「こなたとみかん。」(2023/06/03 (土) 20:09:22) の最新版変更点
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風が一層冷たくなり、空に広がる曇天とは対照的に真っ白な雪が落ちてきそうな休日の話。私は柊家を訪れていた。
「おー。やっぱり冬と言えばこたつとみかんに限るよねー」
かがみの部屋へと通され、真っ先に私の視界へと入った物。人一人がどうにか足を伸ばせる程度の小さなこたつ。その上には籠に入れられたみかん。この二つだった。
「全く。お年寄りみたいなこと言っちゃって」
かがみは呆れ顔になりながら座り込む。そしてこたつにその足をしまいこんだ。私はかがみの対面に座る。視線が低くなったことにより、ふとある物が目に付く。
「……でもかがみはみかんだけで十分みたいだねー」
「う、うるさいわね!」
抗議の言葉に反して。かがみの前には私が来る前に食べたのであろう、みかんの皮が散乱していた。
ゴミ箱に入れることさえ忘れる程食べていたのか。かがみらしくて笑いが込み上げてくる。
「何笑ってるのよ?」
「なんでもないよー」
「……?」
怪訝な顔をするかがみを横目に、私は籠のみかんへ手を伸ばす。かがみの手も私の後に続いていた。……一体何個目なんだろう?
そんなことを思いながらも、世間話に花を咲かせる。些細なことでも、かがみと話せれば心が暖まる。
一通りの話が終われば、今度はテレビを見る。二人で過ごす、静かなまったりとした時間。
決して嫌な一時ではない。だけど……何か物足りない。
さっきとは違いテレビだけに注目するかがみに、私は退屈感を持て余した。特に意味も無く、小さなこたつの中で足をパタパタと上下に動かしてみる。すると……。
「いたっ!?」
反動で勢い良く伸びた私の足が、かがみの足……しかも脛辺りにクリーンヒットしてしまった。
「ご、ごめんっ」
悪気は無かった。だから来るであろうお咎めを免れるため、直ぐに謝る。
私の気持ちを汲み取ったのか、かがみは困ったような顔で一つ溜め息をついた。
「はぁ……次からは気を付けてよね」
その言葉にこくりと頷く。しばらくは反省を示す為にテレビを見ながらぬくぬくする。……だけどやっぱり退屈な時間に変わり無かった。
かがみー、暇だよ。
声にならない叫びを心の中で繰り返す、その時だった。私の脳が何とも素晴らしい退屈しのぎの案を思いついたのだ。余りの名案にニヤニヤしそうな表情を引き締めながら、かがみの方を確認する。視線は相変わらずテレビに集中していた。カウンターを食らう可能性が皆無なのを認識し、私は思い切って行動に出た。
「うりゃ!」
「きゃあ!? い、いきなり何よ!」
私は器用な足指捌きで、かがみのわき腹をくすぐってみせたのだ。そして案の定、かがみはこっちを向く。更に可愛い声まで聞けた。よし、大成功。
「えー? かがみが次からは気をつけてって言ったから、ちょっと気を遣ってわき腹にしてみた」
「……おい。意味が分からないぞ、その気遣いは」
顔をほんのり赤めたかがみを見て、私の中の何かが膨れ上がる。
そしつ更なる追撃の為、私はこたつから下半身を出し上半身を中へと潜らせる。外に出した足は寒く、視界は真っ暗に近い。そして顔が暑くて息苦しい。
悪条件の三拍子にも関わらず、私はかがみの身体へと手を伸ばす。
「うりゃりゃりゃりゃー!」
「ちょ!? あははっ……こな、た……やめ……なって」
「ふっふっふ! まだだ、まだ終わらんよ!」
笑いを堪えて苦しそうな、だけど可愛いかがみの声に私の動きは止まることを知らない。当初の予定は、くくすぐることで私を気にかけて欲しかった。それだけだったのに……。
「こ、こな……や、めっ……んぁっ!」
やけに艶めかしい、くすぐりの域を越えた声。
……正直、これは堪らん。かがみのあげる声に暴走した私は。此処がかがみの家ということなど気にせず、行為に夢中になる。
何かカタンと音が聞こえたけど、私はなりふり構わずくすぐり続けた。
……それがいけなかった。
そう感じた時には既に、扉がガチャリと開けられていた。
「お姉ちゃん、こなちゃん、クッキー焼いて来たよー! 食べ……」
「ああんっ……こ、こなた……もう……だ、め……」
気分良くクッキーを持って来た妹と、あからさまにいかがわしい嬌声をあげた姉の声が重なって響く。
その瞬間、この場を沈黙だけが支配した。
慌ててこたつに潜らせていた上半身を出すと、各々の理由ど硬直しているのであろう、顔を真っ赤にした双子がいた。
「つ、つつつつかさっ!? い、今のはこなたがくすぐって……!」
「……た、食べないよねー!」
「だ、だから違っ」
「ごゆっくりぃぃ!!」
聞く耳持たず。つかさは逃げるように部屋から出て行った。そんな妹の背中に手を伸ばすようにしていた姉の顔色は、まるで血が通っていないように青白かった。これはまずい……。
「こ……」
「あ、あれー? つかさはどうしたんだろうね? 私呼んでく……」
「こなたぁぁぁ!!!」
「ご、ごめんなさい! 許してかがみ様ー!!」
「許せるかぁ!!!!」
この後、私がこっぴどく叱られたのは言うまでも無い。鉄拳制裁にプラスして、みかんまで飛んで来たのだから。まあ確かに悪いのは私だから仕方ない。
だけど、途中までは万更でも無かったくせに……。
こんな不満を抱きながら、私は柊家での休日を過ごすのであった。
「か、かがみ。みかん食べる?」
「いるかっ!」
おわり。
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- 面白いw笑えてけど、ちょっとエロいようでそうでない絶妙さがイイ! -- 名無しさん (2008-12-17 23:16:44)
風が一層冷たくなり、空に広がる曇天とは対照的に真っ白な雪が落ちてきそうな休日の話。私は柊家を訪れていた。
「おー。やっぱり冬と言えばこたつとみかんに限るよねー」
かがみの部屋へと通され、真っ先に私の視界へと入った物。人一人がどうにか足を伸ばせる程度の小さなこたつ。その上には籠に入れられたみかん。この二つだった。
「全く。お年寄りみたいなこと言っちゃって」
かがみは呆れ顔になりながら座り込む。そしてこたつにその足をしまいこんだ。私はかがみの対面に座る。視線が低くなったことにより、ふとある物が目に付く。
「……でもかがみはみかんだけで十分みたいだねー」
「う、うるさいわね!」
抗議の言葉に反して。かがみの前には私が来る前に食べたのであろう、みかんの皮が散乱していた。
ゴミ箱に入れることさえ忘れる程食べていたのか。かがみらしくて笑いが込み上げてくる。
「何笑ってるのよ?」
「なんでもないよー」
「……?」
怪訝な顔をするかがみを横目に、私は籠のみかんへ手を伸ばす。かがみの手も私の後に続いていた。……一体何個目なんだろう?
そんなことを思いながらも、世間話に花を咲かせる。些細なことでも、かがみと話せれば心が暖まる。
一通りの話が終われば、今度はテレビを見る。二人で過ごす、静かなまったりとした時間。
決して嫌な一時ではない。だけど……何か物足りない。
さっきとは違いテレビだけに注目するかがみに、私は退屈感を持て余した。特に意味も無く、小さなこたつの中で足をパタパタと上下に動かしてみる。すると……。
「いたっ!?」
反動で勢い良く伸びた私の足が、かがみの足……しかも脛辺りにクリーンヒットしてしまった。
「ご、ごめんっ」
悪気は無かった。だから来るであろうお咎めを免れるため、直ぐに謝る。
私の気持ちを汲み取ったのか、かがみは困ったような顔で一つ溜め息をついた。
「はぁ……次からは気を付けてよね」
その言葉にこくりと頷く。しばらくは反省を示す為にテレビを見ながらぬくぬくする。……だけどやっぱり退屈な時間に変わり無かった。
かがみー、暇だよ。
声にならない叫びを心の中で繰り返す、その時だった。私の脳が何とも素晴らしい退屈しのぎの案を思いついたのだ。余りの名案にニヤニヤしそうな表情を引き締めながら、かがみの方を確認する。視線は相変わらずテレビに集中していた。カウンターを食らう可能性が皆無なのを認識し、私は思い切って行動に出た。
「うりゃ!」
「きゃあ!? い、いきなり何よ!」
私は器用な足指捌きで、かがみのわき腹をくすぐってみせたのだ。そして案の定、かがみはこっちを向く。更に可愛い声まで聞けた。よし、大成功。
「えー? かがみが次からは気をつけてって言ったから、ちょっと気を遣ってわき腹にしてみた」
「……おい。意味が分からないぞ、その気遣いは」
顔をほんのり赤めたかがみを見て、私の中の何かが膨れ上がる。
そしつ更なる追撃の為、私はこたつから下半身を出し上半身を中へと潜らせる。外に出した足は寒く、視界は真っ暗に近い。そして顔が暑くて息苦しい。
悪条件の三拍子にも関わらず、私はかがみの身体へと手を伸ばす。
「うりゃりゃりゃりゃー!」
「ちょ!? あははっ……こな、た……やめ……なって」
「ふっふっふ! まだだ、まだ終わらんよ!」
笑いを堪えて苦しそうな、だけど可愛いかがみの声に私の動きは止まることを知らない。当初の予定は、くくすぐることで私を気にかけて欲しかった。それだけだったのに……。
「こ、こな……や、めっ……んぁっ!」
やけに艶めかしい、くすぐりの域を越えた声。
……正直、これは堪らん。かがみのあげる声に暴走した私は。此処がかがみの家ということなど気にせず、行為に夢中になる。
何かカタンと音が聞こえたけど、私はなりふり構わずくすぐり続けた。
……それがいけなかった。
そう感じた時には既に、扉がガチャリと開けられていた。
「お姉ちゃん、こなちゃん、クッキー焼いて来たよー! 食べ……」
「ああんっ……こ、こなた……もう……だ、め……」
気分良くクッキーを持って来た妹と、あからさまにいかがわしい嬌声をあげた姉の声が重なって響く。
その瞬間、この場を沈黙だけが支配した。
慌ててこたつに潜らせていた上半身を出すと、各々の理由ど硬直しているのであろう、顔を真っ赤にした双子がいた。
「つ、つつつつかさっ!? い、今のはこなたがくすぐって……!」
「……た、食べないよねー!」
「だ、だから違っ」
「ごゆっくりぃぃ!!」
聞く耳持たず。つかさは逃げるように部屋から出て行った。そんな妹の背中に手を伸ばすようにしていた姉の顔色は、まるで血が通っていないように青白かった。これはまずい……。
「こ……」
「あ、あれー? つかさはどうしたんだろうね? 私呼んでく……」
「こなたぁぁぁ!!!」
「ご、ごめんなさい! 許してかがみ様ー!!」
「許せるかぁ!!!!」
この後、私がこっぴどく叱られたのは言うまでも無い。鉄拳制裁にプラスして、みかんまで飛んで来たのだから。まあ確かに悪いのは私だから仕方ない。
だけど、途中までは万更でも無かったくせに……。
こんな不満を抱きながら、私は柊家での休日を過ごすのであった。
「か、かがみ。みかん食べる?」
「いるかっ!」
おわり。
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- GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-06-03 20:09:22)
- 面白いw笑えてけど、ちょっとエロいようでそうでない絶妙さがイイ! -- 名無しさん (2008-12-17 23:16:44)
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