無題H2-209氏(仮)

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ピピピッ

朝の部屋に響く電子音、液晶画面には無情にも38,8℃の文字
体が重いと感じて念のために体温を計って見ればこれだ

「はぁ…」

恨むべきは昨日の夜に徹夜し、体調を崩した自分か……
時間割を見て、最終日の今日のテストは午前だけなのを確認
ここで頑張らなくては昨日徹夜した意味がなくなる

「はぁ…」

ため息をつきながらそう自分に言い聞かせて、私、柊かがみは自分の部屋を後にした

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「ハローってあれ?かがみは?」

いつもと同じく、待ち合わせ時間ちょっと過ぎに到着(決してわざとではない)したわたしを出迎えてくれたのはいつもの2人ではなく、片割れ、妹のつかさだけだった

「おはよーこなちゃん!お姉ちゃんは勉強するとか何かで早めに学校に行ったみたいだよ~」

置いて行かれちゃった、と笑うつかさ

「んじゃ私達も行こっか?流石にのんびりしてたら遅刻しちゃうヨ」

歩き出した私の後ろをつかさが同意しながらついてくる

ここにかがみがいたら
「あんたのせいでしょうが!!」
と突っ込みが入るかな?
とか考えて、つかさに見えないようにため息をついた


泉こなたは柊かがみのことが大好きである
しかも、友達としてではなく恋愛対象として
私自身がこの事に気がついたのは実は最近の事ではない
一年生の時から無意識に燻っていただろう思いは、アニメのライブを経て、二年の修学旅行ではっきりと自覚した
初めのうちこそ戸惑ったものの、気がついた時にはすでに手遅れだったこともあり、今は怪しまれないようにこの想いに蓋をして、“いつも通り”を演じて今にいたる



「あ、そうだ!今日試験最終日だから終わったらみんなでどこか行かない?」

つかさがバスに揺られながら良いことを思いついたとばかりに口を開いた

「良いね!つかさはどこか行きたいとこある?」
「私はどこでも良いよ~」
「ん~カラオケとかで良いカナ?」

すると暫く考える素振りを見せた後

「うん、良いね♪それじゃ、ゆきちゃんには私が言っておくね~」

だからお姉ちゃんにはよろしくね、と意味深にウィンクするつかさ
一回大きく揺れた後に止まるバス

「こなちゃん、早くしないと遅刻しちゃうよ!」

ぽかーんとする私を置いて先にバスから降りるつかさ
それに続いて慌ててバスを降りる私

つかさにはバレてたのかな?

それの疑問はつかさに訊くと墓穴を掘りかねないので胸にしまっておき
とりあえず今は、放課後のイベントを糧にテストに挑もうと2人並んで校門をくぐった

長く続いた戦いの終了を告げる鐘の音が校内に響く
解放された生徒達の口からは一斉にため息が出てくる
それはテストが終わった安堵感によるものか、またはこれから始まる休みに向けて気持ちを切り替えるためのものか
私の場合はだいたい2:8の割合

「では泉さん、先に行ってますね」
「こなちゃんも早くお姉ちゃんと来てね♪」

どうやらみゆきさんは休み時間の間につかさから今日の事を聞いていたみたいで、テストが終わり暫く雑談をした後でつかさと一緒に先に行った

一回深呼吸をして教室を出る
今まで何気なくしてきた事も、かがみの事が好きと自覚してからは何をするにも気になってしまう
どうやってあんなに過剰なスキンシップをしていたのかを過去の自分に聞いてみたいと思ったこともある

ただ一緒にみんなの待つカラオケ店まで行こう?って訊くだけなんだけど

こんなに簡単なことに少し緊張する自分に呆れ、それと同時に意外に自分が‘女の子’であったことに驚きもあった

恋は人を変えるっていうけど…まさか自分の事になるとはネ


ちょうどかがみの教室に着いた時、教室の中から怒鳴り声が響き、ドアがもの凄い勢いで開いて中からみさきちが飛び出して来た
出て来たみさきちの目尻には涙
こちらに気がつかなかったのか、声を掛ける前に走り去ってしまった

不審に思いつつ教室に入る、するとそこには…
頬を染め、峰岸さんに顔を近づけているかがみがいた

そこから何をしたのかはあまり記憶にない、ただあの光景を見ていたくなかったことだけは判る
気がつくと私は、かがみの手を引っ張って昇降口まで来ていた

「はぁ…はぁ……」
「あっ!ごめん!!」

ここまで急に走って来たためか、かがみの呼吸が荒い
握っていた手を離し直ぐに謝罪を入れる
かがみは呼吸を整えようとしたみたいだが、暫くして諦めたのか、そのまま話始めた

「別に…いいけど、どうしたのよ?」
「いや~その、かがみは‥さっき峰岸さんと何してたの?」

今の自分の中での最大の疑問、それを勇気を出して訊いてみた
かがみは暫く考えこんだ後で
「……こうしてただけよ?」
と両手で私の頬を抑え、顔を近づけてくる
予想外の展開にパニックになる頭、迫るかがみの顔、何故だか思考の一部はやけに冷静で

かがみってやっぱり綺麗な顔してるな

そんなことを考えていると徐々に距離は無くなって、私とかがみの距離がゼロになる

その時、2人の額が合わさった

………へ?

「かがみ様?貴女は一体全体何をなさっていられるのですか?」
「何って…アンタがしろって言ったんじゃない」

ということは

「かがみは峰岸さんとキスしてなかったってこと?」
「……逆に何で、私と峰岸がキス‥しなくちゃ、いけないのよ?」

ふぅ…と、今度は心の底からの安堵のため息が漏れる
かがみはいつの間にか靴に履き替えて昇降口で私を待っていた
私もそれに続くように履き替え、外に出る

「結局…何の、用事だった‥のよ?」
「そうだった!今日みんなでカラオケ行くんだけど、かがみも行く?むしろ来い!!」

それは答えの解りきった問い

「……ごめん、今日‥は、無理」
「え?」

…の筈だった
返ってきた答えは予想外のものだった
かがみは額に手を当てて、それは悩んでいるかのようだった

「今日本当に無理なの?」
「……うん」
「何か用事?」
「……うん」
「何?私にも言えないのカナー?」
「……うん」
「……まさか、彼氏でも出来た?」

以前はからかい半分に何気なく口にしていたそれは、いつからか最悪の答えが返って来るのが怖くてかがみに訊けなくなっていた
何故今訊いたのかは判らない、ただ頭の中では泣きながら教室を走り去ったみさきち、唯一の‘彼氏持ち’の峰岸さんとの仲良さげな雰囲気
この2つが頭の中に最悪の答えを常に出し続ける
そして、かがみの一言が…

「……うん」

私を絶望の淵へと叩き落とした

目の前が真っ暗になって、息が出来ない
本当は喜んであげなきゃいけない、友達なら
「良かったじゃん、おめでとう!」
って声を掛けるべきだとも思う、でも声は出なかった
下手に声を出すと一緒に涙も出てしまいそうで、その言葉を口にしたら何か大事なものが終わってしまいそうで

「そ‥れでも、私達‥親友だ…よね?」

涙を堪えながら、震える声で最後の質問、それは質問の形をとった祈りだった
私とかがみを繋ぐ最後の絆、せめてその絆だけは守りたいという願い

「ごめん…もう‥

その願いすらかがみは叶えてはくれなかった
頭の中はぐちゃぐちゃで、でも、そんな頭でも終わっちゃったって事だけは理解出来た

最後に一目位は良いよネ?

振り返って今の自分が出来る最高の笑顔でおめでとうって言おう、せめてこの一瞬は‘一番の親友’でいよう
そう決心して振り返る

………無理」
「…………へ?」

言うや否や倒れてくるかがみを思わず抱き止める
抱き止めた体は服の上からでも判る位汗をかいていて、顔は真っ赤で呼吸は荒い
もしかして…と額に手を当ててみる
案の定、手のひらから伝わってくる体温は温もりというには熱すぎる

一度に色々な事が起きてパニックになる頭をフル稼働させて考え、ポケットから携帯を取り出す

「あ、もしもし?お父さん?うん、学校の方に急いで車で来てくれないカナ?うん、とにかく急いで!お願いね!」

普段持ち歩かない携帯を今日は持って来ていて良かったと心の底から思った
携帯をしまった後でかがみを抱き上げる、両腕にかかった重さは本人が気にする程重くはなかった

頭の中はごちゃごちゃだけど、とにかく今はかがみを助ける事だけを考えて、私は保健室に向けて走り出した



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コメント:
  • 続きが気になります!!
    GJ!! -- 名無しさん (2009-03-01 03:47:28)
  • 大作の予感!! 応援してます。 -- kk (2009-02-22 23:56:58)


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