真実の心を(後編)

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どうして、こうなったんだろう…?
いつかその日が来ると、淡い期待をしていたのに...


「わーい♪こなたぁ~♪」
「ちょ、かがみっ!人前で…」

いつもの通学路。
待ち合わせに遅れた私に訪れたのは、甘い誘惑‥。


‐『真実の心を‥後編』‐


いつも願っていた。
私とかがみがそんな関係になれたらいいのに、と。

でも…

「こなたんのほっぺ柔らか~い!」
「かがみっ!お願い、止めて…」

‥何かが違う。
‥どうして、こうなった?
公衆の面前で、平然と私に頬ずりをしてくるかがみ。

壊れてしまった、かがみ…。


――あの時から、ずっとそうだった。

病院で目覚めたかがみは、人格を失い、幼児化していた。
私を見付けるたびに喜色の声を上げ、懐いて来た。
正月の、あの日からずっと‥。

「こなた~♪こなた~♪」
「お願い、後でいっぱい相手してあげるから、今は…」

ぞくりとする‥。
かがみが、私に頬ずりをしているなんて…

いつも、思ってた...そうなればいいのに…って。
だけど…でもっ…!!

「後で、いっぱい‥?」
「うん、だからっ‥!!」

えへへっ、と笑うかがみ。
心臓に、悪い‥。


‐‐


1月10日、入学式。
あれから、10日も経ったんだと思う。
いつものように、朝が始まるのだと信じていた。
かがみと会い、つかさと挨拶して、みゆきさんに教室で逢う。
そんな何気ない、大切な日常が始まるんだと思っていた。

「うーん、こなたの匂い…♪」
「かがみ…かがみぃ…!」

きっと夢を見ているのだろう。
彼女に抱きしめられて、人気の無い所で体と体を寄せ合う。
かがみは…壊れてしまった‥。

「もうチャイムが鳴るから‥」
「だめっ、もう少しぃ♪」

この時間が偽りだと知りつつも、私は彼女の成すがまま。
甘くて、溶けてしまいそうな時の中から抜け出せないでいる。
かがみが…私を……そんな事、されたら、もう……


――‥キーン……コーン……カーン……コーン……


チャイムの音。
それでも彼女は、私を離してくれない‥。

「こなたぁ~‥授業サボろ…?」
「だめだよ、かがみ‥ちゃんと出席しなきゃ…‥」

彼女の手は、一瞬強く‥…それから、名残惜しそうに離れていく…。
私の身体から、かがみの体温が消えていく‥。

そのまま、彼女は廊下に消えていった。
私はそれを、見ていた。
まるで幻を眺めているように‥。


‐‐


たとえば、好きな人がある日突然壊れてしまったら、どうすればいいのだろう?
しかも、自分に都合良く‥。

「えー、これから新学期や!冬休みは終わりやで!」
「「はーい!」」

いつも、そうなればと願っていた‥。
だけど、彼女の意志は本当にそこにあるのだろうか?
私には‥だけど彼女の心は…‥

「泉ぃ!なんか元気ないぞー?」
「そんな事ないですよ~、先生!」

彼女は‥甘い。
かがみと抱きしめ合える日々が来るなんて‥
だけど、彼女の心は――…


 ・・・・

「泉さん、どうなされたんですか?」

「こなちゃんは…お姉ちゃんの事で悩んでるんだと思う」
「いやいやつかさ。私はね~…」

迷惑ではない。
むしろ…夢のようだと思う。
嬉しくて、嬉しくて‥…本当にたまらない。

だけど、このままでいいのだろうか‥?


――最初は、すぐに元に戻るんだと思ってた。

‥だけど、10日経った今でも、それは変わらなかった。
いや、変わらなかったのは私に対してだけで。
私生活に関してはすぐに勘を取り戻していた。
勘を取り戻せなかったのは、私に対してだけだ‥。

…もしかしたら....
…あの告白がその原因を作っていたのかもしれない。

重なりすぎたんだ。
あの時、かがみは戸惑っていただろう。
そんなときに脳にダメージを受けたものだから…

もしかしたら、私に対してだけは、脳が混乱したままなのかもしれない。
いやむしろ、告白なんてしなければ最初から人格の障害なんて…


「こなちゃん‥?」
「泉さん...?」

‥きっと、そうだった。
私に対してどう接すればいいのか分からないままショックを受けた。
私は…彼女に償わなければいけない。

「ごめん、今は…一人にさせて…」

彼女を元に戻そう。
今のかがみは、私の知っているかがみじゃないから。
私の大好きな、いつものかがみじゃないから‥。


「大丈夫、ですよ‥泉さん」
「お姉ちゃんなら、心配いらないから‥!」


‐‐‐


陽射しの暮れた教室の窓から覗く、赤い雲たち。
生徒なんて誰もいない。
こんな場所に、誰かが来るわけなんてない。

入学式なんてとっくに終わってるから。

「えへへ、こなたぁ~♪」
「かがみ…かがみぃ…」

かがみが私を探して、私は掴まってて、甘い時間が過ぎていた。
彼女の手が私の背中に廻って、私の身体が引き寄せられて…

いつもそうだった。
彼女がいる時は、私は幸せだった。
だけど今は…

かがみの身体を‥。
私はぎゅうっと抱き締めてしまった。
甘い匂いに包まれて、柔らかい温もりに優しく包まれて…


――ここにいる彼女は、偽物だとわかっているのに‥。


「こなたー?こなたー!!」

彼女は偽物。
こんなこと、許されるはずがないのに‥。

泣いているのは、どっちだろうね‥?

「こなた!こなたぁ‥!」

いつもそうだった。
彼女は優しい。
私が寂しい時に、傍にいてくれる‥。

でも――…


『ちょっと、なんであんたそんな顔してんのよっ!』

――あなたは…

『もうっ、辛い事あるんなら私に言いなさいよ、バカ…』

――今のあなたは……

『べ、べつにあんたが元気ないと私が困るだけなんだからっ!』

――偽物のあなたは、泣く事しか出来ない。

…私の知っている本物のかがみは、私にもっと勇気をくれる。

――あなたは、偽物なんだ…。



「かがみっ!!」

甘い、夢だった。
とても儚い時間。
私の一時の幸せ‥。

「私は…私はっ…」

本物のかがみが好き。
本当のあなたは、海よりも深く、綺麗で優しい‥‥
あなたの暖かい優しさに、私は恋をしていた‥。

「かがみが、好きっ!!ずっと好き!!だけど…っ!」

あなたの優しさに救われていた。
あなたの暖かさに、下を向いて涙を流していた。
ずっとあなたに、抑えられない気持ちを抱いていた‥。

「私が好きなのはっ!…本当のかがみなの!!だからっ…かがみぃ…」

ずっと感謝してた‥。
あなたの傍にいられて、幸せだった。
夢は…もう終わらせないと‥‥。



「お願い、元に戻ってよっ!!…かがみぃ!!」



…………!!

‥‥‥‥‥‥。。

かがみ、私ね…
あなたの事、ずっと好きだったんだよ……


「こな‥たぁ…‥」
「‥‥大丈夫‥私の事、思い出して…ゆっくりで、いいから‥‥」


いつもそうだった。
あの時も、私を庇って…
私のために、怪我までして…。


「私…、私っ…‥」
「…ありがとう、かがみ‥」

ずっと言いたかった‥。
本当のあなたに、私の言葉を。

――魔法は解けた...




「‥‥ヒック‥‥グスッ‥」
「‥泣いているの?かがみ…」


頭部の打撃による長期昏睡。
目覚めてからの人格障害‥。
そうだ、彼女には色んな事があったんだ‥。

「…違うの..」
「‥かがみ…?」


「あんたに好きって言われた事が嬉しくて泣いているのよっ!!」


がばっ、と身体を引き寄せられて‥‥
そのまま抱き締められてしまった‥。

「こなた...ごめんね…」

「どうして?なんでかがみが謝るの!‥謝りたいのは、私の方なのにっ…」


…いつも願っていた。
あなたと恋人になりたい、と。
ずっと…ずっと……っ


「こなた、ごめん!今までずっと..迷惑かけてて‥ごめん!それから…ありがとう!‥」
「私の方こそ…かがみに怪我させちゃって…ごめん!それと‥それと‥っ!」


――ありがとう…‥。


謝る事、感謝、何度も繰り返して…
泣きながら交わしたキスは、ひたすら愛おしくて‥。
それは他のどんなものよりも、甘い味がして‥…。


「こなた…好き、大好き‥」
「‥私も、かがみが好き!大好き…‥」



‐‐‐‐‐


あれから、数日が経った。
私とかがみは相変わらずの関係で。
もう以前のように私に懐いては来ない。


「こなたー!また遅刻っ!」
「いや~ごめん、昨日のネトゲがさ~..」

いつもの通学路。
待ち合わせに遅れてくる私。
いつもの朝‥。

「ほらっ、もう行くわよ!」
「あ、待ってよ!かがみ~!」

それが普通なんだと思う。
以前のようにベタベタ引っ付いてくるかがみは本来のかがみじゃない。
だけど…、一つだけ変わった事もある。

「えへへ、か~がみん♪」
「ふふっ、こ~なた♪」

私たちは、手を繋いで歩くようになった。
どちらからともなく手を出し合い、握り締めて‥。
私とかがみは、恋人同士になっていた。


 ・・・・


「いや~、でもあの時のかがみんは可愛かったナ~」
「ちょ…もうあの時の話は止めてよ・・」

ガタンゴトンと揺れる電車の中で、彼女の腕に凭れ掛かる。
彼女は顔をそっぽ向いて、朱く照れてるのを誤魔化そうとする。
やっぱり…かがみはとんでもなく可愛いね。

「ほんとはあれがかがみの本性なんじゃないのー?」
「……もう、バカッ..!」

やがて到着した駅で私たちは電車から降りる。
そこから歩いていく道のりは、静かな冬の街並み。
二人で、手を繋いでゆっくり抜けていく‥。

「‥ねぇ、こなた…」
「……ん~?」


幸せだと思う。
かがみと手を繋げている事。
だけど――…


「こなたは、あの時迷惑だった…?」
「うーん、さすがに人前でもベタベタされてたのはちょっとね…」

‥ううん、本当はそれでもちょっと嬉しかった。
あなたに触れられて、私はドキドキしていた。
胸が熱くなるのを、抑えられなかった。


「‥‥そう...」

彼女はそう言って、道のりから外れた公園に入っていく。
私もそれに連られて、その公園の中に入っていく。
どうしたんだろう‥?

「人前じゃなきゃ、いいのね…?」
「え…?」

何が‥?と、思った時にはもうすでに遅すぎた。
甘い匂いが私を包み、温もりが訪れていた。
かがみが…私に頬ずりをしている‥ッ?!

「ちょ、ちょっとかがみ‥!?」
「…えへへ~…‥こなたのほっぺ~…♪」

どうしよう‥胸が熱くて動けない。
本当のかがみが、私に頬ずりをしている…‥
そんな事‥‥あるわけが…

「あぁ…幸せ…‥こなたにこんな事できるなんてっ‥♪」
「か、かがみ…‥どうしたちゃったの?またおかしくなっちゃったの?」

背中に手を廻されて、ぎゅ~っと抱き締められる。
かがみの温もりが身体いっぱいに染み込んでいく‥。
私は…私は……かがみが本当のかがみなら…‥

「私は正気よ…‥こなたは‥こういうの嫌‥?」
「嫌、嫌じゃないよ…‥」

何も戸惑う理由なんて、ない‥。
そうだ、私からぎゅってしても大丈夫なんだ。
彼女は、本当のかがみなんだから…‥

「嫌じゃないから‥だから…かがみぃ!…‥もっと、お願い…‥ッ!!」



…いつもそうなればと願ってた。
私はその祈りをいつもあなたに向けていた。
いつか、叶うと信じていて…‥


「こなたの耳たぶ、やわらか~い…♪♪」
「かがみぃ…かがみぃ…!」


私の甘い日常は――…
どうやらまだまだ続きそうだ…。


fin.

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コメント:
  • 良かった…。良かった……。 -- かがみんラブ (2012-09-20 23:46:38)
  • 幼児化GJ -- 名無しさん (2010-11-15 06:56:54)
  • 幼児化したかがみやばい -- 名無しさん (2010-08-05 22:20:30)
  • 萌え~もう死ぬ~ -- 名無しさん (2009-09-01 21:38:55)
  • 萌え尽きたGJ!! -- 名無しさん (2009-02-08 00:35:08)


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