『かがプラス』

このページを編集する    
最近、こなたがゲームばかりしている。
いや、前からゲームばかりしていたのだけど、どこか、いつもと違う。

「凛子が可愛くて生きてるのが辛いww」

これだ。
何故か分からないが、ちょっとイラっとした。
ちょっと旬は過ぎたものの、爆発的ブームを巻き起こしたあのゲーム、つまり、ラブプラスだ。
恋人や夫婦の関係にさえ、皹を入れる事もあるという。
一説によれば、今までのゲームと違い、余りにも恋愛的なので、恋人はそれを嗅ぎ取ってラブプラスに反発するのだ、とか何とか。
まあ、別に私はこなたの恋人じゃないけど。

「凛子愛してるー」

音声入力らしい。
友達の前でそれをやる根性や度胸や神経を疑うが、なんだか頭をかち割ってやりたい気にもなる。
私は、不愉快だった。



  『かがプラス』



「はあ? ラブプラス?」
私は、知り合いの浅見篝(オリキャラ)に、ラブプラスについて聞いてみた。
田村さんやパティに聞いてもいいけど、オリキャラの方が便利な事もあるというのを分かって欲しい。
「私がああいうゲーム得意だと思ってんの?」
「思ってません」
「じゃあ、何故聞く?」
「篝さんならボロクソに言ってくれると思って」
「なんだそれ?」
私はたぶん、ラブプラスが滅茶苦茶にけなされるのを聞きたいのだ。
田村さんやパティでは、そうはいかない。
「まあ、苦手なゲームだよ。なんでだろう……もともと、恋愛系のゲームはやらないのもあるけど、終わり無く、あやふやなコミュニケーションを求めるゲームってしんどいなあ。つまり終わりがないから、終わるのがうしろめたくなるし、相手は機械だし、私にとっては、重いゲームだよ」
「つまり……篝さんでさえ、現実の恋愛と同一視してるんですか」
「ちょ!? 顔怖! なんで怒るんだよ!?」
「怒ってません、聞いてるだけです」
確かに、若干不機嫌になっているのが自分でも分かる。今も、こなたは凛子とかいう恋人とよろしくやっているんだろうか。そういうのって不健全だ、と私は思う。
でも、今までだって、こなたはさんざんギャルゲーをやっていた。何故今更、私は苛々するのだろう。それを知りたかった。
篝さんが答えられるかどうか分からないが。
「別に現実の恋愛と一緒とか思ってないけど、人口知能的コミュニケーションがなあ……たまごっちも苦手だったし、どこでも一緒も苦手なんだよ。区切りも、ルールもなく、擬似コミュニケーションをするっていうのが苦手だ。何のためにゲームしてるのか分からなくなる。コミュニケーション自体を楽しめない限り」
「逆に言えば、そのコミュニケーションが楽しめるなら、現実の恋愛と一緒って事ですか」
「だから怖いって! なんなんだよ!? 何故そんなに怒る!?」
「怒ってません!」
思ったほど、篝さんはラブプラスをけなさなかった。
私は、なんだかもやもやした。



こなたが規則正しく生活している。
曰く
「凛子のいい彼氏としては少しでも生活時間を合わせて一緒の時間を過ごさないとって思って」
だそうな。
この……
泥棒猫が!
という言葉を飲み込む。どこの昼ドラだ。
クール、クール、私はクール。
私との約束の時間は破るくせに!
そういうと、こなたは平然と言った。
「リアルだと許して貰えたりするけど、ゲームキャラはシビアだったりするから、そーゆーのも理由としてあるのかもね~」
こいつは・・・
「全く、あんたの周りの人間はあんたに甘すぎだっ!」
こなたはニヤニヤと笑って、言った。

「かがみも含めてね」

見透かされた、気持ち。
「なっ!? 何だよ・・・」
「やさしいかがみんが好きだよ~」
「一生言ってろ」
天然なのか、意図的な小悪魔なのか、こなたは全く困った奴のままだった。

それからも、こなたは何かと凛子凛子言ってる。
「お前さ、流石に、二人きりで部屋にいるときはやめないか?」
「およ? 今までだって、二人きりの時でも結構ゲームしてたと思うけど」
「いや、なんつうか、流石に見てて居たたまれない、凛子とかいうのに話しかけてる姿は、他人に見せていいもんじゃないぞ」
「いやー、かがみんは親友だから、分かってくれるかなあ、って」
なんだか、ずるい気がした。
そういうところで、親友とかなんとか、甘えるのが。
「分かんない。気持ち悪い」
「お、これは厳しいご意見」
こなたはへらへら笑っている。私の感情は、既にまずい一歩を踏み出している。
「ゲームの中の女の子と恋愛なんて、気持ち悪い。しかもこなた、あんた女でしょ。吐き気がする」
こなたは私の言葉の厳しさに、動揺したようだった。
悲しそうな顔。
そんな顔を、させたい訳じゃなかったのに。
「かがみ、怒ってるの?」
「別に」
「ほったらかしてゲームしてたから?」
「怒ってないわよ。ただ、そういう現実逃避みたいなゲームが嫌なだけよ」
「ギャルゲーは今までもやってたじゃん」
「違うわよ、そういう、現実の恋愛の代わりにゲームするのが気持ち悪いだけ」
「別に代わりになんかしてないよ、ゲームはゲーム、現実は現実だよ」
「嘘」
ゲームを、ただゲームとして割り切ってクールに遊ぶなら、大抵のゲームはつまらないだけじゃないか。
どこかで本当の、全身全霊の現実として打ち込むから、ゲームは面白いんだと、かがみは思う。
所詮嘘の恋愛ゲームだから、と斜に構えて、ラブプラスのようなゲームが楽しめるとかがみには思えなかった。だからこそ、篝さんはラブプラスを楽しめなかったんだと思う。心のどこかで、凛子と恋愛してるから、こなたはラブプラスが楽しい、それは、でも、なんだか許せなかった。
「どうしたのさ、かがみ、ゲームに無理解な人みたいなこと言って」
「だって、こなたは、凛子と恋愛してる訳でしょ? 違う?」
「ゲームの恋愛と現実の恋愛は違うよ」
「あんた、現実の恋愛なんかしたことあるわけ?」
こなたが沈黙した。
私も黙った。
気まずい時間だけが流れる
空気の重さに潰されそうになって、限界だと思ったその時、こなたはぽつりと言った。

「今、してるよ」

「え?」
「現実の恋愛」
そう言って、こなたは私の口を塞いだ。
私は、目を閉じた。



混乱の時は過ぎ去った。
色々あって、少しは落ち着いてから、私達は離れた。
「……なんつうか、いつから?」
「結構前から。かがみは?」
「私は、わかんない……」
「何それ?」
「はっきり気付いたの、さっきだし……」
私達は気恥ずかしく沈黙した。
なんで、唐突にこんな事に。
振り返ると、色々と恥ずかしい。
「かがみ、凛子に嫉妬してたんだ」
「うるさい!」
図星をつかれて、顔が真っ赤になるのが分かる。
自分でも、それに気付いてなかったのが、更に恥ずかしい。
「可愛いよね、かがみ」
「そ、その話題禁止!」
自分が嫌になる。
こなたは慰めるように私に言った。
「んー、かがみとゲームでも恋愛できればいいのにね」
「はあ?」
「かがプラスだよ! そうしたら、かがみも怒らないでしょ?」
想像してみる。
ゲーム画面の中の私に、かがみ愛してるよ、などと呼びかけているこなたを見る、私。
「恥ずかしい! それは相当恥ずかしい! 凄く馬鹿っぽいし!」
「いいアイディアだと思ったんだけどなあ」
馬鹿っぷるにしか見えないだろ。それ。
「まあ、無いものねだりをしても仕方ないね。今は、凛子を愛でるしか……」
そう言ってこなたがDSを拾う。
「ちょっと待て」
私は、こなたの手を押さえつけた。
「今は、私、いいわね?」
そのまま、私達は倒れ込んだ。




それで何が変わったかというと、変わらずこなたは凛子を愛でている。
何も変わらなかった、気がする。
一度、「私と凛子、どっちが大事なのよ」とベタな質問をしてみた。
「どっちも大事」というふざけた答えが、こなたの本心らしい。
全く、むかつく話。
でも結局、これでいいんだと思う。
ゲームの偽者の恋愛を捨てて、本物の恋愛に目覚める、なんて、凡庸な現実賛歌過ぎる。
多分、私達はゲームのような偽者や、現実のような偽者と、上手くバランスを取りながらやっていくのだろう。それは時々、他人からは理解されないかも知れないけど。
こなたはニヤニヤ笑いながら、今日もDSに話しかけている。

「凛子愛してるよ~」

前言撤回。
…………いつか、DSを破壊してやる。






コメントフォーム

名前:
コメント:
  • 惚れた弱みか…強く言えないかがみんが可愛い(・∀・) -- 名無しさん (2010-12-07 02:10:16)
  • 八巻ネタですね⁈わかりますww -- 名無しさん (2010-11-25 04:55:41)
  • こなたラブプラスでもツンデレ選ぶかw
    何はともあれ久しぶりの作品甘くて良かった!
    あじじゅした〜 -- 名無しさん (2010-11-03 05:53:16)


投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)


|新しいページ|検索|ページ一覧|RSS|@ウィキご利用ガイド | 管理者にお問合せ
|ログイン|
  



★Counter

TOTAL: -
TODAY: -
YESTERDAY: -

★更新履歴

取得中です。