刻まれていたのだった。
正直少し恥ずかしいのだけど、お互いに同じ事を考えていたと思うとすごく嬉しく、
私としては恥ずかしさよりも嬉しさの方が強い。
でもこなたは恥ずかしさの方が強く、しばらく元に戻らなそう。

付き合ってみて分かった事だが、こなたはこうやって照れるとなかなか戻らない。
だから照れそうになると、照れ隠しに突拍子の無いボケや誰にも分からない内容の話を振って
茶を濁してきたみたいだ。

まあ、こうやって照れているこなたもかわいいから、私としてはこのまま眺めて
いるのもいいんだけれども・・・・・いけない、思考が横道にそれた。

とりあえず、このままだとグダグダなまま終わってしまいそうだ。
そんな終わり方は正直嫌なので、ちょっと暴走気味になるけれど、強引に展開を進めよう。

「あのさ、こなた。私アンタのすべて、すごく愛おしいって思っているわよ。」
「ふぇ?」
「だからこのプレゼント貰って、こなたも私も同じことを考えていたって分かってすごく嬉しい。」

まだ反応が悪い。ちょっと言い方を変えてみるか。

「まあアンタ好みの言い方で言わせてもらうと、
ずっとずっと夢だった、叶わぬ夢だと思っていた。それでは言って頂きましょう。
柊かがみさん『ずっとこなたが、好きでした』・・・初めて出会った高校の時からずっとね。」

高校の頃は友達として付き合っていたけど、
どこかこなたに恋愛感情らしきものを抱いていたのは確かだ。


「み、みゃー!かがみ、落ち着こうよ、ね!」

やった、やっと反応があった。

「冷静に今の状況を見てみようよ、かがみ。クリスマスの街の中心で
美人女子大生が、見た目女子中学生のロリババァに愛を叫ぶってすごい光景だよ。
これこそ、捨て身の幸せだよ。かがみ。」

わあ、こなたから美人女子大生って言われた。
ポロっと本音をこぼしちゃったんだったら、なんか嬉しいな。
じゃなくて、捨て身の幸せって・・・

「でも幸せであることには変わりないじゃない、こなた。
私こなたがいないと寂しいし、今日も待っている時、こなたに会うまでむなしかった。
でもこなたといればどんな未来も怖くないし、むしろこなたなしではもう生きていけない気がする。」
「ううう、かがみ暴走し過ぎだよ。ラノベや美味しい料理といった好きなモノだけじゃなくて、
好きなヒトにまで暴走するなんて、好きになって初めて気がついたよ。」

そう、それは私もこなたと付き合って初めて気がついた。
でもそれは好きな人に対してというよりも、こなたのことを好きになったからだと思う。
自由奔放で楽しい事を追及してゆくこなたを、いつもは見守っているのだけれども、
いつも素でいようとするこの子の陰りの無い笑顔や雰囲気に当てられ、
なぜか見守る方がはしゃぎすぎてしまう。
そんな自分が好きだし、そうさせてくれるこなたのことが好きなんだ。
だから、一緒にいるのはすごく嬉しい。

とりあえず、こなたも元に戻ったみたいね。
私は戻りそうもないけど。

「あのさ、こなた。」
「なにさ、かがみん。」
「今日泊まってゆかない?お代は私持ちでもいいからさ。まだこなたと一緒にいたい。」
「ぎにゃー、私の部屋の鏡じゃなくて、私の嫁のかがみが壊れたー。」
「何こなた?お泊りと聞いてホテルで女子中学生が女子大生にエッチな事されると想像したの?
もう・・・バカ‥(テレテレ)」
「自分から言っといて、自分で照れるって何なの一体?」
「ということで行くわよ、こなた。今夜は帰らせないから。」
「にゃーーー。」

また恥ずかしがり、もじもじし始めたこなたの手をひっぱりつつホテルへと向かう。
ホテルの部屋に入ったらまず抱きしめて、キスをしよう。後は・・・おいおい考えよう。
でも家への良い訳も考えなきゃなー、けどワクワクして楽しい。
こなたといればそれだけで、永遠さえあると信じられるんだ。
そんな高揚感の中、私達はイルミネーションの街の中へと消えていった。








「本当に暴走しすぎだよ、かがみん。
・・・・・(小声で)でもそんな暴走するかがみも含めて、かがみのすべてが愛おしいんだけどね、私も。」
「何か言った、こなた?」
「何でもないよ~。好きだよ、かがみ。」

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コメント:
  • この後どうなる?こなた -- かがみんラブ (2012-09-14 22:39:49)
  • お互い理解し合ってていいですな
    暴走かがみはやっぱり好きだ -- 名無しさん (2010-12-28 12:06:24)
  • * 社会人&恋人同士となっても、この2人の関係は最高ですね~。
    だがしかし、お二人さん、イブほどでもないが25日でも
    ホテルの空き部屋は無いのでは? -- kk (2010-12-26 22:23:07)




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