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家庭教師」(2023/05/31 (水) 07:26:52) の最新版変更点

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あと一年で受験。 私は溜息をつく。 …イヤだな。 現在高校2年の私は、親友のつかさと教室に一緒にいた。 今は昼休み。 お昼のお弁当も食べ終え、食後雑談していたのだが… 「あと、1年だね~」 なんてつかさが言うもんだから。 嫌なこと、思い出させないでよ。 「つかさは志望は専門学校だよね」 うん、とつかさ。 私はというと…未定。 漠然と進学、なんて思っていたもんだから勉強も適当にしてきてしまった。 今の成績じゃ、どこも行けない。 「あ~あ、どうしよ…」 とは言うものの、どう考えても答えは一つ、進学したいなら勉強しろということ。 でもどうやったらいいんだろうか。 はっきり言って検討がつかない。 「こなちゃん?」 黙っていた私につかさはどうしたの、と伝えた。 私は思っていたことを話した。 どう勉強したらいいんだろう。 誰かに教わりたいな、なんて。 つかさには悪いけど、あまりつかさに相談することじゃなかった。 だってつかさ、成績、私と同じなんだもん。 いいアドバイスは期待せず、心のわだかまりが少しでも消えたらいいな、なんて思って言った。 するとつかさは、私に言うのだった。 「こなちゃんに、いい家庭教師を紹介してあげるよ!」 ◇ その家庭教師は柊かがみさん。 つまり、つかさのお姉さんだ。 今は大学1年。 有名な大学に通う人だ。 依然、会ってつかさと3人で遊んだことがある。 ツンデレーな方だったなぁ…。 「あのね、お姉ちゃんすっごくわかりやすいから!」 つかさの話では、バイトがてら誰かの家庭教師をやろうかな、なんてこぼしていたそうだ。 その日私はよく考えてみた。 やっぱり、勉強、しなくちゃかな… でも、したいこと(ネトゲとかネトゲとかネトゲとか)沢山あるしなぁ… でもかがみさんが教えてくれる、そう思うと幾分抵抗が減った。 勉強に対して抵抗が軽くなる、そんなことは今まで一度もなかった。 これは、チャンスなのかも。 そう思い、私は決めた。 かがみさんに、家庭教師をしてもらおう。 ◇ 「久しぶり、こなたちゃん」 「久しぶりですねー、かがみさん」 土曜日の午後、早速私は教えてもらうことになった。 私の部屋にあがったかがみさん。 「じゃ、始めよっか」 早速始まる。 正直、かなりわかりやすい。 なんか、こう、私にピッタリな教え方とでもいうのかな。 あっという間に一時間たった。 お父さんがお茶とお菓子を部屋に持ってきたのをきっかけに、休憩になった。 「こなたちゃん、志望校は?」 「まだ未定…」 「そっか。まぁ、まだ時間あるしじっくり決めようね」 改めてかがみさんを見ると、美人である。それでいて、ツンデレ。 そんな家庭教師とのシチュエーション、これはフラグだよね…などとくだらないことを考えていた。 …私って不真面目だな~。 見ると、かがみさんはお菓子に手をつけていない。 「これ、嫌いですか?」 「あ…いや、そうじゃないんだけどね…」 否定するかがみさん。 …じゃ、なんで? 「いや、…だ、ダイエットしてるんだ…せっかく出してもらってるのに失礼だよね」 そう言って一口食べようとする。 …私は止めた。 「気にしないで残していいですよ?」 「でも…」 「ダイエット中なんだし…もしかして食いしん坊なんですか?」 「いや、違うよ?ていうかなんでそうなるのよ」 慌てて即答。 顔を赤くするかがみさん。 「別に隠さなくてもいいですよ?」 「ちーがーうー。いいでしょ、別にダイエットしてても」 ちょっとからかってみたくなった。 …ごめんなさい。かがみさん、許してね? 「今の反応、意味深…やはり」 「だから違うって!もぉ…」 「相変わらずツンデレですな~」 「相変わらずって何よ。私はツンデレなんかじゃないから、ね!」 「ムキになるとこがツンデレなんじゃん?」 「あーもう。違うとゆってるのに…というか敬語はどうした、敬語は」 「え~。敬語、無しじゃダメ?」 「…ま、いっか。つかさの友達だしね…」 「お、デレた」 「あーもう!馬鹿言ってないで再開するわよ、もう」 ふふ。かわいいな~、かがみさん。 ◇ 定期テストで信じられないくらい成績があがった。 いや、本当にビックリ。 「みてみて、かがみさん!すごいでしょ!」 土曜日、いつものごとく来たかがみさんに成績の結果を見せた。 かがみさんに教えてもらって2ヶ月。 こんな簡単に結果がでるとは思わなかった。 テスト結果を見せると、かがみさんはまるで自分のことのように喜んでくれた。 嬉しかった。成績がよかったのと、あとかがみさんが喜んでくれて。 「今日はじゃあ、お祝いしようか♪」 「え?」 お祝いって? 「今日勉強終わったら、2人でご飯食べに行こっか」 「…いいの?」 「だって、こなた頑張ったじゃない。たまには、ね」 …う、嬉しいよ…。 「ありがとう、かがみん♪」 「…か、かがみん!?」 頬を赤くするかがみさん。 「かわいいでしょ、その呼び名」 「は、恥ずかしすぎるわよ!やめてよね」 「じゃあとっとと終わりにして行こー行こー!」 「聞けよ!」 ◇ 夕焼けでもう闇に切り替わりつつある時間。 かがみさんは車を持っていて、いつもそれで家に来ている。 連れて行ってもらうのに、私は助手席に乗せてもらった。 車の中に入り、ふと気がつく。 ここ、かがみさんの匂いで一杯だ…。 そう思ったら、なぜかドキドキした。 「何食べたい?」 かがみさんの声で我に返る。 私は返事をした。 「…かがみかな?」 「ぶつわよ」 と、軽くわたしのおでこを小突きながら言った。いてっ。 「もうぶってるじゃん…」 「馬鹿言うな。てゆうか、ついに呼び捨てか」 「いーじゃん、もう♪」 「まったく…で、何がいいの?」 「お任せするよ。私はなんでも大丈夫だよ」 「…じゃあ、あそこにしよっかな」 そう言って、かがみは運転し始めた。 「どこに行くの?」 「私の友達のお母さんがやってるレストランで、パスタとかピザが美味しい所があるのよ」 「へ~。持つべきものは人脈だね。こうゆう時、迷わず行けるね」 「確かにそうね。あんたも減らず口叩いてないで、今のうちから友達沢山作っときなさいよ」 「ま、かがみんの場合飲食店の友達が多そうだねぇ」 「な、なんでよ?」 「ほら食いしん坊だからそうゆう関係の人が集まってくるのかな、なんて」 「うるっさい!」 ◇ きれいな外観の建物。オシャレ。 第一印象は、それだった。 着いたレストランは、とても上品だった。レストランというより、喫茶店に近い。 店内へ入ると… 「いらっしゃいませ…ってかがみちゃん!久しぶりね」 「どうも、おばさん。お久しぶりです」 「たまにはみさおと遊んでやってね…なんて、もう子供じゃないのに、昔のくせで…」 みさお、という人のお母さんなのか。 …なぜか、ムカムカした。 2人の会話を聞いて、なぜだか嫌な気分になった。 テーブルにつく。 私たちは2人、同じパスタを注文した。 私は聞いた。 「みさおさんって、誰?」 「私の中学と高校の同級生よ。とっても剽軽」 ますますムカムカするよ…なんでだ? 自然と口から質問がでる。 「今も会ってるの?」 「たまにね。大学は違っちゃっても、友達だしね」 “友達”。その言葉を聞いて、わたしのムカムカは消えていった。フェードアウト。 なぜか、よかった、なんて思ったりした。 「でも、その人かがみんのこと絶対好きだよね」 「え?なんで?」 「だってかがみ美人だもん」 ボンって音がするくらい、赤くなるかがみ。まさか自覚無しだったのか? 「何言ってるのよ…何も出ないわよ」 「でも、事実だよ?」 「うぅ~。あ、ありがと…。お世辞でも嬉しいよ」 だからお世辞じゃないって。赤くなるかがみは、めちゃめちゃ可愛らしかった。 「で、なんで日下部が私を好きなのよ?」 …日下部?あぁ、みさおさんのことか。 「だって、中高一緒で今も会ってるなんて…絶対そうでしょ」 かがみは怪訝な顔をして、そしてすぐに合点がいった表情になった。 「日下部みさおは女の子よ?」 …え!? あれ、そうなのか。 「そうなんだ…なんだ、勘違いしてたよ」 ふふっと笑うかがみ。 「まあ確かに男の子みたいな名前よね」 なんだ、そうだったのか。 だが、また疑問が浮かんだ。 浮かんだ?いや、ずっと気になってたことだ。 それは… 「じゃあさ、かがみ、今好きな人いる?」 心臓はなぜか、暴れていた。 ドキドキというかなんというか。 かがみが言葉を紡ぐ。 「…いないかな」 …そうなんだ。いないんだ…… 私はなぜか、ひどく安心した。 なんでだろう。 さっきから、私はどうしちゃったんだろう…。 答えが見つかろうとした瞬間、 「おまたせしました♪」 と、日下部さんのお母さんが前菜のサラダを運んできた。 ◇ 非常に美味しかった。 また、来たいな。 そう思えるお店なんて久しぶりだった。 今は帰り、車の中。 「こなた、あんたは今好きな人いるの?」 突然、助手席にいる私に言うもんだから、ビックリしてしまった。 そして、好き、という言葉に私の体は反応した。 「い、いないよ」 「お、なんだなんだ~?微妙にどもってるぞ?」 「いないってば~」 「ふふ、どーだか」 気づいてしまった。 私は、あなたに、 ――柊かがみに恋している、と―― だからあんなに日下部さんに対してムカムカしてたんだ。 嫉妬、してたんだ…。 かがみは、突然黙った私を怒ったと思ったのか、言った。 「…ごめん。嫌な気分にしちゃった…?」 申し訳なさそうに、不安げに言う。 私は慌てて、 「そんなことない!」 なんて言ったけど、あんまり効果はなかった。 「やっぱりあんたは弄るのが好きみたいね」 「まあ…そうゆう性分なのかな。かがみが弄られるの好きみたいに」 「なっ…。…もう突っ込むんめんどくさいんだが…」 「かがみん」 突然私が真面目な声を出したので、かがみは怪訝な顔をする。 「今日はありがと…。また、誘ってね」 そう言うとかがみは、すぐに莞爾として笑い、 「もちろん♪」 といった。 その笑みは。 とても。 とても、綺麗で…。 輝く、笑顔。 ますます私の心は、高鳴るのだった。 ◇ また土曜日、かがみはそう言って帰っていった。 私は果たして土曜日、同じようにかがみに接せられるのかな…。 そんなことを思いながら、家の前で去り行くかがみの車を見つめていた。 いつまでもそうしていて、見えなくなったところで、私は家に入った。 -[[恋のアクセル>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/934.html]]へ続く **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - まだ保管されてないけど避難所に続編あるよ! -- 名無しさん (2008-12-24 01:27:44) - このアイデアはなかったなぁ‥‥ &br()続編期待です!! -- 名無しさん (2008-12-24 01:15:53) - 続編期待して待ってます! -- 名無しさん (2008-12-22 21:15:56) - 激しく続編希望 -- 名無しさん (2008-12-22 20:02:01) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(2)
あと一年で受験。 私は溜息をつく。 …イヤだな。 現在高校2年の私は、親友のつかさと教室に一緒にいた。 今は昼休み。 お昼のお弁当も食べ終え、食後雑談していたのだが… 「あと、1年だね~」 なんてつかさが言うもんだから。 嫌なこと、思い出させないでよ。 「つかさは志望は専門学校だよね」 うん、とつかさ。 私はというと…未定。 漠然と進学、なんて思っていたもんだから勉強も適当にしてきてしまった。 今の成績じゃ、どこも行けない。 「あ~あ、どうしよ…」 とは言うものの、どう考えても答えは一つ、進学したいなら勉強しろということ。 でもどうやったらいいんだろうか。 はっきり言って検討がつかない。 「こなちゃん?」 黙っていた私につかさはどうしたの、と伝えた。 私は思っていたことを話した。 どう勉強したらいいんだろう。 誰かに教わりたいな、なんて。 つかさには悪いけど、あまりつかさに相談することじゃなかった。 だってつかさ、成績、私と同じなんだもん。 いいアドバイスは期待せず、心のわだかまりが少しでも消えたらいいな、なんて思って言った。 するとつかさは、私に言うのだった。 「こなちゃんに、いい家庭教師を紹介してあげるよ!」 ◇ その家庭教師は柊かがみさん。 つまり、つかさのお姉さんだ。 今は大学1年。 有名な大学に通う人だ。 依然、会ってつかさと3人で遊んだことがある。 ツンデレーな方だったなぁ…。 「あのね、お姉ちゃんすっごくわかりやすいから!」 つかさの話では、バイトがてら誰かの家庭教師をやろうかな、なんてこぼしていたそうだ。 その日私はよく考えてみた。 やっぱり、勉強、しなくちゃかな… でも、したいこと(ネトゲとかネトゲとかネトゲとか)沢山あるしなぁ… でもかがみさんが教えてくれる、そう思うと幾分抵抗が減った。 勉強に対して抵抗が軽くなる、そんなことは今まで一度もなかった。 これは、チャンスなのかも。 そう思い、私は決めた。 かがみさんに、家庭教師をしてもらおう。 ◇ 「久しぶり、こなたちゃん」 「久しぶりですねー、かがみさん」 土曜日の午後、早速私は教えてもらうことになった。 私の部屋にあがったかがみさん。 「じゃ、始めよっか」 早速始まる。 正直、かなりわかりやすい。 なんか、こう、私にピッタリな教え方とでもいうのかな。 あっという間に一時間たった。 お父さんがお茶とお菓子を部屋に持ってきたのをきっかけに、休憩になった。 「こなたちゃん、志望校は?」 「まだ未定…」 「そっか。まぁ、まだ時間あるしじっくり決めようね」 改めてかがみさんを見ると、美人である。それでいて、ツンデレ。 そんな家庭教師とのシチュエーション、これはフラグだよね…などとくだらないことを考えていた。 …私って不真面目だな~。 見ると、かがみさんはお菓子に手をつけていない。 「これ、嫌いですか?」 「あ…いや、そうじゃないんだけどね…」 否定するかがみさん。 …じゃ、なんで? 「いや、…だ、ダイエットしてるんだ…せっかく出してもらってるのに失礼だよね」 そう言って一口食べようとする。 …私は止めた。 「気にしないで残していいですよ?」 「でも…」 「ダイエット中なんだし…もしかして食いしん坊なんですか?」 「いや、違うよ?ていうかなんでそうなるのよ」 慌てて即答。 顔を赤くするかがみさん。 「別に隠さなくてもいいですよ?」 「ちーがーうー。いいでしょ、別にダイエットしてても」 ちょっとからかってみたくなった。 …ごめんなさい。かがみさん、許してね? 「今の反応、意味深…やはり」 「だから違うって!もぉ…」 「相変わらずツンデレですな~」 「相変わらずって何よ。私はツンデレなんかじゃないから、ね!」 「ムキになるとこがツンデレなんじゃん?」 「あーもう。違うとゆってるのに…というか敬語はどうした、敬語は」 「え~。敬語、無しじゃダメ?」 「…ま、いっか。つかさの友達だしね…」 「お、デレた」 「あーもう!馬鹿言ってないで再開するわよ、もう」 ふふ。かわいいな~、かがみさん。 ◇ 定期テストで信じられないくらい成績があがった。 いや、本当にビックリ。 「みてみて、かがみさん!すごいでしょ!」 土曜日、いつものごとく来たかがみさんに成績の結果を見せた。 かがみさんに教えてもらって2ヶ月。 こんな簡単に結果がでるとは思わなかった。 テスト結果を見せると、かがみさんはまるで自分のことのように喜んでくれた。 嬉しかった。成績がよかったのと、あとかがみさんが喜んでくれて。 「今日はじゃあ、お祝いしようか♪」 「え?」 お祝いって? 「今日勉強終わったら、2人でご飯食べに行こっか」 「…いいの?」 「だって、こなた頑張ったじゃない。たまには、ね」 …う、嬉しいよ…。 「ありがとう、かがみん♪」 「…か、かがみん!?」 頬を赤くするかがみさん。 「かわいいでしょ、その呼び名」 「は、恥ずかしすぎるわよ!やめてよね」 「じゃあとっとと終わりにして行こー行こー!」 「聞けよ!」 ◇ 夕焼けでもう闇に切り替わりつつある時間。 かがみさんは車を持っていて、いつもそれで家に来ている。 連れて行ってもらうのに、私は助手席に乗せてもらった。 車の中に入り、ふと気がつく。 ここ、かがみさんの匂いで一杯だ…。 そう思ったら、なぜかドキドキした。 「何食べたい?」 かがみさんの声で我に返る。 私は返事をした。 「…かがみかな?」 「ぶつわよ」 と、軽くわたしのおでこを小突きながら言った。いてっ。 「もうぶってるじゃん…」 「馬鹿言うな。てゆうか、ついに呼び捨てか」 「いーじゃん、もう♪」 「まったく…で、何がいいの?」 「お任せするよ。私はなんでも大丈夫だよ」 「…じゃあ、あそこにしよっかな」 そう言って、かがみは運転し始めた。 「どこに行くの?」 「私の友達のお母さんがやってるレストランで、パスタとかピザが美味しい所があるのよ」 「へ~。持つべきものは人脈だね。こうゆう時、迷わず行けるね」 「確かにそうね。あんたも減らず口叩いてないで、今のうちから友達沢山作っときなさいよ」 「ま、かがみんの場合飲食店の友達が多そうだねぇ」 「な、なんでよ?」 「ほら食いしん坊だからそうゆう関係の人が集まってくるのかな、なんて」 「うるっさい!」 ◇ きれいな外観の建物。オシャレ。 第一印象は、それだった。 着いたレストランは、とても上品だった。レストランというより、喫茶店に近い。 店内へ入ると… 「いらっしゃいませ…ってかがみちゃん!久しぶりね」 「どうも、おばさん。お久しぶりです」 「たまにはみさおと遊んでやってね…なんて、もう子供じゃないのに、昔のくせで…」 みさお、という人のお母さんなのか。 …なぜか、ムカムカした。 2人の会話を聞いて、なぜだか嫌な気分になった。 テーブルにつく。 私たちは2人、同じパスタを注文した。 私は聞いた。 「みさおさんって、誰?」 「私の中学と高校の同級生よ。とっても剽軽」 ますますムカムカするよ…なんでだ? 自然と口から質問がでる。 「今も会ってるの?」 「たまにね。大学は違っちゃっても、友達だしね」 “友達”。その言葉を聞いて、わたしのムカムカは消えていった。フェードアウト。 なぜか、よかった、なんて思ったりした。 「でも、その人かがみんのこと絶対好きだよね」 「え?なんで?」 「だってかがみ美人だもん」 ボンって音がするくらい、赤くなるかがみ。まさか自覚無しだったのか? 「何言ってるのよ…何も出ないわよ」 「でも、事実だよ?」 「うぅ~。あ、ありがと…。お世辞でも嬉しいよ」 だからお世辞じゃないって。赤くなるかがみは、めちゃめちゃ可愛らしかった。 「で、なんで日下部が私を好きなのよ?」 …日下部?あぁ、みさおさんのことか。 「だって、中高一緒で今も会ってるなんて…絶対そうでしょ」 かがみは怪訝な顔をして、そしてすぐに合点がいった表情になった。 「日下部みさおは女の子よ?」 …え!? あれ、そうなのか。 「そうなんだ…なんだ、勘違いしてたよ」 ふふっと笑うかがみ。 「まあ確かに男の子みたいな名前よね」 なんだ、そうだったのか。 だが、また疑問が浮かんだ。 浮かんだ?いや、ずっと気になってたことだ。 それは… 「じゃあさ、かがみ、今好きな人いる?」 心臓はなぜか、暴れていた。 ドキドキというかなんというか。 かがみが言葉を紡ぐ。 「…いないかな」 …そうなんだ。いないんだ…… 私はなぜか、ひどく安心した。 なんでだろう。 さっきから、私はどうしちゃったんだろう…。 答えが見つかろうとした瞬間、 「おまたせしました♪」 と、日下部さんのお母さんが前菜のサラダを運んできた。 ◇ 非常に美味しかった。 また、来たいな。 そう思えるお店なんて久しぶりだった。 今は帰り、車の中。 「こなた、あんたは今好きな人いるの?」 突然、助手席にいる私に言うもんだから、ビックリしてしまった。 そして、好き、という言葉に私の体は反応した。 「い、いないよ」 「お、なんだなんだ~?微妙にどもってるぞ?」 「いないってば~」 「ふふ、どーだか」 気づいてしまった。 私は、あなたに、 ――柊かがみに恋している、と―― だからあんなに日下部さんに対してムカムカしてたんだ。 嫉妬、してたんだ…。 かがみは、突然黙った私を怒ったと思ったのか、言った。 「…ごめん。嫌な気分にしちゃった…?」 申し訳なさそうに、不安げに言う。 私は慌てて、 「そんなことない!」 なんて言ったけど、あんまり効果はなかった。 「やっぱりあんたは弄るのが好きみたいね」 「まあ…そうゆう性分なのかな。かがみが弄られるの好きみたいに」 「なっ…。…もう突っ込むんめんどくさいんだが…」 「かがみん」 突然私が真面目な声を出したので、かがみは怪訝な顔をする。 「今日はありがと…。また、誘ってね」 そう言うとかがみは、すぐに莞爾として笑い、 「もちろん♪」 といった。 その笑みは。 とても。 とても、綺麗で…。 輝く、笑顔。 ますます私の心は、高鳴るのだった。 ◇ また土曜日、かがみはそう言って帰っていった。 私は果たして土曜日、同じようにかがみに接せられるのかな…。 そんなことを思いながら、家の前で去り行くかがみの車を見つめていた。 いつまでもそうしていて、見えなくなったところで、私は家に入った。 -[[恋のアクセル>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/934.html]]へ続く **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-05-31 07:26:52) - まだ保管されてないけど避難所に続編あるよ! -- 名無しさん (2008-12-24 01:27:44) - このアイデアはなかったなぁ‥‥ &br()続編期待です!! -- 名無しさん (2008-12-24 01:15:53) - 続編期待して待ってます! -- 名無しさん (2008-12-22 21:15:56) - 激しく続編希望 -- 名無しさん (2008-12-22 20:02:01) **投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください) #vote3(2)

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