こなた×かがみSS保管庫

いふ☆すた EpisodeⅣ~大地はやさしく受けとめる~ 後半

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匿名ユーザー

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……こなた、まだなのかな。

考えに耽っている私の瞳には、流れる雲が茜色に染まり始めたのが見える。
もう、時間も残り少ない。
結局、私はこなたの想いがどこにあるのか、見つけることが出来ないでいた。
ただ、今日に限ってこなたの口から、彼の話題が一つもでないことが気に掛かる。
彼とこなたのための演習ではなかったのか。
ただただ一心に、今日と言う日を楽しんでいるようにしか感じられない。
まるで、いつもの彼女に戻ったみたいだ。
私の前で…
すねたり、怒ったり、笑ったり、泣きそうになったり…
まるでお天気のように次々と、目眩を覚えるぐらい変わっていくその表情。
時々、変にクールで、かと思えば熱く語ったり…
とても緩やかで、それでいて温かい、まるで四季のようなあいつ。
この香りが、この雰囲気が。
ほんの数日間、彼女から離れていただけなのに、とてもとても昔のことのように感じられる。
懐かしい場所。
もし、仮にこなたが嘘をついていて、今日、私と過ごすことが目的だったのなら…
こなたは、あの日常が懐かしいと想ったのかな。
それとも…

―――ドクン

「 !? 」

不意の予感に、驚くほど心臓が大きな音を発する。

……もし。
…もしかして、

―――ドクン

もう一度。
いや、考えすぎだ。こんなことはありえない。
ありえないから… これ以上、考えてはいけない。
その先を考えてしまえば、私はどうかなってしまう。
落ち着け…私。

―ドクン、ドクン、ドクン

お願い、落ち着いて!

…ドクン…ドク、ン……ドク、ドク、ド…ド…ド…

「はぁ…はぁ…ッ」

心臓の辺りがいやに苦しい。
両手で胸を力いっぱいに締め付けて、荒い呼吸を繰り返す。
しだいに音は静かに力を失い、私は深呼吸をするように大きく息を吸った。

「かがみぃ~、おまたせ~!」

「!」

――ドクンッ!

今までになく大きく胸の内側が跳ねる。
…彼女は最悪のタイミングで帰ってきた。


……

「かがみぃ~おまたせ~!」

私は用事を…
買い物を無事に終え、かがみの元に向かって走りながら元気よく手を振ってみせる。
石造りのベンチに、半ば、体を預けるような格好で、彼女はそこで待っていた。
一瞬、待ちくたびれて寝ているのかなって思ったけど、すぐに動き出した彼女に安心する。

「う、ん…遅かったわね」

「ごめんごめん、ちょっとだけ遠かったからね。かがみが寂しくて泣いちゃわないように、これでも一生懸命走ったんだけどねぇ~」

「…誰が泣くか!」

「素直になろうよ、かがみ~ん」

彼女をいつものようにからかいながら、私は左手に持っている小さな買い物袋を、かがみには見えないように、そっと背中に隠す。
ホントは違うもので隠したかったんだけど…
私の視線は彼女の頭に移っていく。

「…私の帽子…」

正確には『 私の 』ではない借り物の帽子。
大切な、大切なモノだから、手元にないことに気付いたとき、自分でも信じられないくらいに焦って、お店の人をあわてさせたりもしたのだが。
よかった… かがみが持ってくれてたんだ。
風が強い日だったから、飛んでなくなってしまってないかドキドキした。

「あ、ゴメン、かぶったまんまだったわね。…はい」

「ん、ありがと」

かがみから受け取ったそれを、かぶらずにそのまま左手に持ち変える。

「どこ、行ってきたのよ」

彼女からの割と核心を突く質問なのだが、この展開は予想済み。
今、言っちゃったら後の楽しみがなくなるもんね。

「ヒ ・ ミ ・ ツ ・ だよ♪」

とだけ答えた私は、次の行動に移ることにする。
そろそろ行かなければ…
彼女に近づきながら、あいていた私の右手をかがみの左手にそっと重ねた。

――バシッ!

「!?」

突然、軽快な破裂音が、私の耳に届いた。
何の音なのか分からないでいた私の右手に、鋭い痛みが走ったのを感じ、その時初めて彼女の手を握ろうとした私の手が、払われてしまったのだという現実にいたった。

「…あっ」

彼女は短くそう言う。自分でも意外だったのだろうか。驚きの表情は後悔に似た表情に変わっていき、そして、払ってしまった私の手を、今度はしっかりと両手で握ってくれた。

「…ゴメン」

私はちらりと空を見上げる。
夕刻はもうすぐそこ。
空の遠い向こう側ではもうお昼だった時間は終わりのときを迎え始めている。

あぁ、そっか… もう、魔法の効果も切れてきたんだね。
奇跡みたいな時間もあとわずか。
急がないと、もう間に合わないかもしれない。

「…かがみ、行こ」

「…うん」

「最後にさ、見せたいものがあるんだ…」

もう、これで最後。
同じような奇跡は、きっと私には巡って来ない。
だから、私の一番大好きな時を、かがみと一緒に見てみたかった…


……

―――かん、かん、かん、と…
金属を叩くような音が、二人分、一定の調子で空へと上がって伸びていく。
私とこなたは今、吹き抜けの螺旋階段を、ゆっくりと登り、歩いていた。
およそ四階分は上がっただろうか、頂上まではまだ、しばらく続いているようだ。
ビルの外に張り出したこの階段は、長い間雨風にそのままさらされていたのか、全体的に錆色が広がっていて、足元に通る風とあいまって、私の恐怖心をあおっている。
きゅっと握った彼女の手に私から流れた汗が集まる。

「こなた… どこに行くのよ」

「頂上」

彼女は上を指差しながらそう言う。
人の気配のしない、打ち捨てられたかのような廃ビル。
こなたが見せたいといったものはこの屋上にあるらしい。
鍵の壊れた入り口を罪悪感に駆られながらドキドキとくぐり、今にも壊れそうな階段を、こなたの腕に必死にしがみつきながら登る。
周りのビルも同じぐらいの高さがあって、奥まって隠されたようにたたずんでいた階段からは、他の景色なんて見えない。正真正銘、私達はいま、二人っきりだ。

「ゴメン、もう少しだからさ」

いけない、こなたにも私の不安が伝わってしまっているのかもしれない。
固く結んだ手を、少しだけゆるくほどき、彼女に見えるように、そっと微笑んで見せる。

「ふふ、いいわよ別に。でも、つまらないものだったら、承知しないからね?」

「…絶対かがみも気に入るよ」

屋上の一歩手前で、階段は終わりを迎えていた。
ここからビルの中に入って向かうのだという。
錆付いた重い鉄の扉が静かに開いて、薄暗い廊下を歩き、屋上への階段を見つける。
少し上がったところにも同じように錆付いた扉が外界への境を隔てている。
かちゃりとゆっくり、もったいぶるようにドアノブを回す彼女。
まるでいたずらを思いついた子供のような顔で、私を見つめると、扉を向こう側へと押した。
吹き込む風。
一瞬、目を細め、こなたに押されるままに屋上に飛び出した私。

「―――――ッ!!」

開かれた瞳に映ったものに絶句する。

空が、広がっていた。
まるで燃えているかような真っ赤に染まる空が。
地上にさえぎるものは何もない。
地平の向こうには沈んでしまった太陽は、数刻前までそこにあったことを主張するかのように、周りの山、雲、空を緋緋色に染め上げている。
そこから次第に薄い青、薄紫色、雲の白の合間にはこなたの色、深い蒼、藍色、そして黒。
パレットの中にある様々なそれらの色を、子供がめちゃくちゃに塗りつけたかのように。
次第に移り変わり、色を重ね、無限のグラデーションとなって私の瞳を染め上げていた。

「綺麗…」

それ以外の言葉なんて要らない。むしろ、この言葉さえ余計だったかもしれない。

「かがみ…みたいだよね」

「え?」

彼女の唐突にそう言った。

「ほら…あの薄紫のところはかがみの色。
暗いところはリボンかな?深い青はかがみの目の色で…
綺麗で、温かなところはかがみ自身」

「な、なに言ってんのよ。恥ずかしい…」

空をじっと見つめながら彼女は続けた。

「うん、でもね。私にはこの空ってそういう風に映るんだ…
かがみってさ、なんかこう… 『 夜 』ってイメージあるよね」

「夜? 私が?」

ふと、最近、そんな事を私も考えていたのを思い出した。
私が夜なら…

「さしずめ『 夜の女王 』…とか?」

「おい、急にイメージ悪くなったぞ。なんだその夜の女王って」

その場でくるりと私のほうを向き直ると、こなたはにかりと笑って見せる。
私もつられて笑うのだが、その心情はさえないものだった。
原因は…

「私が夜ならさ。こなたは『 昼 』って感じよね」

「昼?」

そう、陽だまりのような彼女は『 昼 』。
昼と夜はいつもすれ違いで、共にあることはありえない。
だから…

「…ふふっ」

不意にこなたの笑い声が響いた。
口元は帽子で押さえて見えないが、きっと満面の笑みを浮かべていることが、くりくりと覗くその目から想像できた。

「なに嬉しそうにしてんのよ…」

私の胸に痛みが走る。

「ふふ、だってかがみが私を昼みたいだって言ってくれてるんだもん」

「…はぁ、あのね? 昼と夜ってことは…」

「ずっと一緒ってことだよね!」

「はぁ!?」

エメラルドの瞳をさんさんと輝かせながら、彼女はそう言った。
正直、意味が分からな…

「だってさ、もし、夜がなくて昼だけだったら大変だよ! ず~っと眠れなくて、学校の授業もず~~っと続くよ? 逆にお昼の時間がなかったら…ネトゲ三昧でいいかも…いやいや、学校がいつまでも始まらなくってかがみ達に会えないじゃん!
絶対に離れられないような関係。
だからさ…
昼と夜ってことは、ず~~~っと一緒ってことだよね!」

「こなた…」

「だから、嬉しいんだ。例え話でもね?そう…思ってくれて言ったんじゃなくてもね?」

こなたはそっと私の両手を取る。こなたは帽子を被り直すと、私の手の平を開かせて、自分の右手は下にそえ、残った左手はグウを握ったまま、開かれた私の手のひらの上に置かれた。

「…嬉しかったからそのお礼。まだ、誕生日には早いけど…」

彼女が左手を開くと同時に、何かが私の手のひらに落ちた。
こなたの手が離れると、それは夕の光を浴びてきらきらと光っていた。

「これ…ネック、レス?」

「うん、今日のお礼も含めて、だよ」

銀色のチェーンの先に、丸いリングのようなオブジェが一つ、ついている。
そのオブジェの真ん中には、深紫色の宝石が…

「ルビーだよ。かがみの誕生石。ルビーは赤いってイメージだけどこんな色のもあるんだよね。ネットでお店を調べて結構探したよ~。時間がなかったから今日、受け取りになっちゃったけど」

「アンタこれ、高かったんじゃないの? もらえないわよ…そんなの」

「いいんだよ。返されても使い道ないしさ。
それに誕生日プレゼントもかねてるしね。その日には渡せないかもしれないから…
受け取ってよ…かがみ」

彼女は私の手からネックレスを取ると、私の後ろに回り、首筋に触れる。
胸元にネックレスのオブジェが落ち、後ろからかちりとチェーンが止められる音が鳴った。…密かに感じるこなたの吐息に私は身震いする。

「…うん、似合ってるよ」

また、私の真正面にもどり、こなたは満足げに笑顔を作る。
その顔は、夕焼けに照らされているせいか、真っ赤に彩られていた。
私は自分の胸に光るものを、隠すように両手で覆う。
こなたの触った首筋が、ネックレスが直に肌に触れている部分が、いやに熱い。

「私さ…」

気恥ずかしい雰囲気に最初に耐えられなくなったのはこなたのほうだった。

「よくこの時間にここに来るんだ…」

彼女はとことこと屋上の端のほうに歩き出す。
そこには、こなたの身長よりわずかに高い程度の鉄柵が、周りを囲むように置かれている。
その鉄柵に手をかけ、夕焼けのほうを…太陽が沈んでいったほうを眺めながらこなたは続けた。

「綺麗な景色が見られるからってのもあるけどね?
ここの夜に変わる風景がさ、私は好き…なんだ…」

夕焼けを背負った彼女は、私の方に視線を向ける。
見つめる瞳に、宵闇を背負って立つ、私の姿が映りこんだ。

「大好き…だよ」

「――えっ?」

―――ドクンッ!!

忘れかけていた胸の鼓動が、再び私の胸によみがえった。
違う!これは違うっ!!こなたは私の後ろに広がる、あの景色を見て言ったんだ!

―――ドクンッ!!

だから違う… だけど、こなたは『わたしみたい』と言った景色を好きだと言った。

―――ド…クン

違う、違うのに…
だったら…なんでっ…こなたは……私をそんな目で見つめてるの?
逆光になり、見えない彼女の表情。だけど、彼女の瞳は、真っ直ぐに私のことを捕らえている。そう、例えば何か、とても大切なモノを、愛しむようなそんな目で。
いや、違う。これは私の妄想だ。
消えろ、消えて、消えてよ、お願い…消えて、下さい…

―――………ッ

私のココロに、静けさが戻った。

…あぁ、今、唐突に分かってしまった。
私の想いも。
こなたの想いも。
私は、バカだな… 何で今まで気付かないでいたんだろう。
こなたに抱くこの感情は…消せない。
始めから、消せるようなものなんだったら私はこんなに悩んでいなかっただろう。
消して、親友に戻るとかバカみたい。
こなたを親友として愛するココロも…
こなたを異性として愛するココロも…
どちらも同じ私のココロなんだ。
どちらかを消すなんて始めから無理に決まっている。
これはミックスジュースからオレンジジュースとりんごジュースを分けるようなものだ。
一つから生まれたものが、分かれ、混ざり合い、再び一つになっているもののうち一方だけを消すことは、私の人格のすべてを消すのと同じことなのだから。
だから消せない。
そして、こなたも…

今、私が想いを伝えたら、きっとこなたは答えてくれる。
妄想ではなく…確信として。

私が…想いを伝えたら…

気がついたら私は走っていた。
こなたのほうに向かって迷いなく。
驚きで開かれたこなたの瞳を気にせずに、真っ直ぐにこなたのところまで駆け寄る。
そして、私は彼女に体当たりをするように飛びつき、力いっぱい抱きしめた。

「かがみ!?」

驚きの声、でも気にしない。
こなたと私の顔の距離、約三センチ。
そこから近づいていく唇と唇。
しかし、それを右に逸らし、私はこなたの肩に落とした。

「かがみ、どうしたの突然!」

抱く腕に力をこめる。立ったまま覆いかぶさるように、体の小さな彼女を包み込んでいた。背後の鉄柵に、こなたを押し付け、正面から抱きついた格好の私。そして…

こなた、こなた、こなたぁ!

ココロの中で愛しい人の名前を力いっぱい叫ぶ。
いつか、こなたを抱く手が震え、そしてそれは肩に移る。

ぽたり…と、何の前触れもなく、こなたの肩に水滴が滲んでいくのが見えた。
またぽたり、と。
次第にそれは落ちる間隔が狭くなり、ぽたぽたと、続けて落ちていくようになる。
雨さえ降りそうにない、この天気で。

「かがみ… 泣いてるの?」

そう、こなたの肩で私は静かに泣いていた。
ひとしずく、涙が落ちるたびに、苦しんでいた時間が、記憶が、溶け出していくように。

「どうしたの、ねぇ、かがみぃ!」

「…ゴメン」

「何か辛いことでもあったの?」

「…ゴメン」

「なにか私がした? ねえ答えてよ!
答えてよ…ねぇ、私に言えないようなことなの?」

「…ゴメン……ぅぅ…ゴメン!」

「謝らないで! 謝って欲しいんじゃないヨ…泣いてるだけじゃ、わからないよ。」

この広い屋上には、私とこなた、二人だけしかいない。
それでも私は、何かに怯えるように、声を押し殺して、泣いた。

「かがみぃ…」

「ゴメン…こなた、おね…がい」

より強く、こなたの肩に顔を預ける。背中を抱く手に、力を込めた。

「もう少し、このまま…いさせて…」

こなたは私の横で、ふぅ…とため息を付くと私の背中を優しく抱いてくれた。

「……いいよ。気がすむまでさ、泣けばいいよ」

「…ありが、とう」

………

かがみが私の肩で泣いている。
とても静かに、声を押し殺すかのように…

理由を聞いても答えてはくれない。
ただ、『 ゴメン 』と繰り返すだけで、何も言ってくれない。
かがみの『 ゴメン 』の意味はなんだろう。
私を抱きしめていることだろうか?
泣いてしまっていることだろうか?
それても質問に答えられないことだろうか…

涙は彼女の頬を伝い、途中で私の肩に落ち、温かな感触とともににじむように消えていく。
ただ、それが存在した証は、私の肩に痕となって残っていた。
いつか…夕焼けに染まっていた空が、深い青色を越え、漆黒に近い色に変わるまで、彼女は私の肩で、泣き続けていた。


「落ち着いた?」

かがみの肩の震えが止まり、静かに上げる嗚咽が止んだの見計らって、私は声をかけた。
彼女は泣いてしまっていた自分が恥ずかしいのか、なかなか顔を上げてくれない。

「…大丈夫?」

「…ぅ…うん…」

顔をあげ、私からから離れていく彼女の肩に、そっと手を移し、かがみの瞳を真っ直ぐに見つめる。

「…ゴメン、こなた。……ごめん…なさい」

「あ、謝らないでよ! さっきも言ったけど…謝って欲しいんじゃない」

「…」

私から目を逸らしながら謝り続ける彼女を、これ以上見たくはなかった。

「どうしたの、かがみ、なにかあったの?」

「なんでもな…」
「なんでもなくないよ!」

「…こなた」

つい、怒気が表に出てしまった。いけない、かがみの事になると自制がきかない。

「もしかして、彼氏、のこととか? 違うなら違うって言って、私に謝ったりしないで。相談にも乗らせてくれないなんて、寂しいよ…?」

「…うん」

かがみは私の手を、肩からやさしく払うと、少しだけ距離をとる。

「ちょっと、辛いことを思い出しただけ、こなたの肩を借りて泣いたら、なんだかすっきりしたわ」

「かがみ…」

「ホント、ゴメンね?」

「もう謝ら…ないでよ」

「ううん、謝らせて」

「…」

…その後、かがみが『 ありがとう 』って言って、私に笑いかけてくれた。
とてもとても綺麗で…どこか切ないその笑顔に、私は見とれてしまっていて…
かがみがそのあとに囁いた…
とても大事な…私が知らなければならなかった大切なその言葉を…

私は聞き逃してしまっていた。


……

こなたの肩を借りて泣いた後、私はひどくすっきりとした頭を、彼女の肩から離した。
こなたは涙の理由を聞くけれど、言ってしまったら、すべてが台無しになってしまう。
だからお願い。

「ううん、謝らせて」

そう、謝らせて、こなた…

私はこのあと告白をする。
こなたに聞こえるか聞こえないか位の小さな声で。
未来へと続いていける道筋が、もうそれしか残されていないのなら、私はどこまでも残酷にならなければならない。
大丈夫、すべての罪は私が被るから。

だから…私はこなたに告白する。

「ありがとう、こなた」

こんな私を好きでいてくれて…
そして、














―― さよなら、と…



EpisodeⅣ  END





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  • (/ _ ; )b -- 名無しさん (2023-07-09 02:54:53)


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