何気ない日々~想い絡む夏-2~雨粒と雨音に釣られて~

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 雨……今日はなんだか落ち着かない。いつもは気にならない雨音も、灰色の空もなにもかもが落ち着かなくて、ネトゲにも手がつかなくて、ベッドの上に転がっていた。
「なーんで、電話繋がらないのかなぁ?」
何度かけても、留守電に切り替わってしまう。かがみはうさちゃんで寂しがり屋の癖に私の電話にでないとは……寂しいのは私かも知れないけどサ。
「どーしちゃったんだろうねぇ、私ってば……」
かがみに電話が繋がらないだけなのに、ソワソワして落ち着かない。さながらそれは虫の知らせの様な気にもなってくるし、憂鬱な気分を増幅させる気もする……するだけ。以前ならかがみに電話が繋がらないというならば、それはそれとしてネトゲをがっつり先生とペアでも組むか、ギルドの皆とやっぱりがっつりレアアイテム狙いにいくかなんて事に頭がいって、かがみから電話が帰ってきても何を話したかったか忘れてしまって、ダカラ結局、他愛のない事をしゃべって、それからかがみをからかって突っ込みを入れられて、それでよかったはずなのに……今日は憂鬱になってしまった。
 雨の所為だろうかな?何か話す事があるわけでもないんだよね、ただ、ちょっとさ?かがみと電話越しでもいいから、構ってほしいと思っただけで……なんか、悪戯狐だと思っていたけれど、それは今でも間違っていないと思うけれど、寂しいから悪戯をする狐なんじゃないかって思えてきた。
 雨って憂鬱だと前に行った気がするけど、本当はそうでもなかったりする。昔は、野球がつぶれてアニメの時間が予約どおりなのが嬉しかったのもあったけど、もう雨が降ったくらいで中止になる野球も少ない。
 今でも雨がそんなに嫌いではないのは、自分でも子どもっぽいと思うから誰にもいえないのだけど、傘を雨が打つたびにリズミカルに聞こえる音がそれなりに嫌いじゃないからだ。土砂降りのときはそんな事を気にして入られないけれど、今日みたいに大粒の雨が好みの量で降っている時は、少しウズウズしてくる。
 ジュースでも買いにコンビニまで行こうかなぁ……なんて、なんだか自分らしからぬ発想が頭から出てくる。
 そんな事を考えている間も私の目は鳴らない携帯電話を目で追ってしまう。そして何度目だろう?かがみへのリダイヤルをする、四コールしてから溜息まじりに切って、また寂しいなぁと思ってしまう。それは、かがみの役目のはずなのに、どうして私がさびしんぼウサギになっているんだろう。
「よし!」
誰に言うわけでもなく、誰に入れるわけでもない気合を自分に補給して財布をポケットにいれて外へ向かう。携帯電話は置いていこうと思ったけど、かがみから、もし電話がかかってきたらと思うと手放せなかった。
 私は、今日は誰も居ない家にいってきますと言って、少し大きめの傘を指して外に出た。


「あぁ、電話かかってきてるじゃない……何度も、何度も。気がついたけど、かけ直したくても指が悴んでうまくいかない……わね」
ついさっき、私は電話がかかってきていることに気がついた。気がついたのはいいけれどポケットから出すのに手間取ってしまって、出ることはできなかったんだけどね。
 こなたから五回もかかってきていて、私もどうしてかあいつと話したかったのに……悴んだ指はうまく動いてくれない。もう、どれくらい雨に打たれているのだろう。
 まだ夏でもないけれど、どうして今日はこんなに寒いんだろう。電話を見て、こなたからの着信を見つけて、涙が止まらなくなってしまって。
 でも、涙は雨が全て洗い流してくれる。
 私は、どこへいけばいいのだろう。誰かにすがるのは許されることなのか、悪いことなのか、よくわからない。
「ははは……」
乾いた笑いが自然に浮かび上がってきて、今度は子どものようにしゃくりあげてそれでも、泣き声を堪えてただただ、熱い涙が頬を焼くように零れ落ちていく。丁度良く雨が、涙の通った焼けるように熱くなった頬の熱を奪っていく。
 いっそ私も雨が洗い流してくれればいいのかもしれない……なんて心にもない事をぼそりとつぶやいた時、雨がやんだ。
 やんだわけではない、傘が私の頭上を覆っていただけだ。傘から伸びるのは細い腕、そのまま視線を動かすと見知った顔。
「なにやってんの?かがみ」

視線の先には不機嫌な顔をしたこなたが雨に打たれながら立っていた。
 私はその問いに何も答えられず、ただ、彼女の目を見つめていることしかできなかった。


 声をかけたけど、ただ私の目をじっと見つめてくるかがみにかける言葉を探している間に雨足が強くなってきた。
 とりあえず、話は家できけばいいかな?色々聞きたいことはあるけど、わざわざ雨に打たれている中で聞くのも、どうかしているとしか思えないしサ。
「かがみ?」
もう一度声をかけても返事はなかった。その様子は、呆けているというよりはどう返事をしていいのか困っている、そんな表情に見えた。
 私はかがみに、手を差し伸べた。腕を引いて立ち上がってもらう事もできなくはなかったけど、そうするよりもこうやって手を差し伸べる方がいいような気がした。
 するとかがみがゆっくりと、お姫様みたいに手を載せてつかんでくる。……ふ、不覚にもそんな様子に萌えてしまった自分がちょっと嫌だったケド。だって、その手は私の手よりもずっと冷たくて、震えていたのだから。
 空いた手でかがみは荷物を肩にかけて立ち上がってくれた。手はそのまま軽く繋がれたままで、掴んでくれている力はとても弱くて振り払おうと思えば振り払えるなんて思われているのが回るわかりで、その事にちょっと心の中でイライラしちゃって。
 だから、私はかがみの手を痛くない程度にぎゅっと少しだけ強く握った……その手はやっぱりとても冷たくて震えていた。
 公園をでて、道路の方へ向かうとかがみが手を離してほしそうな顔をして、こっちを見ていたけど、私は会えて気がつかない振りをした。肩を寄せ合わないと二人は入れない大きさの傘から逃げようとするかがみを繋いでる手を引いて少し強引に引き寄せる。
「こ、こなた。わ、私はもうずぶ濡れになってるから、傘はいいわよ」
かがみが震えた声でそんな事を言う。その声は寒さで震えているというよりは、怯えた様子だった。
 その声に私、嫌われちゃったのカモ……と少し凹んだけど、だからと言ってかがみを雨に打たれたままにさせるのも嫌だったので、手は引いたままにして置いた。力を緩めるとかがみは傘の中から逃げだしそうだしネ。
 しばらく歩くと私の家についた。しっかりと手を繋いだまま、肩が寄り合わせて歩いている間中、かがみは周りをキョロキョロと怯えた小動物みたいに見ていた。
 雨脚もかなり強かったし誰ともすれ違わなかったけどね。でも、本当にどうしちゃったんだろう?ここ数日のかがみからすると凄い変貌ぶりだ。
 早くも私の春は終わったか……等と思ってしまいそうなくらいに周りを気にしてたし。
「かがみ、どったの?」
家はカギがかかっていたので、お父さんいないんだなぁとかゆーちゃんもいないのかなぁとか思いながら、玄関のドアをあけて私が一足先に中に入ったのに、かがみは、玄関の前で困ったような顔をして立ったままだった。
「ねぇ、かがみ?」
もう一度聞いても、困った顔をして、曖昧な笑みを浮かべたまま立ってるだけ。かがみはさっき自分でも言っていた通りずぶ濡れなのだから、私はそれを見ているだけで十分に心配だったから、もう一度手を掴んで引っ張る。あえて、何も言わなかった。
 手を引っ張るとあっさりと玄関の中に入ってはくれたけど、その顔は余計に困った表情に変わっていて、どうしてそんな表情をしているのかがとても気になったものの、まずはお風呂とかタオルとかを先にしないと、とかがみに山ほど質問をしたい自分に釘を指して、私はやや小さくなった雨音がする家の中を駆け回ることにした。




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  •  ども、作者です。えらく長いこと止まっていますが、決して書くのを辞めたわけではないのですが、少々患いものが悪化したり、親族に少々、事があったりで止まっています。まだ続きを待ってくださっている方いましたら、
    今年中には続きを投下したいと思いますので、気がついたら投下されていた的な気分でお待ちください -- 向坂 (2010-09-04 22:51:25)
  • 安西先生。
    続きが読みたいですorz -- 名無しさん (2010-09-04 18:03:47)
  • じっくり味わってます。 -- 名無しさん (2010-03-12 01:20:42)
  • 更に見逃せなくなった -- 名無しさん (2010-02-23 23:03:41)
  • 続き待ってましたー。ってさらに目の離せない展開になってるじゃないですか!
    作者様、今後も楽しみにしてます。 -- kk (2010-02-23 21:53:39)



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