「乙女の決意は…」(2023/06/02 (金) 15:42:39) の最新版変更点
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「ふ~ん…こんなこと考えていたんだ…。」
私、柊かがみはあいつの日記を読んでいた。
「あ~~~~!かがみん、酷いよ!私の日記を勝手に見るなんて!」
おっと、思ったより早く戻ってきたか。
あいつが買い物に行ってる間に掃除をしていた時、偶然見つけたあいつの日記。悪いと思いながらも誘惑に耐えられず読んでしまった。
…あいつも同じ気持ちだったんだ…。
まだ怒り続けてる彼女をどうやって宥めようかってことを考えながら、あの頃のことを思い出していた。
―乙女の決意は…―
何時からだろう。あいつと一緒にいるだけで、こんなに心臓がドキドキするのは。
私、柊かがみは恋をした。憧れなどの軽い気持ちじゃない。この恋が成就出来ないなら、これからの人生なんていらない。そう思える程の恋だ。
ああ…出来ることなら、今すぐ告白したい。どんなことをしても、私だけの人にしたい。
でもそれは、決して叶わない夢…なぜなら、相手は同性の親友…その名は、泉こなた。
なんであんな奴に惚れてしまったんだろう。オタクで自分の興味のあることにしか情熱をもてなくて、私をからかって遊ぶ事しか考えてない奴のことなんかを…。
うん…わかってる…。今のは単なるポーズ。自分をごまかすための、自分自身への言い訳。
理由なんか始めから無いし、考えるつもりも無い。
私はこなたが好き。あいつを世界で一番愛せるのは私だけ。私を世界で一番愛せるのはあいつだけ。
でも…言えるわけないよね…。
あいつは二次元の萌えにしか興味がない。リアルでの同性愛なんて、あいつにとっては気持ち悪いだけだろう。
なんで私は女なんだろう。なんであいつは女なんだろう。
仮に告白して、それを受け入れてもらえても、世間がそれを認めないだろう。世間からの常識と言う名の迫害から、あいつと私を守りきれる自信なんか無い。
だから、私は自分の気持ちに蓋をした。私は、泉こなたにとって、世界で一番の親友になろう。
あいつが幸せになるための手助けをしよう。
きっと私はこれから一生恋愛は出来ない。だってあいつ程愛せる相手などいないから。
いつかは、私も結婚するかもしれない。でも、それは相手には悪いが、愛した結果の結婚にはならないだろう。
きっと私の人生なんて、後悔したまま終わるんだろうな…。
そう思っていた。でも、そんな思いはあっさりと裏切られることになった。
あの日の事は絶対忘れない。
いつものように、こなたが私の部屋へ遊びに来た。
一緒にゲームをしたり、おやつを食べたり、とりとめの無い話で盛り上がったりしていた。私の一番大切で幸せな時間。いつまでもこんな時間が続いて欲しいと思いながら楽しく過ごしていた。
気がついたら、こなたが居眠りをしていた。昨日もまたネットゲームで徹夜したんだろう。ホント、この情熱を勉強に向けてくれればいいのに…。
そう思いながらも、風邪をひかないようにと毛布をかけてやり、私はお母さんの手伝いのため台所へ向かった。
しばらく夕飯の支度を手伝ったあと、こなたを起こすために部屋へ行く。
「ほら、起きろ~。ご飯だぞ~。」
そう声をかけても全く起きる気配も無い。少々乱暴に身体を揺さぶってみたりもした。何度か繰り返すうちに、ようやくこなたが目を開ける。
が、あいつはまだ寝ぼけているようだ。その証拠にこんなことを言いやがった。
「かがみ~ん…大好きだよ…」
ソウ…コナタハネボケテルダケダ…イヤ…ワタシガユメヲミテイルノカナ…
どうやらその言葉は、私の常識や理性を吹き飛ばす呪文だったようだ。
その証拠に、気がついたら私はこなたを抱きしめていた。
さすがに抱き着かれたせいか、こなたもしっかり目を覚ましたようで、なにか言っていたようだ。
ようだと言うのは、正直あいつが何を言っていたのか覚えていないからだ。
ただ覚えているのは、あいつの温もりと、自分の言葉と、自分の決意。
「好きなの…こなたのことが好きなの…大好きなの…」
いつの間にか泣きながら、何度も同じことを言い続けた。
そして、この温もりを、この愛する人を決して離さないという決意を何度も心に刻み込んでいた。
そのあともいろいろ大変だった…ということは特に無かった。なにしろ、友人もクラスメイトも先生たちも、なにより両親にまで、私達の気持ちは知られていたらしい…。気付いて無かったのは本人だけという有り得ない現実に、少々落ち込んだこともあったりするが、概ね順調に私達の交際は始まった。
時々喧嘩もしたけれど、それと同じだけ仲直りして、喧嘩をする前よりも好きになっていた。
大学は別々だったが、両親を説得して一緒に住めるようにも出来た。
本当に幸せな毎日をおくってこれた。
今もあの時の決意を忘れたりはしていない。いや、さらに深く決意を固めたと言えるだろう。
私、柊かがみは泉こなたを永遠に守り続け愛し続けます。
この決意を覆すことは、決して無いだろう。乙女の決意は何よりも固くて、何よりも尊いのだから。
「………って聞いてるのかがみ!私は本当に怒ってるんだからね!もう!ちゃんと聞いてよ!」
おっと…そろそろ今に意識を戻さないとね。大好きな彼女にきちんと謝って許してもらわないと。せっかくの二人の時間と空間だ。どうせなら私の一番好きな笑顔のあいつと過ごしたいからね。
【END】
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- 前のは日記だったのかー -- 名無しさん (2010-07-29 12:26:47)
「ふ~ん…こんなこと考えていたんだ…。」
私、柊かがみはあいつの日記を読んでいた。
「あ~~~~!かがみん、酷いよ!私の日記を勝手に見るなんて!」
おっと、思ったより早く戻ってきたか。
あいつが買い物に行ってる間に掃除をしていた時、偶然見つけたあいつの日記。悪いと思いながらも誘惑に耐えられず読んでしまった。
…あいつも同じ気持ちだったんだ…。
まだ怒り続けてる彼女をどうやって宥めようかってことを考えながら、あの頃のことを思い出していた。
―乙女の決意は…―
何時からだろう。あいつと一緒にいるだけで、こんなに心臓がドキドキするのは。
私、柊かがみは恋をした。憧れなどの軽い気持ちじゃない。この恋が成就出来ないなら、これからの人生なんていらない。そう思える程の恋だ。
ああ…出来ることなら、今すぐ告白したい。どんなことをしても、私だけの人にしたい。
でもそれは、決して叶わない夢…なぜなら、相手は同性の親友…その名は、泉こなた。
なんであんな奴に惚れてしまったんだろう。オタクで自分の興味のあることにしか情熱をもてなくて、私をからかって遊ぶ事しか考えてない奴のことなんかを…。
うん…わかってる…。今のは単なるポーズ。自分をごまかすための、自分自身への言い訳。
理由なんか始めから無いし、考えるつもりも無い。
私はこなたが好き。あいつを世界で一番愛せるのは私だけ。私を世界で一番愛せるのはあいつだけ。
でも…言えるわけないよね…。
あいつは二次元の萌えにしか興味がない。リアルでの同性愛なんて、あいつにとっては気持ち悪いだけだろう。
なんで私は女なんだろう。なんであいつは女なんだろう。
仮に告白して、それを受け入れてもらえても、世間がそれを認めないだろう。世間からの常識と言う名の迫害から、あいつと私を守りきれる自信なんか無い。
だから、私は自分の気持ちに蓋をした。私は、泉こなたにとって、世界で一番の親友になろう。
あいつが幸せになるための手助けをしよう。
きっと私はこれから一生恋愛は出来ない。だってあいつ程愛せる相手などいないから。
いつかは、私も結婚するかもしれない。でも、それは相手には悪いが、愛した結果の結婚にはならないだろう。
きっと私の人生なんて、後悔したまま終わるんだろうな…。
そう思っていた。でも、そんな思いはあっさりと裏切られることになった。
あの日の事は絶対忘れない。
いつものように、こなたが私の部屋へ遊びに来た。
一緒にゲームをしたり、おやつを食べたり、とりとめの無い話で盛り上がったりしていた。私の一番大切で幸せな時間。いつまでもこんな時間が続いて欲しいと思いながら楽しく過ごしていた。
気がついたら、こなたが居眠りをしていた。昨日もまたネットゲームで徹夜したんだろう。ホント、この情熱を勉強に向けてくれればいいのに…。
そう思いながらも、風邪をひかないようにと毛布をかけてやり、私はお母さんの手伝いのため台所へ向かった。
しばらく夕飯の支度を手伝ったあと、こなたを起こすために部屋へ行く。
「ほら、起きろ~。ご飯だぞ~。」
そう声をかけても全く起きる気配も無い。少々乱暴に身体を揺さぶってみたりもした。何度か繰り返すうちに、ようやくこなたが目を開ける。
が、あいつはまだ寝ぼけているようだ。その証拠にこんなことを言いやがった。
「かがみ~ん…大好きだよ…」
ソウ…コナタハネボケテルダケダ…イヤ…ワタシガユメヲミテイルノカナ…
どうやらその言葉は、私の常識や理性を吹き飛ばす呪文だったようだ。
その証拠に、気がついたら私はこなたを抱きしめていた。
さすがに抱き着かれたせいか、こなたもしっかり目を覚ましたようで、なにか言っていたようだ。
ようだと言うのは、正直あいつが何を言っていたのか覚えていないからだ。
ただ覚えているのは、あいつの温もりと、自分の言葉と、自分の決意。
「好きなの…こなたのことが好きなの…大好きなの…」
いつの間にか泣きながら、何度も同じことを言い続けた。
そして、この温もりを、この愛する人を決して離さないという決意を何度も心に刻み込んでいた。
そのあともいろいろ大変だった…ということは特に無かった。なにしろ、友人もクラスメイトも先生たちも、なにより両親にまで、私達の気持ちは知られていたらしい…。気付いて無かったのは本人だけという有り得ない現実に、少々落ち込んだこともあったりするが、概ね順調に私達の交際は始まった。
時々喧嘩もしたけれど、それと同じだけ仲直りして、喧嘩をする前よりも好きになっていた。
大学は別々だったが、両親を説得して一緒に住めるようにも出来た。
本当に幸せな毎日をおくってこれた。
今もあの時の決意を忘れたりはしていない。いや、さらに深く決意を固めたと言えるだろう。
私、柊かがみは泉こなたを永遠に守り続け愛し続けます。
この決意を覆すことは、決して無いだろう。乙女の決意は何よりも固くて、何よりも尊いのだから。
「………って聞いてるのかがみ!私は本当に怒ってるんだからね!もう!ちゃんと聞いてよ!」
おっと…そろそろ今に意識を戻さないとね。大好きな彼女にきちんと謝って許してもらわないと。せっかくの二人の時間と空間だ。どうせなら私の一番好きな笑顔のあいつと過ごしたいからね。
【END】
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- (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-06-02 15:42:39)
- 前のは日記だったのかー -- 名無しさん (2010-07-29 12:26:47)
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