とても大きな存在

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めずらしく真面目な話をしていたから。二人きりだったから。
私は今なら本当の気持ちを言えるって思った。
こなたはなんだか泣きそうな声で。
いつもからかってくるはずのこなたが寂しいって。
私たちとの別れをいやだって言うもんだから。

たくさんの思い出はほとんどこなたと共にあるということ。
クラスが違ってホントは寂しかったこと。
他にもたまの寄り道とか、ライブとかイベントごとの話もいろいろあるけれど。
とにかく私にとって泉こなたがいかに大きな存在か。
恥ずかしさが込み上げてこないうちに言いたかった。

「ずっと一緒にいてほしい」

……あれ、違う。
私が言いたかったのはそうじゃなくて、その……
「と、思ってる」
だあぁそうじゃない。
願望を心の中で留めておくなんて言っても無駄なのに。
いや、本音はそうなんだけど、何かいろいろはしょってるから。

だから私が言いたかったのは、私がこなたを好きってこと。
もう遅いけどね。完全に素に戻っちゃったし。
うわっ、自分の台詞を思い出すだけで恥ずかしいから。
結局それ以上なにも言えなくて、帰ろうって。



気づいたら家に着いていた。
中途半端にしか気持ちを伝えられなくて、そのまま無言で。
素直じゃないのは散々からかわれてるからわかってる。
絶対言えるわけないよね。
ただでさえこなたには素直になれないのに、
こなたを、恋愛感情で、好き、だなんて。

だって私たちは女同士なんだから。
常識的にも私の心がちょっと普通じゃなくて。
どう考えたってこなたが受け入れてくれるはずないのに。

「お姉ちゃん、ちょっといいかな?」
つかさだ。また宿題のこととかかな。
ベッドに身を預けたまま部屋に入れる。
やっぱり教科書とノートを抱えていた。

「えっと、今よかったの?」
「別にちょっと考え事をしてただけよ。ほら、見てあげるから」
ベッドに寝転んでることなんてしょっちゅうあるのにね。
まぁそういうときはいつもラノベ読んでるかケータイいじってるんだけど。

「こなちゃんとなにかあった?」
全く、どうしてこうも鋭いのかしらね。
双子だから?確かにつかさの考えてることはなんとなく想像つくけど。
大したことじゃない。というかいつもこなたに結びつけるな。
……たいていその通りなんだけど。

「こなちゃんなら大丈夫だよ」
なにがだ。いったい何を思ってそんな言葉が出るのだ、妹よ。
「えっと、こなちゃんに言ったんじゃないの?」
そんな不思議そうな顔されてもね。
……もしかしてつかさ、気づいてる?

ニコッと笑顔で頷かれた。
「ゆきちゃんもね、気づいてるよ。気づいてないのはこなちゃんだけ」
えっと、私の気持ちはバレバレだったってこと?
というか、あんたら知ってて何も言わなかったんだ……

「その、変だとか思わないの?」
好きな人を知られてたのは恥ずかしいけど、それより聞いておかないと。
大事な妹、親友だからこそはっきりさせておきたい。
私はおかしいんじゃないかって、この恋は間違ってるんじゃないかって。
「えっと、私はまだ恋したことないからあれだけど、人を好きになるのに性別って関係ないんじゃないかな」
でも返ってきたのは非難の言葉なんかではなくて。
「私も、ゆきちゃんも応援してるよ」
私にはこんなにも心強い味方がいたんだ。

「こなちゃんなら大丈夫だよ」
何を根拠に、と思ったがつかさの笑顔になんにも言えなかった。
というかそれだけ言って出ていってしまった。
勉強はいいのかしら。でも私はそれどころじゃないかも。
明日、もう一度話してみないと。


『明日の放課後、少し時間をください』

昨夜こなた宛てに送ったメールの一文。
敬語なのは私のちょっとした決意表明といったところ。
その日私はつかさと別行動をとった。
こなたと顔を合わさないため。
こうでもしないときっと私は本当の気持ちを伝えられない。
こなたの前では素直になれない自分がいるから。

受験生。放課後になるとほとんどの生徒は自宅または図書館へと足を急ぐ。
私も最近は周りの空気に気圧されピリピリしている。
それでもこなたたちといると自然と肩の力を抜いて笑っていられる。
全く、普段は勉強しろって口うるさく言ってるのに、やっぱりあいつの隣は居心地がいい。

ほんっと何をしてても浮かんでくるのはあいつのことばかり。
だから今日、この時間に呼び出したんだ。
私の隣にふさわしいのはあなたよって。
あなたが笑っていてくれたら……私はそれだけでいいんだ。



最近は日が長くなって、まだまだ明るい教室に、彼女は佇んでいた。
「ごめん、待った?」なんて軽い調子で声をかける。緊張しすぎないように。
長い髪をなびかせ彼女が振り向く。
いつもの笑顔で、そうでもないよって。

なんだかとても大きく見えるな。私のほうがだいぶ身長高いのに。
少し離れてるからかな?それだと普通小さく見えるはずよね。
でも、やっぱり私にとってあなたは大きいよ。

「何か大事な話でもあったの?」
「えっ、いや……うん」
茶化されるかもってほんのちょっと思ってたけど、そんな様子はなかった。
いつも見ている猫口笑顔じゃなくて、大きく開かれた瞳がじっと私を見つめてる。
やっぱり、吸い込まれそうな、とても綺麗な緑色の瞳。

見とれてた?違う。空気に呑まれてたんだ。
初めて、あどけなさを残した顔が、見たこともない大人の顔をしてて。
拒絶されるかもって不安を感じてしまった。

「大丈夫」つかさはそう言ってくれた。
必死に考えて、気合い入れてまで。
そう、ちゃんと言わなきゃ……

「昨日さ」
不意にこなたが呟いた。
「ずっと一緒にいてほしいって言ったよね」
大丈夫。こなたもわかってくれてる。
いつまでも躊躇している私にこなたから話を切り出してくれた。
「あれはどういう意味なのかな」
『ずっと一緒』それは卒業してしまう私たちには不可能なこと。
目標も学力も違う私たちは別々の道を歩みだす。

それくらいわかってる。
うん、私が言いたかった、こなたが聞いてるのは気持ちのこと。
今ならちゃんと言葉にできるわよね。

「私にとってこなたがそばにいるのは当たり前って思ってた。ううん、こなたがそばにいてくれないとダメだって気づいた」
つかさの姉としてしっかりしなきゃって。ずっと強い人間を演じ続けていたのね。
でもこなたの前ではそんなことなかった。
素直じゃない私。不器用な私。すぐきつくあたってしまう私。
いろんな、私の本当の姿があった。
それに気づけたのも、受け入れてくれたのも全部こなたよね。

私がこうして笑っていられるのもこなたのおかげ。
大げさかな?でもそれくらいこなたと出会えたことはすごいことなのよ。

気づいたらあなたがいた。
あなたの笑顔、あなたの声が私に力をくれる。
あなたが笑ってくれるから、自分を好きになれた。
あなたの光で私は、何気ない日々が輝いていた。

ねぇこなた、大好きだよ





エピローグ?いや、おまけ

「私も、好き」
「こなた……」
「すとーぷっ!一応私はそっちのケはないからね」
「じゃあさっきの好きってのは?」
「恋愛感情とは違う、けどつかさやみゆきさんに対しては思わない。親友以上恋人未満ってやつ?」
「なによそれ。結局ずっと一緒ってのは無理なの?」
「それは違うよ、気持ちの上ではかがみと同じ。そうだね、そういうことを望むなら私をその気にさせてみせてよ」
「……えっと、私の気持ちは受け入れてくれるのよね?」
「うん、かがみの気持ちは嬉しいよ。同性愛とかこだわってないから」
「じゃあ心の準備ができてないってことよね」
「う、うん?そうなるのかなぁ」
「わかったわ。見てなさいこなた、必ずその気にさせてあげるから!」
「ちょ、かがみさん!?て、手痛いよ!?わかったからひっぱらいで~」


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コメント:
  • みゆきさん、つかささんはもうきずいてたんだ -- かがみんラブ (2012-09-15 15:00:44)
  • 最後のこなた、前編と気持ち変わってない? -- 名無しさん (2010-06-11 02:50:43)


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