あの日、抱き合ってキスしたのに、その事は幻みたいに私たちの話題には上らなかった。
触れてはならない禁忌のように。
やがて文化祭のチアダンスも終わり、やっぱり私たちはただの友達だった。
触れてはならない禁忌のように。
やがて文化祭のチアダンスも終わり、やっぱり私たちはただの友達だった。
チアダンスが終わった興奮の中で「かがみは最高の親友だよ!」といって見せたこなたの笑顔に、かすかな寂しさを感じて、私は動揺した。
最高の親友じゃ、私は、物足りない……?
自分は何故、寂しいのか。
まるで私の中でこなたが、『友達』の範囲を超えている、みたいな……。
最高の親友じゃ、私は、物足りない……?
自分は何故、寂しいのか。
まるで私の中でこなたが、『友達』の範囲を超えている、みたいな……。
文化祭の興奮と達成感の中で、私達は強く強く一体感で結ばれている気がする。
だからこそ、もうすぐそこまで来ている卒業を意識しないではいられなくて。
喝采を浴びた舞台の袖で、薄暗い照明の影でこなたと小声で話していると、その秘密めいたくすぐったい雰囲気と、祭りの高揚と達成感、
そんな様々な感情がない交ぜになって、私は泣きそうになる。
「かがみ、どしたの? 感激しちゃった?」
「う、うるさいわね! そんなわけないでしょ!」
「あれほどチアダンス嫌がってたのに、やってみたらノリノリになるんだから、かがみんはカワユスなあ」
「別に、そんな事ないっての!」
万雷の拍手も、もう遠い。
私達はチア服を脱いで、日常に帰らなきゃならない。
でも。
まだもう少し、もう少しだけ……。
自然と、私はこなたの手を握っていた。あふれ出す感情を抑えきれないみたいに。
「かがみ?」
本当の気持ちが、上手く言葉に出来ない。
「こなた……!」
不意に、こなたが私の家に泊まった夜の事を思い出す。
あのとき、重ねた唇は幻だったの?
違うのなら、今も、私は。
私の気持ちは。
こなたの眼を覗き込む。大きくて、どこまでも深い、こなたの瞳。
見つめ続けると、こなたはふっと目をそらした。
そして、握った手を、振り解かれる。
「あ……」
温もりが消えていく。
「戻ろ、かがみ、いつまでもこんな服のままじゃね。それともかがみ、この服気に入っちゃった?」
「そんな訳あるか!」
いつもみたいなやりとり。
だけど心の中はざわめいていた。
こなたに、拒絶されたみたいに思えて。
だからこそ、もうすぐそこまで来ている卒業を意識しないではいられなくて。
喝采を浴びた舞台の袖で、薄暗い照明の影でこなたと小声で話していると、その秘密めいたくすぐったい雰囲気と、祭りの高揚と達成感、
そんな様々な感情がない交ぜになって、私は泣きそうになる。
「かがみ、どしたの? 感激しちゃった?」
「う、うるさいわね! そんなわけないでしょ!」
「あれほどチアダンス嫌がってたのに、やってみたらノリノリになるんだから、かがみんはカワユスなあ」
「別に、そんな事ないっての!」
万雷の拍手も、もう遠い。
私達はチア服を脱いで、日常に帰らなきゃならない。
でも。
まだもう少し、もう少しだけ……。
自然と、私はこなたの手を握っていた。あふれ出す感情を抑えきれないみたいに。
「かがみ?」
本当の気持ちが、上手く言葉に出来ない。
「こなた……!」
不意に、こなたが私の家に泊まった夜の事を思い出す。
あのとき、重ねた唇は幻だったの?
違うのなら、今も、私は。
私の気持ちは。
こなたの眼を覗き込む。大きくて、どこまでも深い、こなたの瞳。
見つめ続けると、こなたはふっと目をそらした。
そして、握った手を、振り解かれる。
「あ……」
温もりが消えていく。
「戻ろ、かがみ、いつまでもこんな服のままじゃね。それともかがみ、この服気に入っちゃった?」
「そんな訳あるか!」
いつもみたいなやりとり。
だけど心の中はざわめいていた。
こなたに、拒絶されたみたいに思えて。
時は過ぎる。避けようもなく。
いつもの教室。
文化祭も終わって、厳しい冬がやってくる。気温も、受験という現象も含めて、私にとって厳しい冬だ。
もう大きなイベントはないし、卒業まで一直線、未来とか、将来って言葉には、いつも不安が付き纏って。
十年後、私は何をしてるだろう?
その時、こなたは傍にいるだろうか?
冬になっても、こなたはいつものこなただった。のほほんとゲームしたりアニメみたりな毎日だ。
さすがに心配になる。
「こなた、あんたちゃんと、受験勉強とかしてんの?」
「ふっふっふっ、かがみん、私は悟ったのだよ。無理して背伸びした大学に行くより、自分の身の丈にあった大学に行くべきだ、と!」
「はいはい、要は勉強したくないわけね」
法学部を目指す私と、こなたが同じ大学になることは、どうやら無さそうだ。
「そんな適当に選んで、後悔しても知らないわよ? 将来どうする気よ?」
「んー」
私の言葉に、こなたは感情の読み取りづらい表情で首を傾げた。なんだかそういう仕草や様子が、幼児めいて見えて愛らしい。
「実は、あんまり考えてないんだよねー。大学行きながら考える、という事で」
「ちょっとー、ほんと、心配な奴だよな、お前は」
私がそういうと、こなたが、にへり、という感じで笑った。何よ一体?
「かがみ、しっかりしてるよね。法学部に行きたいとか、将来のヴィジョンがちゃんとあって、そのための努力もしてる。
そういうとこ、ほんと凄いと思うよ」
「な、何よいきなり」
「私は適当だからさー、結構、不安に思う事もあるのだよー。かがみがしっかりしてるのを見ると、私も頑張ろう、って思うよ。
それに、かがみが心配してくれるの、嬉しいよ!」
「そ、そんな褒めても、何も出ないわよ」
変な感じだった。
こんなストレートにこなたが私を褒めるのとか、珍しい気がする。
「卒業も近いし、親友への餞の言葉だよー」
親友……。
放課後の教室に人気は少なく、私とこなたは二人でみゆきとつかさの帰りを待っている。
もうすぐ離れ離れになる私達は不器用で、上手く本心を伝え合う事が出来ない。
「ねえ、こなた……」
本当は、こなたは、私のことどう思ってるの?
友達?
それとも……。
「かがみには何でも話せるね」
とこなたが笑う。
親友だよ、って笑顔。
その笑顔は、あの夜重ねた唇を忘れようとしているみたいに見えて。
こなたは、本当に私のこと、『友達』なの?
それで高校生活が終わったら、こなたと私は、離れ離れになっちゃうの?
私は答えを聞くのが怖くて、こなたに伝える事が出来ない。
自分の想い。
私たちは、親しくなりすぎた。
今ある関係を壊すのをどうしようもなく恐れるくらいに。
つかさとみゆきがお手洗いから帰ってきて、私達は口を噤む。
こなたの表情からは、何を考えているのか、私は読み取れなかった。
私は一人、こなたと私の関係について考えていた。
まるで、迷路に迷い込んだみたいに。
いつもの教室。
文化祭も終わって、厳しい冬がやってくる。気温も、受験という現象も含めて、私にとって厳しい冬だ。
もう大きなイベントはないし、卒業まで一直線、未来とか、将来って言葉には、いつも不安が付き纏って。
十年後、私は何をしてるだろう?
その時、こなたは傍にいるだろうか?
冬になっても、こなたはいつものこなただった。のほほんとゲームしたりアニメみたりな毎日だ。
さすがに心配になる。
「こなた、あんたちゃんと、受験勉強とかしてんの?」
「ふっふっふっ、かがみん、私は悟ったのだよ。無理して背伸びした大学に行くより、自分の身の丈にあった大学に行くべきだ、と!」
「はいはい、要は勉強したくないわけね」
法学部を目指す私と、こなたが同じ大学になることは、どうやら無さそうだ。
「そんな適当に選んで、後悔しても知らないわよ? 将来どうする気よ?」
「んー」
私の言葉に、こなたは感情の読み取りづらい表情で首を傾げた。なんだかそういう仕草や様子が、幼児めいて見えて愛らしい。
「実は、あんまり考えてないんだよねー。大学行きながら考える、という事で」
「ちょっとー、ほんと、心配な奴だよな、お前は」
私がそういうと、こなたが、にへり、という感じで笑った。何よ一体?
「かがみ、しっかりしてるよね。法学部に行きたいとか、将来のヴィジョンがちゃんとあって、そのための努力もしてる。
そういうとこ、ほんと凄いと思うよ」
「な、何よいきなり」
「私は適当だからさー、結構、不安に思う事もあるのだよー。かがみがしっかりしてるのを見ると、私も頑張ろう、って思うよ。
それに、かがみが心配してくれるの、嬉しいよ!」
「そ、そんな褒めても、何も出ないわよ」
変な感じだった。
こんなストレートにこなたが私を褒めるのとか、珍しい気がする。
「卒業も近いし、親友への餞の言葉だよー」
親友……。
放課後の教室に人気は少なく、私とこなたは二人でみゆきとつかさの帰りを待っている。
もうすぐ離れ離れになる私達は不器用で、上手く本心を伝え合う事が出来ない。
「ねえ、こなた……」
本当は、こなたは、私のことどう思ってるの?
友達?
それとも……。
「かがみには何でも話せるね」
とこなたが笑う。
親友だよ、って笑顔。
その笑顔は、あの夜重ねた唇を忘れようとしているみたいに見えて。
こなたは、本当に私のこと、『友達』なの?
それで高校生活が終わったら、こなたと私は、離れ離れになっちゃうの?
私は答えを聞くのが怖くて、こなたに伝える事が出来ない。
自分の想い。
私たちは、親しくなりすぎた。
今ある関係を壊すのをどうしようもなく恐れるくらいに。
つかさとみゆきがお手洗いから帰ってきて、私達は口を噤む。
こなたの表情からは、何を考えているのか、私は読み取れなかった。
私は一人、こなたと私の関係について考えていた。
まるで、迷路に迷い込んだみたいに。
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- (/ _ ; )b -- 名無しさん (2023-08-23 23:31:28)
- らき☆すたがもっと好きになりました。いつもありがとう。 -- 名無しさん (2010-07-11 19:51:07)
- 続キボンヌ!! -- 名無しさん (2009-12-30 01:26:08)
- うわーっ!すんごく続きが気になる・・・って、続きますよね作者様ーっ!! -- kk (2009-12-28 23:44:39)