「いふ☆すた Episode 1.5 ‐ B ~空色模様~」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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「うぅー!
遅刻、絶対遅刻しちゃうよー!!」
朝からけたたましく叫びながら私は一生懸命自分の蒼髪を櫛で梳かしていた。
お父さんの血も受け継いだ私の長髪はクセが強く、毎朝毎晩こうやって念入りに手入れをしないと、すぐにあらぬところが跳ねていってしまうのだ。
本来ならゆっくり時間をかけてやりたいところなのだが、今日は特に時間がない。
今日、お父さんは出張に行くから朝が早いのを忘れてて、すっかり寝こけてしまっていた。
結果、起こしてくれるものが他にいない私に、時間という現実が突きつけられてしまったのだ。
鏡を見ながらうんうんと唸る私を、まるで笑うかのように頭上のものがゆらゆら揺れる。
頭にぴょこりと生えているこのアホ毛だって、そうだよ。
別に私は好きで生やしているわけじゃない。
そういえばかがみに、このアホ毛はセットするのに一時間位かかるんだぁって豪語したことあったっけ?まあ、半分だけなら正解かな。
これを無くす作業に一時間くらいは掛かるから。
それでもせっかく気合を入れてセットしても、かがみに朝、会うころにはいつの間にか元の場所に鎮座してしまうため、私はもうあきらめて、彼女との一生の付き合いを覚悟してしまっていた。
いいもん、萌え要素…萌え要素なんだから!
しかし…これ以上時間をかけたら流石に間に合わない。
いつも朝は特別な用事がない場合、駅で柊姉妹と待ち合わせてから一緒にバスに乗る。
学校にギリギリ間に合う便の一本手前、その便まで私が来なかった場合、問答無用で置いて行かれるのが、私と柊姉妹との暗黙の了解だった。
さて…今すぐ出ればまだ間に合う。
でも、まだ髪の手入れは半分も終わってない。
…どうしよう?
う~ん
私は心の天秤と相談する。
髪をあきらめてかがみ分を補給することを選ぶと、髪がぼさぼさのまま。
きちんとセットしていくことを選ぶと、かがみとはお昼まで会うことが出来ない。
むぅ~……うん。かがみとの時間には変えられないかな?
天秤の大きく傾く音とともに、私の脳内で何かが一瞬よぎった。
こ、これは…!
「…こなたの髪?」
ああ、これはやばい。
「あんたの髪って綺麗よね…」
昨日の…
「いい…香りがする…」
ーーーーーごふぅ!
昨日見た情景。
それが若干脳内補完され、ありありと鮮明に映し出された。
私を抱き寄せてからそのまま顔を私の髪に埋める形でキスをするかがみの絵。
正直破壊力ありすぎです、かがみ様。
天秤の壊れる音。
気が付いたら私は一生懸命に髪の手入れを始めていた。
ああ、なんだか最近のわたしはおかしい。
こんなキャラじゃなかったのに。
これが恋は人をかえるってやつなのかな?
なんにしてもこれでバスには間に合わない。
かがみとの楽しい登校が…
かがみ分の補給が…あぁ…
…これもあれも全部かがみが悪い。
かがみが昨日あんなことするから昨日の夜だって…そう。
思考をするたび思い出し、悶々としてぜんぜん寝ることなんて出来なかった。
結局、床に就いたのは朝の5時。
そのせいで朝、起きれなかったんだし、それに今だってそう。
あんなことを言われたら、もっと綺麗にしたいとか思っちゃうじゃん。
あぁ、やっぱり全部かがみが悪いんだ。
よし!
私はすくっと立ち上がり、鏡に人差し指を突きつける。
「まっててね、かがみぃ。
お昼にはいっぱい、遊んであげるからね」
そう鏡に宣言する。
私を弄った罰だ。よし何を言ってからかってやろうか。
昨日のことでも面白そうだね。
冷静に考えてみると、かがみもぜんぜん覚えてないって反応でもなかったしね。
少しでも心当たりがあれば、きっと期待以上の面白い反応が返ってくるはずだ。
うん。
遅刻のことでさっきまで沈んでいたココロが嘘みたいだ。
雲を抜けた太陽が周りをいっせいに照らすように、暖かな感情に満ちてくる。
はは、私って単純だね。
さあ、準備は出来た。あとは学校に着くまでが戦いだ。
出来るだけ面白いネタを考えとかないと、かがみの笑顔が見られないよ。
私は元気よく玄関の扉を開ける。
空は私の気持ちと同じくらいの、快晴。
今は6月の終盤で、もう日差しに夏の勢いを感じさせはじめていた。
これから先は私の季節。
私の一度しかない高校二年生の、
かがみとの夏が始まったんだ。
Episode 1.5 - B END
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「うぅー!
遅刻、絶対遅刻しちゃうよー!!」
朝からけたたましく叫びながら私は一生懸命自分の蒼髪を櫛で梳かしていた。
お父さんの血も受け継いだ私の長髪はクセが強く、毎朝毎晩こうやって念入りに手入れをしないと、すぐにあらぬところが跳ねていってしまうのだ。
本来ならゆっくり時間をかけてやりたいところなのだが、今日は特に時間がない。
今日、お父さんは出張に行くから朝が早いのを忘れてて、すっかり寝こけてしまっていた。
結果、起こしてくれるものが他にいない私に、時間という現実が突きつけられてしまったのだ。
鏡を見ながらうんうんと唸る私を、まるで笑うかのように頭上のものがゆらゆら揺れる。
頭にぴょこりと生えているこのアホ毛だって、そうだよ。
別に私は好きで生やしているわけじゃない。
そういえばかがみに、このアホ毛はセットするのに一時間位かかるんだぁって豪語したことあったっけ?まあ、半分だけなら正解かな。
これを無くす作業に一時間くらいは掛かるから。
それでもせっかく気合を入れてセットしても、かがみに朝、会うころにはいつの間にか元の場所に鎮座してしまうため、私はもうあきらめて、彼女との一生の付き合いを覚悟してしまっていた。
いいもん、萌え要素…萌え要素なんだから!
しかし…これ以上時間をかけたら流石に間に合わない。
いつも朝は特別な用事がない場合、駅で柊姉妹と待ち合わせてから一緒にバスに乗る。
学校にギリギリ間に合う便の一本手前、その便まで私が来なかった場合、問答無用で置いて行かれるのが、私と柊姉妹との暗黙の了解だった。
さて…今すぐ出ればまだ間に合う。
でも、まだ髪の手入れは半分も終わってない。
…どうしよう?
う~ん
私は心の天秤と相談する。
髪をあきらめてかがみ分を補給することを選ぶと、髪がぼさぼさのまま。
きちんとセットしていくことを選ぶと、かがみとはお昼まで会うことが出来ない。
むぅ~……うん。かがみとの時間には変えられないかな?
天秤の大きく傾く音とともに、私の脳内で何かが一瞬よぎった。
こ、これは…!
「…こなたの髪?」
ああ、これはやばい。
「あんたの髪って綺麗よね…」
昨日の…
「いい…香りがする…」
ーーーーーごふぅ!
昨日見た情景。
それが若干脳内補完され、ありありと鮮明に映し出された。
私を抱き寄せてからそのまま顔を私の髪に埋める形でキスをするかがみの絵。
正直破壊力ありすぎです、かがみ様。
天秤の壊れる音。
気が付いたら私は一生懸命に髪の手入れを始めていた。
ああ、なんだか最近のわたしはおかしい。
こんなキャラじゃなかったのに。
これが恋は人をかえるってやつなのかな?
なんにしてもこれでバスには間に合わない。
かがみとの楽しい登校が…
かがみ分の補給が…あぁ…
…これもあれも全部かがみが悪い。
かがみが昨日あんなことするから昨日の夜だって…そう。
思考をするたび思い出し、悶々としてぜんぜん寝ることなんて出来なかった。
結局、床に就いたのは朝の5時。
そのせいで朝、起きれなかったんだし、それに今だってそう。
あんなことを言われたら、もっと綺麗にしたいとか思っちゃうじゃん。
あぁ、やっぱり全部かがみが悪いんだ。
よし!
私はすくっと立ち上がり、鏡に人差し指を突きつける。
「まっててね、かがみぃ。
お昼にはいっぱい、遊んであげるからね」
そう鏡に宣言する。
私を弄った罰だ。よし何を言ってからかってやろうか。
昨日のことでも面白そうだね。
冷静に考えてみると、かがみもぜんぜん覚えてないって反応でもなかったしね。
少しでも心当たりがあれば、きっと期待以上の面白い反応が返ってくるはずだ。
うん。
遅刻のことでさっきまで沈んでいたココロが嘘みたいだ。
雲を抜けた太陽が周りをいっせいに照らすように、暖かな感情に満ちてくる。
はは、私って単純だね。
さあ、準備は出来た。あとは学校に着くまでが戦いだ。
出来るだけ面白いネタを考えとかないと、かがみの笑顔が見られないよ。
私は元気よく玄関の扉を開ける。
空は私の気持ちと同じくらいの、快晴。
今は6月の終盤で、もう日差しに夏の勢いを感じさせはじめていた。
これから先は私の季節。
私の一度しかない高校二年生の、
かがみとの夏が始まったんだ。
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- (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-07-04 13:15:41)
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