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「いふ☆すた EpisodeⅠ‐B ~実らない果実~」(2023/07/04 (火) 07:54:31) の最新版変更点
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私は、じっと教室にある扉を見つめていた。
別に、扉に興味があって見つめているわけじゃあない。
そこから入ってくるはずの人物に用があるのだ。
「かがみさん、遅いですね?」
みゆきさんが私の心を代弁してくれた。
いつもお昼はこちらですごすであろう彼女が、10分を過ぎても現れない。
たとえ来れない日でも、律儀にそれを伝えに来る。そんな彼女が。
ふと、在りえない不安に私は駆られた。
かがみは、実は私と一緒にいるのが嫌なんじゃ?
私は不安をかき消すように首を左右に振る。
もちろん、そんなことはないって思っているけど…
かがみは私といるとき。
ほんの時々だけど、すごく辛そうな顔を見せる時がある。
どしたの?って聞いても、いつもはぐらかされてしまうし、私もそれ以上は怖くて追求は出来ないままでいた。
…このまま待ってても、不安になるだけだよね?
私は溜まった不安をかき消すように、元気よく立ち上がった。
うじうじなんてしてらんない。
「ちょっと私、見てくるね!」
「うん、こなちゃん。お願~い」
「うん、引っ張ってでも連れて来るよ~!」
早くいつもの調子を取り戻さないとね。
扉まで小走りで駆け寄り、勢いよく開ける。
一瞬、そこにかがみの姿があることを期待したが、所詮はただの願望だ。
早くかがみに会わないと…
早く…
かがみがいないというだけで、どうしてこんなにも私の世界は揺らいでしまうのだろう。
仲のよい親友だから?
いや、違う。
そんな次元、私の中ではもうとっくに通り過ぎてしまっていた。
私がかがみを「大好き」だからだ。
どのくらい前から自覚しただろう。
気が付いたらかがみのことばかりを考えていた。
この感情が男女間でのそれなのかどうかは分からない。
だって、まだ男の子を好きになったこと無いし、それに、ここまで人を好きになったのも生まれて初めてだ。
今までで一番の「好き」
それをかがみに捧げることが出来た。
それだけでも私は幸せだと感じてしまう。
大切な、大切な、私だけの「好き」
…さて、行きますか。いざ愛しのかがみんのもとへ!
かがみがいる隣の教室の扉を開け、躊躇もなく中に入る。
目的のものは探すまでもなくすぐに見つかった。
「あ、かがみ。寝ちゃってるのかな?」
近寄るのに気付く様子も見せず、微かだが定期的な寝息が聞こえてくる。
う、うわぁ…
かがみん、無防備すぎるよぉ。
色々な妄想が私の中を駆け巡る。
うわ、自重しろ、私。
…かがみの唇、柔らかそう、とか、どのぐらいしたら起きるかな、とか、何を考えているんだ。ここって教室だし…って!教室じゃあなかったらやる気なの!?
ひとり身悶えした後、なんとか平静を取り繕う。
み、みんなも待っていることだし、取りあえず起こさないと。
私はかがみの肩に手をかけ揺すってみる。
「…オーイ、かがみ。かがみんや~?
むぅ、手強い…ならば。
か~がみ、か~が~み!」
よりいっそう強く。
そこまでしてやっと重たそうに頭を上げるかがみ。
よほど深く眠っていたのか、いまだ瞳の焦点が定まっていない。
「かがみぃ。ぼぉ~っとして、珍しーねぇ
もう、早くおきなよ」
ほっぺたをムニムニつっつく。
普段なら鉄拳制裁ものだが今はやりたい放題らしい。
私にいたずら心がムクムクと芽生える。
「はやく起きないと、寝起き顔、写メっちゃうよ~?」
ずいぶん前にかがみが風邪をひいた時。
あの時は撮り逃しちゃったしね。
私は珍しく携帯していた電話を出そうと、頭を屈めてポケットを漁る。
そのとき、不意にふわりとした、不自然な浮遊感が髪の毛から生まれた。
なんだろ…かがみ?
思わず顔を上げると、そこに、私の長い髪の一房を手のひらで掬い取るかがみがいた。
私がその行動の意図を理解するよりも早く、それをかがみは口元に近づけていく。
「…こなたの髪?
あんたの髪って綺麗よね…」
「ふぇ?」
「いい…香りがする…」
唇に髪をあてる。
まるでキスをするかのように。
「!???」
そこで私のつたない理性は吹き飛んだ。
真っ白に染まる思考の中、冷静に、ただ一点のみに事実が集約する。
かがみが私の…!
「…ってぇ! な、ななななな~!!」
半ばパニックになり、思わずかがみから勢いよく離れる。
「か、かかかか… かがみん!?」
真っ白になっていた頭に、今度は急に血が昇ってきた。
その熱量にくらくらする。
「どうしちゃったのさ!!
もしかして…寝ぼけてる?」
私はそんな陳腐な台詞を言うのが精一杯だった。
「こ、こなた!」
目覚めたのだろう。かがみの驚いた風な声があがる。
「いつからそこにいたのよ!
つか、ここ教室が違うじゃない!」
「え!え?
い、いや、お昼休みになってもかがみが来ないから、
迎えに来たんだけど…?」
かがみの台詞にいつもの反射で答える。
もう自分自身にいっぱいいっぱいで、かがみの様子なんて見ることが出来ない。
…てか、やばい。こんな反応はいつもの私じゃない。
髪に触れられた程度のことで、女の子同士なのにこの反応は無いだろう。
いつもならうまく切り返して、かがみを弄る方向に話を持っていけるのに。
私が頭を抱えてぐるぐると思考している中、幾分か先に冷静を取り戻したのか、かがみは私をじっと見つめると、突然、すくっと立ち上がった。
私はかがみの次の行動が予測できず、ビクッと肩を跳ねさせほんの少し距離を置く。
「…あ、悪い。ね、寝ぼけてたわ。
すぐ支度するからあんたは戻ってて。
ん?どうしたのよ。
顔、赤いわよ?」
「……… ?」
返ってきたのはそんな台詞だった。
…覚えてない?
かがみはまるで何事も無かったかのように私を促した。
…まあ、寝ぼけてたってのもあるけどね。
さっきのこと、なんだったのか聞いてみたい気もするけど…
「いや、なんでもないよ?
顔、赤い?
あは、風邪でもひいたかな~?
じゃ、私、先に行って待ってるから。
かがみも寄り道せずに来るんだよ!」
「お、おう…」
私はすでに教室の扉に向かって走り始めていた。
後ろ手でかがみをビシッと指差しながら、まるで悪役の逃走シーンのように台詞を吐く。
やや遅れ気味のかがみの返事を待たずに、私は廊下に駆け出した。
私はもう、我慢が出来なかったのだ。
かがみが、私の…!
ってぇ!自重しろ。
ほんと自重しろ、私!
浮かんできたイメージを掻き消す為に大きく左右に頭を振り、真っ赤になった顔を隠すように腕を口元に当てた格好で廊下を全速力で駆け抜ける。
自分の教室なんかはとっくに過ぎてしまっている。
でも、止まれない。
今の私の状態で教室に戻ることなんか出来やしない。
「かがみが私の髪をほめてくれた!
かがみが私の髪をほめてくれたぁ!!
かがみが私の髪をほめてくれたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
心の中での大絶叫!
…私はわりと女の子らしい身嗜みとかおしゃれとか気にならないほうなのだが、この蒼髪だけは毎日大切に扱っていた。
…死んでしまった…お母さんと同じ、蒼い髪だから。
私にとっては遠いお母さんと繋がる接点といってもいい。
この髪だけは、なんの取り柄もない私が、唯一、誇れるものなのだ。
それを…
私自身といってもいいそれを…
かがみが…!
綺麗って言ってくれた!
ましてや、いい香りとか!
とどめに…キ、キ!ーーーーーーーーーー!
再び、問題のシーンを思い出しては思考を停止させる。
いけない、鼻血が出てしましそうだ。
かがみはさっきのこと覚えてないみたいだったけど、
例え夢の中の出来事でも…
いや、夢の中のことだからこそ、そこに隠された本心があった気がしてしまう。
…もう。
かがみのせいでこの髪を大事にする理由がひとつ増えちゃったよ。
しばらく、走ってようやく落ち着きを取り戻した思考に私は足をとめた。
校舎の離れにあるはずの体育館が、もうすぐそこに見えていた。
ははっ…ホント馬鹿だ。
私も案外、乙女だったんだね。
そう考えるとなんだか恥ずかしい。
さて、そろそろ戻らないと絶対に変って思われちゃう。
これは帰りも全力疾走するしかないね。
すぅっと深呼吸をしたあと、私はもと来た道へと駆け出した。
戻ったらきっとかがみに呆れられるんだろうな。
それで私がボケて、かがみがそれにツッコミをいれて…
なんのこともない日常の切り取り。
それを想像しただけで私の口元に笑顔が生まれる。
かがみと知り合ってから一年とちょっと。この短い時間が私の人生の中で一番満ち足りていた気がする。
友達なんていう関係が、こんなにも楽しくて輝いているなんて…
…きっと、昔の私には想像もつかないんじゃないかな。
…でも。
こんな楽しい時間は、きっと長くは続かない。
今、私たちは高校二年生で、卒業までは、あと一年と半年くらいしか残されていない。
受験勉強や、就職活動なんかやってたら一瞬で過ぎ去ってしまうだろう。
私はこの友情を一生のものだと思っているけど、かがみは違うのかもしれない。
きっと…かがみなら可愛いし面倒見もいいから、大学にいったらすぐに新しい友達を作っちゃて。
それから…彼氏…なんか作って…
私のこと、忘れちゃうんだろうな。
…しかたないよね。
女性である私が、かがみを独占することなんて出来ない。
まして、いくら仲が良くったって、流石にそういう意味で好きって知られたら、引かれちゃうだろうし…
でもね?今は友達としてでもいいから、そばに居たい。
だからかがみん。
今だけは、 「大好き」 のまま居させてくれないかな?
離れるまでのほんの短い間だけれども、それが私の一生の思い出に出来るように。
いつか私が知らない誰かと結婚とかしても、ホントのココロはかがみにあげるから。
こんな自分勝手なわがままだけど、ごめんね?かがみ。
私はこの気持ちだけは否定したくはないから。
だって…
かがみからもらった大切な…
私だけの…
初めての恋だから。
EpisodeⅠ‐B END
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- うおぉぉぉぉぉこなた羨ましいぃぃぃぃぃ← -- 名無しさん (2010-04-02 21:48:15)
- た、大作の予感!! 作者様、つづき楽しみに待ってます。 -- kk (2009-01-20 01:02:38)
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私は、じっと教室にある扉を見つめていた。
別に、扉に興味があって見つめているわけじゃあない。
そこから入ってくるはずの人物に用があるのだ。
「かがみさん、遅いですね?」
みゆきさんが私の心を代弁してくれた。
いつもお昼はこちらですごすであろう彼女が、10分を過ぎても現れない。
たとえ来れない日でも、律儀にそれを伝えに来る。そんな彼女が。
ふと、在りえない不安に私は駆られた。
かがみは、実は私と一緒にいるのが嫌なんじゃ?
私は不安をかき消すように首を左右に振る。
もちろん、そんなことはないって思っているけど…
かがみは私といるとき。
ほんの時々だけど、すごく辛そうな顔を見せる時がある。
どしたの?って聞いても、いつもはぐらかされてしまうし、私もそれ以上は怖くて追求は出来ないままでいた。
…このまま待ってても、不安になるだけだよね?
私は溜まった不安をかき消すように、元気よく立ち上がった。
うじうじなんてしてらんない。
「ちょっと私、見てくるね!」
「うん、こなちゃん。お願~い」
「うん、引っ張ってでも連れて来るよ~!」
早くいつもの調子を取り戻さないとね。
扉まで小走りで駆け寄り、勢いよく開ける。
一瞬、そこにかがみの姿があることを期待したが、所詮はただの願望だ。
早くかがみに会わないと…
早く…
かがみがいないというだけで、どうしてこんなにも私の世界は揺らいでしまうのだろう。
仲のよい親友だから?
いや、違う。
そんな次元、私の中ではもうとっくに通り過ぎてしまっていた。
私がかがみを「大好き」だからだ。
どのくらい前から自覚しただろう。
気が付いたらかがみのことばかりを考えていた。
この感情が男女間でのそれなのかどうかは分からない。
だって、まだ男の子を好きになったこと無いし、それに、ここまで人を好きになったのも生まれて初めてだ。
今までで一番の「好き」
それをかがみに捧げることが出来た。
それだけでも私は幸せだと感じてしまう。
大切な、大切な、私だけの「好き」
…さて、行きますか。いざ愛しのかがみんのもとへ!
かがみがいる隣の教室の扉を開け、躊躇もなく中に入る。
目的のものは探すまでもなくすぐに見つかった。
「あ、かがみ。寝ちゃってるのかな?」
近寄るのに気付く様子も見せず、微かだが定期的な寝息が聞こえてくる。
う、うわぁ…
かがみん、無防備すぎるよぉ。
色々な妄想が私の中を駆け巡る。
うわ、自重しろ、私。
…かがみの唇、柔らかそう、とか、どのぐらいしたら起きるかな、とか、何を考えているんだ。ここって教室だし…って!教室じゃあなかったらやる気なの!?
ひとり身悶えした後、なんとか平静を取り繕う。
み、みんなも待っていることだし、取りあえず起こさないと。
私はかがみの肩に手をかけ揺すってみる。
「…オーイ、かがみ。かがみんや~?
むぅ、手強い…ならば。
か~がみ、か~が~み!」
よりいっそう強く。
そこまでしてやっと重たそうに頭を上げるかがみ。
よほど深く眠っていたのか、いまだ瞳の焦点が定まっていない。
「かがみぃ。ぼぉ~っとして、珍しーねぇ
もう、早くおきなよ」
ほっぺたをムニムニつっつく。
普段なら鉄拳制裁ものだが今はやりたい放題らしい。
私にいたずら心がムクムクと芽生える。
「はやく起きないと、寝起き顔、写メっちゃうよ~?」
ずいぶん前にかがみが風邪をひいた時。
あの時は撮り逃しちゃったしね。
私は珍しく携帯していた電話を出そうと、頭を屈めてポケットを漁る。
そのとき、不意にふわりとした、不自然な浮遊感が髪の毛から生まれた。
なんだろ…かがみ?
思わず顔を上げると、そこに、私の長い髪の一房を手のひらで掬い取るかがみがいた。
私がその行動の意図を理解するよりも早く、それをかがみは口元に近づけていく。
「…こなたの髪?
あんたの髪って綺麗よね…」
「ふぇ?」
「いい…香りがする…」
唇に髪をあてる。
まるでキスをするかのように。
「!???」
そこで私のつたない理性は吹き飛んだ。
真っ白に染まる思考の中、冷静に、ただ一点のみに事実が集約する。
かがみが私の…!
「…ってぇ! な、ななななな~!!」
半ばパニックになり、思わずかがみから勢いよく離れる。
「か、かかかか… かがみん!?」
真っ白になっていた頭に、今度は急に血が昇ってきた。
その熱量にくらくらする。
「どうしちゃったのさ!!
もしかして…寝ぼけてる?」
私はそんな陳腐な台詞を言うのが精一杯だった。
「こ、こなた!」
目覚めたのだろう。かがみの驚いた風な声があがる。
「いつからそこにいたのよ!
つか、ここ教室が違うじゃない!」
「え!え?
い、いや、お昼休みになってもかがみが来ないから、
迎えに来たんだけど…?」
かがみの台詞にいつもの反射で答える。
もう自分自身にいっぱいいっぱいで、かがみの様子なんて見ることが出来ない。
…てか、やばい。こんな反応はいつもの私じゃない。
髪に触れられた程度のことで、女の子同士なのにこの反応は無いだろう。
いつもならうまく切り返して、かがみを弄る方向に話を持っていけるのに。
私が頭を抱えてぐるぐると思考している中、幾分か先に冷静を取り戻したのか、かがみは私をじっと見つめると、突然、すくっと立ち上がった。
私はかがみの次の行動が予測できず、ビクッと肩を跳ねさせほんの少し距離を置く。
「…あ、悪い。ね、寝ぼけてたわ。
すぐ支度するからあんたは戻ってて。
ん?どうしたのよ。
顔、赤いわよ?」
「……… ?」
返ってきたのはそんな台詞だった。
…覚えてない?
かがみはまるで何事も無かったかのように私を促した。
…まあ、寝ぼけてたってのもあるけどね。
さっきのこと、なんだったのか聞いてみたい気もするけど…
「いや、なんでもないよ?
顔、赤い?
あは、風邪でもひいたかな~?
じゃ、私、先に行って待ってるから。
かがみも寄り道せずに来るんだよ!」
「お、おう…」
私はすでに教室の扉に向かって走り始めていた。
後ろ手でかがみをビシッと指差しながら、まるで悪役の逃走シーンのように台詞を吐く。
やや遅れ気味のかがみの返事を待たずに、私は廊下に駆け出した。
私はもう、我慢が出来なかったのだ。
かがみが、私の…!
ってぇ!自重しろ。
ほんと自重しろ、私!
浮かんできたイメージを掻き消す為に大きく左右に頭を振り、真っ赤になった顔を隠すように腕を口元に当てた格好で廊下を全速力で駆け抜ける。
自分の教室なんかはとっくに過ぎてしまっている。
でも、止まれない。
今の私の状態で教室に戻ることなんか出来やしない。
「かがみが私の髪をほめてくれた!
かがみが私の髪をほめてくれたぁ!!
かがみが私の髪をほめてくれたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
心の中での大絶叫!
…私はわりと女の子らしい身嗜みとかおしゃれとか気にならないほうなのだが、この蒼髪だけは毎日大切に扱っていた。
…死んでしまった…お母さんと同じ、蒼い髪だから。
私にとっては遠いお母さんと繋がる接点といってもいい。
この髪だけは、なんの取り柄もない私が、唯一、誇れるものなのだ。
それを…
私自身といってもいいそれを…
かがみが…!
綺麗って言ってくれた!
ましてや、いい香りとか!
とどめに…キ、キ!ーーーーーーーーーー!
再び、問題のシーンを思い出しては思考を停止させる。
いけない、鼻血が出てしましそうだ。
かがみはさっきのこと覚えてないみたいだったけど、
例え夢の中の出来事でも…
いや、夢の中のことだからこそ、そこに隠された本心があった気がしてしまう。
…もう。
かがみのせいでこの髪を大事にする理由がひとつ増えちゃったよ。
しばらく、走ってようやく落ち着きを取り戻した思考に私は足をとめた。
校舎の離れにあるはずの体育館が、もうすぐそこに見えていた。
ははっ…ホント馬鹿だ。
私も案外、乙女だったんだね。
そう考えるとなんだか恥ずかしい。
さて、そろそろ戻らないと絶対に変って思われちゃう。
これは帰りも全力疾走するしかないね。
すぅっと深呼吸をしたあと、私はもと来た道へと駆け出した。
戻ったらきっとかがみに呆れられるんだろうな。
それで私がボケて、かがみがそれにツッコミをいれて…
なんのこともない日常の切り取り。
それを想像しただけで私の口元に笑顔が生まれる。
かがみと知り合ってから一年とちょっと。この短い時間が私の人生の中で一番満ち足りていた気がする。
友達なんていう関係が、こんなにも楽しくて輝いているなんて…
…きっと、昔の私には想像もつかないんじゃないかな。
…でも。
こんな楽しい時間は、きっと長くは続かない。
今、私たちは高校二年生で、卒業までは、あと一年と半年くらいしか残されていない。
受験勉強や、就職活動なんかやってたら一瞬で過ぎ去ってしまうだろう。
私はこの友情を一生のものだと思っているけど、かがみは違うのかもしれない。
きっと…かがみなら可愛いし面倒見もいいから、大学にいったらすぐに新しい友達を作っちゃて。
それから…彼氏…なんか作って…
私のこと、忘れちゃうんだろうな。
…しかたないよね。
女性である私が、かがみを独占することなんて出来ない。
まして、いくら仲が良くったって、流石にそういう意味で好きって知られたら、引かれちゃうだろうし…
でもね?今は友達としてでもいいから、そばに居たい。
だからかがみん。
今だけは、 「大好き」 のまま居させてくれないかな?
離れるまでのほんの短い間だけれども、それが私の一生の思い出に出来るように。
いつか私が知らない誰かと結婚とかしても、ホントのココロはかがみにあげるから。
こんな自分勝手なわがままだけど、ごめんね?かがみ。
私はこの気持ちだけは否定したくはないから。
だって…
かがみからもらった大切な…
私だけの…
初めての恋だから。
EpisodeⅠ‐B END
-[[EpisodeⅠ‐A ~刈り取る想い~>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/974.html]]へ
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- (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-07-04 07:54:31)
- うおぉぉぉぉぉこなた羨ましいぃぃぃぃぃ← -- 名無しさん (2010-04-02 21:48:15)
- た、大作の予感!! 作者様、つづき楽しみに待ってます。 -- kk (2009-01-20 01:02:38)
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