こなた×かがみSS保管庫

『Reach out I will be there for you ~そばにいるよ~』

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匿名ユーザー

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大学の試験期間が終了した、7月終わり頃の土曜日。
私、泉こなたは、かがみとつかさ、みゆきさんの4人で渋谷・スペイン坂にある
スイーツ食べ放題のケーキ屋に来た。

赤を基調とした明るくモダンな雰囲気の店内、
私達は各々好きなケーキやドリンクを取ってきてから、案内された席に座る。

「それでは試験期間おつかれさま~(言いつつ、乾杯をする)。」
「おつかれ~。」
「おつかれさまです。」
「おつかれ・・・(物凄く悪い顔をして)今回こなたが、子供料金で入らなかったことにもかんば~い。」
「あっ、そうするの忘れてた!」
「今だにする気まんまんかい!!」

「ハッピバースディトゥユー。」

店の奥から、店員さん達がバースディソングを歌っているのが聞こえてくる。

「ねえこなた。店員さんバースディソング歌っているけど、
ここってバースディイベントとか催したりするの?」
「うん、予約していると出来るみたいだね。」
「へ~、そうなんだ。って歌いながらこっちに近づいてきているわよ。」

「ハッピバースディ。ディア・・つかさ、かがみん。」

「こ、こなちゃん・・・」
「えー・・・こなたさん、これってどういうことでしょうか?」
「えーっと、2人のバースデイイベントの予約をしちゃいました。」

そう言って、ペロッと舌を出す。

「はぁぁぁぁぁ?何故今になって?私達の誕生日どれだけ前だと思ってる!?」
「おっちょこ、ちょいちょいちょい。」
「今、意味不明なボケはさむ余裕なかっただろ。いいからちゃんと答えろ。」


『Reach out I will be there for you ~そばにいるよ~』


そんなこんなで店員さん達がバースディソングを歌いながら、バースディケーキを
私達の席まで持ってきた。

「えーと・・・約3週間遅れだけど、かがみん、つかさ誕生日おめでとう。(パーンとクラッカーを鳴らす)」
「うわっ、こなた、クラッカー私にかかってる!」

かがみ、つかさの2人でテーブルに置かれたケーキの火を消す。
そしてバースディケーキを模した帽子を被らされ、店員さんによる記念撮影が行われた。

「かがみん、この記念ショット1枚はサービスで、もう1枚は店内に貼られるんだって!
これで私達2人の痕跡がまた一つ増える訳なんだね。」
「別にあんたとの痕跡を作ってきた記憶はないんだけど。それと今回は私とつかさの誕生日で
撮られたんであって、あんただけとの思い出を作ったわけではないんだが。」

「あ~正直、誕生日から数週間たってから祝われるなんて思いもしなかったわ。」
「今年はかがみ、つかさの誕生日をちゃんと祝うこと出来なかったし、折角の機会だと思ってね。
ね~みゆきさん。」
「ええ、大分時間が経って正直どうかと思ったのですが、泉さんが『自分の時にあんなに祝われたのに、
かがみさん、つかささんの時には何もないのはなんかかわいそう』とのことで、祝うことにしました。」
「こなちゃん、ゆきちゃんありがとう。」
「ん、あ・・そうなんだ。それだったら、まあ、ありがとう。」
「ちゃんと私とみゆきさんからのプレゼント贈呈もあるよ。あと、ホストの自己申告制の誕生日みたい
で良いじゃない。」
「私は、ホストじゃない。」
「夜王のかがみ様にはピッタリじゃよ。」
「夜王じゃねえよ。そもそも私は女だ。」
「いやね、私の大学の友達にかがみんファンの女の子達がいてだね。
かがみが私の大学に来るたびに『わあ、これで今月来るの2回目だから、2かがみんだぁ。』
って妙なカウントを取る子がいたり、かがみを隠し撮りをしたケータイの写メを
指で弄りながら『いくらつぎ込めば、振り向くのやら・・』って言う子がいるくらいだから大丈夫。」
「全然大丈夫じゃないわよ、それ。なんで私が男性アイドルや№1ホストみたいになっているんだ?」
「熱狂している女の子曰く、何でもかがみには無条件で惹きつける何かがあるみたいだって言っていたよ。
もてもてだねかがみん。」
「そんなもて方、全然嬉しくない・・・。」
「こなちゃん、ホストって『瞬く(またたく)夜』と書いて『瞬夜(しゅんや)』みたいな源氏名が付いた
お兄さん達のこと?」
「またあんたは、こなたから変な影響を受けて。」
「えへへ・・・。」
「そうだね~。『夜を寿く(ことぶく)男・・・夜寿男(やすお)』とかね。」
「いたって普通だろ、それ。」
「家を守る夫・・・家守夫(やすお)!」
「ただのおっさんだよ。」

「にしても、ちょっとやりすぎじゃないか?それとケーキの私の名前、
何故『かがみん』にした?すげー恥ずいんだけど。」
「私にとって『かがみん』という呼称は、『ダーリン』『ハニー』といった
親愛を込めた呼び方としては最上級の呼び名なのだよ。・・かがみ限定でね。」
「ここにきてまでいいだろ、それは。」
「でもその呼び名、決してかがみさんを悪く言おうとした呼び方ではないですし、
どこか可愛らしく、すごく親しみが感じられてすごく良いですよ。」
「そうだよ、お姉ちゃん。」
「ん・・・そりゃ分かっているわよ。ただこうストレートに言われると、
なんか恥ずかしいというか・・照れくさいというかねえ、あーもう分かったわよ。
いいでしょもう、早く頂きましょ!」
「ケーキの呼び名だけで『ツン』と『デレ』それとデレ隠しに食欲を前面に出した
発言をさせて私を『メシウマ』な気持ちにさせるなんて・・・つかさ!!みゆきさん!!
やっぱり2人は私の心の友だ~。」
「るさい!それと『メシウマ』って『他人の不幸で今日も飯がうまい』という意味じゃない。
それなら普通に満足したとかじゃないの?『あ~かがみんまた一つ私色に染まってきたwww』って顔するな!!
まったく、いいかげんケーキ食べるわよ。」
「んあーい。」
「うん。」

(誰にも聞こえないくらいの小声で)
「ふう・・・私は泉さんとどんなに仲良くなっても、『みゆきさん』で一貫していますから。
そりゃ泉さん流の私に対しての親しみを込めた呼称であるのは分かっていますけど・・・
なんか『男の子が近所の綺麗なお姉さんに憧憬の意を込めた呼び名』的な感じがして
とても親友という感じがしませんから。
正直『かがみ、かがみ~、かがみん、ばかがみん、かがみ様』と複数の呼び名のあるかがみさんがすごく
うらやましいです。はぁ~」

「み、みゆき・・・」
「みゆきさん、重っ!!重いよみゆきさ~ん。」
「ね、ねえ、ゆきちゃん?一緒にケーキ食べよ。」
「あら、私としたことが。うふふ・・・。」

「ねえ、かがみ。」
「なに、こなた。」
「今度みゆきさん誘って、一緒にどこか遊びに行こうか?」
「そうね、なんかひとりでいろいろと抱え込んでいそうだしね・・・。」

「それでは、プレゼントタイムに入りま~す。」
「わ~。」
「まずつかさには、私達みんなでお金を出し合ってホームベーカリーを買いました~。
普通の食パンから蒸しパン、ロールパンといろんなパン作れるからね~。たくさんのパンをつくるんだよ~。」
「わあ、ありがとう。頑張ってこなちゃんにチョココロネを作ってあげるからね~。」
「ありがとう、つかさ。週1回朝食目当てで朝からお邪魔するから。」
「人の妹の好意に乗じて、うちの朝飯たかりにくるな!!」

「このホームベーカリーで少々肥えりそうな、かがみんにはこれを差し上げてしんぜよう。」
「なにこれ?透明なダンベル?」
「そう水を入れると重みのあるダンベルへと早変わりするのだよ、かがみん。
これで、パンを食べた分のカロリーを減らすんだよ。ちなみに水の代わりにスポーツドリンクを入れれば
終わったあとに水分補給も出来るのだよ。」
「わ~すごくべんりね~ってなるか!どうしてあんたからのプレゼントは毎回私を弄る道具ばかりなんだ?
まったく。」
「あ、あのかがみさん。私が用意したのもダイエットグッズでして・・・申し訳ありません。」
「みゆき・・いいのよ、ありがとう。私が言っていたのはダイエットグッズに対して怒っているんじゃなくて、
この馬鹿(こなたを指さし)の私への悪意に怒っていただけだから。」

「なにを!私は愛しの嫁の健康を気にしてだというのに!!失礼だな~傷つくな~。」

「ニヤニヤしながら言っても、全く説得力がないわよ。」
「(ペロッと舌を出して)あれっ、バレた?」
「当たり前だ、まったく。」

「そういえば、なんで今回この店になったのよ。」
「お恥ずかしながら、ここは私の母が渋谷で迷子になった時に見つけた店でして・・・。
話を聞いてみると、メニューのバラエティ豊かでかつ値段も手ごろでしたのでここにしました。」
「へえ~。」
「ここってさあ。まさに『コンクリートジャングル』っていえるような、繁華街の奥まった
ところにあるよね。おばさんが迷子になるのもわかるな。正直ゆきちゃんがいなかったら、
ここ目当てで来ても、間違いなく迷子になるよ~。」
「確かに、みゆきさんがいなかったら来れなかったと思うよ~。」
「はぁ・・情けないわね、あんたたち。ちゃんと事前に調べたら来れるでしょ。
ネットの検索能力も向上しているんだし。」
「いや~、グーグルアースを使っても特定は難しいんじゃないかな?
でも食欲の権下のかがみ様は問題ないか~。」 
「るさい(といって、空のダンベルを投げる)。」
「(ポコッ)アウチ。涙ぽろぽろぽろ~。私これでお口の中のケーキが塩味になりました。」
「うるさいよ。」
「これ以上かがみ様のお怒りを受ける前に、スイーツのあるところへいくぞ~。皆の衆。
あそこならば、食欲の権下かがみ様の雷の落ちまいて!(スイーツのあるところへ急いで行く)。」
「こなちゃん、まって~。」
「やれやれ、それじゃ行こうかみゆき。」
「はい。」

そんなこんなで私達は、再びケーキやフードメニューを取りに行くこととなった。
今、みんなでフードコーナーにてケーキを始めとしたスイーツやフードメニューを選んでいる。

「(こなた、チャラ男風に)かのじょ、かのじょ~。うちの店あそびにこな~い?」
「い、泉さん?!」
「彼女かわいいから、3000円のところ1480円でいいし。」
「何してるんだ、こなた。」
「(かがみの方に振り向き)彼女良く食べそーだから、フルーツとか付けちゃうし。」
「わざわざ、フルーツ盛り付けた皿をもって来るな。
しかも若干綺麗に盛り付けているのが腹立つ。だからホントに何しているんだ。」
「みゆきさんとかがみをキャッチしてた。」
「はあ?何故キャッチ?」
「さっきのホストネタのつづき―。」
「あっそ・・・。」

私の発言に呆れかえっているかがみににじり寄り、
かがみのシャツの胸ポケットに小さな紙切れを入れる。

「な、何よこなた。」
「ただのメニュー表じゃよ。」
「大切に渡す意味が分かんねーよ。しかも小さっ!!」
「かがみ、ヒソヒソ(耳打ちをする)。」
「『おすすめは、DSソフト【牧場物語】とのコラボメニュー【このはな村のにんじんシフォンケーキ】と
【ブルーベル村のヨーグルトムース抹茶風味】だよ』って、普通に言え。」
「ちょっと、一ひねり入れた方がいいと思ったのだよ。あと、今渡した紙下の方読んでみてね。」
「ん、下の方?・・・あ~はいはい、分かりました。はい。」
「んじゃ、今晩よろしくね。」

「へえ~、TVゲームとのコラボ企画なんてやっているんだね。」
「ユニークでとってもおもしろいですね。」
「んじゃ、みんなで食べてみようか。」

「シフォンケーキは口当たりがソフトであっさりとした風味ですね。」
「ゆきちゃん。ヨーグルトムースは、抹茶の味が強く出ないように
ヨーグルトとミルクでバランスをとっているよ。」

そんなこんなで、ケーキ屋での突発バースデイパーティは幕を閉じて行った。


数時間後。

日も落ちた午後8時頃。
私以外の家族はそれぞれに用事がある為、誰も居ない幸手の自宅に私ひとり、
かがみが来るのを待っていた。
実は渋谷のケーキ屋にて、ネタでかがみに渡したメニュー表に
『今晩、直に話したいことがあるから来てほしい』と書いたので、こうして待っている訳である。

ピンポーン

どうやらかがみが来たらしく、インターホンのチャイムが響く。

「こなたー、来たわよー。」
「入っていいよ。かがみー。」

「オッス、こなた。(フッと玄関の明かりが消える)うわっ、急に暗くなった。」
「ハッハッハ、恐怖の館へようこそ。今から9千9百9十9体の悪魔に出会い、
最後は命を落とすことになるであろう。家族に別れを告げてきたかい?恋人にさよならを言ってきたかい?
自分の遺書を残してきたかい?自分の棺桶を作ってきたかい?・・・」
「(玄関近くにあるこなたの部屋の戸を空け)おい、こなた。いつからオマエんちは恐怖の館になった?
(完全に呆れた様子で)」
「テレビで心霊特集やっていたからつい、ついでに夏で時期もドンピシャだったし。」

かがみと話しながら、部屋と玄関の明かりを付けていく。

「で、呼んだのは、今振ってきたネタから私とホラーゲームやりたいからなの?
ほらこないだ言っていた、セガサターンの『百物語』?そこに転がっているし。」

無造作に床に転がっている、セガサターンソフト『古伝降霊術 百物語』を指して、かがみが言う。

「いや~、かがみんを呼んだのは『百物語』ゲームをしたいからじゃないんだよ。
それと2人だけで百物語やって、本物の物の怪にあっても面白くないじゃん。
こういうのはつかさやゆーちゃんといったギャラリーがいないと!」
「明らかに怖い話に全く耐性の無い面々じゃないのよ!全然駄目だろそれ。
それとつかさの場合、このソフトの取説に付いてきている『御札』を見ただけで泣き出すわよ。
うちでやったら、まっすぐにお父さんのところに駆け込んで、お祓いを頼むのが目に見えるわ。」
「そうだね~。かがみんとつかさのお父さん、神社の神主だもんね。
うちの場合はゆ~ちゃんが夜中、私の布団にもぐりこんでくるのが目に見えるな~。」
「それは、私のとこも一緒だ。アンタ人を怖がらせる目的でそんなことやっていると、
ホントにバチ当たるわよ。」

「かがみ、ちょっと外にでようか。今の時間なら涼しくもなっているだろうし。」

と言い、部屋を出て玄関へと向かう。

「ちょっと、こなた。一体どこへ行く気なのよ。
もしかして、実際に近所の心霊スポットへ連れていくつもりじゃないでしょうね。」
「違うよ。それとうちが変わりモノ家族と言えど、近所に心霊スポットのあるところに
住もうという気はないよ、かがみん。でも、自分のあまりの小さい頃からの変わらなっぷりに、
実は父親が娘を殺害していて、死んだ娘が幽霊として出ているのではないかという噂が
流れかけたことがあったけどね。」
「いやいや、それはさすがにウソだろ。いちいちそんな自虐ネタを入れるな!
そういう自虐ネタ言った時、たまに涙目になっているわよアンタ。」

そう言われて、私は玄関から3~4メートル離れた家の門まで行き。

ピンポーン

インターホンのチャイムを鳴らすことで、肯定の意をかがみに表した。

「まどろっこしい意思表示をするな!!普通に『うん』とかでいいだろ!」


自宅玄関付近でかがみといつも通りのやりとりを一通り興じた後、
私はかがみを近所の心霊スポット・・・ではなく、権現堂堤へと半ば強制的に連れ出した。

昼間の猛暑はなりを潜め、夜になり湿気が少なく、涼しい風が流れる川辺の並木道を2人で歩いている。
峠の茶屋付近まできたところで私は歩くのを止め、かがみに話しかけた。

「あのさ、かがみを呼んだのはこれを渡す為なんだ。」

紙袋から黒い小さな箱を取り出し、かがみに渡す。
かがみは箱を手にすると、箱に耳を当てたり、振ったりし始めた。

「・・・かがみん、なにしてるの?」
「アンタの事だから、何かのドッキリじゃないか確認してた。」
「ひど!かがみんマジでひど!!そんなんじゃないって。普通に開けてみてよ。」
「分かったわよ。開けてみるわよ・・・わぁ、どうしたのよこれ。」

箱を開けてみるとそこには、かがみの誕生石であるルビーの入った、シルバーリングのペンダント
とジュエリーポーチが入っていた。さりげなく添えられたルビーの紅色の輝きが、
シルバーの爽やかな光沢に映えている。

「かがみん、改めて誕生日おめでとう。昼に渡したダンベルじゃなくて、こっちが本当の
誕生日プレゼントなんだ。」
「へぇ、これただのシルバーリングじゃなくてルビーが入っているんだ。
ふふ、まさかあんたから誕生石の入ったアクセサリーをもらうなんて思ってもみなかったわ。
ありがとう、こなた。」
「いやいや、私の誕生日の時に結構良いものを貰ったからね。それに見合ったものをって事で
用意したんだ。まあ本来だったら、昼無理やり開いた誕生日会の時に渡せばよかったんだけどね。
実言うとこれ渡したかったから、数週間遅れの誕生日会を開いた訳なんだけどさ。」
「それだったら何で渡せなかったのよ。」
「・・・リングに刻まれた文を読んでみて。英語得意なかがみだったら分かると思うから。」

リングには『Reach out I will be there for you』と刻まれている。

「『Reach out I will be there for you』?『そばにいるよ』って意味でいいのかしら?」
「そうだね。大体そんな意味だね。」
「で、あんたはそんなガチで恋人に送るような内容の文が刻まれていたモノを、みんな
の前で渡すのが恥ずかしかったと・・・いうことでいいのかしら。」
「あははは・・・(うつむいて)うん、そんなとこ。」
「いつものあんただったら、仮に男子に対しても『I LOVE YOU』や『MAKE LOVE』
とか書かれたキーホルダーとか普通に渡せるのに。一体どうしたのよ。」
「そりゃね、そういう場合は、ローマ字で『I LOVE YOU → い ろべ よう』、
『MAKE LOVE → まけ ろべ』と読んでいたから全然意味なんてしらなかった~って言うしね。
全然問題ない。」 
「そんな返ししたら、アンタの頭が大問題だと思われるから、間違えてもするんじゃないわよ、こなた。」
「あとそんな風に渡すものに気持なんてこれっぽっちも入っていないしね。・・・・・かがみに対してのは
全然違うから。私の気持ちはその文の通り、かがみに対して『そばにいるよ』だから・・・」

私はまぶたを閉じて息を整え、風に運ばれてくる草木や土の匂いを感じながら、
気持ちを落ち着かせた。
そして、かがみをまっすぐ見据えはっきりと、穏やかな声で・・・

「私、かがみのこと好きだよ。むしろ愛しているといってもいいくらい。
いつもどんなときも傍にかがみがいて、気が付いたらどうしょうもなく、
好きになっちゃってた。これからもそばにいたいし、絶対に離れたくない。」

自分の気持ちを伝えた。

伝えているうちに、かがみと過ごした日常
・・・他愛のないことを話し合ったり、私のボケにストレートに突っ込んできたり、
感情表現が直球なかがみに対し短気だのヒステリックだの凶暴とからかったり。
私がそうやってからかったりすることから、本来そんな怒りっぽい性格でもないのに、
そういうリアクションを望んでいるのを理解して、わざと怒って見せたり。
私が何か困っていると、本気で気にかけてきたり・・・したことが思い出され、
いつしか私は非常に穏やかな笑顔を浮かべていた。

「私、同性趣味なんてないハズだったんだけど、今こうして私の気持ちを伝えている内に、
かがみと過ごしてきたことを思い出して・・・すごく愛おしい気持ちになっている。
私にとってかがみはかけがえのない人なんだ。だから、離れていてもいつも感じていたい、
感じてほしいから・・・このプレゼントを贈るんだ。」

そう言って私は、かがみの手からペンダントを取り、かがみの首につけた。

「かがみ?」

さっきから一言も話さないので、気になって話しかける。
すると、突然

―――――抱きしめられた。

「か、かがみ?」
「お願いこなた、しばらくこのままでいさせて
…今の私の顔、とてもじゃないけど見せれる状態じゃないから…。」

私の肩に滴がかかり、肩が少し濡れてゆく。

「こなた、私もこなたのこと・・・好きよ。愛しているわ。これからだって離れたくない。
勧めたい本だってあるし、約束していて結局行けてない映画だってあるし・・・」
「そうだね。果たせていないことがあったらさ、2人で一緒に出掛けて行こうよ。思い出と競ってさ。
離れなければ叶えることができるよ、かがみん。」
「あんたはホントこういう時に、こうくさい事ストレートに言えるわね。」
「だって本心だもん。」
「あんたのそんなこと・・・でもあんたのそういうとこ、時々本当に尊敬するわ。私にはとても言えないわ・・・。」
「私だって、私の言うこと真剣に聞いてくれるかがみだから、言えているんだよ。かがみ・・・」
「こなた・・・」

こうして私達はかけがえのない人に、互いの思いを言葉よりも強く伝えるため唇を重ね合った。


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  • 毎日当然の様に一緒に居た高校時代・・・今、チョット距離を置いた環境で、
    お互いの心の距離は一層近づき・・・イヤイヤもうピッタリ重なってますな。 -- kk (2010-08-14 23:39:30)
  • 高校卒業後に結ばれるのもいいですね -- 名無しさん (2010-08-14 22:13:40)





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