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初めてのデート【午後Ⅰ】 --------------------------- こなたが泣いた。 あの、こなたが…。 今こなたは私の前にはいない。 どこに言ったの…? 私は走ってあいつを探す。と言っても、だいたい場所なら検討はつく。 …すぐ行くよ、こなた。 女子トイレに入ったら…やっぱり、いた。 入り口に背を向けて立ちながら、両手で涙を目から拭っていた。 肩が、震えている。 こなた…!! すぐに、抱きしめた。後ろから、ギュッと。 「っ!…グスン、か、かがみ……」 「こなた…。泣かないでよ…。別に怒ってなんかないのよ…?」 「でも、わ、私…、」 「いいから。…ね?」 「…グスン…グス…」 抱きしめてて、わかった。 今日という日を、特別の日にしたかったんだね。 初めてのデートだから、今日を最高にしたかったんだね。 だからそんなに涙が流れたんだよね? 「私は別にこなたが間違えようがなかろうが、今日は最高の1日なんだよ?」 「…ほ、ほんとに?」 「ほんともなにも…あんたとデートしてるだけでもう特別なんだから」 こなたがこっちを向いて、私の胸に顔をうずめた。 「かがみ…ごめんね…」 私は愛しくなって頭を撫でた。 私がこんなに大切に思える人なんて、他に一生現れないんじゃないかな。 しばらく、時は私たちを流れた。 こなたは静かに言った。 「かがみ…」 「…なぁに?」 「結構、胸あるんだね…」 「…!な、何言ってるのよ」 またも予想外な発言。 顔を上げたこなたは、ニマニマしていた。いつのまにか、いつも通りのこなたになっていたみたいだ。 「せっかくのいい雰囲気なのに…セクハラ発言はやめないか?」 「別にセクハラしてるわけじゃないよ?ただそうゆうとかがみが照れて可愛いんだもん」 「あんたってやつは…もう」 全く。滅多に泣かないやつだから一大事だと思えば、すぐにいつものペースだ。 ま、落ち着いてくれてよかったけど。 「あんたが泣くなんて意外だったわよ」 「か、かがみん…言わないでほしいかな、それは…」 意外にも、こなたが恥ずかしがっていた。 か、可愛い…。 滅多に見れないこなたに今日は2つも遭遇した。泣くこなた、恥じらうこなた。 また、知らないこなたに会えた。 付き合い出してわかることって、こうゆうこと。 恋人じゃなきゃ、わからなかったこと。 お互いに好きだから。 大切だから。 だから、新しいこなたに出会える。 こなたも新しい私に出会っているのかな? だとしたら、どんな私なのかな…? 「ねぇ、かがみ…つかさやみゆきさん、みさきちとかに、私が泣いたこと言わないでね?」 なんと、こなたがこんなことを言うなんて。 いつもと立場が逆転している気がした。 ついからかいたくなっちゃった。 少しくらいなら、いいよね…? 「どうしよっかなぁ~?珍しいからなぁ…」 無論他言する気はない。ただ、からかってみただけ。 「ひ、酷いよかがみ…」 …なんかいたたまれなくなってきた。 こなた、ごめんね。 やっぱり私にはからかうなんて向いてないのかな。 「冗談よ。言わないから安心してよ」 するとこなたは。 「…信じてるからね」 と、言った。 こなたは私を“信じてる”。 そう思うと、心がまたギュッと、なる。 信頼されてるんだ、私…。 どうしても、ある言葉を言いたくなった。 今朝、こなたに言われた言葉。 今朝のあんたを真似して言わさせて…こなた。 耳元で、つぶやく。 「…だいすき、だよ」 恥ずかしかった。顔が紅くなるのが、わかった。 でも、本当のことだから。 これが今の、私の全てなんだよ。 -------------------- 話し合いの結果、映画はやめて買い物とゲーセンに行くことになった。 私の間違いを許してくれた、かがみ。 …ありがとう。 でも照れくさくて言わない。 言いたかったけど、言えない。 もどかしかった。 さっき、気づいたことがある。 それは…私はかがみの言う、“いい雰囲気”が苦手なんだってこと。 なんか恥ずかしくって。 私らしくいられなくなりそうだった。 恥じらう私なんて、想像したくもないよ。 だからつい、話を変えたくなっちゃうんだ。 いい雰囲気は嫌いじゃない。でも、苦手なんだよ。 かがみはわかってくれるかな…? 今は映画館を出て、駅ビルに向かってる。 駅ビルはゲーセンもあって買い物もできるから、そこに行こうって一緒に決めたんだ。 「さっきすぐ追いかけてきたよね、かがみ」 許してくれて、ありがとうって言いたかったから。 近い話題をもちかけてみた。 でもそれに近い話題って、いい雰囲気なわけで。 「あんたの恋人だから…だよ?」 …しまった。こそばゆい空気に変わる。 なんか、恥ずかしいよ…。 「軽くツンデレ気味なかがみ、萌えるね~」 冗談で返してしまった。 「はいはい。もう、あんたは…。せっかくのムードってもんを」 …ごめん、かがみ。 かがみはいい雰囲気を作ろうと頑張ってるんだよね…。 それなのに、私は。 つい冗談で返す自分がいた。 ただ、恥ずかしいというだけで。 ――――かがみの気持ちを無視、していた。 どうしようもなく、申し訳なくなる…。 ごめんね、かがみ。ほんとに、ごめん。 私、決めた。 次にそういう雰囲気になったら、私逃げない。 逃げないよ、かがみ。 かがみととびっきりに甘い時間を過ごせるようにする。 私はかがみの、恋人だから。 かがみがすごく、好きだから。 それに、恥ずかしいだけで私だっていい雰囲気に囲まれたいし、ね。 駅ビルに着いた。 なんか移動ばっかり。 でも、それももうおしまい。 移動の間、結局お礼が言えなかった。 ヘタレな自分に腹が立っちゃった。 帰るまでに、頑張って言わなくちゃ。 買い物が先になった。 ゲームセンター先行くといくら使うかわからないしね。 さて何を買うのかというと… 私は、今日ペアなものを買う気でいる。アクセサリーとか。 今日の証と、2人の証を、みにつけていたいんだ。 離れていても、かがみがいる。いてくれる。 そんな気になる、何かが欲しいんだ…。 「あそこ入ってみようよ」 私が指さした店はよくあるアクセショップ。 「いいわよ」 何買うのかしら、とでも言いたそうなかがみ。 わからないのかねぇ。恋人とこうゆう店に入れば、だいたい決まってるでしょぉ。 中にはいると、人が多少いた。カップルも数組みいた。 端から見ると友達同士なんだろうな、きっと。 私はペアのアクセサリーを探す…あ、みっけ。 遠くから見つけたそれは、なぜか目に留まって。一目で気に入った。 「かがみ、こっちこっち」 「なになに?なんかみっけたの?」 手を引いて誘導。 「見てよこれ…かわいくない?」 「これって…」 顔が紅くなるかがみ。 「ペアのネックレス…♪」 大きさが一回りだけ違う、2つのシルバーで同じデザインのヘッドのついたネックレス。 「ねぇ、かがみん…こうゆうの、買わない…?」 イヤじゃないかな…? なんかこうゆうのって、相手を束縛するものでもあるし…。 「…いいわね!買おうよ」 やったー!かがみも欲しくなってくれた。今日の証を。2人の証を。 「いくらだろ?」 「…!こ、こなた…」 見て、驚愕。 「…50000円…」 …買えるわけない。 今日のデート代、全部で25000円。頑張って貯めたんだけど、ちょっと無理。 「他のにしよっか…」 「そ、そうだね…」 再び探す。さっきのが気に入ってたから、なかなかいいのが見つからないなぁ。 「こなた、これなんてどう?」 かがみが見つけたのを見たら… 「わぁ…かわいい…」 割れたシルバーなハート。 あわせると、一円玉くらいの大きさになる。 それぞれかけたハートから、ネックレスのチェーンがついていた。 「値段みたけど、普通だし」 見たら、3000円。さっきの見たから、すごく安く見える。 「いいね、これ!こんなの見つけるなんて…流石は私のお嫁さんだね☆」 「お、お嫁さんゆーな。…これにする?」 照れるかがみに、私は告げた。 「うん!」 -------------- 生まれて初めての、ペアのアクセサリー。 つかさとお揃いなんてのは多少はあるけど、恋人と一緒なものは初めて。 なんか、すごくドキドキしちゃった。 建物の中を見て回る。 服屋に行ったり、化粧品みたり。本屋さん行ったり、いろいろ回った。 歩いていると甘い香りで鼻腔をくすぐられた…もとをたどればアイス屋さんだった。 「こなた、アイス食べない?」 こなたは笑顔で言った。 「いいね~、食べよ食べよぉ」 2人で同じバニラアイスを注文。 店のテーブルにさっき買ったものが入った袋をのせ、椅子にかけながら甘い小山に舌を伸ばす。 美味しいなぁ。やっぱ私はお菓子が大好き。ついついたくさん食べちゃう。 いつもは太るとか気にするけど、今は全然気にならなかった。 「幸せそうだね~、かがみん」 ふいに言われた。そんなに幸せそうな顔してたかな…? 「そ、そう?」 「うん。私もアイスには勝てなそうだね」 「競うなって」 まぁアイスは大好きだけど。 「じゃあさ、かがみは私とアイスどっちが好き?」 な、何聞いてるんだ。悩むわけ、ないじゃない…。 でも答えるの、なんか恥ずかしいなぁ。 言えば言うでからかわれそう。言わなきゃ言わないで恋人失格な気がする。 「こ、こなたに決まってるじゃない」 「なんでどもるのさ…ま、私はかがみの食欲にはかなわなそうだね」 「人を食いしん坊みたいにゆーな!」 「え~?違ったっけ?」 「む、むかつく…!」 こいつってやつは。 確かに食べることは好きだけど、四六時中そればっかり考えてないわよ。 いつも通りの会話だった。 学校のとき、遊んでるとき、お昼食べてるとき、登下校のとき。 それなのに、どうしてこんなにドキドキするんだろう…。 今日という特別な日が、私に魔法をかけてるのかな…。 なんて、つかさじゃあるまいし夢見る乙女な考えは自重。 「言ってて思ったんだが…なんかバカップルみたいじゃない?私たち」 「そうなんだからいーじゃん」 「よくないわよ!バカップルはイヤだからね」 「じゃあどんなカップルがいいのさ?」 「…か、賢いカップル?」 「かがみん、馬鹿っぽいよ」 「う、うるさい!」 やっぱり私たちはバカップルらしい。 -[[初めてのデート【午後Ⅱ】>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/829.html]]へ続く **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3)
初めてのデート【午後Ⅰ】 --------------------------- こなたが泣いた。 あの、こなたが…。 今こなたは私の前にはいない。 どこに言ったの…? 私は走ってあいつを探す。と言っても、だいたい場所なら検討はつく。 …すぐ行くよ、こなた。 女子トイレに入ったら…やっぱり、いた。 入り口に背を向けて立ちながら、両手で涙を目から拭っていた。 肩が、震えている。 こなた…!! すぐに、抱きしめた。後ろから、ギュッと。 「っ!…グスン、か、かがみ……」 「こなた…。泣かないでよ…。別に怒ってなんかないのよ…?」 「でも、わ、私…、」 「いいから。…ね?」 「…グスン…グス…」 抱きしめてて、わかった。 今日という日を、特別の日にしたかったんだね。 初めてのデートだから、今日を最高にしたかったんだね。 だからそんなに涙が流れたんだよね? 「私は別にこなたが間違えようがなかろうが、今日は最高の1日なんだよ?」 「…ほ、ほんとに?」 「ほんともなにも…あんたとデートしてるだけでもう特別なんだから」 こなたがこっちを向いて、私の胸に顔をうずめた。 「かがみ…ごめんね…」 私は愛しくなって頭を撫でた。 私がこんなに大切に思える人なんて、他に一生現れないんじゃないかな。 しばらく、時は私たちを流れた。 こなたは静かに言った。 「かがみ…」 「…なぁに?」 「結構、胸あるんだね…」 「…!な、何言ってるのよ」 またも予想外な発言。 顔を上げたこなたは、ニマニマしていた。いつのまにか、いつも通りのこなたになっていたみたいだ。 「せっかくのいい雰囲気なのに…セクハラ発言はやめないか?」 「別にセクハラしてるわけじゃないよ?ただそうゆうとかがみが照れて可愛いんだもん」 「あんたってやつは…もう」 全く。滅多に泣かないやつだから一大事だと思えば、すぐにいつものペースだ。 ま、落ち着いてくれてよかったけど。 「あんたが泣くなんて意外だったわよ」 「か、かがみん…言わないでほしいかな、それは…」 意外にも、こなたが恥ずかしがっていた。 か、可愛い…。 滅多に見れないこなたに今日は2つも遭遇した。泣くこなた、恥じらうこなた。 また、知らないこなたに会えた。 付き合い出してわかることって、こうゆうこと。 恋人じゃなきゃ、わからなかったこと。 お互いに好きだから。 大切だから。 だから、新しいこなたに出会える。 こなたも新しい私に出会っているのかな? だとしたら、どんな私なのかな…? 「ねぇ、かがみ…つかさやみゆきさん、みさきちとかに、私が泣いたこと言わないでね?」 なんと、こなたがこんなことを言うなんて。 いつもと立場が逆転している気がした。 ついからかいたくなっちゃった。 少しくらいなら、いいよね…? 「どうしよっかなぁ~?珍しいからなぁ…」 無論他言する気はない。ただ、からかってみただけ。 「ひ、酷いよかがみ…」 …なんかいたたまれなくなってきた。 こなた、ごめんね。 やっぱり私にはからかうなんて向いてないのかな。 「冗談よ。言わないから安心してよ」 するとこなたは。 「…信じてるからね」 と、言った。 こなたは私を“信じてる”。 そう思うと、心がまたギュッと、なる。 信頼されてるんだ、私…。 どうしても、ある言葉を言いたくなった。 今朝、こなたに言われた言葉。 今朝のあんたを真似して言わさせて…こなた。 耳元で、つぶやく。 「…だいすき、だよ」 恥ずかしかった。顔が紅くなるのが、わかった。 でも、本当のことだから。 これが今の、私の全てなんだよ。 -------------------- 話し合いの結果、映画はやめて買い物とゲーセンに行くことになった。 私の間違いを許してくれた、かがみ。 …ありがとう。 でも照れくさくて言わない。 言いたかったけど、言えない。 もどかしかった。 さっき、気づいたことがある。 それは…私はかがみの言う、“いい雰囲気”が苦手なんだってこと。 なんか恥ずかしくって。 私らしくいられなくなりそうだった。 恥じらう私なんて、想像したくもないよ。 だからつい、話を変えたくなっちゃうんだ。 いい雰囲気は嫌いじゃない。でも、苦手なんだよ。 かがみはわかってくれるかな…? 今は映画館を出て、駅ビルに向かってる。 駅ビルはゲーセンもあって買い物もできるから、そこに行こうって一緒に決めたんだ。 「さっきすぐ追いかけてきたよね、かがみ」 許してくれて、ありがとうって言いたかったから。 近い話題をもちかけてみた。 でもそれに近い話題って、いい雰囲気なわけで。 「あんたの恋人だから…だよ?」 …しまった。こそばゆい空気に変わる。 なんか、恥ずかしいよ…。 「軽くツンデレ気味なかがみ、萌えるね~」 冗談で返してしまった。 「はいはい。もう、あんたは…。せっかくのムードってもんを」 …ごめん、かがみ。 かがみはいい雰囲気を作ろうと頑張ってるんだよね…。 それなのに、私は。 つい冗談で返す自分がいた。 ただ、恥ずかしいというだけで。 ――――かがみの気持ちを無視、していた。 どうしようもなく、申し訳なくなる…。 ごめんね、かがみ。ほんとに、ごめん。 私、決めた。 次にそういう雰囲気になったら、私逃げない。 逃げないよ、かがみ。 かがみととびっきりに甘い時間を過ごせるようにする。 私はかがみの、恋人だから。 かがみがすごく、好きだから。 それに、恥ずかしいだけで私だっていい雰囲気に囲まれたいし、ね。 駅ビルに着いた。 なんか移動ばっかり。 でも、それももうおしまい。 移動の間、結局お礼が言えなかった。 ヘタレな自分に腹が立っちゃった。 帰るまでに、頑張って言わなくちゃ。 買い物が先になった。 ゲームセンター先行くといくら使うかわからないしね。 さて何を買うのかというと… 私は、今日ペアなものを買う気でいる。アクセサリーとか。 今日の証と、2人の証を、みにつけていたいんだ。 離れていても、かがみがいる。いてくれる。 そんな気になる、何かが欲しいんだ…。 「あそこ入ってみようよ」 私が指さした店はよくあるアクセショップ。 「いいわよ」 何買うのかしら、とでも言いたそうなかがみ。 わからないのかねぇ。恋人とこうゆう店に入れば、だいたい決まってるでしょぉ。 中にはいると、人が多少いた。カップルも数組みいた。 端から見ると友達同士なんだろうな、きっと。 私はペアのアクセサリーを探す…あ、みっけ。 遠くから見つけたそれは、なぜか目に留まって。一目で気に入った。 「かがみ、こっちこっち」 「なになに?なんかみっけたの?」 手を引いて誘導。 「見てよこれ…かわいくない?」 「これって…」 顔が紅くなるかがみ。 「ペアのネックレス…♪」 大きさが一回りだけ違う、2つのシルバーで同じデザインのヘッドのついたネックレス。 「ねぇ、かがみん…こうゆうの、買わない…?」 イヤじゃないかな…? なんかこうゆうのって、相手を束縛するものでもあるし…。 「…いいわね!買おうよ」 やったー!かがみも欲しくなってくれた。今日の証を。2人の証を。 「いくらだろ?」 「…!こ、こなた…」 見て、驚愕。 「…50000円…」 …買えるわけない。 今日のデート代、全部で25000円。頑張って貯めたんだけど、ちょっと無理。 「他のにしよっか…」 「そ、そうだね…」 再び探す。さっきのが気に入ってたから、なかなかいいのが見つからないなぁ。 「こなた、これなんてどう?」 かがみが見つけたのを見たら… 「わぁ…かわいい…」 割れたシルバーなハート。 あわせると、一円玉くらいの大きさになる。 それぞれかけたハートから、ネックレスのチェーンがついていた。 「値段みたけど、普通だし」 見たら、3000円。さっきの見たから、すごく安く見える。 「いいね、これ!こんなの見つけるなんて…流石は私のお嫁さんだね☆」 「お、お嫁さんゆーな。…これにする?」 照れるかがみに、私は告げた。 「うん!」 -------------- 生まれて初めての、ペアのアクセサリー。 つかさとお揃いなんてのは多少はあるけど、恋人と一緒なものは初めて。 なんか、すごくドキドキしちゃった。 建物の中を見て回る。 服屋に行ったり、化粧品みたり。本屋さん行ったり、いろいろ回った。 歩いていると甘い香りで鼻腔をくすぐられた…もとをたどればアイス屋さんだった。 「こなた、アイス食べない?」 こなたは笑顔で言った。 「いいね~、食べよ食べよぉ」 2人で同じバニラアイスを注文。 店のテーブルにさっき買ったものが入った袋をのせ、椅子にかけながら甘い小山に舌を伸ばす。 美味しいなぁ。やっぱ私はお菓子が大好き。ついついたくさん食べちゃう。 いつもは太るとか気にするけど、今は全然気にならなかった。 「幸せそうだね~、かがみん」 ふいに言われた。そんなに幸せそうな顔してたかな…? 「そ、そう?」 「うん。私もアイスには勝てなそうだね」 「競うなって」 まぁアイスは大好きだけど。 「じゃあさ、かがみは私とアイスどっちが好き?」 な、何聞いてるんだ。悩むわけ、ないじゃない…。 でも答えるの、なんか恥ずかしいなぁ。 言えば言うでからかわれそう。言わなきゃ言わないで恋人失格な気がする。 「こ、こなたに決まってるじゃない」 「なんでどもるのさ…ま、私はかがみの食欲にはかなわなそうだね」 「人を食いしん坊みたいにゆーな!」 「え~?違ったっけ?」 「む、むかつく…!」 こいつってやつは。 確かに食べることは好きだけど、四六時中そればっかり考えてないわよ。 いつも通りの会話だった。 学校のとき、遊んでるとき、お昼食べてるとき、登下校のとき。 それなのに、どうしてこんなにドキドキするんだろう…。 今日という特別な日が、私に魔法をかけてるのかな…。 なんて、つかさじゃあるまいし夢見る乙女な考えは自重。 「言ってて思ったんだが…なんかバカップルみたいじゃない?私たち」 「そうなんだからいーじゃん」 「よくないわよ!バカップルはイヤだからね」 「じゃあどんなカップルがいいのさ?」 「…か、賢いカップル?」 「かがみん、馬鹿っぽいよ」 「う、うるさい!」 やっぱり私たちはバカップルらしい。 -[[初めてのデート【午後Ⅱ】>http://www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/829.html]]へ続く **コメントフォーム #comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3) - (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-05-25 07:53:05)

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