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かがみまもり2」(2023/03/04 (土) 23:26:06) の最新版変更点

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さすがにずっと支えてもらっているのもかがみが辛いと思ったから、岩に腰掛けていた。 すると、たまたまそばにいたひよりん目掛けて、どこからともなくチェリーが突進してきた。 かがみがすぐに助け出してくれたものの、その乱闘の巻き添えを食らって体中が砂だらけになるわ、 その上持っていた小銭をいくつか落として、それを探そうと手伝ってくれてたつかさに、 痛めてたのと逆の足を踏まれるはで、もう色々と最悪だヨ…。 元々、岩場から落ちたときから砂はついてたけど、そんなレベルじゃないしね、今は…。 今はかがみとつかさが必死に砂を落とそうとしてくれてるけど、服の中まで入ってきてるし、 こんな真冬に脱いで水で洗うわけにも行かないから、じゃりじゃり感はあんま変わらない。 「ごめん、ありがとう、かがみにつかさ。」 「いいのよ、別に。」 「私こそごめんね…足踏んじゃって…。」 かがみもしゅんとしてて、つかさなんか今にも泣き出しそうだ。 「私もごめんなさい…。ちゃんと、見ておくべきだった…。」 みなみちゃんもチェリーのことで責任を感じて謝りに来た。 「いいんだヨ、気にしなくってさ。チェリーは止めようがないし、つかさもわざとじゃないんだしね。」 つかさは少し気が楽になったのか顔を上げ、みなみちゃんも少しだけど明るくなった気がした。 「もうすぐ日の出だし、過ぎたことは気にしない気にしない~。新年何だから、楽しくしよーヨ。」 「うん、ありがとう、こなちゃん。これからはもっと気をつけるね。」 「…(コクリ)…ありがとうございます。お大事にしてください。」 そういって、みなみちゃんはゆーちゃんの方へ向かった。今はチェリーもおとなしくしてるみたいだね。 「おーい、もうすぐ初日の出やでー。」 先生からの声に皆はふと上を向き、次に水平線を見た。確かに空が明るくなり始めている。 慌てて立ち上がり、バランスを崩しそうになったところをかがみが支えてくれた。 「皆、上がってらっしゃい。ほら、つかさもこなたちゃんを助けてあげなさい。」 他のみんなも岩場の上に移動し、少し遅れて私達も合流した。 お父さんがカメラをスタンバイさせ、私達は前後二列に並んで待っていた。 もちろん私は前の方で座り、かがみも隣にいる。ゆーちゃんペアも同じ感じだ。 遠隔操作用のリモコンを持って、お父さんも列に入り、準備完了。 初日の出が上がると同時に、おおーという声が辺りから聞こえてきた。私達も含めて。 そしてシャッターの音がする。いきなりのことで、みんなはちゃんと顔を整えてなかった。 「ちょっと、おとーさん!撮るなら言ってよネ!」 「ごめんごめん、初日の出の瞬間は撮りたかったからさ。それじゃあ皆さん、改めて、ハイチーズ!」 撮り終わり、すぐにお父さんは初日の出の写真や私達の写真を撮るため、色々動いたりしていた。 みんなは若干ばらけ、何人かのグループに分かれて話してる感じ。もちろん海のほうを見ながら。 私も例外なくだけど、さっきの場所から動かずかがみと話していた。 「いやぁ、綺麗だね~。心があらわれるヨ。」 「そうね…海がキラキラ輝いてて、宝石みたいで…。」 そう。目の前の光景は、光が海面を乱反射しながら太陽が昇っていて、美しいとしかいえないぐらいだ。 新しい一年が始まったんだと思うと、不思議な気持ちになる。でも、かがみ弄りは忘れない。 「かがみって、やっぱり結構ロマンチストだよね~。」 「悪いか!」 「いんや、別に~。そういや、朝日が昇るところ見ること自体が久しぶりかな。」 「あんたは早起きなんて普通しないものね。って、コミケの時は?」 「そんときは朝日のことなんて頭にないよ~。朝日より同人だね!」 はぁ、と呆れるような感じでかがみがため息をつく。 「本当にこの陽光で、心を洗ってもらったほうがいいんじゃないか?」 「むぅ、最愛の人に対してそれは酷いよ、かがみん…。それにかがみだって見てないんじゃないの?」 「えっ?!」 何故かこの一言で慌てだし、何故か照れはじめた。ちょっと予想外の反応だ。 「だからさぁ、一緒にコミケ行ったじゃん。そんとき、かがみも日の出なんて見てないんじゃないの?」 「そ、それは…」 明らかに照れてるし、何か隠してる。朝日のせいには出来ないぐらい、顔も赤くなり始めた。 「ん~、もしかして誰かかっこいい男の人でも見てたの?私というものがありながら!」 「違うわよ!男なんて見てないわよ!私が見てたのは、ウキウキ輝いてたあんたの顔っ…じ、じゃなくて、ただの電車の広告よ!」 (く~、やっぱりツンデレだね、かがみは。この反応、最高だヨ~。) 「やっぱりかがみも見てないんじゃん~。それに私を見てたってことは、煩悩だよね~♪」 「こ、恋人の顔を見て何が悪い!!全く、もう…。」 大声でそう宣言した後、下を向いてしまった。こういうところも可愛く見えちゃうんだよね~。 でも、大声だったのはまずいよ、かがみん…。 「か・が・み~、恋人って誰のことかな~。」 「?!?!げっ、まつり姉さん…に、いのり姉さん。い、いや仮想の話よ、仮想の!」 あちゃ~、やっぱり聞こえてるよ…。他の大人は気付いてないみたいだから、一応セーフ? でも、必死でかがみが逃げようとしてるけど、全くもって信用されてない。 普通に考えて、あれを聞かれたら逃げられないと思うヨ、かがみん。 諦めて、とりあえずこの二人には打ち明けたらと、小声で耳打ちしてみた。 ちょっと驚きの顔をこちらに向けて、指を唇に当てながら数分間考えた後、頷いた。 かがみは決心したのか、深呼吸。お姉さん方お二人は、物凄い形相でこっちを見ていた。 「実は…」「こういうことですヨ!チュ。」 と、クリスマスと同じ展開でかがみに軽くキスをした。 「?!…ば、こここ、こなたああああああ!!!!!」 かがみはいろんな意味で大噴火、お姉さん方は目を点にしている。まぁ、普通はそういう反応だよネ。 やっと意味がある程度理解できたのか、いのりさんが反応した。 「ああ、そういうことなんだ~。かがみがそういう趣味だったのは意外ね。」 「え、どういうこと??」 「だ、だから、その…付き合ってるのよ、私とこなたが…。」 「えええぇーーー!!!だって、こなたちゃんも女の子でしょ?!」 物凄い大声を出してまつりさんが驚いた。 「うっ…だから、言いたくなかったのよ…。」 「かがみ、本気?」 「…本気じゃなかったら、こんなこと改まって言わないわよ。」 「そう…。私は賛成できないけど…」 ああ、やっぱり一般人の考えはこうだよね。車での悪夢が少し蘇り、嫌な汗が出始めた。 かがみも顔を曇らせて、下を向いた。実の姉に話しているかがみの方が、ダメージは大きいんだろうな。 「でも、私は反対もしないわ。」 『えっ?』 私とかがみ、それにまつりさんの声が被った。 「だって、これはあんたの人生だもの。私がどうこう言うもんじゃないしね。」 「ありがとう、いのり姉さん…。」 私とかがみは少しだけど、ほっとした顔を見せ合う。 「姉さん?!」 「あら、まつりだってどうなるか分からないわよ?それに、素性の知れない変な男よりよっぽどいい気がするわ。何か親が言うことみたいだけどね。」 「そうかもしれないけど…やっぱ、変じゃない?」 「でも、それを覚悟でこの二人は付き合ってるんでしょ?だったらいいじゃない、変でも。」 「まぁ、私も別に構わないけどさぁ…。」 そういって、まつりさんは渋々引き下がった。 「色々あると思うけど、がんばりなさいよ、二人とも。それと、後でちゃんと母さん達にも言うのよ?」 「うん、ありがとう、いのり姉さん。それに、まつり姉さんも。」 「私は別に何もしてないよ。ほら、お邪魔みたいだし行こう、姉さん。」 そういって、二人はつかさの方へ歩いていった。 「ふぅ、なんとかなって、良かったヨ。」 「そうね。渋ってたけど、なんだかんだで認めてくれたというか、分かってくれたみたい。」 ようやく収まって、一息つく。これで落ち着いて二人でいられるかと思った。 が、しかし、そうは問屋が卸さなかった。 「こなた、ちょっといいか。」 「かがみ~、こっちにいらっしゃい。」 ビクッ いやーな予感が思いっきり頭を通り抜けた。恐る恐る後ろを向くとお父さんがいた。 かがみも冷や汗が出ているように見えた。すっと立ち上がって離れていく。 「さて、さっきのはなんの話だ?女の子がどうだの、付き合ってるだのって。」 「はぅあ?!おとーさん、聞いてたの…?」 なんだろう、このありきたりなドラマのシチュは。 しかもかがみも呼ばれて行っちゃうし、バッドエンドフラグじゃん、これって? 「あれだけ大声だと、どうしても気になってな。んで、説明してもらおうか?」 「い、いやぁ、えーと…そう!ネトゲの話だよ!ほら、私ネカマじゃん?それで、嫁の話とかを…」 「目が泳いでるぞ、こなた。正直に言ってもらおうか?」 目が本気だし、表情も硬いし、声のトーンも低い。お正月からなんでこんな修羅場の連続が…。 もはや逃げ道はないし、変にごまかそうとすると自分の首を絞めることになる。 チラッとかがみのほうを見ると自分の両親と話をしている。お父さんだけの私はまだ楽かナ? いつか話さないといけないし、早い方がいいだろうか? かがみの了承を得てないけど、ここは覚悟を決めるしかない。 ここで引いたら、まさしくゲームオーバーだろう。しかも、ゲームみたいにリセットはできない。 深呼吸をして、自分で出来る限りの意思を込めてお父さんの目を見た。本気だと伝えるために。 「…私、付き合ってるんだ……かがみと。もちろん本気。意味も理解してる。覚悟も…できてる。」 不安というより、恐怖が心の半分を覆っていて、今にも泣きそう…。 どんなホラー映画もお化け屋敷でも泣いたことはないのに、今は心が裂けそうなほど怖いよ。 目が潤み始めて、視界がぼやけてきてるけど、お父さんと目を合わせたまま離してない。 さっきから真剣な顔のまま、私を見ているだけで何のリアクションもないけど、私はやめない。 どれだけお互いを見詰め合っていたか分からないけど、もうそろそろ涙腺の限界だヨ。 断られるのが、認められないのが怖くて、もはやそれだけで頭が一杯になりそうだった。 「…良く、本当のことを言ってくれたな、こなた。」 「…えっ?」 先ほどまでの硬い表情ではなく、真剣だけど優しい顔と声になっていた。 「この後も、嘘でごまかそうとすれば怒って認めないつもりだった。それは相手がかがみちゃんだから でも、同姓だからでもなく、親にすら言う覚悟ができていないから反対するつもりだった。」 「おとーさん…。」 「でも、こなたは正直に言ってきたし、ずっと俺の目を見て訴えてきた。不安な気持ちも伝わってきた けど、必死でそれに耐えて、俺に気持ちを伝えてきた。だから、俺はもう何も言わない。」 「いいの…?」 「社会的に見たらおかしいと思われるだろうけど、俺は誰でもないこなたの親だ。俺は、お前が幸せだ と思う道を応援するべきだ。こなたにとって何が幸せかは、こなたにしか分からないことだからな。 …きっと、かなたもそう言うはずだ。」 自分はどう考えても、親不孝な子どもなんだと思っていた。絶対反対されると怖がっていた。 でも、お父さんは反対せず、認めてくれた。それが嬉しくて、ほっとして涙が流れてしまった。 「うぅっ…ご…めんね…グズッ…おとう、さん…。」 「泣くなよ、こなた。それに、〈ごめんね〉なんて言われる覚えはないぞ?一度きりの人生、好きなよ うに生きればいいさ。俺だって、かなたと色々やったんだしな。かがみちゃんなんていい娘と付き合う なんて、さすが俺の娘だ。」 「…うん、ありがとう。」 「ほら、かがみちゃんの方も終わったみたいだぞ。行ってあげなさい。」 振り返ると、親との話を終えたかがみも涙目ながら顔はどこか晴れやかで、こちらを見ていた。 「…かがみっ!」 そう言って私は足の痛みも忘れて、かがみの方へ走り出し、思いっきり抱きついた。 「うわっ!もう、こなたっ!…ったく。でも、その様子だと良かったみたいね。」 「かがみの方も、結果は顔に書いてあるよ。」 今まで抱えてきた悩みがなくなったかのように晴れやかな顔が、全てを物語る。 「ふふっ、そうね。お父さんが反対気味で駄目かと思ってたけど、お母さんのおかげもあって何とか認 めてくれたわ。お母さんは、前から気付いてたみたいらしいしね。」 「私の方もOKだってさ。いやぁ、お互い良い親を持ったねぇ~。」 「なんだその言い方は…でも、そうね。始めはどうなることかと思って、本当にヒヤヒヤしてたわ。」 「これで隠れて付き合わなくてもいいんだよね?」 「そうね…これだったら、もっと早く言うべきだったかしらね。」 あははっ、と笑って太陽のほうを見た。もうほとんど全てが見えるぐらいに出てきていて、まぶしい。 その後、私達はゆい姉さんや黒井せんせーにも話して、周りの人で知らない人はいなくなった。 先生にいたっては「前からそうだったんちゃうんか?」とまで言われた。取り越し苦労だったみたいだ。 さらに、ゆーちゃんとみなみちゃんも私達に乗じて決心したらしく、帰り際にゆい姉さんとお父さんに 話していて、相当驚いていたのが見えた。最初は珍しくゆい姉さんが怒り気味に見えたけど、どうやら その矛先はゆーちゃんたちじゃなく、お父さんに向けられてたみたい。最終的にOKを貰ったのか、ゆ ーちゃんもそうだけど、あのみなみちゃんまで満面の笑みで抱き合ってた。 後で聞いた話だと、ゆい姉さんはゆーちゃんが変なアニメやゲームの影響で、同性って考えが生まれた んじゃないかと怒ってたらしい。でも、ゆーちゃんが違うって否定した上に本気だったのを見て、観念 したらしい。…まぁ、原因はひよりんだと思うから、あながち間違ってないと思うけどね…。 みなみちゃんは既に親に打ち明けていたらしく、ゆーちゃんも了承していたらしい。 うちらより手際がいいというか、積極的じゃないかな? あともう少しで帰るということになり、私とかがみは二人きりで話していた。 「う~ん、とんだ初日の出だったなぁ。おみくじ通り災難だらけだよ。悪夢が初夢になるわ、足は痛めるわ、砂まみれになってお金落とすわ、逆の足を踏まれるわ、修羅場になるわ…どんだけ~だヨ。」 「でも、悪いことばかりじゃなかったじゃない。晴れて公認になったんだしさ。」 「そうだけど、できればもっと綺麗にさ。例えば、かがみがとなりにいる状態で親に紹介するって感じが、交際とか結婚を認めてもらうときの王道イベントじゃん?」 「そうだとしても贅沢言えないわよ、私達の場合は。認めてもらえただけ良しとしなきゃね。」 確かにかがみとの付き合いを認めてもらえたのは大きいんだけど、やっぱり不満な部分があるわけで。 「でもやっぱりついてないよ…。毎日がこんなんじゃ、体がもたないヨ。」 「ほーら、ブツブツ言わない!確かに運はついてないかもしれないけど、私が付いてるじゃない。それとも何、私じゃ安心できない?」 「そ、そんなわけないよ!かがみがついてくれてるのが一番だヨ!」 「そんなに必死にならなくても分かってるわよ。そういうところが可愛いんだけどね~♪」 「あうぅっ…」 あ~、またかがみに主導権が…でも、これはこれで悪くないかもネ。 そっとかがみが腕を肩にまわしてくれて、私も体を寄り添う形でかがみに預ける。 いつも思うことだけど、暖かくて安心できる。さっきの仕返しを思いつき、即座に決行する。 「やっぱりかがみの体温が一番安心できるね!」 「ゴホゴホッ…い、いきなり、何を言って…っ!」 「あれ~、どうしたのかなぁ、そんなに顔を赤くして?いやらしいことでも考えちゃった?♪」 「ち、違うわよっ!」 明らかに顔が真っ赤で、目を逸らしてる。誰から見てもバレバレだ。 「怪しいな~、かがみぃ。」 「うるさい!…でも、私もあんたの体温が一番落ち着くわ。」 そういって、私の上から覆いかぶさるように抱きついてきた。 「ちょ、かがみ?!は、恥ずかしいってば…」 「わ、私だって恥ずかしいけど、こうしてたいの!いいでしょ!」 「デレ覚醒ですか、かがみ様。」 「デレとか言うな、馬鹿っ。」 かがみがさらに強く抱きしめてくる。私はされるがまま、身をかがみに任せた。 腕ごと抱かれてるから、かがみに手をまわしてあげられないのが残念だけどネ。 お互いの体温を感じている間、朝日と輝く海が私達を照らしていた。 初日の出さえ癒せなかったケガの痛みも、精神的な疲れも全て癒えていくような気がした。 しばらくしてかがみが力を緩め、お互いを見つめ合って、顔を近づけた…。 「お姉ちゃーん、もう出発するって…わわわ、ごめんなさい!」 うん、お約束のタイミングだネ。萌え要素としてはGJだよ、ゆーちゃん。 出来ればあと数秒待って欲しかったけどね…。 「あ、ゆ、ゆーちゃん!う、ううん、教えてくれてサンキュー。」 「き、気にしないでね。ほ、ほら、こなた肩貸してあげるから立ちなさいよ。」 最も理解してもらってる人の1人でも、キス目前を見られるのは、してるのを見られるより恥ずかしい。 かがみは顔が真っ赤で、なんとか平静を保とうとしてるのが分かる。おそらく私もそうなんだろうね。 名残惜しくも車の方へ向かった。 「それじゃあ、気をつけなさいよ。これ以上痛めたら、どこもいけないわよ?」 車に乗せるのを手伝いながら、かがみが言う。素直に私の身が心配だといわないのは、らしいな~。 「もう、素直に私が心配だって言えばいいのに~。遠まわしに言ったって、バレバレ何だからさぁ。」 「う、うるさいっ…。どう心配しようと私の勝手でしょ?」 「う~ん、これはツンデレじゃなくてデレツンなのカナ?」 「私はどっちでもないわよ!全く、もう行くからね。…チュ、じゃあね。」 そういって、さりげなく頬にキスをして、車から降りた。 私のシチュのツボだったか、顔は大噴火を起こしたかのように火が上がる。 でも、当のかがみはほんのり頬と耳が赤いぐらいだ。 …もはやかがみはキスすることに対して、抵抗がないような気がしてきたヨ。 「あ、かがみちゃん、丁度いいところに。」 どこからあらわれてか、一時的に車を離れていたお父さんがやってきた。 「さっき、そちらのご両親と話をしていたんだが、良かったら今日は家に泊まらないかい?」 『えっ?』 「いや、かがみちゃんの意思次第だけど、ご両親は良いと言っているし、どうだい?」 「本当にいいんですか?」 「ああ、構わないよ。大勢の方が楽しいからね。あ、でも部屋はゆいちゃんとゆたか、それにみなみち ゃんがくるから、必然的にこなたの部屋に泊まってもらうけど、いいね?」 「は、はいっ。よろしくお願いします。」 「じゃあ、乗った乗った!…ほら、ゆーちゃん達も早く!」 そんなこんなで、5人で車に乗ることになった。 前にお父さんとゆーちゃん、そして私達とみなみちゃんは後ろの座席に。 ゆーちゃん達にはちょっと我慢してもらうけど、私けが人だし、いいよね? 帰り道、再び眠気が襲ってきたけど、暖かい感触を感じながら、今度はいい夢が見れそうな気がした。 かがみが付いてくれてると、何でもいい方向に進む気がするしネ。 やっぱりかがみには守られてるみたいだよ、いろんな意味でさ。 ありがとう、かがみ…。あとで、たっぷりお礼しないとネ♪ - Fin - -[[『かがみ開きすぎっ!』>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/110.html]](続編)へ **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3)
さすがにずっと支えてもらっているのもかがみが辛いと思ったから、岩に腰掛けていた。 すると、たまたまそばにいたひよりん目掛けて、どこからともなくチェリーが突進してきた。 かがみがすぐに助け出してくれたものの、その乱闘の巻き添えを食らって体中が砂だらけになるわ、 その上持っていた小銭をいくつか落として、それを探そうと手伝ってくれてたつかさに、 痛めてたのと逆の足を踏まれるはで、もう色々と最悪だヨ…。 元々、岩場から落ちたときから砂はついてたけど、そんなレベルじゃないしね、今は…。 今はかがみとつかさが必死に砂を落とそうとしてくれてるけど、服の中まで入ってきてるし、 こんな真冬に脱いで水で洗うわけにも行かないから、じゃりじゃり感はあんま変わらない。 「ごめん、ありがとう、かがみにつかさ。」 「いいのよ、別に。」 「私こそごめんね…足踏んじゃって…。」 かがみもしゅんとしてて、つかさなんか今にも泣き出しそうだ。 「私もごめんなさい…。ちゃんと、見ておくべきだった…。」 みなみちゃんもチェリーのことで責任を感じて謝りに来た。 「いいんだヨ、気にしなくってさ。チェリーは止めようがないし、つかさもわざとじゃないんだしね。」 つかさは少し気が楽になったのか顔を上げ、みなみちゃんも少しだけど明るくなった気がした。 「もうすぐ日の出だし、過ぎたことは気にしない気にしない~。新年何だから、楽しくしよーヨ。」 「うん、ありがとう、こなちゃん。これからはもっと気をつけるね。」 「…(コクリ)…ありがとうございます。お大事にしてください。」 そういって、みなみちゃんはゆーちゃんの方へ向かった。今はチェリーもおとなしくしてるみたいだね。 「おーい、もうすぐ初日の出やでー。」 先生からの声に皆はふと上を向き、次に水平線を見た。確かに空が明るくなり始めている。 慌てて立ち上がり、バランスを崩しそうになったところをかがみが支えてくれた。 「皆、上がってらっしゃい。ほら、つかさもこなたちゃんを助けてあげなさい。」 他のみんなも岩場の上に移動し、少し遅れて私達も合流した。 お父さんがカメラをスタンバイさせ、私達は前後二列に並んで待っていた。 もちろん私は前の方で座り、かがみも隣にいる。ゆーちゃんペアも同じ感じだ。 遠隔操作用のリモコンを持って、お父さんも列に入り、準備完了。 初日の出が上がると同時に、おおーという声が辺りから聞こえてきた。私達も含めて。 そしてシャッターの音がする。いきなりのことで、みんなはちゃんと顔を整えてなかった。 「ちょっと、おとーさん!撮るなら言ってよネ!」 「ごめんごめん、初日の出の瞬間は撮りたかったからさ。それじゃあ皆さん、改めて、ハイチーズ!」 撮り終わり、すぐにお父さんは初日の出の写真や私達の写真を撮るため、色々動いたりしていた。 みんなは若干ばらけ、何人かのグループに分かれて話してる感じ。もちろん海のほうを見ながら。 私も例外なくだけど、さっきの場所から動かずかがみと話していた。 「いやぁ、綺麗だね~。心があらわれるヨ。」 「そうね…海がキラキラ輝いてて、宝石みたいで…。」 そう。目の前の光景は、光が海面を乱反射しながら太陽が昇っていて、美しいとしかいえないぐらいだ。 新しい一年が始まったんだと思うと、不思議な気持ちになる。でも、かがみ弄りは忘れない。 「かがみって、やっぱり結構ロマンチストだよね~。」 「悪いか!」 「いんや、別に~。そういや、朝日が昇るところ見ること自体が久しぶりかな。」 「あんたは早起きなんて普通しないものね。って、コミケの時は?」 「そんときは朝日のことなんて頭にないよ~。朝日より同人だね!」 はぁ、と呆れるような感じでかがみがため息をつく。 「本当にこの陽光で、心を洗ってもらったほうがいいんじゃないか?」 「むぅ、最愛の人に対してそれは酷いよ、かがみん…。それにかがみだって見てないんじゃないの?」 「えっ?!」 何故かこの一言で慌てだし、何故か照れはじめた。ちょっと予想外の反応だ。 「だからさぁ、一緒にコミケ行ったじゃん。そんとき、かがみも日の出なんて見てないんじゃないの?」 「そ、それは…」 明らかに照れてるし、何か隠してる。朝日のせいには出来ないぐらい、顔も赤くなり始めた。 「ん~、もしかして誰かかっこいい男の人でも見てたの?私というものがありながら!」 「違うわよ!男なんて見てないわよ!私が見てたのは、ウキウキ輝いてたあんたの顔っ…じ、じゃなくて、ただの電車の広告よ!」 (く~、やっぱりツンデレだね、かがみは。この反応、最高だヨ~。) 「やっぱりかがみも見てないんじゃん~。それに私を見てたってことは、煩悩だよね~♪」 「こ、恋人の顔を見て何が悪い!!全く、もう…。」 大声でそう宣言した後、下を向いてしまった。こういうところも可愛く見えちゃうんだよね~。 でも、大声だったのはまずいよ、かがみん…。 「か・が・み~、恋人って誰のことかな~。」 「?!?!げっ、まつり姉さん…に、いのり姉さん。い、いや仮想の話よ、仮想の!」 あちゃ~、やっぱり聞こえてるよ…。他の大人は気付いてないみたいだから、一応セーフ? でも、必死でかがみが逃げようとしてるけど、全くもって信用されてない。 普通に考えて、あれを聞かれたら逃げられないと思うヨ、かがみん。 諦めて、とりあえずこの二人には打ち明けたらと、小声で耳打ちしてみた。 ちょっと驚きの顔をこちらに向けて、指を唇に当てながら数分間考えた後、頷いた。 かがみは決心したのか、深呼吸。お姉さん方お二人は、物凄い形相でこっちを見ていた。 「実は…」「こういうことですヨ!チュ。」 と、クリスマスと同じ展開でかがみに軽くキスをした。 「?!…ば、こここ、こなたああああああ!!!!!」 かがみはいろんな意味で大噴火、お姉さん方は目を点にしている。まぁ、普通はそういう反応だよネ。 やっと意味がある程度理解できたのか、いのりさんが反応した。 「ああ、そういうことなんだ~。かがみがそういう趣味だったのは意外ね。」 「え、どういうこと??」 「だ、だから、その…付き合ってるのよ、私とこなたが…。」 「えええぇーーー!!!だって、こなたちゃんも女の子でしょ?!」 物凄い大声を出してまつりさんが驚いた。 「うっ…だから、言いたくなかったのよ…。」 「かがみ、本気?」 「…本気じゃなかったら、こんなこと改まって言わないわよ。」 「そう…。私は賛成できないけど…」 ああ、やっぱり一般人の考えはこうだよね。車での悪夢が少し蘇り、嫌な汗が出始めた。 かがみも顔を曇らせて、下を向いた。実の姉に話しているかがみの方が、ダメージは大きいんだろうな。 「でも、私は反対もしないわ。」 『えっ?』 私とかがみ、それにまつりさんの声が被った。 「だって、これはあんたの人生だもの。私がどうこう言うもんじゃないしね。」 「ありがとう、いのり姉さん…。」 私とかがみは少しだけど、ほっとした顔を見せ合う。 「姉さん?!」 「あら、まつりだってどうなるか分からないわよ?それに、素性の知れない変な男よりよっぽどいい気がするわ。何か親が言うことみたいだけどね。」 「そうかもしれないけど…やっぱ、変じゃない?」 「でも、それを覚悟でこの二人は付き合ってるんでしょ?だったらいいじゃない、変でも。」 「まぁ、私も別に構わないけどさぁ…。」 そういって、まつりさんは渋々引き下がった。 「色々あると思うけど、がんばりなさいよ、二人とも。それと、後でちゃんと母さん達にも言うのよ?」 「うん、ありがとう、いのり姉さん。それに、まつり姉さんも。」 「私は別に何もしてないよ。ほら、お邪魔みたいだし行こう、姉さん。」 そういって、二人はつかさの方へ歩いていった。 「ふぅ、なんとかなって、良かったヨ。」 「そうね。渋ってたけど、なんだかんだで認めてくれたというか、分かってくれたみたい。」 ようやく収まって、一息つく。これで落ち着いて二人でいられるかと思った。 が、しかし、そうは問屋が卸さなかった。 「こなた、ちょっといいか。」 「かがみ~、こっちにいらっしゃい。」 ビクッ いやーな予感が思いっきり頭を通り抜けた。恐る恐る後ろを向くとお父さんがいた。 かがみも冷や汗が出ているように見えた。すっと立ち上がって離れていく。 「さて、さっきのはなんの話だ?女の子がどうだの、付き合ってるだのって。」 「はぅあ?!おとーさん、聞いてたの…?」 なんだろう、このありきたりなドラマのシチュは。 しかもかがみも呼ばれて行っちゃうし、バッドエンドフラグじゃん、これって? 「あれだけ大声だと、どうしても気になってな。んで、説明してもらおうか?」 「い、いやぁ、えーと…そう!ネトゲの話だよ!ほら、私ネカマじゃん?それで、嫁の話とかを…」 「目が泳いでるぞ、こなた。正直に言ってもらおうか?」 目が本気だし、表情も硬いし、声のトーンも低い。お正月からなんでこんな修羅場の連続が…。 もはや逃げ道はないし、変にごまかそうとすると自分の首を絞めることになる。 チラッとかがみのほうを見ると自分の両親と話をしている。お父さんだけの私はまだ楽かナ? いつか話さないといけないし、早い方がいいだろうか? かがみの了承を得てないけど、ここは覚悟を決めるしかない。 ここで引いたら、まさしくゲームオーバーだろう。しかも、ゲームみたいにリセットはできない。 深呼吸をして、自分で出来る限りの意思を込めてお父さんの目を見た。本気だと伝えるために。 「…私、付き合ってるんだ……かがみと。もちろん本気。意味も理解してる。覚悟も…できてる。」 不安というより、恐怖が心の半分を覆っていて、今にも泣きそう…。 どんなホラー映画もお化け屋敷でも泣いたことはないのに、今は心が裂けそうなほど怖いよ。 目が潤み始めて、視界がぼやけてきてるけど、お父さんと目を合わせたまま離してない。 さっきから真剣な顔のまま、私を見ているだけで何のリアクションもないけど、私はやめない。 どれだけお互いを見詰め合っていたか分からないけど、もうそろそろ涙腺の限界だヨ。 断られるのが、認められないのが怖くて、もはやそれだけで頭が一杯になりそうだった。 「…良く、本当のことを言ってくれたな、こなた。」 「…えっ?」 先ほどまでの硬い表情ではなく、真剣だけど優しい顔と声になっていた。 「この後も、嘘でごまかそうとすれば怒って認めないつもりだった。それは相手がかがみちゃんだから でも、同姓だからでもなく、親にすら言う覚悟ができていないから反対するつもりだった。」 「おとーさん…。」 「でも、こなたは正直に言ってきたし、ずっと俺の目を見て訴えてきた。不安な気持ちも伝わってきた けど、必死でそれに耐えて、俺に気持ちを伝えてきた。だから、俺はもう何も言わない。」 「いいの…?」 「社会的に見たらおかしいと思われるだろうけど、俺は誰でもないこなたの親だ。俺は、お前が幸せだ と思う道を応援するべきだ。こなたにとって何が幸せかは、こなたにしか分からないことだからな。 …きっと、かなたもそう言うはずだ。」 自分はどう考えても、親不孝な子どもなんだと思っていた。絶対反対されると怖がっていた。 でも、お父さんは反対せず、認めてくれた。それが嬉しくて、ほっとして涙が流れてしまった。 「うぅっ…ご…めんね…グズッ…おとう、さん…。」 「泣くなよ、こなた。それに、〈ごめんね〉なんて言われる覚えはないぞ?一度きりの人生、好きなよ うに生きればいいさ。俺だって、かなたと色々やったんだしな。かがみちゃんなんていい娘と付き合う なんて、さすが俺の娘だ。」 「…うん、ありがとう。」 「ほら、かがみちゃんの方も終わったみたいだぞ。行ってあげなさい。」 振り返ると、親との話を終えたかがみも涙目ながら顔はどこか晴れやかで、こちらを見ていた。 「…かがみっ!」 そう言って私は足の痛みも忘れて、かがみの方へ走り出し、思いっきり抱きついた。 「うわっ!もう、こなたっ!…ったく。でも、その様子だと良かったみたいね。」 「かがみの方も、結果は顔に書いてあるよ。」 今まで抱えてきた悩みがなくなったかのように晴れやかな顔が、全てを物語る。 「ふふっ、そうね。お父さんが反対気味で駄目かと思ってたけど、お母さんのおかげもあって何とか認 めてくれたわ。お母さんは、前から気付いてたみたいらしいしね。」 「私の方もOKだってさ。いやぁ、お互い良い親を持ったねぇ~。」 「なんだその言い方は…でも、そうね。始めはどうなることかと思って、本当にヒヤヒヤしてたわ。」 「これで隠れて付き合わなくてもいいんだよね?」 「そうね…これだったら、もっと早く言うべきだったかしらね。」 あははっ、と笑って太陽のほうを見た。もうほとんど全てが見えるぐらいに出てきていて、まぶしい。 その後、私達はゆい姉さんや黒井せんせーにも話して、周りの人で知らない人はいなくなった。 先生にいたっては「前からそうだったんちゃうんか?」とまで言われた。取り越し苦労だったみたいだ。 さらに、ゆーちゃんとみなみちゃんも私達に乗じて決心したらしく、帰り際にゆい姉さんとお父さんに 話していて、相当驚いていたのが見えた。最初は珍しくゆい姉さんが怒り気味に見えたけど、どうやら その矛先はゆーちゃんたちじゃなく、お父さんに向けられてたみたい。最終的にOKを貰ったのか、ゆ ーちゃんもそうだけど、あのみなみちゃんまで満面の笑みで抱き合ってた。 後で聞いた話だと、ゆい姉さんはゆーちゃんが変なアニメやゲームの影響で、同性って考えが生まれた んじゃないかと怒ってたらしい。でも、ゆーちゃんが違うって否定した上に本気だったのを見て、観念 したらしい。…まぁ、原因はひよりんだと思うから、あながち間違ってないと思うけどね…。 みなみちゃんは既に親に打ち明けていたらしく、ゆーちゃんも了承していたらしい。 うちらより手際がいいというか、積極的じゃないかな? あともう少しで帰るということになり、私とかがみは二人きりで話していた。 「う~ん、とんだ初日の出だったなぁ。おみくじ通り災難だらけだよ。悪夢が初夢になるわ、足は痛めるわ、砂まみれになってお金落とすわ、逆の足を踏まれるわ、修羅場になるわ…どんだけ~だヨ。」 「でも、悪いことばかりじゃなかったじゃない。晴れて公認になったんだしさ。」 「そうだけど、できればもっと綺麗にさ。例えば、かがみがとなりにいる状態で親に紹介するって感じが、交際とか結婚を認めてもらうときの王道イベントじゃん?」 「そうだとしても贅沢言えないわよ、私達の場合は。認めてもらえただけ良しとしなきゃね。」 確かにかがみとの付き合いを認めてもらえたのは大きいんだけど、やっぱり不満な部分があるわけで。 「でもやっぱりついてないよ…。毎日がこんなんじゃ、体がもたないヨ。」 「ほーら、ブツブツ言わない!確かに運はついてないかもしれないけど、私が付いてるじゃない。それとも何、私じゃ安心できない?」 「そ、そんなわけないよ!かがみがついてくれてるのが一番だヨ!」 「そんなに必死にならなくても分かってるわよ。そういうところが可愛いんだけどね~♪」 「あうぅっ…」 あ~、またかがみに主導権が…でも、これはこれで悪くないかもネ。 そっとかがみが腕を肩にまわしてくれて、私も体を寄り添う形でかがみに預ける。 いつも思うことだけど、暖かくて安心できる。さっきの仕返しを思いつき、即座に決行する。 「やっぱりかがみの体温が一番安心できるね!」 「ゴホゴホッ…い、いきなり、何を言って…っ!」 「あれ~、どうしたのかなぁ、そんなに顔を赤くして?いやらしいことでも考えちゃった?♪」 「ち、違うわよっ!」 明らかに顔が真っ赤で、目を逸らしてる。誰から見てもバレバレだ。 「怪しいな~、かがみぃ。」 「うるさい!…でも、私もあんたの体温が一番落ち着くわ。」 そういって、私の上から覆いかぶさるように抱きついてきた。 「ちょ、かがみ?!は、恥ずかしいってば…」 「わ、私だって恥ずかしいけど、こうしてたいの!いいでしょ!」 「デレ覚醒ですか、かがみ様。」 「デレとか言うな、馬鹿っ。」 かがみがさらに強く抱きしめてくる。私はされるがまま、身をかがみに任せた。 腕ごと抱かれてるから、かがみに手をまわしてあげられないのが残念だけどネ。 お互いの体温を感じている間、朝日と輝く海が私達を照らしていた。 初日の出さえ癒せなかったケガの痛みも、精神的な疲れも全て癒えていくような気がした。 しばらくしてかがみが力を緩め、お互いを見つめ合って、顔を近づけた…。 「お姉ちゃーん、もう出発するって…わわわ、ごめんなさい!」 うん、お約束のタイミングだネ。萌え要素としてはGJだよ、ゆーちゃん。 出来ればあと数秒待って欲しかったけどね…。 「あ、ゆ、ゆーちゃん!う、ううん、教えてくれてサンキュー。」 「き、気にしないでね。ほ、ほら、こなた肩貸してあげるから立ちなさいよ。」 最も理解してもらってる人の1人でも、キス目前を見られるのは、してるのを見られるより恥ずかしい。 かがみは顔が真っ赤で、なんとか平静を保とうとしてるのが分かる。おそらく私もそうなんだろうね。 名残惜しくも車の方へ向かった。 「それじゃあ、気をつけなさいよ。これ以上痛めたら、どこもいけないわよ?」 車に乗せるのを手伝いながら、かがみが言う。素直に私の身が心配だといわないのは、らしいな~。 「もう、素直に私が心配だって言えばいいのに~。遠まわしに言ったって、バレバレ何だからさぁ。」 「う、うるさいっ…。どう心配しようと私の勝手でしょ?」 「う~ん、これはツンデレじゃなくてデレツンなのカナ?」 「私はどっちでもないわよ!全く、もう行くからね。…チュ、じゃあね。」 そういって、さりげなく頬にキスをして、車から降りた。 私のシチュのツボだったか、顔は大噴火を起こしたかのように火が上がる。 でも、当のかがみはほんのり頬と耳が赤いぐらいだ。 …もはやかがみはキスすることに対して、抵抗がないような気がしてきたヨ。 「あ、かがみちゃん、丁度いいところに。」 どこからあらわれてか、一時的に車を離れていたお父さんがやってきた。 「さっき、そちらのご両親と話をしていたんだが、良かったら今日は家に泊まらないかい?」 『えっ?』 「いや、かがみちゃんの意思次第だけど、ご両親は良いと言っているし、どうだい?」 「本当にいいんですか?」 「ああ、構わないよ。大勢の方が楽しいからね。あ、でも部屋はゆいちゃんとゆたか、それにみなみち ゃんがくるから、必然的にこなたの部屋に泊まってもらうけど、いいね?」 「は、はいっ。よろしくお願いします。」 「じゃあ、乗った乗った!…ほら、ゆーちゃん達も早く!」 そんなこんなで、5人で車に乗ることになった。 前にお父さんとゆーちゃん、そして私達とみなみちゃんは後ろの座席に。 ゆーちゃん達にはちょっと我慢してもらうけど、私けが人だし、いいよね? 帰り道、再び眠気が襲ってきたけど、暖かい感触を感じながら、今度はいい夢が見れそうな気がした。 かがみが付いてくれてると、何でもいい方向に進む気がするしネ。 やっぱりかがみには守られてるみたいだよ、いろんな意味でさ。 ありがとう、かがみ…。あとで、たっぷりお礼しないとネ♪ - Fin - -[[『かがみ開きすぎっ!』>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/110.html]](続編)へ **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-03-04 23:26:06)

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