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繰返す私達の恋愛感情 (後編)」(2023/05/27 (土) 12:42:56) の最新版変更点

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何かがおかしい。 朝起きると、カレンダーがめくれておらず、昨日の日付のままだったり、脱い で洗濯機に入れたはずの下着をつけていたり・・・気持ち悪いので着替えなお した・・・居間におかれているのが昨日の新聞だったり。 ここまで来たら、昨日こなたが言っていた、ループしている、という話を思い 出さない訳がない。私は居間でバルサミコ酢バルサミコ酢言ってるつかさに尋 ねた。 「今日、何日?」 返ってきた答えは、予想通りの昨日の日付。いやこの場合、昨日って言うのか な? 「お姉ちゃん、どうしたの?」 「いや、余りの急展開にちょっと頭痛がしているだけだから大丈夫・・・つか さ、昨日の・・・いや今日か、う、なんて言ったらいいか、今日を過ごすのっ て二回目じゃない?」 「え?どういう意味?」  本気で不思議そうな顔をするつかさを見て、トゥーハートの神岸あかりにマ ジで似てる、と思ったけどそれは置いておいて、どうやらつかさには一回目の 記憶がないらしい事が分かる。  私も、ループしはじめた?  なんで?  どうして?  昨日と同じ朝食、昨日と同じ会話、昨日と同じテレビ・・・会話で昨日と同 じ受け答えをすると、昨日と全く同じ返答が返ってくる。ためしに、昨日はし なかった話を振ってみる。 「あのさ」 「なんだい、かがみ?」 「お父さんは、ラブレターとか貰ったこと、ある?」 「え、いや、いきなりだなあ、こう見えても父さんも学生の頃は・・・」 「もてなかったんでしょ?」 と柊みき(○○歳)がお父さんに突っ込みを入れる。うむ、昨日と違う会話の 流れだ。  違う話題を振ると、昨日とは違う新たな展開になるようだ。マルチエンディ ングシステム搭載です。父と母は昔話でいちゃいちゃしだし、どうやら今の選択肢は、父と母がきゃっきゃうふふと 乳繰り合うCGが回収できるルートのようです。選択肢間違えたぁ! 「あ、そろそろ行かなきゃ」  いつまでもいちゃいちゃする両親から逃げたいので、かがみがつかさと一緒 に家を出ようとすると、柊ただお(○○)歳が声をかけた。 「父さんはともかく、母さんはよく貰ってたみたいだぞ、ラブレター」 「そうなの?」 「うふふ・・・お母さん、昔はもてたのよ」  自信ありげな柊みきさんです。 「女の子から貰った事もあるわ」 「マジで!?」  玄関から出ようと思ってたのに、足が止まってしまった。 「今思えば、付き合ってみてもよかったかも」 「おいおい」 「まあ、若い頃はなんでも経験よ、いってらっしゃい」  玄関を出て、かがみは思う。しかしなぜ自分は、女の子からラブレターを貰 ったという話に食いついたのだろうか?  通学路を歩きながら黙って考え込んでいると、段々、不安になってくる。 昨日と同じ町並みの、余りにもその「同じさ」と、襲い掛かり続ける既視感が 、かがみをどんどん不安にしていった。  もしこのまま、永遠にこの日を抜け出せなかったら?  永遠に続く今日・・・明日も明後日も来なくて、ずっとこのまま・・・そん なの、怖い、怖すぎる。だから  すぐにでもこなたに会いたい、とかがみは思う。  でも。  もしも、今ループしているのはかがみだけで、こなたはもうループしていな かったら?  永遠に孤独に、この今日を過ごさなければならないのだとしたら、それは余 りにも恐ろしい。  こなたに「ループって、なにそれ?」とか言われたら、どうしよう・・・  不安でたまらない。  昨日のこなたは、なんであんなに平然としていられたんだろ、ループとか、 怖い・・・怖いよ。  かがみがそんな風にびくびくしていると、つかさは心配そうな顔をするのだ が、かがみは完全に上の空で気づいていなかった。  そして学校にたどり着き、自分の教室を完全にスルーしてつかさと一緒に隣 の教室に行き、遂にかがみはこなたを見つけ、殆ど祈るように声をかけた。 「あ、こなた」 「かがみ」  こなたはかがみを見て、どこか微妙な表情をしたが、かがみにはそれを気に かける余裕は無かった。どう切り出していいかわからず、ほとんどぶっきらぼ うに、かがみはこなたに告げた。 「私、この日を過ごすの、二回目」  こなたはめったに見せない、驚きの表情で口をパクパクさせ、それから何と か体勢を立て直して、答えた。 「あはは、私は、四回目」  二人の間に訪れる静寂。ひきつった笑い。二人で笑い続けるシュールな光景 が続き、かがみは言った。 「いや、笑ってる場合じゃねえ!」  かがみは問答無用でこなたと一緒に教室の隅へ移動です。 「もう、もう、どうすんのよ!?どうなってんの!?」 「いやー、かがみん、それが、私にも何がなんだか」  なんでかがみまでループするのか。意味が分からない。 「でも良かった、あんたがちゃんとループを認識してて・・・私だけだったら どうしようって思ったわよ!」  本気で泣きそうなくらい不安だったのだ。 「みゆきさんやつかさには影響ないみたいだねえ」 「うーん、なんで、私とこなただけ、この日を繰返すんだろう?」  こなたは、自分がかがみを閉じ込めたいせいでこうなったのではないか、と 疑っている。それだと、えーと、どうすれば出られるんだ? 「えっと、かがみが、ラブレターの相手を振ったからだよきっと、今度は、O Kすれば出られるよ」 「それは、なんか根拠があって言ってんのか?」 「え、それは、ないけど」 「ないのにそういう事を簡単に言うな。大体、好きでもない相手と付き合えな いだろ」 「そんな筈ないよ!」 「何が?」 「だって一回目の時はかがみ・・・あ」 「ん?」  両者、暫く沈黙です。かがみは、こなたの台詞の意味を組み立てます。ぽく ぽくぽくちーん(一休さん風)  結論、一回目の柊かがみは、相手の申し出をOKしてた。 「待てお前、私がどんな返答したか知らないって言ってたんじゃなかったか?」 「まあ、えーとそれはまあ、えーと、色々あってさ・・・」 「マジな話だろ、今これ。ここで嘘とか言うなよ。一回目の私は、OKしてた んだな」  ありえない話ではない。冷静に考えると、昨日断ったのは、つかさの語った 幼稚園のエピソードの力が大きい。ただ、恋愛してみたいというだけで、恋愛 していいのかよく分からなくて、それに・・・・ 「一回目のかがみは、OKしてた」 「なんでそれを隠したのよ?」 「隠すつもりはなかったんだよ、二回目の時は、かがみがどうしたのか知らな かったし、なんていうか、あんまり余計な未来の知識は与えなくなかったとい うか・・・」  一回目はOKし、三回目は振った、それでも、ループから抜け出せない。だと すると、ラブレターはループと無関係なのか? 「とにかく!かがみはOKすべきだよ!」  何故か珍しく、強い口調でこなたが言った。 「本来の流れである一回目はOKしてたのに、こんなよく分からない現象のせ いで、振るとか勿体ないって!」 「あのなあ・・・」  ちょっとかがみは腹がたってきました。怒りゲージが半分くらいたまってま す。 「私は昨日、振った記憶がバッチリあるんだよ。それを今日、いきなりOKす るような気分に切り替えられる訳ないだろ」  ふとかがみは、昨日、こなたの胸の中で泣きじゃくった恥ずかしい記憶まで 思い出してしまって赤面した。幸い、こなたはその事には気づかなかったよう だが。  あの時、優しく自分の髪を梳いたこなたの手をなんとなく見てしまって、奇 妙に胸がドキドキした。 「む~」  こなたが(≡≡)みたいな目をして不満そうになっている。 「今日も、断る気なの?かがみ?」 「あれって、体力とか精神力とか凄くいるんだよな・・・またやらなきゃいけ ないのか・・・」 「ほんとに断っていいの?」 「しつこいぞ、なんでそんなに私をくっつけたがるんだよ」 「だって一回目では・・・・」  とうとう、かがみの怒りゲージがマックスになりました。格闘ゲームなら超 必殺技が出せる状態になったので、かがみは超必殺・怒りの大声を出す。 「一回目とか二回目とか、関係ないでしょ!今の私の気持ちの問題じゃない!!」 「でもそれじゃループから抜け出せない!」 「一回目はOKしたけどループしてるんでしょ!?関係ないじゃない!」 なんで、なんで、なんで、こなたは私を彼とくっつけたがるの? 何故か、かがみはこなたが自分を誰かとくっつけようとするのがいらだたしく、 悲しく、許しがたい気さえ、した。 「さっきかがみは、これはマジな話だから、嘘は言うなって言ったよね。だか ら言うよ。きっと、かがみがラブレターをOKしたのが、始まりなんだ。だか らもう一度、かがみがラブレターをOKしないと、このループからは抜け出せ ない・・・!」 「どういう意味よ!」  こなたは遂に、殆ど絶望のような表情で、その心情を、血を吐くようにして 告げた。 「私が、かがみにOKしてもらいたくなかったから、時間は戻ったんだよ」  その言葉と、チャイムが鳴るのは、全くの同時だった。  ・・・・・・・・・・・・  不思議だ。  かがみは何故か、うれしい気持ちになっていた。  チャイムが鳴ったら、こなたは焦ったようにかがみを教室から追い出した。 実際、あれ以上教室にいたら遅刻してしまうからかがみはそれに従った。  しかし。  ふと、かがみから笑みがこぼれる。  何も解決してない、問題だらけの状態なのに。なぜだろう、今は、うれしい。  机の中のラブレターにも、もう気づいている。  よし。  何もかもに、決着をつけよう。  休憩時間に隣のクラスに行くと、こなたの姿はない。  逃げ回っているのだ。  自分は言うだけ言っておいて、臆病で、卑怯で、いつも傍若無人に振舞う癖 に繊細で、ほんと、オタクって困る・・・それでいて、こんなにも人の心をつ かむのだから。  放課後は屋上へ。  こなたは、かがみがOKしないと、ループからは抜け出せないと言った。そ れならば・・・。  かがみは、屋上へ出た。  どこまでも広がる青い空。  背中を向けて立っている男子生徒。  かがみは遂に、遂に全てを思い出した。  全ての、真の始まりを。  一回目、こなたのループの始まり。  かがみは屋上の告白を受け、付き合うことになった、と教室でいつもの四人 組に告げた。  既にそのとき、自分の心の中には、確かな違和感があったのだ。  それに気づかなかったのが、失敗の始まり。  失敗に気づかせてくれたのは、いつもそばにいた、あいつ。  胸のうちにある違和感は、こなたの顔を見て、決定的となったのだ。  彼氏と付き合うことになった、と告げた時に見た、こなたの暗澹たる表情、 その絶望の表情が・・・。  かがみをこの上なく後悔させたのだ。  そしてかがみは、相手の男の子のことを、べつに好きでもなんでもなかった、と気づいた。 でも全ては遅かった。今更、告白を無かった事にするのは、自分自身が許せなかった。そう・・・  『かがみの後悔が、ループの始まり』  そしてかがみは記憶を失い、しかしこなたは記憶を失わず・・・それはきっ と、こなたからさっきの言葉を聴くためだったのだ。なんてわがままで利己的 で、しかし・・・・。  二回、三回と繰返すうち、遂に記憶がなくてもかがみは告白を断り、こなた はその想いの、ほんの断片だけでもかがみに打ち明けた。  これが、ループの結果。  かがみはまっすぐに男子生徒の方へ歩いていき、この四回目にして、今まで と違う、そして本心からの『断りの理由』を述べた。 「ごめんなさい、私、好きな人がいるんだ」 ここまで来たら、これしか、断る理由は無かった。  ・・・・・・・・・・・・ 「こなた!!」  こなたを探して、放課後の校舎を駆け巡る。 「こーーなたーーーー!」 恥も外聞もなく、大声でその名を呼ぶ、周囲の注視が、いっそ気持ちいいくら いだ。足が痛くなるほど走った、もっと速く、もっと速く。時間だって追い抜 けるくらいに。  勢いづいて走っていると、途中で友達に出会って立ち止まる、廊下は走らな いとか、知ったこっちゃねえ。 「お、ひいらぎ」 「こなた知らない?」 「ちびっこ?あやの知ってる?」 「ちょっと分からないわ」 「ごめん、ありがと」  それだけ聞くとまた「こなたーーー!」と名前を呼びながら廊下を走る、き っと明日には噂になってしまうだろうけど、明日へいけるならそれでも構わな かった。いや、もう、いま、こなたに会えるなら、それ以外はどうでもいい。 「なんか柊、青春してんなー」  とか、みさおが背後で言った気がするけど、気にしない。 「廊下を走んなや、柊」 「あ、ななこ先生、こなた知りません?」 「ん、泉探しとんのか、あいつやったら、教室ちゃうか。みーんな帰ったのに 、なんか黄昏とったで」 「ありがとうございます!!」 「あ、こら、廊下走んなって言っとるやろ、まったく・・・」  苦笑するななこ先生を尻目に、かがみは走って走って、遂に教室に駆け込ん だ。そこには一人、自分の机に座るうつろな目をしたこなたがいて、かがみを 見るとまるで傷つけられたみたいにびくりと震えた。 「探したわよ、こなた」 「かがみ・・・」  明らかに臆病な、震える子犬のようにこなたはかがみを恐れていた。かがみ はそのこなたの、珍しく露呈した弱さに、胸が締め付けられる想いがした。 「断ってきたから」 「なんで・・・」 「私ね、全部思い出したの。一回目も、二回目の事も、全部全部思い出したの」 「どうして・・・・?」  いつも見ないような、こなたは心底せっぱつまった顔をしている。本当は驚 くくらい繊細なところが、こなたにはあるんだと思う。かがみはそんなこなた に、また胸の痛みを覚えた。こういうのを、きゅんとする、とか言うんだ、き っと。 「私が、告白をOKしたこと後悔してたから、こうなったのよ。ループも何もか も、私が原因だったの」 「根拠はあるの?私かも知れないじゃん」 「じゃあ、二人のせいかもね」  私と、こなたが、二人とも後悔したから、時間は巡る。うん、その方が、き っと正しい。  かがみがそう確信して、晴れ晴れとした気持ちになっても、こなたはそれに は共感せず、悲しそうに、ぽつりぽつりと言った。全てを拒絶される覚悟だけ を胸に抱えて。 「私はさ、かがみに彼氏が出来て、幸せになれるなら、私だけが永遠に今日に 取り残されても、それでいいって思ったんだ・・・気持ち悪いよね、こんなの?」  オタクは、気持ち悪い、何度も何度も何度も言われたこと。こなたの心の中 に残っている言葉。  気持ち悪い。  かがみは今日の朝、自分が永遠に一人でこの『今日』に取り残されたら、ど んなに恐ろしいかと考えたばかりだった。  それをこなたは、かがみの幸せのために覚悟していたという。  その、永遠の孤独を・・・  急激に、胸が熱くなった。 「あんた、馬鹿じゃないの!?こなたが今日に取り残されて、一人で、寂しく てつらくて、そんな風になって、一体誰がうれしいっていうのよ!?彼氏とか、 そんなの、どうでもいいことじゃない!そもそも、高校生だからちょっと恋 愛とか経験してみようかな、とかそんな風に思っただけなのに、それのために こなたが今日に取り残されたら、全然意味ない、意味ないよ!」 「かがみ、でも・・・」 「私はね、四回目にして、本当の断る理由みつけたから。きっとその理由を見 つけるために、四回もこの日を繰返したのよ。馬鹿みたい、普通に素直に生き てたら、一回で済んだってのに」 「かがみ?」 「私はね『好きな人がいるから付き合えません』って言ったの、この意味、分 かるでしょ!!」  そう言うと、かがみは顔を赤くして横を向いた。胸がこの上なくドキドキし て、頭の中がぐるぐるして、バタンと倒れてしまいそうに思えた。  こなたは言う。 「かがみ・・・好きな人って・・・・誰?」 「馬鹿かお前は!」  思わず、すぱーん、とこなたの頭をたたいてしまった。 「空気読めよ!分かるだろ流れで!そんなボケが必要なところか、今!?」 「え、マジで誰!?私の知らない男子!?」 「ええい、この馬鹿!馬鹿!もう!・・・・・・もう!」  かがみは、えいやっと勇気を振り絞り、こなたに、くちづけた。 「☆弗%☆!?#★!?」  えいっ!えいっ! 「ん~~~~~~~~!!」  そしてそっと、体を離す。 「これで、分かったか!?」  どうだ!といわんばかりの態度のかがみです。当然、顔は真っ赤。 「わ、分かった、気がする」 「気がするだとぅ?!」 「わ、分かりました!!」 「よろしい!」  言うだけ言って、顔を両手でふさぐと、かがみがそのまましゃがみこんでし まった。耳まで真っ赤になった顔を、手で隠したまま、しゃがみこんで動かな い。 「かがみ?」 「あんたね、一人で、永遠にこの日に閉じ込められるとか、やめてよ。絶対、 やめてよ。怖いし、寂しいよ」 「泣いてるの?」  とうとう、喋ることも出来なくなった、泣きじゃくるかがみを、こなたはそ っと抱き寄せた。 「まるで、昨日の繰り返しみたい」  昨日と同じように、こなたはかがみの髪を梳いた。 「かがみんはでも、ほんと、ツンデレだね」  かがみは何も言わない。こなたの胸で、自分の顔を隠している。それにして も、平らな胸。 「同じ日を四日も繰返して、あげく最初は、他人の告白を受けておくなんて、 まさにスーパーツンデレキャラだよ。うっかり、攻略不可能キャラかと思った」  かがみは泣き顔をきっと上へ向けて、言った。 「でも今は、攻略したんでしょ」 「え?」 「回収しなきゃいけないCGがあるんじゃないの?」 「え?え?」  かがみは、覚悟を持った目で、言った。 「私、こなたの部屋に行きたい」 「本当に、いいの?」 こなたの部屋のベッドの上で、かがみが小さく頷いた。 「ちゃんと、私、確かめたい」 何を、とは、かがみは言わなかった。 「緊張するよ」 「いつも、そういうゲームやってるんでしょ?」 「ゲームと現実は違うって、かがみがいつも言ってる事じゃん」 かがみは、そうね、と言って苦笑した。 こなたは、かがみの服に手をかける。 「かがみ・・・」 「いいよ」  今度はこなたから、かがみにくちづけた。  何度も何度も。  露になる白い肌。 「・・・やっぱ・・・恥ずかしいって・・・こなた・・・」  一糸まとわぬ姿  そして。  かがみはその日、こなたの部屋に泊まった。  朝。 「うお!?寝過ごして・・・ないな」 こなたは自分のベッドに、かがみがいない事に気づく。 「あれ?」  夢、あるいは、再びループ?  などと思っていると、ドアが開いてお手洗いから戻ってきたらしいかがみが 現れた。 「おはよ、こなた」 「あ、かがみ・・・今日は何日?」  かがみが指差したカレンダーは、確かに明日の日付だ。朝起きてすぐに行う 儀式である、パソコンの電源を入れて確認しても、やはり日付は進んでいる。 「とうとう、ループを抜けた!」 「みたいね」  かがみはぱっぱと髪をツインテールに結んで、制服に着替えている。なんと はなしにそういう仕草が色っぽい気もした。 「良かったあ、これでループから抜けられなかったら、ほんとどうすればいい か分からなかったもん。昨日あんだけ盛り上がったのは何だったんだって話に なるよー」 「私はべつに平気だけどね、こなたがいれば」 「え、凄いデレだ!?物凄い勢いでかがみがデレた!?ここから盛大にキャラ が反転!?デレのみキャラに変化!?」 「うっさい!!二度といわねーーー!!」  ここから、また、いつもの日常が始まる。いや・・・  かがみが、そっとこなたの手を握った。 「いきましょ」  ほんの少しだけ、いつもとは違う日常が・・・  明日が始まる。                             了 -[[戻れない私達の恋愛関係>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/963.html]](続編/シリアス)に続く **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - 幼児期のつかさの恋愛感はすげえなwもしかして以前は優秀肌? -- 名無しさん (2009-03-15 12:01:44) - シリアスになりきれない二人が可愛過ぎる! -- 名無しさん (2009-03-14 19:58:49) - すげえw!なんかこんなちょっぴり知的なコメディ話って久しぶりかもw &br()4人とも個性的だなあー。ほどよくぶっ壊れてていいwネジが三本くらいはずれてる程度というかw &br()キス後、大抵ロマンチックな展開になるのはよく見るけど、騒々しくなるのがかえって二人らしいなって思ったよw &br()作者さん、これすごい面白かったよ (=ω=.)b &br() &br() -- 名無しさん (2009-01-30 00:16:13) - 末永くお幸せに! -- 無垢無垢 (2009-01-15 19:59:16) - 時間がループしなくても二人は永遠に続きますね! -- 名無しさん (2009-01-14 08:46:57) - 今までに無い展開の作品、楽しまさせていただきました。GJ -- kk (2009-01-14 00:13:13) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(8)
何かがおかしい。 朝起きると、カレンダーがめくれておらず、昨日の日付のままだったり、脱い で洗濯機に入れたはずの下着をつけていたり・・・気持ち悪いので着替えなお した・・・居間におかれているのが昨日の新聞だったり。 ここまで来たら、昨日こなたが言っていた、ループしている、という話を思い 出さない訳がない。私は居間でバルサミコ酢バルサミコ酢言ってるつかさに尋 ねた。 「今日、何日?」 返ってきた答えは、予想通りの昨日の日付。いやこの場合、昨日って言うのか な? 「お姉ちゃん、どうしたの?」 「いや、余りの急展開にちょっと頭痛がしているだけだから大丈夫・・・つか さ、昨日の・・・いや今日か、う、なんて言ったらいいか、今日を過ごすのっ て二回目じゃない?」 「え?どういう意味?」  本気で不思議そうな顔をするつかさを見て、トゥーハートの神岸あかりにマ ジで似てる、と思ったけどそれは置いておいて、どうやらつかさには一回目の 記憶がないらしい事が分かる。  私も、ループしはじめた?  なんで?  どうして?  昨日と同じ朝食、昨日と同じ会話、昨日と同じテレビ・・・会話で昨日と同 じ受け答えをすると、昨日と全く同じ返答が返ってくる。ためしに、昨日はし なかった話を振ってみる。 「あのさ」 「なんだい、かがみ?」 「お父さんは、ラブレターとか貰ったこと、ある?」 「え、いや、いきなりだなあ、こう見えても父さんも学生の頃は・・・」 「もてなかったんでしょ?」 と柊みき(○○歳)がお父さんに突っ込みを入れる。うむ、昨日と違う会話の 流れだ。  違う話題を振ると、昨日とは違う新たな展開になるようだ。マルチエンディ ングシステム搭載です。父と母は昔話でいちゃいちゃしだし、どうやら今の選択肢は、父と母がきゃっきゃうふふと 乳繰り合うCGが回収できるルートのようです。選択肢間違えたぁ! 「あ、そろそろ行かなきゃ」  いつまでもいちゃいちゃする両親から逃げたいので、かがみがつかさと一緒 に家を出ようとすると、柊ただお(○○)歳が声をかけた。 「父さんはともかく、母さんはよく貰ってたみたいだぞ、ラブレター」 「そうなの?」 「うふふ・・・お母さん、昔はもてたのよ」  自信ありげな柊みきさんです。 「女の子から貰った事もあるわ」 「マジで!?」  玄関から出ようと思ってたのに、足が止まってしまった。 「今思えば、付き合ってみてもよかったかも」 「おいおい」 「まあ、若い頃はなんでも経験よ、いってらっしゃい」  玄関を出て、かがみは思う。しかしなぜ自分は、女の子からラブレターを貰 ったという話に食いついたのだろうか?  通学路を歩きながら黙って考え込んでいると、段々、不安になってくる。 昨日と同じ町並みの、余りにもその「同じさ」と、襲い掛かり続ける既視感が 、かがみをどんどん不安にしていった。  もしこのまま、永遠にこの日を抜け出せなかったら?  永遠に続く今日・・・明日も明後日も来なくて、ずっとこのまま・・・そん なの、怖い、怖すぎる。だから  すぐにでもこなたに会いたい、とかがみは思う。  でも。  もしも、今ループしているのはかがみだけで、こなたはもうループしていな かったら?  永遠に孤独に、この今日を過ごさなければならないのだとしたら、それは余 りにも恐ろしい。  こなたに「ループって、なにそれ?」とか言われたら、どうしよう・・・  不安でたまらない。  昨日のこなたは、なんであんなに平然としていられたんだろ、ループとか、 怖い・・・怖いよ。  かがみがそんな風にびくびくしていると、つかさは心配そうな顔をするのだ が、かがみは完全に上の空で気づいていなかった。  そして学校にたどり着き、自分の教室を完全にスルーしてつかさと一緒に隣 の教室に行き、遂にかがみはこなたを見つけ、殆ど祈るように声をかけた。 「あ、こなた」 「かがみ」  こなたはかがみを見て、どこか微妙な表情をしたが、かがみにはそれを気に かける余裕は無かった。どう切り出していいかわからず、ほとんどぶっきらぼ うに、かがみはこなたに告げた。 「私、この日を過ごすの、二回目」  こなたはめったに見せない、驚きの表情で口をパクパクさせ、それから何と か体勢を立て直して、答えた。 「あはは、私は、四回目」  二人の間に訪れる静寂。ひきつった笑い。二人で笑い続けるシュールな光景 が続き、かがみは言った。 「いや、笑ってる場合じゃねえ!」  かがみは問答無用でこなたと一緒に教室の隅へ移動です。 「もう、もう、どうすんのよ!?どうなってんの!?」 「いやー、かがみん、それが、私にも何がなんだか」  なんでかがみまでループするのか。意味が分からない。 「でも良かった、あんたがちゃんとループを認識してて・・・私だけだったら どうしようって思ったわよ!」  本気で泣きそうなくらい不安だったのだ。 「みゆきさんやつかさには影響ないみたいだねえ」 「うーん、なんで、私とこなただけ、この日を繰返すんだろう?」  こなたは、自分がかがみを閉じ込めたいせいでこうなったのではないか、と 疑っている。それだと、えーと、どうすれば出られるんだ? 「えっと、かがみが、ラブレターの相手を振ったからだよきっと、今度は、O Kすれば出られるよ」 「それは、なんか根拠があって言ってんのか?」 「え、それは、ないけど」 「ないのにそういう事を簡単に言うな。大体、好きでもない相手と付き合えな いだろ」 「そんな筈ないよ!」 「何が?」 「だって一回目の時はかがみ・・・あ」 「ん?」  両者、暫く沈黙です。かがみは、こなたの台詞の意味を組み立てます。ぽく ぽくぽくちーん(一休さん風)  結論、一回目の柊かがみは、相手の申し出をOKしてた。 「待てお前、私がどんな返答したか知らないって言ってたんじゃなかったか?」 「まあ、えーとそれはまあ、えーと、色々あってさ・・・」 「マジな話だろ、今これ。ここで嘘とか言うなよ。一回目の私は、OKしてた んだな」  ありえない話ではない。冷静に考えると、昨日断ったのは、つかさの語った 幼稚園のエピソードの力が大きい。ただ、恋愛してみたいというだけで、恋愛 していいのかよく分からなくて、それに・・・・ 「一回目のかがみは、OKしてた」 「なんでそれを隠したのよ?」 「隠すつもりはなかったんだよ、二回目の時は、かがみがどうしたのか知らな かったし、なんていうか、あんまり余計な未来の知識は与えなくなかったとい うか・・・」  一回目はOKし、三回目は振った、それでも、ループから抜け出せない。だと すると、ラブレターはループと無関係なのか? 「とにかく!かがみはOKすべきだよ!」  何故か珍しく、強い口調でこなたが言った。 「本来の流れである一回目はOKしてたのに、こんなよく分からない現象のせ いで、振るとか勿体ないって!」 「あのなあ・・・」  ちょっとかがみは腹がたってきました。怒りゲージが半分くらいたまってま す。 「私は昨日、振った記憶がバッチリあるんだよ。それを今日、いきなりOKす るような気分に切り替えられる訳ないだろ」  ふとかがみは、昨日、こなたの胸の中で泣きじゃくった恥ずかしい記憶まで 思い出してしまって赤面した。幸い、こなたはその事には気づかなかったよう だが。  あの時、優しく自分の髪を梳いたこなたの手をなんとなく見てしまって、奇 妙に胸がドキドキした。 「む~」  こなたが(≡≡)みたいな目をして不満そうになっている。 「今日も、断る気なの?かがみ?」 「あれって、体力とか精神力とか凄くいるんだよな・・・またやらなきゃいけ ないのか・・・」 「ほんとに断っていいの?」 「しつこいぞ、なんでそんなに私をくっつけたがるんだよ」 「だって一回目では・・・・」  とうとう、かがみの怒りゲージがマックスになりました。格闘ゲームなら超 必殺技が出せる状態になったので、かがみは超必殺・怒りの大声を出す。 「一回目とか二回目とか、関係ないでしょ!今の私の気持ちの問題じゃない!!」 「でもそれじゃループから抜け出せない!」 「一回目はOKしたけどループしてるんでしょ!?関係ないじゃない!」 なんで、なんで、なんで、こなたは私を彼とくっつけたがるの? 何故か、かがみはこなたが自分を誰かとくっつけようとするのがいらだたしく、 悲しく、許しがたい気さえ、した。 「さっきかがみは、これはマジな話だから、嘘は言うなって言ったよね。だか ら言うよ。きっと、かがみがラブレターをOKしたのが、始まりなんだ。だか らもう一度、かがみがラブレターをOKしないと、このループからは抜け出せ ない・・・!」 「どういう意味よ!」  こなたは遂に、殆ど絶望のような表情で、その心情を、血を吐くようにして 告げた。 「私が、かがみにOKしてもらいたくなかったから、時間は戻ったんだよ」  その言葉と、チャイムが鳴るのは、全くの同時だった。  ・・・・・・・・・・・・  不思議だ。  かがみは何故か、うれしい気持ちになっていた。  チャイムが鳴ったら、こなたは焦ったようにかがみを教室から追い出した。 実際、あれ以上教室にいたら遅刻してしまうからかがみはそれに従った。  しかし。  ふと、かがみから笑みがこぼれる。  何も解決してない、問題だらけの状態なのに。なぜだろう、今は、うれしい。  机の中のラブレターにも、もう気づいている。  よし。  何もかもに、決着をつけよう。  休憩時間に隣のクラスに行くと、こなたの姿はない。  逃げ回っているのだ。  自分は言うだけ言っておいて、臆病で、卑怯で、いつも傍若無人に振舞う癖 に繊細で、ほんと、オタクって困る・・・それでいて、こんなにも人の心をつ かむのだから。  放課後は屋上へ。  こなたは、かがみがOKしないと、ループからは抜け出せないと言った。そ れならば・・・。  かがみは、屋上へ出た。  どこまでも広がる青い空。  背中を向けて立っている男子生徒。  かがみは遂に、遂に全てを思い出した。  全ての、真の始まりを。  一回目、こなたのループの始まり。  かがみは屋上の告白を受け、付き合うことになった、と教室でいつもの四人 組に告げた。  既にそのとき、自分の心の中には、確かな違和感があったのだ。  それに気づかなかったのが、失敗の始まり。  失敗に気づかせてくれたのは、いつもそばにいた、あいつ。  胸のうちにある違和感は、こなたの顔を見て、決定的となったのだ。  彼氏と付き合うことになった、と告げた時に見た、こなたの暗澹たる表情、 その絶望の表情が・・・。  かがみをこの上なく後悔させたのだ。  そしてかがみは、相手の男の子のことを、べつに好きでもなんでもなかった、と気づいた。 でも全ては遅かった。今更、告白を無かった事にするのは、自分自身が許せなかった。そう・・・  『かがみの後悔が、ループの始まり』  そしてかがみは記憶を失い、しかしこなたは記憶を失わず・・・それはきっ と、こなたからさっきの言葉を聴くためだったのだ。なんてわがままで利己的 で、しかし・・・・。  二回、三回と繰返すうち、遂に記憶がなくてもかがみは告白を断り、こなた はその想いの、ほんの断片だけでもかがみに打ち明けた。  これが、ループの結果。  かがみはまっすぐに男子生徒の方へ歩いていき、この四回目にして、今まで と違う、そして本心からの『断りの理由』を述べた。 「ごめんなさい、私、好きな人がいるんだ」 ここまで来たら、これしか、断る理由は無かった。  ・・・・・・・・・・・・ 「こなた!!」  こなたを探して、放課後の校舎を駆け巡る。 「こーーなたーーーー!」 恥も外聞もなく、大声でその名を呼ぶ、周囲の注視が、いっそ気持ちいいくら いだ。足が痛くなるほど走った、もっと速く、もっと速く。時間だって追い抜 けるくらいに。  勢いづいて走っていると、途中で友達に出会って立ち止まる、廊下は走らな いとか、知ったこっちゃねえ。 「お、ひいらぎ」 「こなた知らない?」 「ちびっこ?あやの知ってる?」 「ちょっと分からないわ」 「ごめん、ありがと」  それだけ聞くとまた「こなたーーー!」と名前を呼びながら廊下を走る、き っと明日には噂になってしまうだろうけど、明日へいけるならそれでも構わな かった。いや、もう、いま、こなたに会えるなら、それ以外はどうでもいい。 「なんか柊、青春してんなー」  とか、みさおが背後で言った気がするけど、気にしない。 「廊下を走んなや、柊」 「あ、ななこ先生、こなた知りません?」 「ん、泉探しとんのか、あいつやったら、教室ちゃうか。みーんな帰ったのに 、なんか黄昏とったで」 「ありがとうございます!!」 「あ、こら、廊下走んなって言っとるやろ、まったく・・・」  苦笑するななこ先生を尻目に、かがみは走って走って、遂に教室に駆け込ん だ。そこには一人、自分の机に座るうつろな目をしたこなたがいて、かがみを 見るとまるで傷つけられたみたいにびくりと震えた。 「探したわよ、こなた」 「かがみ・・・」  明らかに臆病な、震える子犬のようにこなたはかがみを恐れていた。かがみ はそのこなたの、珍しく露呈した弱さに、胸が締め付けられる想いがした。 「断ってきたから」 「なんで・・・」 「私ね、全部思い出したの。一回目も、二回目の事も、全部全部思い出したの」 「どうして・・・・?」  いつも見ないような、こなたは心底せっぱつまった顔をしている。本当は驚 くくらい繊細なところが、こなたにはあるんだと思う。かがみはそんなこなた に、また胸の痛みを覚えた。こういうのを、きゅんとする、とか言うんだ、き っと。 「私が、告白をOKしたこと後悔してたから、こうなったのよ。ループも何もか も、私が原因だったの」 「根拠はあるの?私かも知れないじゃん」 「じゃあ、二人のせいかもね」  私と、こなたが、二人とも後悔したから、時間は巡る。うん、その方が、き っと正しい。  かがみがそう確信して、晴れ晴れとした気持ちになっても、こなたはそれに は共感せず、悲しそうに、ぽつりぽつりと言った。全てを拒絶される覚悟だけ を胸に抱えて。 「私はさ、かがみに彼氏が出来て、幸せになれるなら、私だけが永遠に今日に 取り残されても、それでいいって思ったんだ・・・気持ち悪いよね、こんなの?」  オタクは、気持ち悪い、何度も何度も何度も言われたこと。こなたの心の中 に残っている言葉。  気持ち悪い。  かがみは今日の朝、自分が永遠に一人でこの『今日』に取り残されたら、ど んなに恐ろしいかと考えたばかりだった。  それをこなたは、かがみの幸せのために覚悟していたという。  その、永遠の孤独を・・・  急激に、胸が熱くなった。 「あんた、馬鹿じゃないの!?こなたが今日に取り残されて、一人で、寂しく てつらくて、そんな風になって、一体誰がうれしいっていうのよ!?彼氏とか、 そんなの、どうでもいいことじゃない!そもそも、高校生だからちょっと恋 愛とか経験してみようかな、とかそんな風に思っただけなのに、それのために こなたが今日に取り残されたら、全然意味ない、意味ないよ!」 「かがみ、でも・・・」 「私はね、四回目にして、本当の断る理由みつけたから。きっとその理由を見 つけるために、四回もこの日を繰返したのよ。馬鹿みたい、普通に素直に生き てたら、一回で済んだってのに」 「かがみ?」 「私はね『好きな人がいるから付き合えません』って言ったの、この意味、分 かるでしょ!!」  そう言うと、かがみは顔を赤くして横を向いた。胸がこの上なくドキドキし て、頭の中がぐるぐるして、バタンと倒れてしまいそうに思えた。  こなたは言う。 「かがみ・・・好きな人って・・・・誰?」 「馬鹿かお前は!」  思わず、すぱーん、とこなたの頭をたたいてしまった。 「空気読めよ!分かるだろ流れで!そんなボケが必要なところか、今!?」 「え、マジで誰!?私の知らない男子!?」 「ええい、この馬鹿!馬鹿!もう!・・・・・・もう!」  かがみは、えいやっと勇気を振り絞り、こなたに、くちづけた。 「☆弗%☆!?#★!?」  えいっ!えいっ! 「ん~~~~~~~~!!」  そしてそっと、体を離す。 「これで、分かったか!?」  どうだ!といわんばかりの態度のかがみです。当然、顔は真っ赤。 「わ、分かった、気がする」 「気がするだとぅ?!」 「わ、分かりました!!」 「よろしい!」  言うだけ言って、顔を両手でふさぐと、かがみがそのまましゃがみこんでし まった。耳まで真っ赤になった顔を、手で隠したまま、しゃがみこんで動かな い。 「かがみ?」 「あんたね、一人で、永遠にこの日に閉じ込められるとか、やめてよ。絶対、 やめてよ。怖いし、寂しいよ」 「泣いてるの?」  とうとう、喋ることも出来なくなった、泣きじゃくるかがみを、こなたはそ っと抱き寄せた。 「まるで、昨日の繰り返しみたい」  昨日と同じように、こなたはかがみの髪を梳いた。 「かがみんはでも、ほんと、ツンデレだね」  かがみは何も言わない。こなたの胸で、自分の顔を隠している。それにして も、平らな胸。 「同じ日を四日も繰返して、あげく最初は、他人の告白を受けておくなんて、 まさにスーパーツンデレキャラだよ。うっかり、攻略不可能キャラかと思った」  かがみは泣き顔をきっと上へ向けて、言った。 「でも今は、攻略したんでしょ」 「え?」 「回収しなきゃいけないCGがあるんじゃないの?」 「え?え?」  かがみは、覚悟を持った目で、言った。 「私、こなたの部屋に行きたい」 「本当に、いいの?」 こなたの部屋のベッドの上で、かがみが小さく頷いた。 「ちゃんと、私、確かめたい」 何を、とは、かがみは言わなかった。 「緊張するよ」 「いつも、そういうゲームやってるんでしょ?」 「ゲームと現実は違うって、かがみがいつも言ってる事じゃん」 かがみは、そうね、と言って苦笑した。 こなたは、かがみの服に手をかける。 「かがみ・・・」 「いいよ」  今度はこなたから、かがみにくちづけた。  何度も何度も。  露になる白い肌。 「・・・やっぱ・・・恥ずかしいって・・・こなた・・・」  一糸まとわぬ姿  そして。  かがみはその日、こなたの部屋に泊まった。  朝。 「うお!?寝過ごして・・・ないな」 こなたは自分のベッドに、かがみがいない事に気づく。 「あれ?」  夢、あるいは、再びループ?  などと思っていると、ドアが開いてお手洗いから戻ってきたらしいかがみが 現れた。 「おはよ、こなた」 「あ、かがみ・・・今日は何日?」  かがみが指差したカレンダーは、確かに明日の日付だ。朝起きてすぐに行う 儀式である、パソコンの電源を入れて確認しても、やはり日付は進んでいる。 「とうとう、ループを抜けた!」 「みたいね」  かがみはぱっぱと髪をツインテールに結んで、制服に着替えている。なんと はなしにそういう仕草が色っぽい気もした。 「良かったあ、これでループから抜けられなかったら、ほんとどうすればいい か分からなかったもん。昨日あんだけ盛り上がったのは何だったんだって話に なるよー」 「私はべつに平気だけどね、こなたがいれば」 「え、凄いデレだ!?物凄い勢いでかがみがデレた!?ここから盛大にキャラ が反転!?デレのみキャラに変化!?」 「うっさい!!二度といわねーーー!!」  ここから、また、いつもの日常が始まる。いや・・・  かがみが、そっとこなたの手を握った。 「いきましょ」  ほんの少しだけ、いつもとは違う日常が・・・  明日が始まる。                             了 -[[戻れない私達の恋愛関係>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/963.html]](続編/シリアス)に続く **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-05-27 12:42:56) - 幼児期のつかさの恋愛感はすげえなwもしかして以前は優秀肌? -- 名無しさん (2009-03-15 12:01:44) - シリアスになりきれない二人が可愛過ぎる! -- 名無しさん (2009-03-14 19:58:49) - すげえw!なんかこんなちょっぴり知的なコメディ話って久しぶりかもw &br()4人とも個性的だなあー。ほどよくぶっ壊れてていいwネジが三本くらいはずれてる程度というかw &br()キス後、大抵ロマンチックな展開になるのはよく見るけど、騒々しくなるのがかえって二人らしいなって思ったよw &br()作者さん、これすごい面白かったよ (=ω=.)b &br() &br() -- 名無しさん (2009-01-30 00:16:13) - 末永くお幸せに! -- 無垢無垢 (2009-01-15 19:59:16) - 時間がループしなくても二人は永遠に続きますね! -- 名無しさん (2009-01-14 08:46:57) - 今までに無い展開の作品、楽しまさせていただきました。GJ -- kk (2009-01-14 00:13:13) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(8)

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