穏やかな日

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「穏やかな日」



「いい天気だねえ…」
「そうね…」


今は、2時間目が終わった後の休み時間。11時頃。
その日は、とてもいい天気だった。
太陽は燦々と輝き、雲は少なくきれいな青空が広がっている。
とっても穏やかな日。
私はかがみのクラスで、二人してぼーっとしながら外を見つめていた。

「こんないい天気の日はどっかに出かけたくなるよね」
「インドア派のあんたが言うなんて珍しいわね」
「私だってそうゆう時はあるんだよ」
「…」

「ねえ、かがみぃ」
「何よ?」
「今から学校抜け出さない?」
「ええっ!?」

「デートしよ」…とは言えなかったけど。

なんだか、天気がすごく良くて、雲一つない空で、とっても気持ちいい日。こんな日は勉強する気なんて起きない。
勉強もしなくちゃいけないけどさ、こんな日に校舎に閉じこもって勉強してるなんて、もったいない。


だから、大好きなかがみと、今日だけ、学校から逃げ出したい。私の気紛れだけど。

今だったらどんなに人目を気にせずデートしたって、他の皆には気付かれないよね。

そして、かがみを説得して、なんと了解させることに成功した。
かがみも勉強疲れしてるのかな?


「あはははははっ!」
「ちょっと、こなた今のはマズイわよっ!」
私たちは走って裏門から抜け出してきた。
「先生に出くわして『こんちゃ~』なんて挨拶しちゃバレるわよっ!鞄持ってるのに!」
「いや~、でも大丈夫そうだったよ~」
「まあ、そうだけどさぁ……でも本当に来ちゃったわね」
「こっそり学校抜け出すなんてワクワクするねえ~」
今日のこれからを期待する私とは裏腹にかがみは少し不安げだった。

「つかさとみゆきさんには先帰るってメール送っといたよ」
「明日なんて言い訳すればいいかしら…」
「それは、きょうの夜にでも相談しよ。とにかく今はさ、思いっきり楽しもうよ!」


バス停に着く。
「バスが来るのはまだまだ先か…当分待たなくちゃね」
「それなら歩いちゃおうよ。天気もいいしさ」
「…そうね」

普段、バスで通っている場所。
学校から駅までの道は、建物の少ない通りだ。
道路の両側に田んぼが広がり、間に草木の生えた道が続く。緑色の山もそんなに遠くには見えない。

この道をかがみと二人で話しながら歩く。
会話はだんだん少なくなっていくけど、とっても幸せな気持ち。
天気はいいし、勉強しなくていいし、それに、かがみと一緒。

とっても穏やかで、優しい時間。

穏やかすぎて、話すことも忘れてしまいそうな程。会話が少なくたって、気にならない。

恋の不安とか、テストの心配とか、受験とか、進路とか、今はなんにも考えなくていいんだ。
今は、この楽しい時間を味わいたいだけ。

「お腹空いたね」
「そういえば、もうすぐお昼ね。お弁当食べよっか」

道路脇の草むらの上に並んで座って、今日学校で食べるはずだったお昼ご飯を食べる。

「んー外で食べるご飯ておいしいよね。」
「あんたはチョココロネだけどな…でも、そうね。遠足みたいで楽しい」
「なんで高校では遠足ないんだろね?」
「高校生にもなって、大勢でリュック背負って歩くのか…」
「あ~、太陽がぽかぽかしてて気持ちいい~」
「そうね…あ、こなた私のお弁当少し分けてあげるわよ。そんなのじゃお腹いっぱいにならないでしょ?」
「ほんと!?わーい、かがみんありがとー」
「うふふっ」

「弁当が豪勢…今日はつかさの当番ですな」
「わ…悪かったわね!」
私は弁当のおかずを分けてもらう。

「ほら、こなた、ご飯粒付いてるわよ」
「ふえ?」
かがみは、私の頬についたご飯を取って食べた。
「おお…なかなか萌えることしてくれますなかがみんや」
「何言ってんのよ、あんたは…ふふっ」

こんな私にいちいち世話を焼いてくれるかがみ。
かがみは、とっても優しい顔で、私に微笑んでくれている。



いつか、かがみに「好き」って言おう。私は今、私の心とそう約束した。

お昼ご飯を食べ終わって、空にゆらゆらと浮かぶ雲をぼーっと見ている私は、ある視線に気付いた。
かがみの方に向くと、彼女はとても優しい顔で私のことを見つめていた。
「…なに見てるの、かがみ?」
「 …なんでもない…」
かがみは笑ってそう言った。


普段のかがみだったら、きっと顔を赤らめてツンツンした態度をとるのになあ…
私も今はあんまりからかう気にならない。なんだかすごく優しい気持ちで満たされてる感じ。
私たちの周りには家もなく、人もいなくて、静かだった。ときどき鳥の鳴き声が聞こえるくらい。


「う~ん…なんだか眠くなってきたねえ…」
私は草むらにころんと横になる。

「そこじゃ頭当たって痛いでしょ?ここ、いいわよ」
そう言ってかがみは、自分のひざをぽんぽんと叩いた。

「んー」
私は軽く返事をしながら、かがみに寄って、ひざの上に頭を乗せる。
結構、心地いい。ちょっとどきどきするけど、落ち着く。




空と太陽。
雲と風。
私とかがみ。
学校さぼって二人きり。
今はかがみのひざまくら。
何やってんだろ?でも幸せ。


日差しがぽかぽかしてあったかい。
私は眠くなって、目を閉じると、かがみが私の髪をなでてくれた。
気持ちいいな…

私は目が覚めた。
太陽の光がまぶしい。
すぐに寝る前の記憶を思い出して、自分は今寝る前と全く同じ状態にあると気付く。
「…私、どんくらい寝た?」
「少しだけよ。30分くらいかな」
私は体を起こして、背伸びしながら言った。
「むぅ~~~、さてと。そろそろ行こっかぁ」


私たちはまた歩き始める。


「こなた、起きたばかりだけどいいの?」
「んー、大丈夫…」
「うふふ、まだ眠そうよ…」


かがみ、今日は優しいね。
からかってるわけじゃないよ。
きっといい天気だから、気持ちが穏やかなんだよね。



「かがみ、手つなごっか」

さりげなく言ってみる。するとかがみは、

「…な、何言ってんのよ!あんたは…」
と顔を赤くしながら言った。

…いつものかがみだ。
すんなりいくと思ったのだが。

だったら。
「じゃあ、腕組みたいの?しょうがないな~」

いつもの私で。

「ちょ…ちょっとぉ、くっつくなあ~…わっ!」

あ~あ、かがみが暴れるから転んじゃったよ。

私はすかさず起きあがって、かがみの方に手を伸ばして、優しい声をかける。
「大丈夫?…かがみ」
「う…うん」
かがみは私の手をとった。私はかがみの体を起こす。…ニヤ。

「や~っぱり、かがみは手ぇつなぎたかったんだ☆」
「ち…違うわっ…!」

「…」

「…」

「…なに?」

「こなた…手、結構温かいのね」

「…」
私の胸がちょっとだけ、ぎゅってなった。

「と…特に意味はないんだからねっ!」
何も言い返さなかった私の様子に、かがみが慌ててツッコむ。

いつものかがみの反応に、私の顔がほころんでしまう。


こうして、手をつないでゆっくり歩いていく私たち。



…今、かがみに「好き」って言ってもいいけど、今はこの優しい時間を変えたくはない。

友達以上恋人未満て言うのかな?この微妙な関係。

きっと、かがみは私の気持ちを受け入れてくれると思う。

でも、今は幸せだから、何もしなくていいんだ。




今日はまだまだ時間がある。
またいつものように、私の行きたい所にかがみを振り回してやりますか。



これから、めいっぱい遊ぼうね、かがみ。

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コメント:
  • まるで縁側の日向のような。ほっこりしますね。 -- 名無しさん (2013-01-11 18:05:55)
  • なんど読み直してもいい話なので、全文一太郎で書き写してみた。やっぱりいい話だった←結論 -- 名無しさん (2009-09-02 16:13:09)
  • あったかくて、泣きそうになった。 -- 名無しさん (2009-08-13 02:14:03)
  • あったかい…あったかいよ…このSS…
    引き出し多くてウラヤマシスwまたSS書いてくれるのを待ってますよ。 -- 名無しさん (2008-09-29 16:36:58)
  • いいなぁ…いいなぁ…
    某エロパロスレで超鬱モノを見てしまった後だから、よけいにほのぼのしてしまいます
    やっぱりこなかがには幸せになってもらいたいです
    GJ!! -- 名無しさん (2008-09-12 11:29:30)
  • ほのぼのとした作品!こなかが最高ス! -- トウ?らき×2 (2008-03-23 00:04:29)
  • これがすごく好きです…ええなぁ… -- 名無しさん (2008-02-27 13:37:42)
  • ほのぼのとしたとても温かみがあるSSでした。
    少し切なさい部分があるのもいいですね、GJです。 -- 名無しさん (2008-01-17 18:03:49)

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