優しく

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「ううぅ……」

 こなた、かがみ、つかさの3人でケーキバイキングを食べ終えて、帰りの電車の中。
かがみは一人で4人前を平らげた反動で、頭を上げることさえ出来ず、ぐったりとうなだれていた。
 隣には心配そうにかがみの背中をさすっているこなた。爆睡しているつかさがいる。
 「かがみ、大丈夫?」
 数十分前、まだかがみの症状が薄かったときはからかっていたこなただが、いよいよかがみが茶化しても反応しなくなると、心配してかがみの介抱をしてあげている。
 幸い電車は空いていて、聞こえてくる音はガタン、ガタンという規則正しい線路の音と、つかさの我はメシアなり、などという意味不明な寝言だけだ。
 「うん……座ってからは何とか」
 そう言う声は普段からは想像もつかないほど掠れて、消え入りそうな弱々しい声だった。
 こなたがその声を聞いて心配そうにかがみのぐったりした顔を覗きこむ。かがみはこなたの蒼い2つの目が心配そうに揺れているのを見て、もう落ち着いてきたから、とこれもまた蚊の鳴くような声で付け足した。
 すると、こなたがかがみの肩を優しく掴み、かがみの頭を自分の右肩のほうへ寄り掛からせた。そして体が揺れないように、そっと右手でかがみのからだに手を回し固定する。
 その行動が暖かく、かがみが頭を少し動かしてこなたを見上げると、いつもとは違う優しく微笑んた顔で無理しないでね、と聞かせる。
 かがみはその顔を見て、随分前にアルバムで見せてもらったこなたの母、かなたの顔を思い出して、親子のつながりを感じ思わず心が温まった。

 しばらくそのままの体制で時間が流れる。かがみの顔色が先程に比べて、少し明るくなっていた。
余裕が出てくると、気恥ずかしくなってきたのか、かがみの頬は赤く、
落ち着かない様子でそわそわしだした。もういいから、と言うとダメ、と少し強い口調の返事が返ってくる。
しかし口調とは裏腹に、こなたの顔は優しいままだった。
 かがみは間が持たなくなったのか、赤い顔のままこなたに話しかける。
 「そ、それにしても、あんたにこんな一面があったなんてね」
 「困ってるときはお互い様だよ」
 「ありがとう……。ところで、あんたって意外と面倒見るの慣れてるのね」
 「まあカワイイ妹のゆーちゃんがいるからねー。そっち方面は強くなったよ」
 苦労話のはずだが、こなたは妹の顔を思いだし、笑顔で頬をほころばせる。それを見てかがみが聞いてみる。
 「こなた、家族が増えて嬉しい?」
 一瞬だけ、こなたの顔が硬直したような感じがしたが、それは気のせいだと思わせるかのような晴れた顔でうん、と頷く。
 「そうよね」
 かがみがこなたに抱かれたまま、目を瞑って答える。どうやら、少し眠気が差してきたらしい。
 かがみが目を瞑ると、こなたが優しくかがみの頭を撫ぜる。
 ゆりかごのように揺れるこなたの腕の中で、かがみは幼い頃の自分と、母親を思い出していた。


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  • いやん、もー♪ -- ぷにゃねこ (2013-01-25 17:07:32)
  • はい、四人前 -- かがみんラブ (2012-09-24 05:27:18)
  • こういう本編のアフターストーリー的な作品大好きなんですよね~。
    もっと他の作品も読みたいです。
    -- kk (2010-06-10 22:40:00)
  • 構わん続けたまえ。


    いや、続けて下さい! -- 名無しさん (2010-06-10 21:45:25)
  • ちょっといい話だね -- 名無し (2010-06-10 01:14:22)
  • なんだか連載の予感・・・! -- 名無しさん (2010-06-10 00:17:13)


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