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遠い未来…遥か彼方の土の中で…」(2023/05/22 (月) 21:25:26) の最新版変更点

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(注:死人あり。グロあり。…でも鬱要素はナシ。 超ど級ブラックユーモア。バチ当たり。 「これはマズイw」と思ったら、すぐに引きかえして下さい。) 真夜中に雷鳴が轟き、強風が吹き荒れ、雨が乱暴に土を叩く… 街の郊外…西洋の吸血鬼に出くわしそうな古びた洋館のすぐ手前にある墓地。 人生を終えた者たちの体が埋葬されている場所。 数々の墓が立ち並ぶその場所。 やがて、雨が止み、静かな夜が戻った時。 ある一つの墓が、ぐらっとわずかに揺れた。 そして、土の中から白骨化しつつある腐った腕が飛び出した。 土が盛り上がっていき、中から腐りかけの人体が起き上がってくる。 顔の半分は皮膚が腐っており、体の所々の骨がむき出しになり、頭部からは頭蓋骨を見せている。 よろよろと2、3歩歩いたかと思うと、言葉を発した。 「ふ、ふ、ふ……人間どもよ…思い知るがいい……今こそ、復讐の時…!」 「何、ぶつぶつ言ってんのよ、あんた」 「ふおっ!かがみっ!?」 体の腐りかけているかがみが、土の中から体半分出しながら、呆れたようにこなたを見ていた。 柊家、と書かれている墓から。 所為、彼女らはゾンビである。 彼女たちは、かつてある学園でまったりとした毎日を過ごす普通の女子高生だった。 そして彼女たちは、200年も前に…とうの昔に人としての寿命を全うし、魂は天に召され、安らかに眠っている…はずだった。 『遠い未来…遥か彼方の土の中で…』 「やあ~、50年ぶりにおはよう、かがみん」 「全く、あんたがなかなか起きないから、すごく退屈だったのよ!20年も遅刻してるじゃない!!次の待ち合わせは30年後と言ったはずよ!!」 「あ~、なかなか起きれなくてね~」 アホ毛をぴんとさせながら、こなたが言った。 「でも、久しぶり、かがみ~ん!!」 こなたが、かがみの腕にしがみついてきた。 「あっ!コラ!腕にひっつくな!!」 「むふ~、かがみんゾンビ萌え」 「ゾンビ萌えって…」 「かがぞん萌え」 「略すなっ!!ああ、もう!離れなさいよっ…!!」 …ぼろっ。 かがみの右腕が落っこちた。 「あーあ、腕取れちゃった」 「もうっ!あんたが生前、すぐそうやってしがみついてくるから、腕が弱ってんのよ!」 「そんな怒んないでヨ。はい、アロンア○ファ」 「…ありがと」 かがみは腕の修理を始める。 「おはよ~、お姉ちゃん、こなちゃん」 腐りかけのつかさがやって来た。頭にはリボンがくっついており、生前の可愛さはまだ残っている様子だった。   「おお~!つかさは130年ぶりかな~!?」 「140年ぶりだよ、こなちゃん、お姉ちゃん、久しぶり~」 「そうね…つかさ、あんたもずーっとお墓の中で眠りこけてたんじゃない?」 「はぅ…どうして分かったのお姉ちゃん…」 「こなたもなかなか起きなくてね~」 「あはは、そうなんだ~。あ、そうそう、後でゆきちゃんも来るんだって~」 生前と変わらぬ様子で話す三人。もう一度言っておくと、彼女らは、ゾンビである。 「それにしても、お姉ちゃんいいな~。あんまり腐ってなくて。お肌きれいだよ~」 「そだね~。今もきれいだよ、かがみん」 「えっ…そ、そうかな…」 かがみはぽっと頬を赤く染めた。 「腐敗防止のために棺桶に塩を入れておいたのよ」 「…やってみるもんだね」 つかさの目が点になった。 「かがみんは、皮膚がいっぱい残ってるよね。やっぱ生前にたくさん食べてたからかな~?」 「う…うっさい!!」 小さな声で(あんたの作るご飯がおいしかったから…)と付け加えるかがみ。 「そういえばこの前、子孫たちがお墓参りに来てくれたんだけど…」 「お彼岸だったからね」 「あんたのせいで、子孫にまでオタクが伝染しちゃってるじゃないのよ!!私たちの事、誤解されそうだわ…!」 「まあ、いいじゃ~ん。こうして私たちのDNAは受け継がれていってるんだし、結果オーライだよ」 「…もう!私がどれだけ苦労して、法律変えてあんたと結婚できたと思ってるのよ!」 「そだね~。それにしても…」 こなたは生前から残ってる猫口で、にまにまと笑いながら言った。 「私が死んでから、一週間でかがみもころっと逝っちゃうとはね~…やっぱさびしんぼウサちゃんだったんだねぇ、かがみは」 「…ぅうるさいっ!」 小さな声で(あんたがいなくなって、すごく寂しかったんだから……ばか)と付け加えた。 しかし、こなたには()内の小さな声すら聞き取ることができる程の地獄耳のスキルを身に付けていた。 それは、かがみのツンデレを聞き逃さぬためのものだった。 その時、墓場の向こうから、コツコツという音が彼女たちのもとに近づいてきた。 「…何かしら?あれ」 「…ぬおっ!ガイコツがこっちにやってくるぅ!?」 「怖いよ、お姉ちゃ~ん!!」 二人がかがみにしがみつく。 「…私らゾンビだろうが!!」 と言いつつおびえるかがみ。 「あ、あの~」 そのガイコツが、逃げようとする三人を呼び止めた。 「私ですが…分かりますでしょうか…」 上品な言葉に上品な動き、そしてその声。 「あ、ゆきちゃ~ん!」 「お分かりになってくれたのですね!つかささん」 「うん!そっかあ~、通りで見た事ある骨格だと思ったよ~」 「…」 途方に暮れるこなかが。 「みゆきさん…何故に骨だけの存在に…」 「それが、私…」 白骨と化したみゆきがカタカタと歯を動かしながら答えた。 「少々、土の中で長居しすぎてしまったようです…お恥ずかしながら…」 そのガイコツは、手を頬にあててにっこりと微笑んだ(気がする) 「はあ~ガイコツになってもドジッ子みゆきさん萌え……これが…『骨萌え』…」 「おまw」 こなたの途方もない発言に、思わずかがみが突っ込んだ。 みゆきの背筋…もとい、背骨はぴしっと真っすぐに伸びており、姿勢の良いガイコツだった。 かがみは、骨からでも分かるスタイルの良さがちょっとだけ恨めしかった。 「ところで、みゆきさんや」 「はい、何でしょう」 「みゆきさんって今……………全裸なんだよね」 ゾンビでもボロボロの服は来ている。 「まあ、私ったら…お恥ずかしい…」 「いや、もう隠そうとしてもどうしようもないから……いろいろと」 あたふたする骨に、かがみが静止をかけた。 「まあまあ、ゆきちゃん。お茶でもどうぞ」 つかさゾンビが、みゆきガイコツにお茶を差し出す。 「ありがとうございます。つかささん」 みゆきが、それを口の中に流しこむと、お茶は喉元の骨を通り過ぎ、そのまま体全体にどばぁーとこぼれて、地面に染み込んでいった。 「おいしい?ゆきちゃん」 「はい、とっても(にっこり)」 「もう冗談だかなんだかわけ分かんないよ…」 こなたが途方に暮れる。 その時、つかさの悲鳴が。 「わあーっ!私のお目目が転がっていっちゃうよう…!まってぇ~」 「ちょ!つかさ…そっちは……!!」 つかさは、柊家と書かれた墓穴に落っこちた。 「ふえ~ん…たすけて~、お姉ちゃ~ん、こなちゃ~ん、ゆきちゃ~ん」 3人に救出されるつかさ。 「全く…気をつけなさいよ、はい、つかさの目玉」 かがみは、つかさの目を元の場所に入れてあげた。 「ちゃんと接着剤つけとかなきゃダメよ」 「うん、ありがとうお姉ちゃん…」 「つかさもドジッ子だねえ」 「こなた…あんた首が取れかけてるわよ」 「ふおっ!世界が斜めに見えてる!!」 「はあ…あんたたちは死んでも世話が焼けるんだから」 「でも、かがみさんは本当に面倒見がいいですよね」 「そうだね~。だからこなちゃんはお姉ちゃんのことが好きになったのかなあ?」 「そーだよ。でも、かがみって付き合い始めてからはけっこーベタベタしてきてさ~、結婚当初なんてそれこそ毎晩毎晩くんずほぐれつ…」 「わあああ!!!危ない発言禁止ぃぃっ!!!」 かがみが真っ赤になりながら、こなたの口を塞ぐ。 「むう、晩年まで私に襲いかかってきたくせに…」 「あ、あんたが誘ってくるからでしょうが…」 二人が、そんな生前から変わらぬやりとりをしていると… 「…あら、誰かがこちらに向かってきているようですね」 またもや足音が聞こえる。 今度は背の小さなゾンビだった。 何メートルか走っては、はあはあと息をきらし、また何メートルか疾走しては、ぜえぜえと息をきらす。 なんか可哀想になってきたので、こなたたち4人は直接その小さなゾンビの方へと歩いて行った。 「皆さん、待って下さ~い」 みゆき(白骨)が自らの骨をカタカタ言わしながら着いてくる。 骨だけの体だと、ちょっと動きにくいらしく、ぎこちない歩きでこなたたちを追い掛けてくる。 なんだか某SFモノ映画の、C-3POみたいだ、とこなたは思った。 「あの体だと動きにくそうよね」 「…なんて骨体」 「…言うと思ったわ」 「こなたお姉ちゃ~ん…」 「おお、ゆーちゃん久方ぶり~」 その小さなゾンビは、こなたの従姉妹のゆたかだった。 みゆきは、ようやく皆に追い付いたが、視力の低い彼女はそれに気付かずにこなた達を追い越し、お墓に頭をぶつけた。 「すみませんすみませんすみません…」 「…かがみー。ガイコツがお墓に謝ってるよ」 「…よーく見ときなさい。あんなの二度と見られないから」 「私、今日は眼鏡を忘れてきてしまったのです…お恥ずかしながら…」 もじもじしながらそのガイコツは言った。 「おもしろい…おもしろすぎる…」 こなたは興奮を隠せない。 「想像が膨らむね」 「…」 つかさがゆたかに聞いた。 「あれ?みなみちゃんは?」 すると、ゆたかはちょっとスねた顔をして言った。 「もう、みなみちゃんたら、すごく長生きでなかなかこっちに来てくれないんですよ!」 ゆたかは、頬をぷうっと膨らませた。が、皮膚が残ってないため、ほお骨がぴくっと動いただけだった。 「…エルフ並の生命力だね」 こなたが言う。 「せっかく、かがみお姉ちゃんのおかげで私、みなみちゃんと結婚できたのに…」 「でも、みなみさんはちゃんとゆたかさんのお墓にお祈りに来て下さるではありませんか」 みゆき(骨)がフォローするように言った。 「うん…だから、よくお墓から出ていって一緒に遊ぶんだけど…私すぐに体調を崩しちゃって…」 「体調を崩すゾンビ…」 かがみがぼそっと言った。 「でも、みなみさんは会う度に喜んで下さるではありませんか」 みゆき(カルシウム)が、フォローするように言った。 「うん…そうですよね…私、みなみちゃんが早くここに来てくれるの待ってる!」 「…聞きようによっては、残酷なこと言ってるよね」 「余計なこと言わない!」 多からずとも、一人ぼっちの寂しさを知るかがみが、こなたの頬をつねった。 「あらあら」 みゆき(元素記号:Ca)が、彼女たちの様子を微笑ましく見守る。 「…そういえばさ、どうして私たちゾンビなのよ。死んでからすぐ天国に逝けるんじゃないの?」 「まだ現世に未練があるんじゃない?まあ、そのうちこの体が動かなくなったら、お母さんに頼んでちゃんと成仏させてもらおうよ」 「……あんたのお母さんて何をしてる人なのよ」 こなたは、口に指を当てて、 「禁則じk「ああ、そう」」 かがみは、話を切った。 「天国ってどういうところなんだろうね~」 つかさが訪ねて、こなたが口を開く。 「そういえば、あの世にもアキバみたいなオタクの聖地ってのがあるんだって聞いた」 「マジか…」 「現代の多様なニーズに応えてね。楽しみだぁ~♪」 「はあ…死語の世界でまで、あんたに振り回されるのか…」 「あのさー、かがみ。私たちもう死んじゃったんだから、人間界の法律に従う必要もないんじゃない?だから私たちも、もう夫婦性を名乗らなくても…」 「……!!……いやっ!……そんなの絶対いやぁ…!!」 「ど…どしたのかがみ…」 かがみはすぐにも泣き出しそうな顔をしていた。 「こなたと離れるなんて…絶対やだっ!!」 「あ、あの、かがみ…私、冗談で言っただけで…」 「ずっと…ずっと、一緒にいてよこなたぁ…!」 かがみは、こなたの体をぎゅっと抱きしめた。 「…かがみ」 「私…あんたが死んでからの一週間…すごく…すごく寂しかったんだから…くすん、くすん…」 涙を流すかがみ。 「うん…分かってるよ…私、かがみと結婚できてとっても嬉しかったもん。 皆に祝ってもらったしさ、ウエディングドレスだってちゃんと着れたんだよ。 かがみにはほんとに感謝してるよ。今もかがみのことだいすきだよ。 だからこれからも、ずーっと一緒にいようね。…ずーっと」 「ひっく…ひっく…………こなたぁ」 「なあに?」 こなたが、そっと笑って言った。 「キスして…」 「うん…」 つかさは、はわわ…と言いながら後ろを向いて、もじもじしている。 「現在の世界ではとうとう『どこでもドア』が発明されまして…」 上品な白骨は、ゆたかに現世の話をして、ゆたかはそれにうんうんと興味深そうに聞いていた。 こなたとかがみは熱いキスを交わす。生前、数えきれない程したあの時のように。 …ぽろっ。 「かがみ…右腕落ちたよ」 「そんなの…後でいい」 …ぼとっ。 今度は左腕が落ちた。 「かがみ…」 「いいの……もっと…キス…して?」 こなたは、しょうがないなあ、と笑って、 「…うん」 また、唇を合わせた。 こうして、死んでも愛し続けるアホ毛とツインテールの女の子の… 変なゾンビがいましたw 完w **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - やっぱ、こなかがコンビはバカップルがお似合いだよな。今更だけど。 -- 名無しさん (2013-01-28 18:32:07) - 続編で天国の話も読みたい(∀)ww &br()これはシリーズ化してほしいww -- 名無しさん (2011-02-12 12:07:45) - この作者さんすごいですねぇ…何というカオスな -- 匿名 (2010-05-06 01:15:47) - みwなwぎwっwてwきwたwww &br()んー、GJ!! -- 名無しさん (2010-04-26 21:45:11) - 超ド級のブラックユーモア…死人ありで鬱要素全く無しって、寧ろ笑えるこの作品かなり斬新。 &br() &br() &br()チャレンジャーな作者に拍手を送ろうではないかww -- 名無し (2010-04-26 10:50:04) - うーん (~ヘ~)ウーン &br() &br() -- 名無しさん (2009-11-25 23:04:11) - 眼鏡を忘れて視力が落ちてるガイコツ、墓に頭下げるガイコツ、体調を崩すゾンビ、エルフ並みの生命力のみなみ… &br() &br()なんかもう色々とシュールすぎるwww -- 名無しさん (2009-11-25 06:30:18) - もっとやれ!ww -- 名無しさん (2009-05-02 23:23:45) - 元素記号 Ca って… -- 名無しさん (2009-05-02 03:27:51) - このSSのせいでゾンビと言うワードに噴出してしまうようになってしまったではないか! &br()作者には謝罪と賠償としてもっとやれ!と言わせてもらおう! -- 名無しさん (2008-12-25 15:39:50) - 作者www &br()なんという開拓者wwGJを送らざるを得ない… -- 名無しさん (2008-11-28 22:53:03) - カルシウムさん。乙w -- 名無しさん (2008-11-20 13:24:23) - おまwwwwなにやってんのwww &br()新しいジャンル過ぎるwww &br()死者ありで鬱要素ない作品なんてこれくらいだwww &br()とりあえずGJww -- naniw (2008-11-01 16:31:53) - グロくねーじゃんwwおもしろかったw &br() -- 名無しさん (2008-10-28 14:14:56) - とりあえず一番の不思議はみなみちゃんの寿命と言うことで…(^-^; &br()このSSは、新しいジャンルの開拓かもしれない &br()GJ!!!! -- にゃあ (2008-10-28 03:16:14) - グロなのに 鬱じゃない 理由がよくわかりますたww -- 名無しさん (2008-10-28 01:29:34) - なんだこの緊張感のない超常現象は??? &br()・・・でもなんかほのぼのとして好きだ。 -- 名無しさん (2008-10-27 02:40:26) - なんだこれwww &br()何か分かんないが好きだw -- 名無しさん (2008-10-27 00:24:14)
(注:死人あり。グロあり。…でも鬱要素はナシ。 超ど級ブラックユーモア。バチ当たり。 「これはマズイw」と思ったら、すぐに引きかえして下さい。) 真夜中に雷鳴が轟き、強風が吹き荒れ、雨が乱暴に土を叩く… 街の郊外…西洋の吸血鬼に出くわしそうな古びた洋館のすぐ手前にある墓地。 人生を終えた者たちの体が埋葬されている場所。 数々の墓が立ち並ぶその場所。 やがて、雨が止み、静かな夜が戻った時。 ある一つの墓が、ぐらっとわずかに揺れた。 そして、土の中から白骨化しつつある腐った腕が飛び出した。 土が盛り上がっていき、中から腐りかけの人体が起き上がってくる。 顔の半分は皮膚が腐っており、体の所々の骨がむき出しになり、頭部からは頭蓋骨を見せている。 よろよろと2、3歩歩いたかと思うと、言葉を発した。 「ふ、ふ、ふ……人間どもよ…思い知るがいい……今こそ、復讐の時…!」 「何、ぶつぶつ言ってんのよ、あんた」 「ふおっ!かがみっ!?」 体の腐りかけているかがみが、土の中から体半分出しながら、呆れたようにこなたを見ていた。 柊家、と書かれている墓から。 所為、彼女らはゾンビである。 彼女たちは、かつてある学園でまったりとした毎日を過ごす普通の女子高生だった。 そして彼女たちは、200年も前に…とうの昔に人としての寿命を全うし、魂は天に召され、安らかに眠っている…はずだった。 『遠い未来…遥か彼方の土の中で…』 「やあ~、50年ぶりにおはよう、かがみん」 「全く、あんたがなかなか起きないから、すごく退屈だったのよ!20年も遅刻してるじゃない!!次の待ち合わせは30年後と言ったはずよ!!」 「あ~、なかなか起きれなくてね~」 アホ毛をぴんとさせながら、こなたが言った。 「でも、久しぶり、かがみ~ん!!」 こなたが、かがみの腕にしがみついてきた。 「あっ!コラ!腕にひっつくな!!」 「むふ~、かがみんゾンビ萌え」 「ゾンビ萌えって…」 「かがぞん萌え」 「略すなっ!!ああ、もう!離れなさいよっ…!!」 …ぼろっ。 かがみの右腕が落っこちた。 「あーあ、腕取れちゃった」 「もうっ!あんたが生前、すぐそうやってしがみついてくるから、腕が弱ってんのよ!」 「そんな怒んないでヨ。はい、アロンア○ファ」 「…ありがと」 かがみは腕の修理を始める。 「おはよ~、お姉ちゃん、こなちゃん」 腐りかけのつかさがやって来た。頭にはリボンがくっついており、生前の可愛さはまだ残っている様子だった。   「おお~!つかさは130年ぶりかな~!?」 「140年ぶりだよ、こなちゃん、お姉ちゃん、久しぶり~」 「そうね…つかさ、あんたもずーっとお墓の中で眠りこけてたんじゃない?」 「はぅ…どうして分かったのお姉ちゃん…」 「こなたもなかなか起きなくてね~」 「あはは、そうなんだ~。あ、そうそう、後でゆきちゃんも来るんだって~」 生前と変わらぬ様子で話す三人。もう一度言っておくと、彼女らは、ゾンビである。 「それにしても、お姉ちゃんいいな~。あんまり腐ってなくて。お肌きれいだよ~」 「そだね~。今もきれいだよ、かがみん」 「えっ…そ、そうかな…」 かがみはぽっと頬を赤く染めた。 「腐敗防止のために棺桶に塩を入れておいたのよ」 「…やってみるもんだね」 つかさの目が点になった。 「かがみんは、皮膚がいっぱい残ってるよね。やっぱ生前にたくさん食べてたからかな~?」 「う…うっさい!!」 小さな声で(あんたの作るご飯がおいしかったから…)と付け加えるかがみ。 「そういえばこの前、子孫たちがお墓参りに来てくれたんだけど…」 「お彼岸だったからね」 「あんたのせいで、子孫にまでオタクが伝染しちゃってるじゃないのよ!!私たちの事、誤解されそうだわ…!」 「まあ、いいじゃ~ん。こうして私たちのDNAは受け継がれていってるんだし、結果オーライだよ」 「…もう!私がどれだけ苦労して、法律変えてあんたと結婚できたと思ってるのよ!」 「そだね~。それにしても…」 こなたは生前から残ってる猫口で、にまにまと笑いながら言った。 「私が死んでから、一週間でかがみもころっと逝っちゃうとはね~…やっぱさびしんぼウサちゃんだったんだねぇ、かがみは」 「…ぅうるさいっ!」 小さな声で(あんたがいなくなって、すごく寂しかったんだから……ばか)と付け加えた。 しかし、こなたには()内の小さな声すら聞き取ることができる程の地獄耳のスキルを身に付けていた。 それは、かがみのツンデレを聞き逃さぬためのものだった。 その時、墓場の向こうから、コツコツという音が彼女たちのもとに近づいてきた。 「…何かしら?あれ」 「…ぬおっ!ガイコツがこっちにやってくるぅ!?」 「怖いよ、お姉ちゃ~ん!!」 二人がかがみにしがみつく。 「…私らゾンビだろうが!!」 と言いつつおびえるかがみ。 「あ、あの~」 そのガイコツが、逃げようとする三人を呼び止めた。 「私ですが…分かりますでしょうか…」 上品な言葉に上品な動き、そしてその声。 「あ、ゆきちゃ~ん!」 「お分かりになってくれたのですね!つかささん」 「うん!そっかあ~、通りで見た事ある骨格だと思ったよ~」 「…」 途方に暮れるこなかが。 「みゆきさん…何故に骨だけの存在に…」 「それが、私…」 白骨と化したみゆきがカタカタと歯を動かしながら答えた。 「少々、土の中で長居しすぎてしまったようです…お恥ずかしながら…」 そのガイコツは、手を頬にあててにっこりと微笑んだ(気がする) 「はあ~ガイコツになってもドジッ子みゆきさん萌え……これが…『骨萌え』…」 「おまw」 こなたの途方もない発言に、思わずかがみが突っ込んだ。 みゆきの背筋…もとい、背骨はぴしっと真っすぐに伸びており、姿勢の良いガイコツだった。 かがみは、骨からでも分かるスタイルの良さがちょっとだけ恨めしかった。 「ところで、みゆきさんや」 「はい、何でしょう」 「みゆきさんって今……………全裸なんだよね」 ゾンビでもボロボロの服は来ている。 「まあ、私ったら…お恥ずかしい…」 「いや、もう隠そうとしてもどうしようもないから……いろいろと」 あたふたする骨に、かがみが静止をかけた。 「まあまあ、ゆきちゃん。お茶でもどうぞ」 つかさゾンビが、みゆきガイコツにお茶を差し出す。 「ありがとうございます。つかささん」 みゆきが、それを口の中に流しこむと、お茶は喉元の骨を通り過ぎ、そのまま体全体にどばぁーとこぼれて、地面に染み込んでいった。 「おいしい?ゆきちゃん」 「はい、とっても(にっこり)」 「もう冗談だかなんだかわけ分かんないよ…」 こなたが途方に暮れる。 その時、つかさの悲鳴が。 「わあーっ!私のお目目が転がっていっちゃうよう…!まってぇ~」 「ちょ!つかさ…そっちは……!!」 つかさは、柊家と書かれた墓穴に落っこちた。 「ふえ~ん…たすけて~、お姉ちゃ~ん、こなちゃ~ん、ゆきちゃ~ん」 3人に救出されるつかさ。 「全く…気をつけなさいよ、はい、つかさの目玉」 かがみは、つかさの目を元の場所に入れてあげた。 「ちゃんと接着剤つけとかなきゃダメよ」 「うん、ありがとうお姉ちゃん…」 「つかさもドジッ子だねえ」 「こなた…あんた首が取れかけてるわよ」 「ふおっ!世界が斜めに見えてる!!」 「はあ…あんたたちは死んでも世話が焼けるんだから」 「でも、かがみさんは本当に面倒見がいいですよね」 「そうだね~。だからこなちゃんはお姉ちゃんのことが好きになったのかなあ?」 「そーだよ。でも、かがみって付き合い始めてからはけっこーベタベタしてきてさ~、結婚当初なんてそれこそ毎晩毎晩くんずほぐれつ…」 「わあああ!!!危ない発言禁止ぃぃっ!!!」 かがみが真っ赤になりながら、こなたの口を塞ぐ。 「むう、晩年まで私に襲いかかってきたくせに…」 「あ、あんたが誘ってくるからでしょうが…」 二人が、そんな生前から変わらぬやりとりをしていると… 「…あら、誰かがこちらに向かってきているようですね」 またもや足音が聞こえる。 今度は背の小さなゾンビだった。 何メートルか走っては、はあはあと息をきらし、また何メートルか疾走しては、ぜえぜえと息をきらす。 なんか可哀想になってきたので、こなたたち4人は直接その小さなゾンビの方へと歩いて行った。 「皆さん、待って下さ~い」 みゆき(白骨)が自らの骨をカタカタ言わしながら着いてくる。 骨だけの体だと、ちょっと動きにくいらしく、ぎこちない歩きでこなたたちを追い掛けてくる。 なんだか某SFモノ映画の、C-3POみたいだ、とこなたは思った。 「あの体だと動きにくそうよね」 「…なんて骨体」 「…言うと思ったわ」 「こなたお姉ちゃ~ん…」 「おお、ゆーちゃん久方ぶり~」 その小さなゾンビは、こなたの従姉妹のゆたかだった。 みゆきは、ようやく皆に追い付いたが、視力の低い彼女はそれに気付かずにこなた達を追い越し、お墓に頭をぶつけた。 「すみませんすみませんすみません…」 「…かがみー。ガイコツがお墓に謝ってるよ」 「…よーく見ときなさい。あんなの二度と見られないから」 「私、今日は眼鏡を忘れてきてしまったのです…お恥ずかしながら…」 もじもじしながらそのガイコツは言った。 「おもしろい…おもしろすぎる…」 こなたは興奮を隠せない。 「想像が膨らむね」 「…」 つかさがゆたかに聞いた。 「あれ?みなみちゃんは?」 すると、ゆたかはちょっとスねた顔をして言った。 「もう、みなみちゃんたら、すごく長生きでなかなかこっちに来てくれないんですよ!」 ゆたかは、頬をぷうっと膨らませた。が、皮膚が残ってないため、ほお骨がぴくっと動いただけだった。 「…エルフ並の生命力だね」 こなたが言う。 「せっかく、かがみお姉ちゃんのおかげで私、みなみちゃんと結婚できたのに…」 「でも、みなみさんはちゃんとゆたかさんのお墓にお祈りに来て下さるではありませんか」 みゆき(骨)がフォローするように言った。 「うん…だから、よくお墓から出ていって一緒に遊ぶんだけど…私すぐに体調を崩しちゃって…」 「体調を崩すゾンビ…」 かがみがぼそっと言った。 「でも、みなみさんは会う度に喜んで下さるではありませんか」 みゆき(カルシウム)が、フォローするように言った。 「うん…そうですよね…私、みなみちゃんが早くここに来てくれるの待ってる!」 「…聞きようによっては、残酷なこと言ってるよね」 「余計なこと言わない!」 多からずとも、一人ぼっちの寂しさを知るかがみが、こなたの頬をつねった。 「あらあら」 みゆき(元素記号:Ca)が、彼女たちの様子を微笑ましく見守る。 「…そういえばさ、どうして私たちゾンビなのよ。死んでからすぐ天国に逝けるんじゃないの?」 「まだ現世に未練があるんじゃない?まあ、そのうちこの体が動かなくなったら、お母さんに頼んでちゃんと成仏させてもらおうよ」 「……あんたのお母さんて何をしてる人なのよ」 こなたは、口に指を当てて、 「禁則じk「ああ、そう」」 かがみは、話を切った。 「天国ってどういうところなんだろうね~」 つかさが訪ねて、こなたが口を開く。 「そういえば、あの世にもアキバみたいなオタクの聖地ってのがあるんだって聞いた」 「マジか…」 「現代の多様なニーズに応えてね。楽しみだぁ~♪」 「はあ…死語の世界でまで、あんたに振り回されるのか…」 「あのさー、かがみ。私たちもう死んじゃったんだから、人間界の法律に従う必要もないんじゃない?だから私たちも、もう夫婦性を名乗らなくても…」 「……!!……いやっ!……そんなの絶対いやぁ…!!」 「ど…どしたのかがみ…」 かがみはすぐにも泣き出しそうな顔をしていた。 「こなたと離れるなんて…絶対やだっ!!」 「あ、あの、かがみ…私、冗談で言っただけで…」 「ずっと…ずっと、一緒にいてよこなたぁ…!」 かがみは、こなたの体をぎゅっと抱きしめた。 「…かがみ」 「私…あんたが死んでからの一週間…すごく…すごく寂しかったんだから…くすん、くすん…」 涙を流すかがみ。 「うん…分かってるよ…私、かがみと結婚できてとっても嬉しかったもん。 皆に祝ってもらったしさ、ウエディングドレスだってちゃんと着れたんだよ。 かがみにはほんとに感謝してるよ。今もかがみのことだいすきだよ。 だからこれからも、ずーっと一緒にいようね。…ずーっと」 「ひっく…ひっく…………こなたぁ」 「なあに?」 こなたが、そっと笑って言った。 「キスして…」 「うん…」 つかさは、はわわ…と言いながら後ろを向いて、もじもじしている。 「現在の世界ではとうとう『どこでもドア』が発明されまして…」 上品な白骨は、ゆたかに現世の話をして、ゆたかはそれにうんうんと興味深そうに聞いていた。 こなたとかがみは熱いキスを交わす。生前、数えきれない程したあの時のように。 …ぽろっ。 「かがみ…右腕落ちたよ」 「そんなの…後でいい」 …ぼとっ。 今度は左腕が落ちた。 「かがみ…」 「いいの……もっと…キス…して?」 こなたは、しょうがないなあ、と笑って、 「…うん」 また、唇を合わせた。 こうして、死んでも愛し続けるアホ毛とツインテールの女の子の… 変なゾンビがいましたw 完w **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - GJ!!(^_−)b -- 名無しさん (2023-05-22 21:25:26) - やっぱ、こなかがコンビはバカップルがお似合いだよな。今更だけど。 -- 名無しさん (2013-01-28 18:32:07) - 続編で天国の話も読みたい(∀)ww &br()これはシリーズ化してほしいww -- 名無しさん (2011-02-12 12:07:45) - この作者さんすごいですねぇ…何というカオスな -- 匿名 (2010-05-06 01:15:47) - みwなwぎwっwてwきwたwww &br()んー、GJ!! -- 名無しさん (2010-04-26 21:45:11) - 超ド級のブラックユーモア…死人ありで鬱要素全く無しって、寧ろ笑えるこの作品かなり斬新。 &br() &br() &br()チャレンジャーな作者に拍手を送ろうではないかww -- 名無し (2010-04-26 10:50:04) - うーん (~ヘ~)ウーン &br() &br() -- 名無しさん (2009-11-25 23:04:11) - 眼鏡を忘れて視力が落ちてるガイコツ、墓に頭下げるガイコツ、体調を崩すゾンビ、エルフ並みの生命力のみなみ… &br() &br()なんかもう色々とシュールすぎるwww -- 名無しさん (2009-11-25 06:30:18) - もっとやれ!ww -- 名無しさん (2009-05-02 23:23:45) - 元素記号 Ca って… -- 名無しさん (2009-05-02 03:27:51) - このSSのせいでゾンビと言うワードに噴出してしまうようになってしまったではないか! &br()作者には謝罪と賠償としてもっとやれ!と言わせてもらおう! -- 名無しさん (2008-12-25 15:39:50) - 作者www &br()なんという開拓者wwGJを送らざるを得ない… -- 名無しさん (2008-11-28 22:53:03) - カルシウムさん。乙w -- 名無しさん (2008-11-20 13:24:23) - おまwwwwなにやってんのwww &br()新しいジャンル過ぎるwww &br()死者ありで鬱要素ない作品なんてこれくらいだwww &br()とりあえずGJww -- naniw (2008-11-01 16:31:53) - グロくねーじゃんwwおもしろかったw &br() -- 名無しさん (2008-10-28 14:14:56) - とりあえず一番の不思議はみなみちゃんの寿命と言うことで…(^-^; &br()このSSは、新しいジャンルの開拓かもしれない &br()GJ!!!! -- にゃあ (2008-10-28 03:16:14) - グロなのに 鬱じゃない 理由がよくわかりますたww -- 名無しさん (2008-10-28 01:29:34) - なんだこの緊張感のない超常現象は??? &br()・・・でもなんかほのぼのとして好きだ。 -- 名無しさん (2008-10-27 02:40:26) - なんだこれwww &br()何か分かんないが好きだw -- 名無しさん (2008-10-27 00:24:14)

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